この記事は2016年3月に書かれたものを、追加情報や編集をして2022年にアップデートしました。
タイムマネジメントって言葉を聞いたことがありますか?
ビジネス用語として使われることが多いこの言葉ですが、
- time=時間
- management=管理すること
タイムマネジメントとは、目標を達成するために時間を有効活用し、仕事を効果的・効率的に進めるための技術のことを指す。 日本語では、時間管理のこと。
スケジュール管理と混同されることがあるが、スケジュール管理は、どちらかというとスケジュールの管理や把握といった意味合いが強い。
と出てきます。
タイムマネジメントは、バレエの先生や、会社の話だけではなく、
プロのダンサーを目指す子たちにとって非常に大事な技術です。
留学する前にバレエと学業の時間をマネジメントするのもそうだし、
保護者がお迎えしてくれる、などがない留学先ではもちろん、
卒業し、自分でプランを立ててオーディション巡りをする場合だって大事。
ということで、今日はダンサーに必要なタイムマネジメントについて考えてみましょう。
オーディション巡りでのタイムマネジメント
バレエ学校に入学した全員が、学校付属のカンパニーに入れるわけではありません。
ロイヤルバレエ学校の最終学年でもオファーがくるのは毎年2-3人程度だそう。
選抜されなかったクラスメイト達は外部へオーディションに行きます。
ヨーロッパ、アメリカなど、新シーズンが9月から始まる場合、同じ時期にいくつものオーディションが開催されることが多いのですが
オーストラリアや日本組のように、長時間飛行機に乗らないとオーディション会場にいけないような人達は、
自分たちでバレエ学校やカンパニーに連絡し、カンパニークラスが受講できるかとかオーディションしてもらえるか?などを確認してツアーを組みます。
オーディションをするためにタイムマネジメントは必要です。
でもそれは短い期間に様々なオーディションを回るためのタイムマネジメントだけでなく
その前の準備期間でのマネジメントも必要。
ちなみにこれを行う年齢は17,18歳あたりだと思ってください。
- プロカンパニー
- カンパニー研修員
- 他のバレエ学校最終学年やプレ・プロフェッショナルなど
のオーディションの話になります。
オーディション時期に一番いいコンディションを作るためのタイムマネジメント
プロダンサーの夢を叶える第一歩となるオーディション。
結果は、自分で選べないとしても、挑戦するならば一番いいコンディションで挑みたいですよね。
- 一番いい踊りが出来るための調整
だけでなく
- 様々な床、環境で、どんなオーディション内容でも踊りきることのできる体づくり
- 緊張の中でベストをこなすための精神力強化や、ちょっとのミスでも表情に出さないようなメンタル管理
- 少しずつ時差や気温の違う国々を回るため、緊張の中、慣れないベッドで寝る生活でもつスタミナや健康管理
なども必要です。
オーディションが行われる2-3月ではまだバレエ学校の授業があったりします。
卒業公演の練習や、最終試験のスケジュールの中で上に書いたようなトレーニングをこなすためには、
先生に言われるのではなく、時間割をこなすだけではなく、
自分でタイムマネジメントする技術が絶対に必要だと分かりますよね。
資金作りのタイムマネジメント
オーディション巡りはお金がかかります。
旅費、オーディション費だけでなく、
この後出てくるビデオや写真撮影などの費用、
オーディションとオーディションの間に数日から数週間空くこともあるため、
レンタルスタジオ費なども。
もちろん、自分の足に合うポワントをたっぷり作って持っていきたいですよね。
こういう部分を知っているからこそ、
新しい衣装、よく分からないゲスト先生への謝礼で何十万もかかる、数多くのポワント、ケガの治療費などが出てくる
小さな、将来の役に立たないようなコンクールや発表会でお金を無駄遣いしてほしくないと私は思います。
公立の学校で、授業費がないところも存在しますが、
インターナショナル生徒は住民の税金でレッスンが受けられないから費用がかかる場合や、
留学生は、ビザや手続きもかかるため、学費が現地生徒の数倍という場所もあるからです。
もちろん、学費だけが留学でかかる費用ではありませんしね。
話がずれました!
お金がかかると分かっているからこそ、生徒達によっては奨学金を探したり、バイトをしたりしています。
日々の授業、週末のバイト、オーディションの準備などをこなすには
かなりのタイムマネジメントが必要になります。
オーディション用のビデオ・写真作りのタイムマネジメント
公開オーディションのように、ただフォームだけ持ってその日の朝に会場に並べばいいところもありますが、
殆どの場合、オーディション用の写真やビデオを制作し、
それを送るのが第一次オーディションとなります。
携帯の画質もいいし、無料の編集ソフトも多くあるため、
ビデオを自分で撮る人は多くなっていますが、
写真はやっぱりプロに撮ってもらった方がいい事も多い。
自分に合うポーズや、バレエの事を知っているカメラマンを探すというリサーチも必要だし、
レンタルスタジオの準備や、ビデオ用の振付(バーレッスン、センター、ポワント、いくつかのバリエーションなど)を作る、練習するなどは
学校授業の外で準備しなければいけません。
外注する場合、その人がいつまでに納品してくれるのか?を逆算する必要もありますよね。
持ってきてください、と言われた書類がそろわなければ、
オーディションにすら参加出来ません。
留学・バレエ学校生徒のタイムマネジメント
バレエ学校に入学さえすれば、
- 学校側がぜーんぶやってくれるのか?
- 時間割通りに生活していたらOKなのか?
いえいえ、そんなに世の中甘くありません。
バレエ学校という、時間割がはっきりしている場所でもタイムマネジメントは必要です。
バレエ学校生徒の話なので、年齢で言うと13,4歳くらいから。
でもその前から、家族のサポートと共にタイムマネジメントの”練習”をしてきている子達が多くいます。
学業とレッスンのタイムマネジメント
学校によっては午前中アカデミックを勉強するところもあります。
- 宿題などをどれだけ効率よく終わらせられるか?
- アセスメント提出に間に合うか?
- 試験勉強をしっかりと出来るか?
などがというものが、
- 睡眠時間やストレスレベル=どれだけ踊りに集中できるか?に影響
- 落第しない、ビザを落とさない=学校にちゃんと通えるかに影響
してきます。
留学生だから、とアカデミック部分を甘く見てくれるところもあるようですが、
スカラシップの条件がクラスの上位にいること、なんてこともあります。
もちろん、夢の留学生活を100%満喫するためにも必要ではありますよね。
留学中にコンクールに出場する場合のタイムマネジメント
留学先によっては、バレエ学校在学中にコンクール出場はダメ、とルールが決まっているところが多く存在しますが、
私の働いていたバレエ学校のように、小さな学校では
個人のチャレンジや露出(いい意味でね笑)のために決まったコンクールに出場可能、となっていることもあります。
ただし、コンクールレッスンはあくまでもエクストラ・カリキュラム・アクティビティ。
つまり授業(カリキュラム)が第一で、その他(エクストラ)に行う活動(アクティビティ)となるため
- 自分で申し込む
- 衣装の手配をする
- 振付を覚えてくる
- 学校と交渉して練習できるスタジオを借りる
- プライベートレッスンをお願いする
などを行わなければいけません。
もちろん、ケガの為普段のレッスンではアレグロやポワントはしないけど、
コンクールレッスンだけする、なんてことは許されないため、
タイムマネジメントの中には、エクストラでレッスンするための、エクストラの体のケアも含まれてきます。
上達の為のタイムマネジメント
自分に足りない部分を補うため、エクストラでトレーニングする子たちは多いのも事実。
バレエ学校は学校なので、皆さんが放課後にバレエを習うように、習い事をしている子達も多いのです。
英国ナショナルに留学していた生徒は、
学校が終わった後、近所のジムでトレーニングをしていたと教えてくれました。
私が勤めていたバレエ学校にも、エクササイズクラスがありましたが(そのクラスの担当もしていました)、
放課後にプライベートでトレーニングを受けに来る子たちもいました。
- 治療に通う子
- ケガ予防のためのトリートメントを受ける子
- そしてバレエ一本では心配だからと
- 歌のレッスン
- 演技のコース
- オンラインで勉強している子たち…
将来のために、自分に投資するためにもタイムマネジメントという技術が絶対必要です。
バレエ留学する前に練習したいタイムマネジメント
留学を考えているのであれば、
バレエ学校に入ったらハッピーエンディングではなく、プロになることがゴールだと考えてください。
(もちろん、ゴールは変わることがありますが)
15,16歳で留学を考えているのならば、中学生くらいでタイムマネジメントについて真剣に考えてほしいです。
どの能力・技術もそうですが、慣れや練習が必要だから。
学校の試験があるから、とバレエをお休みするのはいいです。
でも、”留学を考えていたら”それは時間管理ができているとは言えません。
- レッスンを週に7回やるのが偉い!
ではないですし、
- 夜遅くまで練習をすれば上達する
でもありません。(その逆です…がその話はまた今度)
ただ、
- レッスン量に波があるとケガのリスクが高くなる*
- 同じくらいの年齢で、バレエ学校での生活を既に行いつつ、その上でトレーニングをしている子たちと国際コンクールで出会う
となることは頭に入れておきたいですね。
だからといって、勉強をしなくていいわけではありませんよ!
今の学校生活環境を使ってタイムマネージメントを練習すると考えてください。
英語はどこの国に行っても必要ですし、
世界史や宗教について知っておくことで、古典バレエの背景やキャラクターの理解を深めることが出来るし、
体育の授業は、バレエばっかりになりがちな時のクロストレーニングになります。
数字は世界共通で、集団生活はバレエ学校、バレエ団でも同じです。
将来ダンサーになるか分からなくても、タイムマネジメントというスキルが無駄になることはありません。
一番最初にも書いたけれど、ビジネス用語ということは、
バレエと真剣に向き合うだけで、将来社会で使える能力も作っちゃう。
バレエってなんて素敵な習い事なんでしょうね!
Happy Dancing!