11才まではトウシューズは履かなくていい!(YAGP)の記事、というのを書いたのは2017年10月30日。
ちょうど1年前くらいですね。
今年のYAGP日本予選もありましたし、最近強く感じている事である
「解剖学バレエが普通」になりつつある状況を書いてみようと思います。
(AKA ほーら言った!オンパレードの記事笑)
立ち方の本がベストセラーになる
これ自体、変なんですよ、自分が著者なのに言うけど笑
2016年にオファーを貰って、立ち方について書きたい、と言ったときの編集長の顔と言ったら!!
こんなのが売れるのか?というのはこの本を作るにあたってかかわってくれた全員(私も含め!→おい)が感じたことです。
でもなっちゃいました。
ま、狭い世界でのベストセラーだけどさ。
未だにスタンスワークショップはすぐに定員になります。
これは、みんなが疑問に思っていた(けど声に出せなかった)部分の現れだと思います。
その後のターンアウト本では、某バレエ用品やサンが大きく取り上げてくれるよう、
全国各地のストアにメールを送ってくれたそうです。
ということは、お店側、ものを作る側も必要性を感じてくれた証拠だと勝手に思っています。
*応援してくれたみなさんどうもありがとうございます!
消費者のパワーってすごいよね。だから第二弾、第三弾と続くことが出来ています。
年齢別に選べるバリエーションが分かれている
これも最近は普通になりましたが、昔は違ったし、
今でも地方の小さい(といっても日本コンクールの規模はすっごく大きいが…)コンクールではまだ取り入れられていませんね。
ただ、これも解剖学バレエなんですよ。
コンクール系の記事で何度も書いているけど(DLSサイト内の検索バーでコンクールと入れたら出てくるよ!)
バリエーションというのは、バレエ団の中でも選ばれた人が踊るように作られたもの。
成長過程で、バレエ団レベルでない子達に踊れるわけがない。
無理に練習するとどうなるか?
- ケガ
- 変な使い方の癖がつく
- 筋肉肥大など体のラインに影響
- PTSD(Post traumatic Stress Disorder, 心的外傷後ストレス障害)→これも研究で分かっている
などに繋がっていくわけです。
バレエ学校に働いている身として、毎年多くの生徒が海外に飛び立っているのを見ている人として、
オーディションで必要なのは
- 基礎
- ポテンシャル
- バレエマナー(当たり前!)
だと分かっているし、
- 踊れなければ、ダンサーになれない
という当たり前の事(=ケガしたら元も子もない)というのも分かってますが、
そうではない、そうと分かっていても行動が伴わない、という人達はまだいます。
*ちなみに、バレエ学校のオーデイションやカンパニーメンバーに聞いた話だと、
「コンクールダンサー」といわれる類のダンサーは受けがよくないそうです。
踊り方の癖が強くて、群舞に向かないとか、基礎が出来ていないという事を指す言葉だそうです。
肩の高さより上のリフトはするな
これも、YAGPの要項に黄色でハイライトされて、7月21日に追記されました。
これも解剖学ベースです。
倒立をしたいダンサーへ、という記事でも書きましたが、
肩関節ってケガしやすい。
倒立、つまり自分の体重を支えるという事でさえ難しいのだから、
若いおとこの子のパートナリングであれば、肩以上に上げるなってことね。
だからやるなよ、って話。
ちなみに肩以上のリフトをひっくり返すと、倒立の形になるの、わかるよね?
だから、男の子でリハやっている子達でも大変なんだから、
女の子でそう簡単に倒立をレッスンや振付で入れるなよ、ということと、
トレーニングで入れるならば、かなり体のコントロールができる人のみ、だぞ、って事を書きました。
詳しくは元記事どどうぞ。
ここまで来ると、ほーら言ったじゃん!って言いたくなる笑
ポワントを履く年齢
ここも書かれていましたね。
- 10歳以下は禁止。
- 11歳以下はできる限り避ける(これって、「やるなよ」って言われているのと同じだね。)
ほーら言ったじゃん!!!!
エビデンスなんだって。
そして、バレエ界が解剖学の意見を取り入れるようになった証拠でもあるよね。
この部分は既にいっぱい記事にしているので割愛。
ちょっと前にFBで流れていた2018年7月にかかれた記事で、
インスタストレッチがケガを増やしているというのがあったけど(こちら)、
DLSではその前からストレッチ猿まねの記事で、そういった警告のニュースが出ているよとお話しています。
ちなみに私が書いたのは、2015年のやつね。
ほーら、言ったじゃん!!(あまりにも面白いフレーズなので使い続けます)
ポワントを履く年齢をはじめ、レッスンの量とか学業との両立、
バレエ留学を考える時期や準備などについては、ダンサーの卵サポートセッションというセミナーでお話しています。
これもね、バレエ解剖学と海外の傾向、そして日本で思われているバレエ!ではなく、実際のバレエ界の現実をお話していくのですが、
オリンピック選手のように若い時にチャンスをつかまなければいけない職業なので家族のサポートが必要です。
へんなスタジオ方針から子供と彼女の夢を守るためにも親御さんもバレエについて少し知って下さいね。
コンクールで見られる場所は基礎、体力
YAGPもローザンヌもそうですが、コンクール予選はレッスンです。
しかも次のラウンドに進めば、長期緊張の中(慣れない環境の中)踊り続ける必要がある。
つまり、ケガしてるけど2分バリエーション踊ればOK、とかじゃないレベルの体力調整も必要になります。
アップされるレッスン風景の写真を見たり、ライブのレッスンを見ていても、
ずっと高く脚を上げているわけではなく、いきなりセンターをやるわけでもないです。
基礎。
それが結局はものを言うようになるのよね。
コンクール前に体型を・・・とダイエットに走るおバカもいるけれど(私もその一人だったから気持ちはよく分かる!でもおバカであることに変わりはない。)
これだけ毎日踊るという事は、しっかりと栄養をとり、日々の疲れからリカバリーしなければいけないし、
途中で体力や集中力が切れたら大けがに繋がる可能性もある。
つまり、そこでダンサーへの夢が断たれる可能性を自ら作ってしまう事になるんだよね。
ふみさんとの3パートビデオでも彼女が言っていたけど、
東京から大阪へ運転して下さい。
だけど、ガソリンは入れないで、気合で頑張って下さいって言っても無理じゃん!?
- 一番いい踊りをする
- 最大限に踊れる体を作る
- 集中力、体力、ケガなく踊れるテクニックを身につける
というのは毎日のレッスンで磨き上げるものです。
コンクール前1週間で身につくわけではないです。
このようなおおきなコンクールでうまくいかないと、みんな「私はバレエに向かないんだ」って辞めてしまうでしょ?
この世界で生き残っていく実力はないんだ、って。
でもさ、上で挙げたような事を練習していなかったら実力がないのではなく、練習不足なだけじゃない?
ここでいう練習不足というのは、バリエーションを何十回も踊る!ではなくって、
- 丁寧に基礎を行い(筋肥大を防ぐから体型維持にも大事)
- リカバリーを考えつつ質のいいレッスンを増やし(踊る量が増えるだけでなく、脳みそはエネルギーをいっぱい消費してくれる!)
- 色々なジャンルに慣れる(コンテは必須。そして違う動きを行うといつもと違った筋肉が使われるのでトレーニングにもなる)
ということを行ってこなかった練習不足ってことね。
ここでハッとした人は冬期バレエ講習会でチャレンジしてみてください。実際に体験できるから。
オーディションでの注意点についての記事も一緒にどうぞ。
正しい、は正しいのである
正しい事ってやっぱり正しいんですよ。
意味わかる?
どうやって取り入れるか?というのは別だし、
解剖学に「縛られろ!」と言っているわけでもない。
ただ、解剖学「から」学べることはあるわけじゃないですか。
例えば
子供の股関節の形は違う=バレエをやるな!!!
ではなくって。
- 大人と同じ動きはできない
- 成長のスピードを考える必要がある
- 無駄な負担をかけない
- 成長に必要な睡眠・栄養も考慮する
とすればいいだけで。
レッスンを辞めろ、とかバレエは絶対に痛くないです、と言っているわけではないです。
ただね、無理する場所が分かるようになるの。
- 無理してでも基礎をみっちりやる
- 無理してでもポワントを我慢する
- 無理してでも雑誌やSNSの情報に負けない
とかさ。
どうせ時間をかけるならば
ケガせず、今の年齢で出来る事を忠実に、確実に、徹底的にやる。
とかさ。
どうせ練習するんだったら
将来に繋がるオーディションでディレクターが欲しがるダンサーになるように練習する。
とかさ。
バレエは痛いよ。
- 毎日自分と鏡で向きあう恐怖
- 周りに理解されず、一人で努力し続ける孤独さ
- 心から願っていたキャスティングではない配役
- ライバルに先を越された気持ち
- 一番!という時のケガ・・・
- 常に自分は足りないんじゃないか、という劣等感
- 夢のダンサーになれなかった挫折
大丈夫、私も全部体験してるからよく分かる。
だけどね、ここに
- 努力していると思っていたらケガしただけだったストレッチとか
- 必要だと思ってやっていたダイエットが摂食障害になり、ケガの治りも遅くしていたとか
- 頑張って練習していたはずなのに身についてしまった踊りの癖とか
そういった部分は要らないでしょ。
(これらも私、体験済みだからよく分かるよ!)
この記事でも書いたけど、ゴールはみんなが必ず上達すること。
だから、私はDLSを通じて(時にはみんなに理解されない、でも真実の)情報を提供していきたいと思っています。
Happy Dancing!