「私は肩が前についているんです…」というダンサーはたくさんいます。
私はそうは思いません。
ただ、今日はそういった解剖学的な事をお話するんじゃなくて、
- 肋骨の形(肩関節の乗っかっている土台)
- 胸椎のカーブ(肋骨がついているところ)
- 上腕骨の安定(肩の方向が目で見えるところ)
- 肩甲骨の安定(肩がはまるお椀になっているところ)
- 鎖骨の向き(肩関節の骨の一つ)
と関係なく(…だから私は肩が前についているってそう簡単に言えないと思うのよね。だって原因となる骨だけでこんなにあるんだから。筋肉までいれたらすごい長さのリストになるよ)
肩が前に落ちるのを修正するエクササイズをご紹介します。
このエクササイズはローテーターカフという筋肉グループを鍛えるエクササイズで、
その話は教師のためのバレエ解剖学講座、モジュール3でお話していますね。
AGAIN!!
今日は解剖学の話はしない…(ように気を付ける!)
すんげーマニアックな人達へ
ローテーターカフは4つあるのでもちろん作用も少しずつ違いますが、ここでは肩関節外旋にフォーカスしているので、メインはインフラとテリー。
エクササイズバンドを使っているのでサブスキャップもカバー出来て、スープラはこの姿勢を維持する事で意識。
ただし、スープラをもっと意識するためにはたぶん上腕骨の角度を考えた方がいいけれど、それはダンサーの骨格により変化するので今回はお話しない。
OK?
ローテーターカフのエクササイズをお勧めする人
- 肩が前についている、と思っている人
- 猫背に悩むにゃんこたち&毎日パソコンに向かう人
- 肩を開こうとすると肋骨が出てくるダンサー
- 四つん這いですら、ホールドしていると腕、肩が辛いくらい上半身が弱い人
- 肩の怪我のリハビリ中な人
- リフトやパドドゥの練習を始めたい人
- 結構ヘビーなリフトやパートナリングが含まれているリハ中のコンディショニングが必要なダンサー
ボーイズダンサー月間で説明した腕立てや、アームスライドのウォームアップ、クールダウンとしても、今回ご紹介するエクササイズは使えます。
ローテーターカフのエクササイズに行く前に
まずはこの姿勢をしてみよう。
写真では膝立ちだけれど成長期の男の子であれば、膝立ちを長くしていたくないので
- 立ってやる
- 椅子に座ってやる
に変更してください。
なんで?と思った人はオスグッド病の記事をどうぞ。
モデルのSoshiくんは身長がとても高いので、エクササイズバンドを結んぶためのバーの足の高さが足りなかったのね笑
なので今回は膝立ちでやってもらいました。
両ひざの間はこぶし1つ分開けてね
(ただし閉じてもOK、その方が体幹キープが難しくなるけどね)
膝から頭までのバレエスタンスを正しくし、肘を90度に曲げる。
エクササイズバンドは弛んでいない(=少し負荷がかかっている)ように。
この姿勢ですでに
- バレエスタンスをキープ出来ない
- エクササイズバンドを持っていない方と比べ、肩が前に落ちてしまう
- 肩、腕、手首に痛みがある
という人はエクササイズ Bに行ってください。
- ここまでは問題ないよという人はこの下にあるエクササイズ Aをやってください。
- バレエスタンスって何?という人は静かに携帯を置いて、「バレエの立ち方出来てますか?」の前と横のチェックリストを確認してください.(後ろは自分では出来ないからね)
- 何その本?という人は…サイト内の様々なところにリンクがついているのでご自身でご確認くださいませ。
ローテーターカフ エクササイズ A
スタートのセッティングから腕を45度に開きます。
つまり肩関節が外旋するってことね。
外転、ではなく外旋ですので、肘が体から離れないように気を付けましょう。
Soshi君は肘を体につけておこうと気を付けてくれているんだけど、そのため動かしている肩が下がってしまっています。
両方の肩の高さは同じのまま(=バレエスタンス)でキープして、上腕骨を肩関節の中で外旋しよう。
*上腕ほね…?と思った人達はYouTubeにあるバレエ解剖学シリーズを見てね。
骨の名前、関節の種類や外旋とかの意味を説明しています。
エクササイズの注意点
- 肘の90度は変わらない(あくまでも肩関節の外旋がゴール)
- 肘が体から離れない(ウエストに腕をぴったりつけると、肩が落ちてしまう人は、肘とウエストの間に丸めたタオルを挟んでね)
- 体の方向が腕にふられない(おへそは正面のまま!)
- 両ひざに同じだけの体重がかかっているように。
ローテーターカフ エクササイズ B
スタートの姿勢も出来ないなんて…私やっぱりバレエに向いていないのねっ!!
と夕陽に向かって走り出さないでください。
別に最初の姿勢が出来なくても、エクササイズは出来ます。
バレエスタンスを保ったままで出来るギリギリの「肩を開く」をキープしつつ、
腕を体の方45度から、正面の姿勢に持ってくる、という動きを練習しましょう。
写真を見てわかるように、腕を90度に開いたら肩が開いて見えますよね?
この筋肉を鍛えることで、普通の姿勢やレッスン中にも肩を開いておくことが出来るようになるよ。
*ここでいう「肩を開く」は鎖骨を左右に引っ張るというイメージ。
肩を開く≠肩甲骨がよってくる
肩を開く≠肋骨が前に押し出される
ですのでお気をつけて。
外旋方向に動くということ
90度から肩関節を外旋しても、内旋位から90度に外旋させても、外旋していることに変わりありません。
は?
図を見ながらもう一度説明するね。
正面を向いて、右の腕でエクササイズをしていると思ってください。
真ん中があって、そこから外方向に動くことが外旋(ピンク)
真ん中があって、そこから内方向に動くことが内旋(ブルー)
でも、どこから始まっても「外方向に動くのであれば」外旋。
ということは、下の図のように内旋位(ブルーのエリア)から「外方向に」動くのであれば、やっぱり矢印の方向は外旋なんだよね。
どう、通じた?
分からなかったら、ここは飛ばして。
エクササイズには影響しないんでね。
ローテーターカフ エクササイズ 難易度アップ その1
難易度アップ方法は簡単に、可動域を大きくする、というのが一つ。
- 体の方から90度、そして反対方向に動かす
- 体の方から90度、そして反対方向に動かして、もっと動かす
というように動く幅を広くしていくことが出来ます。
- ホールド時間を長くする
- エクササイズバンドを2重にする
でも負荷をかけることができますが、肩関節に限っては、ダンサーだったら特に可動域重視のトレーニングが欲しいので大きく動く方を選びました。
野球の投手だったら、この動きだけでなく投球の動きも欲しいし、パワーやスピードも欲しい。
テニスだったら、ラケットとすごいスピードの玉を受けて、振り切る強さも欲しい。
ダンサーだったら、自由な可動域(とそれに負けない体幹や軸)が欲しいってことさ。
ローテーターカフ エクササイズ 難易度アップ その2
両手をいっぺんに行う、というのも難易度アップになるよ。
Soshi君はエクササイズバンドを2重でやっているので、ダブルな強度になっていますが、最初からここは難しいので、ワッカにせずにやってください。
タオルをわきに挟んでいる理由は、腕が体から離れてしまう(=外転してしまう)から。
肩からウエストまでの傾斜が大きい人は、タオルを丸めて両ウエストに入れてください。
ボールだと上腕骨を動かす時に転がります…
見ているほうとしては面白いが、エクササイズにはならないです。
外旋が弱いとどうなるの?
ターンアウトもそうだけど「外旋」の力が弱いと、体は「外転」の子たちも使ってサポートしようとしてしまいます。
- 腕の場合は、肘が体から離れてしまう。
- 股関節の場合は、脚がセンターに集まらなくなる。
そのほかによくあるのは、「外旋」の筋肉が弱いと体は「外旋の始まる部分」を移動させてサポートしようとしてくれます。
- 腕の場合は、肩関節が乗っかっている肋骨を前に押しだす
- 股関節の場合は、骨盤をタックにする
股関節にだけフォーカスすると、
- ターンアウトしようとすると、脚が外に外れちゃう
- ターンアウトしようとすると、骨盤をタックにしちゃう
という人は、ターンアウト本に書いてあるように股関節のターンアウト筋肉、外旋六筋を鍛えてください。
股関節のリハビリのためにも非常に重要です。
外旋六筋もローテーターカフも、骨頭を球関節の中におさめ、安定させてくれるお仕事をしてくれます。
よってこれらはリハビリでも大事なんだよねー
- 肩を開こうとすると肋骨が前に出ちゃう
- 肩を開こうとするとポーデブラの位置がおかしくなっちゃう
という人は今日お話したエクササイズを続けてください。
ということで、解剖学は話さない!といいつつ解剖学ヘビーなエクササイズの説明でした。
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