去年(2016年)の9月にできた新しいセミナー「ダンサーの足インテンシブ」。
今回はそれを札幌と福岡というまぁ、両極端な場所に持っていってお話しました。
このセミナ―はね、4時間本当に足だけにフォーカスしてお話してるの。
っていうマニアでインテンシブ「集中的な」セミナー。
足ってとても大事なんですよ。
ただ甲がでる、とかトウシューズで強く立てるとかだけじゃなくって。
もちろん、それも視覚芸術であるバレエには非常に大事なエリアだけれど、
親指の方向を変えるだけで、ターンアウトが上達したり、お尻の位置が変わったりするので。
という事は、親指の方向を決めてしまうトウシューズを選ぶ、というのは
自分のターンアウト、プリエの深さ、足首の安定、お尻の位置(笑)を決めるとても大切な作業。
地方ならではの足悩み
このセミナ―を地方で行ったら見えたおおきな問題がありました。
トウシューズの種類が豊富でない。
フィッティングにいくほどのお店の数がない。
これを聞けただけで本当に遠距離セミナーしてよかった、と思いましたよ。
このセミナ―ではトウシューズを探すコツと、自分でアレンジする方法などもお話しているのですが、このようなお話はやっぱり地方でやるべきだね!!と再確認。
来年はどこに行こうか、行先募集中です。
足の形とトウシューズ
ギリシャ型の足だとかなんだとか知っている人も多い足の指。
ただそれをどうやってバレエに繋げていくのか?という部分は知らない人が多いんです。
親指をしっかりと押せないと…という話を上で既に書いたけれど、
同じように、人差し指、そして中指の地面を押す力、というのはオンポワントで踊る上ではとても大事になってきます。
つまり中指だけ長い人と、親指だけ長い人では、
例え同じ足のサイズでも詰め物が変わってくるわけですよ。
詰め物という秘密兵器!
トウパットとかに代表されるシューズの中に入れておくものたち。
これらはマメ防止だけではない、他の仕事があるんです。
詳しい話はセミナーで行うけれど、ここで例だけ出しておきますね。
親指だけ長い人が普通のトウパッドしていたら、短い方は地面を押せません。
(だって地面から指はなれちゃってるもん!)
よってポワントで立った時にかま足になりやすくなってしまいます。
デミポイントからフルポワントに上がる際、体重を支える骨が1つになってしまう事から、
コントロールしたポワントレッスンが難しくなります。
中指だけ長い人は、そこでシューズのサイズを決めることがほぼありません。
よって中指はいつも少し曲がり、そのせいで足のアーチをいくら鍛えても使えない形に持ってきてしまいます。
(自分の手でやってみて。中指の先をきゅっと押すと、こぶしの部分が下に落ちます。
これって真ん中のアーチが落ちているポジションに自分を持っていっている、という事)
足の裏がしっかりと使えないため、ポワントシューズに乗っからない時のつま先(ポワントでのジャンプなど)で足先を最大限に使うことが出来ない。
つまりラインが美しくなくなってしまいます。
パッドをなくしたらプリエが深くなった!?
強く立つ、とか甲を出す、とかももちろんダンサーの悩みだけれど、
ポワントシューズでのアレグロに困っている人達も多い。
足のアーチ、というものを理解していると、足のサイズはプリエの時と、ルルベの時では違うというのが分かります。
だからね、しっかりと使えるプリエをしたかったら、きつすぎるシューズで踊ってはダメなんですよ。
シューズのサイズを変える、っていうのはちょっと勇気のいる事。
だからセミナー中にパッドを抜いてもらった人達もいました。
そうしたら、プリエがすごく深く、楽にできるようになってびっくり!!
深いプリエが使えるという事は、安全に衝撃吸収をすることができるので、
足先のケガを減らすことにもつながります。
何よりも、ジャンプがしやすい場所に自分を持っていくことが出来るし、
柔らかいつなぎのステップを踏むことができる。
でもさ、トウパッドって数センチでしょ?
でもね、その数センチが、ひとによっては数ミリが踊りを変えるンです。
おおきなシューズになったら、足先がきれいに見えないんじゃない?
と心配するダンサーもいるのですが、数ミリだったら慣れちゃったら自分でも分からないですよ。
すぐには大変更しないで!
もちろん、トウシューズ歴が長ければ長いほど、癖があります。
いきなりシューズのサイズも、詰め物も、パッドも…って変えないでくださいね。
体がなれていなくてケガをしちゃうこともあります。
(出来れば、4時間セミナーでお話した事を考慮して変えてほしいけれど、地理的、金銭的に参加出来ない人もいると思うのでブログでご紹介しているだけなんですが)
ただ、少しずつ変更していくことは可能。
自分の体を研究して、何が一番いいのか?を考えていって下さい。
お店の人に言われたから、先生に言われたから。
確かにそれもそうですが、彼女たちがあなたの体を100%分かっていますか?
前の記事で書いたけれど「学ぶ」と「習う」。
ここをシューズ選びでも考えて。
ちなみにこれだけ個人差のある足先ですから、自分で自分の体をある程度理解し、
しかもセミナーでご紹介したプレポワントテストがこなせるだけの強さがある子がトウシューズを安全に履けるのです。
おまけ
2017年のキッズセミナ―で挑戦した事。それは脚と脚の間に資料をはさんでのシェネ。
面白いほどみんな出来ませんでした。
そのうちのほとんどが、回転で落ちちゃった、ではなく、
ルルベに立ったプレパレーションで!落ちちゃってました。
つまり脚の意識が全く育っていないのね。
それが出来なきゃ、プロになれない!じゃないですが、
4-5回シェネでひざを伸ばし、足をそろえて回れない子達が、
オンポワントでできるとは私には思えないのです。
そして内転筋の感覚がない子達が、無理やりテクニックをこなしたら、
そりゃみんな太ももの外側がムキムキになってしまいますよ。
そしてひざを曲げて回る癖がついている子がポワントでそれをやったら、ケガもしますよ。
ポワントで踊る前に体をつくる。
これは誰でも(どんなレベルでも)徹底してほしいことです。
Happy Dancing!