FBフィードでこんな記事が流れてきました。
ヘッドラインは「秋田中央 丸刈り禁止で45年ぶり甲子園 キーワードは「主体性」」。
そしてヘッドライン通り部員の丸刈りを禁止した監督の言葉で
「考えないで行動するのをやめよう。大した行動をしていなくても爽やかに見える。主体性を持たないと勝てない」
とありました。
この監督がどういう人か、高校野球の知識ゼロな私には分かりませんが、
野球界の当たり前「丸刈り頭」を卒業したって感じました。
(いつも思っていたンだよね、なんで野球だけ丸刈りなんだろ、って。
このニュースを読んで、バレエ界でもちょっと話にでた2018年のピンクじゃないポワントシューズの話を思いだしたので記事にしてみます。
ちょっと政治色が強いと感じる人もいると思うのだけど、
世界に飛び出て、様々なバックグラウンドの人と仕事をするであろうダンサー達は、知っておいて無駄じゃないと思うのね。
聞かぬは一生の恥、だっけ?
ピンクじゃないポワントの話
ピンクタイツ+ピンクのサテン、ではなく肌の色に合わせたポワントが出たのっていつか知っています?
2018年。
しかも未だにフリード一社のみが制作。
それまではトウシューズ=ピンクが「当たり前」だったんですね。
日本で買えるシューズの色もそうだよね。
ヒスパニック系、アフリカンアメリカンの人達はシューズをファンデーションで塗って、
自分の色に合わせていたんですって。
このビデオインタビューによると、化粧だから、数回シューズを履くと色が落ちてくるので塗り直さなければいけなかったんだと。
別にシューズの色が増えたからって問題解決が出来るわけではないのは知っているよ。
私たちは別にピンクシューズでも問題ないじゃない、っていう人もいるかもしれない。
そうかもね。
シューズの色展開が増えたからっていって、いきなり人種差別・雇用機会の問題が解決するわけでもない。
ただトウシューズ=ピンク、っていう当たり前、固定観念から卒業しようって話。
色々な肌の人がバレエダンサーになっていいんだよね?だったら色々なシューズがあったらいいじゃない。
発表会に肌を白く塗る、も日本のお教室だけの当たり前らしい
私も小さい時にスタジオの発表会でやっていたので、海外に出なければ気づかなかったかもしれないけど、発表会の時に肌を白く塗るのって、ピンクのトウシューズと同じなんだよね。
バレエをやる人は、肌が白く、ピンクタイツからピンクシューズで脚のラインが途切れないひと「だけ」ではない。
だけど、それが「当たり前」(=固定観念)だと思っていると、
何も疑問に思わず、発表会の時に肌を白く塗り、それが「バレエダンサーのあるべき見た目である」となっている。
日焼けしないでね、っていうのは別よ。
皮膚ガンが世界トップのオーストラリアにいる私からしたら、早くから肌を守ることは大事だって思うから。
だけど、健康のための日焼けしないでね、というのと、
白人にならなければ舞台に立ってはいけない(というメッセージやヒストリーがあったもの)を21世紀でも取り入れるのはどうだろうか?と。
バレエの「役」で肌を塗る、というのはボディペインティングだから、また話は違うよ。
バヤデールのブロンズアイドル、白鳥、ジゼル…
役に合わせて衣装と肌の色を変える、というのは、舞台メイクとしてアリ。
でもそうじゃない場合は??
*肌を塗るっていうのもFBフィードで流れてきた。
それをアップしたお教室の先生と、それを見たから気づいたほかの先生達の会話の素敵なこと。
それが「知ること」の好循環だよね!!素敵だったなぁ。
日本人だから、外国人だから
確かに解剖学上、骨格が人種によって違います。
それは事実。
例えば「彫が深い」と言われるような、頬骨や鼻の高さだったり、
大腿骨と脛骨の長さの比率とか、そういうものがあるのは事実。
だけど、「人種」と「国籍」は別なんですよ。
色々と問題発言の多い某大統領が非白人の女性議員に対して言った「go back to where you came from」が大問題なのと同じように、
人種(もしくは肌の色)と国籍はしっかりと別ものだと理解しないといけないと感じます。
アジア人っていうのもかなーり大きなくくりだよ?
世界人口の60%がアジアに住んでいるんだから…
そして「国籍」によって骨格は変わりませんので笑
私は日本人だから優遇された事もあるし、仕事のポジションを手に入れたこともあります。
アジア人でマッサージしているから、と性的職業をしていると言われたこともあるし、
若い女性に強い意見は必要ない(女の子らしくない)と言われたこともあります。
銀行で優しく中国語?だと思われる言葉で話しかけられてsorry I don’t understand, I’m Japaneseといったらいきなり罵倒されたこともあります。
人種、国籍、性別、年齢全てで差別されてきたから分かるものっていうのがあるのかもしれない。
でも出来たらそんなハードルをくぐらなくても、人の気持ちを考えてあげられたらいいのにね。
考えないで行動、から卒業しよう
バレエ界でおおきな反響を呼んだGood Morning Americaのコメントもそう。
コメントを言った本人はきっと「男の子がバレエをするのはヘン」という考えが「普通」だと思って言ったんだろうね。
固定観念の塊だよね、バレエの歴史を見ると男性しか踊れなかった時代があったり、
全ての古典バレエで男性ダンサーがいないとパドドゥ出来ないし、とか。
でも彼女はバレエなんて興味がなかったのでしょう。
そして周りにバレエをやっているお友達がいなかったのかもしれませんし、
彼女が間違ったことを言っても指摘する大人がいなかったのかもしれません。
でも、そのような偏見でいじめに遭ってきた男性ダンサーたちや、心ない言葉で傷ついた生徒を持つバレエ教師たち、
同じスタジオ、カンパニーで踊ってきた人達が一丸となって抗議して、張本人に謝らせるところまですすんだよね。
(とはいえ、その時一緒に笑っていた他の人達や、それをOKとしたプロデューサーなどの責任は問われなかった。そして一環の流行りなのでこのブログが出ることには下火になっている事でしょう。)
- 私たちが当たり前、と思っている事って、本当に当たり前かな?
- 誰かが肩身の狭い思いをしていないかな?
- そのステップ(手順)必要かな?
別に、3年石の上に座って瞑想しろ、って言っている訳でも、
世界の不平等を修正せよ!といっている訳ではないけど、
- 小さい時にいっぱいストレッチしないと体は硬くなる
- 早くからポワントを履ければ上手な証拠
- コンクールで賞をとらなければプロにはなれない
- 日本人はターンアウトが出来ない
- 炭水化物を食べると太る
- 男の子がバレエはおかしい
…
本当にそうかな?
それとも「貴方の環境内で言われている」だけで、事実やエビデンスはないのかもよ?
色の違うシューズが出ても、貴方自身には影響しないかもしれないけど、
どこかで「ようやく認められた」って思う子がいるかもしれないよね。
「日本人だからできないのよ」とか「外人は違うよねー」という発言に傷ついたり、じゃ、私無理じゃんって努力を辞めてしまう子はいないかな?
逆に、必死で努力してきたのに、「OOちゃんはXX人だから」と努力を認めてもらえない子が出てこないかな?
肌を塗るってそんなに大事なステップだろうか?
私色黒だからバレエに向いてないんだって感じちゃう子がいないかな?
もしくはそういう子供達を育てることで、肌の色が違うダンサーを見たときにこれはダンサーじゃないでしょ、と考えてしまう固定観念を植え付けていないかしら?
考えるということ。
一度立ち止まるということ。
そんな「考え方の習慣」がある人って素敵だと思うのです。
そして変だな?と思ったら口にする。
上で挙げたFBフィードのバレエ先生みたいに、他の人達に考える種を蒔けるかもしれないんですから。
変だよ!と口にした人が多かったおかげで、今回の「ただのコメント」がバレエ界にスポットライトを当てるムーブメントになったように、
みんなが行動することで、ちょっと居心地悪いかもしれないけど、正しいことを言い続ける、やり続ける事で、世界がいい方向に変わってくれるといいですよね。
→解剖学バレエ、ハッピーダンシングのムーブメントに協力してくれませんか?
Happy Dancing!