久しぶりにターンアウトをお話しましょうか。
DLSにはターンアウトについて書いた記事がたくさんあるので、タグの「ターンアウト」を検索してみてください。
(ほったらかし笑 あまりにも多いからさ、リンク貼るのめんどいの。ごめんね。
でも記事の最後に関係している2つの記事だけピックアップしましたので許して下さい)
今日はDLSオンラインコースを勉強中のバレエ教師の方より。
(え?DLSにはオンラインコースがあるの?→あるんです)
中学生でターンアウトがとても難しい生徒がいます。
レッスンを見ていると、元々難しい股関節の条件のような感じです。
このような生徒から、ターンアウトのためのストレッチはどうしたらいいかと聞かれました。
この質問ね、とてもいい質問だったのと、いろいろなキーワードが入っているのでそれらを見ていきましょうね。
キーワードは
- 中学生
- ターンアウトが難しい条件の感じ
- ターンアウトのストレッチ
ではいきましょうか!
(長くなっちゃったので、答えだけ知りたい!という人は一番下までスクロールしてください笑)
キーワード1:中学生
中学生って微妙な年齢なんですよね。
女性らしく成長する時期(=生理が来るってことね)だということは、
骨盤が広くなる、とか体重が増える、とか体が変化する時期。
ということは、今までやってきたトレーニングによっては、この年齢にあらが出ることがあります。
また、コンクールなどもそうですが、難しいテクニックを始めることも多いですよね。
スタジオによっては発表会でグランパドドゥをやるとかもある年齢だもの。
例えば、小さい時から足首だけひねったターンアウトをしているとしましょう。
ちっちゃい時はそんなに目につかなかった骨盤を揺すってポジションに入れるところ、とか
毎回5番ポジションに入るたびにダックになっていた骨盤とか…
お肉がその上に着いたらもっと目に付くということもよくあります。
昔は感じられていたけれど、という弱々しいターンアウト筋肉(外旋六筋ね)は
腰回り、お尻周りが重くなると感じにくくなっちゃうこともあります。
特に、これくらいの年齢からお尻を隠すパンツとかはき出すもんだから、
先生によってはしっかりと注意ができない場合も。
余談ですが、確かに生理中にショートパンツを履きたい!という気持ちはわかるよ。
そしてお尻のお肉がきになる時に隠したい、ということも。
ただ、バレエ学校ではスカートをはくことはあってもパンツをはくことはほとんどないのです。
オーディションでも、コンクールの予選でもそう。
だから、慣れておきましょう。何事も練習ですもの。
身長が伸びる、体重が増える、ということは、重心の位置が変わったり、
必要な筋肉量、スピードなどが変わります。
それもターンアウトがうまくいかないひとつの原因かもしれませんよね。
この部分はキーワード3でもっと見ていきます。
キーワード2:ターンアウトが難しい条件の感じ
確かに、世の中にはターンアウトが難しい骨格の子がいます。
ただ難しい股関節かどうか、というのを判断するためにはレントゲンなどが必要です。
- 彼女がやりやすいか、どうか?(彼女の感覚…役に立たない)
- 1番や5番にしっかり立てるか?(ポジションに入れる=ターンアウトではない)
- はたまた私はすっごくバカみたいだと思うのだけれど、横への開脚ができているか?(開脚って!?ターンアウトは外旋。開脚は外転。)
をチェックしても、それは正しくありません。
この前のバレエ学校の試験でも話題になりましたが、
生徒の一人にプリエにするたびに膝が落ちてしまう子がいます。
特に片足やポワントになるとそれが顕著。
見ている方が怖いくらい膝のひねりがわかります。
が。
彼女、学校で1、2を争うくらいターンアウトができる股関節なんです!
そして、私はそれを言い続けていたのだけれど聞いてくれる先生は少なく笑
だってねークラスでそんなにひどかったら信じられないでしょ。
彼女の妹を教えている先生がたまたまいて、妹も素晴らしくターンアウトができるってわかりました。
骨格ですからね、家族では似ているのです。
ということで、彼女は見た目、踊り方、写真、そして過去の怪我から見てもターンアウトが難しいって思われる典型だけれど、
股関節だけで言えばその正反対です。
私、10年以上バレエ学校にいて、毎年50人近くのダンサーの体をチェックしています。
チェックって本当に一人ひとりの股関節や、親指の関節、膝の向きとかをチェックし、
記録しているんです。
その中で、ターンアウトが本当に難しい、という子は毎年50人中1人か2人。
じゃ、そのターンアウトが難しい子はダンサーになれないか?というと他のジャンルで活躍してたり。
例えば、今年の卒業生の一人は、そのような股関節の持ち主なんだけれど、
コンテンポラリーのバレエ団研修クラスに受かりましたからねー。
自分の特徴を知り、バーサタイルなダンサーになれば問題ないってわけよ。
キーワード3:ターンアウトのストレッチ?
ストレッチや筋トレのまえに、何が本当にターンアウトが出来ていない原因になっているのか?を探す必要があります。
上で挙げたターンアウトができる骨格なのにできない生徒の場合、
足りないのは筋力です。
どの部分の筋力か?というとターンアウトの筋肉も確かだけれど、お尻、お腹など骨盤周り。
これがしっかりしていないから大腿骨を正しいポジションにホールドできていません。
そして踊り出したら、テクニックが難しくなったら、さらに悪化してしまうのね。
同じように骨盤のプレースメントが出来ていない(筋トレ、理解力)
→ターンアウトをする筋肉がしっかりと働けない場所にいるってこと。
今回の記事で何度も出てくる筋肉である外旋六筋を始め、コアマッスルや腹筋、
足を上げてくれる筋肉たちすべて、そうすべて!は骨盤についています。
ってことは、スタート地点である骨盤がしっかりしていなかったらターンアウトの筋肉、ターンアウトをサポートしてくれる筋肉たちが働きません。
普通に立っている時もアライメントがしっかりとしていない(筋トレ)
→ターンアウトに使われる外旋六筋がバランスをとるために忙しく、ターンアウトどころではない!ってこともある。
外旋六筋は骨盤を安定させる筋肉ですからね、そのお仕事が忙しかったらダンサーを助けてくれたりしないのです。
両方の足の長さが違う、側弯気味(治療)
などであれば、そっちをどうにかするのが先です。
骨盤が安定できないからね。
それが分かった上で筋トレが必要かストレッチが必要か。
そしてどのエリアを筋トレ・ストレッチするのか?が分かってきます。
もちろん、ターンアウトを向上させるためのストレッチもありますよ!
ただ、その時に伸ばしているのはターンアウトの筋肉ではなく、
ターンアウトを止めてしまう筋肉(つまりは何が原因なのか?がわからなければできないの!)
をターゲットにしないと。
例えばデヴァンに足を上げたい!という人、お腹のストレッチしないでしょ?
ハムストリングとか伸ばしません?だってこの部分が止めているんだもの。
んでもって、お腹を使って足をあげよう!って腹筋運動とかしますでしょ。
ターンアウトも同じこと。
ターンアウトを向上させる、という目的であったらターンアウトとは何か?ということを知らないと指導できないわけですよ。
レッスンだろうが、エクササイズだろうが、ストレッチだろうが。
つまりしっかりと解剖学を理解していないと(先生も、生徒も。特に先生!)このような注意はできません!
結論!
年齢にともなる体の成長を考え、そして解剖学的、バレエテクニック的にターンアウトを考えた上で、ターンアウトのためのストレッチ、トレーニングが可能になります。
ヒント・・・踊りだすとターンアウトをキープできない理由は?という記事とターンアウトを助ける4つのヒント、という記事もこのあたりのターンアウト中級編記事です。
Happy Dancing!