今さら、って感じもするのですが、ようやく1月に行われた冬期バレエ講習会の発表会ビデオ編集が終わったので、それと写真をみつつ、思い出にふけってみようと思います。
既に赤裸々日記は書いたので、今日はディレクター佐藤愛がどんな事を考えて講習会を作っていたか?という経営者目線で振り返ってみますね。
DLSキッズが育ってきた!
何よりも、継続してセミナーをお送りしてきた側として嬉しかったのは、
DLSキッズに参加してくれた人、他のセミナ―で会ってきた人たちが戻ってきてくれた事。
元々、冬期バレエ講習会はあまりリピート率が高くないんですね。
それは嬉しいことで、講習会の後留学が決まったり、仕事についたりしてくれるダンサーもいるから。
もちろん、プロを目指すのではない進路を選ぶ子もいて、
それはそれで、嬉しいのです。
でもさ、キッズが成長して、冬期バレエ講習会に来られる年齢になっていると本当に嬉しいね。
キッズセミナ―は10歳から14歳まで、冬期バレエ講習会は15歳から、という年齢わけなんですよ。
キッズセミナ―は1日2コマで、エクササイズとクラシックバレエを4日。
時間で換算すると、2・5時間×4=10時間
目的は、
- 成長中の体にテクニック的な無理をせず、バレエの基礎を学ぶ
- レッスン場での決まり、マナーを学び、自立したダンサーを目指す
- エクササイズを勉強し、セミナー後も継続できるようにする
というところ。
講習会は、というと1日4コマで、エクササイズ、クラシック、ポワント、コンテを5日間。
時間計算は4.5時間×5日=22.5時間
- キッズで勉強した内容を土台に
- ポワントテクニック強化
- コンテンポラリーへの挑戦
- 長時間レッスンで体力と精神力を作りバレエ留学を目指す
というのがゴールです。
普段のレッスン量は人それぞれだろうけど、学校と両立させるためには多くても2-3時間を週に4-5回?
これ以上やると、睡眠時間やリカバリーを削る事になってしまいますよね。
社会的成長のために、友達との時間がゼロだったら困るわけで。
日本のバレエ生活から、海外留学への準備として、2段階に分けてお届けしたい、というのが当初からのゴールでした。
留学中のケガとは
バレエ留学生から話や相談を受けてきて一番のケガの原因は「練習量の突如アップ」なんです。
徐々に体を作りながら、レッスン量を増やす…なんてやっていられないのがバレエ留学。
だって、学校生活とバレエ生活の時間を真逆にするんだもの。
テクニックがどーの、体型がどーの、の前に1年(もしくはそれ以上!)毎日踊っても壊れない体っていうのが大事になってきます。
それ自体、大きな壁ですよ。
だけどね、それプラス今までのスタジオレッスンなんて足元にも及ばないレッスンを行うわけです。
赤裸々日記にも書いたけど、周りにいる子達に感化されるのが人間。
よって、
- プロを目指すという子達に囲まれて、プロを育ててきた人に指導されるクラスと、
- 趣味でやっている子も混ざっていて、放課後にやるレッスン
ではレベルが違うのよ。
難易度のレベルではなく、メンタル的なタフさがね。
配役、試験結果、先生のお気に入りとかもやっぱり出てくるわけで。
サポートしてくれる親はいないし、「すごいねー」って言ってくれる友達もいない。
毎日英語で暮す、っていうのは慣れるまで脳が休まらなくて大変だし、
英語で宿題が出るかもしれない。
寮だったら物音がコンスタントにしているかもしれないし、ホームステイだったらその家のルールというのがある。
これね、語学留学でもきついのよ。
精神的な疲労は、ケガにも繋がります。
いいお手本とタフな子達が集まった
今回、特に良かったのは2名既に留学している子達がいてね。
最終日まで日本にいられないから、4日間だけ受けさせてくれっていう子達がいました。
その子達は別に、バリエーションの個人レッスンをつけたのだけど、それがいいお手本になっていたな、って感じましたね。
上手下手じゃないよ。
年齢が近い子がしっかりと振り付けを覚えてきて(当たり前に聞こえるけど、毎年そうとは限らない)
個人レッスンで、何度も何度もバリエーションを踊るのに疲れた顔も見せずに、
「もう一回通しておく?」という声にすぐ「YES」。
だけどちゃんとお昼休みを取って休憩し、
戻ってきたら自分には関係ない振り付けやグループでも積極的に、全ての時間とスペースを使いきってレッスンする。
その姿を他の子達はちゃんと見ていてくれたらいいな、と願う。
当たり前を、当たり前にこなす。
それを勉強してくれていたら嬉しい。
ディレクターとして、こうやって個人レッスンをする事に疑問を持つこともあるんですよ。
なんだか、公平じゃないっていうの?
でもさ、このセミナ―のゴールが留学で、「既に留学している子」がいる場合、
一緒の事をやるのが平等だろうか?
それよりも、自分のちょっと先を歩いている先輩の姿から学べるものを学ぶっていいのではないか?
結局ここに考えがいきつきました。
よくある相談で、プロを目指す子はスタジオに私しかいません。というのがあるんです。
プロダンサーの舞台を見るのも勉強になるけど、時々「ちょっとだけ先を行っている子」の方が「私もできるじゃん!」という気持ちになれると思うンだよね。
バレエ学校の一年生と三年生みたいに。
近い将来こうなりたいな、というイメージって大切だと思うのね。
協力!
協力し合うってとっても大事だと、バレエ学校に長くいると感じます。
公演で早着替えは絶対にあるし、辛い時一番よく分かってくれるのは、同じく辛いクラスメイトだもの。
すごく才能のある子で、かなーり有名なバレエ学校に留学した子がいました。
でもね、彼女性格が悪いので有名で。
小さい時から踊ってきた友達がコンクールで下位だったときは仲良しだったのに、
自分が受からなかったコンクールの予選通過したとたん無視。
結局二人は同じバレエ学校に留学したんだけど、ドラマクイーンで先輩たちにも喧嘩を売るような態度をとっていて…
結果、彼女とクラスの二人だけ、まだ就職先が決まっていないそうです。
性格って出るンだよね、やっぱり。
ディレクターだって一緒に働きたい人を取るし、傲慢な態度はレッスンで出ます。
だからこそ、冬期バレエもDLSキッズでも!ペアワークとか協力することを積極的に取りいれています。
単純だけどさ、一緒に乗り越えようぜ!って気持ちがあると人間頑張れるんだよ。
課題はたくさん
冬に参加した教師の方に聞かれました。
DLSの冬期バレエってすごい数の申し込みなんでしょ?と。
いいえ。
そんな事ないです。
今回は誰もオーディションで落としていません。
同じ時期、同じエリアでコンクールがあります。
年末にもコンクールがあります。
DLSの講習会ではなく、そっちを取る人も多いのです。
(そして、それはメールで教えてもらっているから知ってる)
それらのコンクールが「絶対に」ダメ!ではないですよ。
コンクールで奨学金が出ることだってありますし。
だけどね、留学してすぐにケガしたら、留学した意味ないんですよ。
留学して、毎日踊る生活が楽しくないと感じたら、逃げ場はないんですよ。
私自身留学してすぐケガ、6か月踊れない生活のあと、
バカみたいにすぐにレッスンに戻り疲労骨折しました。
去年も、バレエ学校をホームシックや、思った生活と違う、といって辞めた子達を見てきています。
その子達と深い話もしました。
日本で踊っているのは楽しい。でも職業として毎日、という生活を求めてはいなかった、と。
鬱になる子、摂食障害になる子。
ただ、メンタル強くしろよ、だけ言っていても意味のない、心理的な問題にもぶち当たります。
そのような留学生活の壁を知り、自分に足りない部分を徐々に強化する。
それを日本という場所でやっていければ、より多くのhappy dancing!を応援できるんじゃないかな、と私は思っているのです。
春の来日セミナ―ゴールは?
1年に一度のセミナ―ごときでこんなに考えているの?って思われそうですが、
DLSサイクル、というのが私の中にあって。
4-5月に体を鍛え、9月に表現力を磨き、1月に模擬留学をする。
と、2月くらいから行われるヨーロッパ、アメリカのオーディションタイミングに合うようになっています。
キッズの年齢ではそこまで行けないけれど、春と秋のキッズセミナ―で知識を少しずつ増やせるようにはなっています。
キッズセミナ―(10-14)→
スタンス・ターンアウト・足(13才以上)→
表現力キッズ・ティーン(10-14もしくは14以上)→
冬期(14以上)
てな感じ。
全員が全員、プロになるのが幸せだとは思いません。
でも、プロ目指そう!と思った子がいたら自分が納得するまでは踊り続けられる体、っていうのをサポートしたいんだよね。
ケガで辞めてしまったら、痛みで続けられなかったらきっと後悔するもの。
あの時…って思ってしまうもの。
私もそうだから。
そして、健康に踊るためのセミナ―で興味をもって、
将来解剖学やエクササイズ、ダンス医学、研究…そういった道に進む子が増えてくれても嬉しいよね!
って事で、ながーい愛さんの独り言、終了!
Happy Dancing!