テーピングについては過去に記事にしてありますから、こっちを読んでね、以上!
で終わっちゃいたいところなのですが、テーピングしているダンサーは結構多く、
自分勝手にテーピングしちゃう、もしくはテーピングの意味を理解していないでやっちゃう、という人が多い。
実はそのテーピングが舞台復帰を遅めていたり、逆に捻挫しやすくしちゃったりするんですよ?
ということで、私が普段ダンサーに使っているテープの種類をご紹介しつつ、テーピングとはいったい何なのか?を考えていきましょう。
*テーピングはケガ予防のためにも使われることがありますね。
分かりやすい例は、ポワント用に足指に絆創膏代わりのテーピングとか。
他にもコンテの作品ではだしで回転する、膝で滑るなどがある場合、皮膚のケガを守るために使用されることも。
ただしこの記事では、ケガしているとき、ケガした後にテーマを絞ってお話しています。
テーピングをしちゃいけないの?
誤解されないうちに先に明記しておきましょう。
テーピングをしてはいけない、とはお話しておりません。
過去記事から抜粋すると、
ケガのすぐ後や舞台にたたなければいけな場合テーピングしても大丈夫。
ただ、それはケガの原因は直していない
って事だったね。
そっちも大事だから記事を読んでね。
だけど、テーピングっていうのはバンドエイドみたいなものだと理解しておくといいと思う。
包丁で手を切った。
まだ夕飯準備終わってないからバンドエイド貼る。
これはOKでしょ?
血を流しながらお味噌汁作るよりもマシだよね?
私の血と涙が入っています、ってのは比喩の世界だけでよろしい。
本当に入れないでくれ!
ただ、テレビ見ながらお料理していて、手を切ったなら、そっちを直さないとまた手を切るよ。
それが原因を直す、という事。
もしかしたら、野菜を持つ手の形を変えるとか、
包丁の握り方、とか慣れるまではテレビを見ない!とかさ。
- テーピングは時と場合によってしてもOK
- ただし、ケガの「原因究明」「強化(リハビリ)」とはなっていない
この2点を頭に入れて、続きをお読みください。
テーピングの種類
世の中にはいつも様々なテーピングがあります。
「いつも」というのは新しいものが結構作られているので、こっちもついていくのが大変よ…
(とは言っても、同じテーピングで幅が変わったり、強さが変わったり、色が変わったり笑 もある)
ただ、私が使っているもので何種類かあるので、ご紹介しますね。
ちょっと専門的な+私の経験談からの情報が載っているので、興味がないダンサー達は軽く飛ばして読んでください。
ダンサーをサポートしたい治療家の皆さんは興味があると思ったので書いておきますね。
テーピングの王道、伸びないテープ
これはテーピングといったらこれ~!!という王道テープですね。
これは伸びません。
私は幅が38mmのを使うことが多いけど、50mmを裂いて使うこともあります。
(写真右は38mm、写真左は50mmを3分割して使っています)
これは関節、つまり骨のテーピングに使用しています。
具体的には、中足骨疲労骨折、ストレスリアクションの保護&サポート、中重度の捻挫を固定するときなど。
スポーツの世界でも、骨や靭帯など、伸ばしたくないもの、伸ばせない組織をサポートするために使うのが一般的です。
オーストラリアバレエ団で学んだ足のアーチをサポートするテーピングも38mmの子を使って行うのですが、
そのテーピングが好きなダンサーと大嫌いなダンサーがいるのでテーピング良さだけでなく、本人の皮膚感覚も大切になります。
次に出てくるキネシオテープでもアーチサポートが出来るので、
- 関節過度可動性の子は、足の関節全てをサポートしないといけないため伸びないテープ
- 関節可動域は普通だけど、アーチを落として踊る癖がある子はキネシオテープ
など本人の体の構造も計算にいれます。
キネシオテープ
ドラッグストアなどで見る事もある、伸びるテープですが、よーく見てみると2方向に伸びますが、横には伸びません。
伸びるテープは筋肉サポートに使うことが多いです。
例えば肉離れ後、ルルベに上がるときにアーチを落とさない(動き=筋肉)という意識など。
キネシオテープは働きすぎな筋肉のスイッチオフをさせることもできます。
ただ、筋膜スペースを作るんだったらさっきの伸びないテープでやることもある。
”捻挫癖”があるダンサーがこのテープを使ってテーピングしているのを見ますが、リハビリして、筋肉や固有感覚を鍛えているわけではないので、再発予防にはなっていません。
もちろん、捻挫から戻ってくるとき、つまり体がまだ100%ではないけどレッスンに少しずつ戻ってくる場合に、レッスンの時「だけ」使用し、エクササイズクラスやリハビリ、日常生活では外す、というように時と場合に合わせて使用するのはOK。
1幕の最後に捻挫してしまったけど、2幕のアンダースタディーがいない場合に、これ以上ケガがひどくならないため+舞台を乗り切るために使うのもOK。
普通の伸びないテープで固定してしまうとポワントで立てないから、という理由も分かります。
ただし、プロ(セミプロ)の場合でメディカルチーム(治療家やトレーナーなど)が舞台裏にいる場合に限りますし、
その後はしっかりと治療+リハビリが必要です。
ダイナミック(4WAY)テープ
これも伸びるテープの一部なんだけど、2方向に伸びるだけでなく4方向に伸びます。
かなり強いテープですし、様々な方向に動けるので、よく動く関節を、より強く筋肉をサポートしたい時に使います。
が、かなり強いテープなので肌荒れしやすいです。
膝の過伸展のコントロールが難しい子に、靭帯に座り込む(=関節の過伸展で止まる)ではなく、骨が並んだ正しいアライメントを理解してもらうために、
エクササイズクラスの中で使う事でテープが引っ張る感覚をアシスタントに使う事があります。
これは関節過度可動性の子たちにとってはとても便利。
関節の固有感覚が少ない+靭帯のフィードバックがない子たちは、テープの助けを借りて筋肉を鍛えたり、感覚やコーディネーション力を育てていけますね。
後脛骨筋が弱く、アーチが落ちてしまっているけど、足首のロールインはあまりない、という場合はキネシオテープよりもダイナミックテープの方がうまくいきます。
日本では手に入れられないと思うのでここら辺で割愛。
Fixテープ
このテープは今までのテープとは違い、肌を保護するためのテープです。
肌があれやすい子達、トレーニング用テープのようにすぐにとるのではなく、長時間リハーサルでテーピングをしなければいけない場合は、
保護テープを普通テープの下に仕込ませておくことで、肌荒れや粘着成分へのアレルギーが生まれてしまうのを防ぎます。
ちょっと裏技として、だいぶ強くもなってテーピングの助けはいらないはずだけど、
長いリハーサルだと不安…という場合は不安要素(=精神面)を取り除くためにこのテープだけでテーピングをすることも出来ます。
へんな方向に関節を動かすと、引っ張られる感覚が出来るのでずーっと正しいアライメントをキープするのが大変な場合も使えますね。
テーピングをする人たちも、肌荒れやテーピングへのアレルギーを確認する人が少ないように感じるのは私だけでしょうかね。
もしかしたら、治療院の問診票に記入欄があるのかもしれませんが、
テーピングをしてもらったけど、痒くてたまらない!というダンサーのテープを外してみたら、血だらけ…みたいなホラーストーリーもありました。
テーピングはサポート「だけ」
上で書いてきたように、テーピングは踊りながらも使えるサポートです。
だけど、痛い、調子悪い=テーピングしよう!という使い方は正しくないからね。
だって、痛いって事は体がシグナルを送っているんだよ?
その声を聞いてあげないと。
調子悪い、っていう時は
- ウォームアップが足りないのかな
- 正しい筋肉使えているかな
- ちゃんと立っているかな
- レッスン後のケアしてるかな
- リカバリー法使ってるかな
- 栄養、睡眠はどうだろう
って考えるべきであり、テーピングすればOK、ではないんだよ。
確かに、どんなサポートでもちょーだいよ!というシチュエーションはあります。
- 例えば全幕もの。
- 一日に2,3公演ある。
- 連日続く舞台
- 舞台の床が滑る、固い、特別なシューズを履かなければいけない
- ケガから復帰したて
など。
だけどね、いつものレッスンやリハでテーピングし続けなければいけないというのは普通じゃないです。
シロウトのテーピングも危険
さっきテーピングの種類がいくつかあるってお話したよね。
でね、骨や関節をサポートするっていうのがあったでしょ?
つまりね、サポートするためには、
- 骨がどの形にあるのが一番よくて、
- 関節がどの向きに動くことが必要で、
- 緩む場合はどこまで緩むのが一番いいのか?
などが分からないと逆に危険です。
例えばアーチを上げる。
でもアーチは上がったり、下がったりするんだよ。
だから上げた形で固定しちゃったらプリエが使えなくなっちゃいます。
残念ながら、治療家でも
「ダンサーは甲を伸ばさなければいけない」
=
「足首は自由に動くべき」
=
「伸びるテープでテーピング」
(本人が動きやすい、というから)
とした場合、肝心なサポートしなければいけない組織がサポートされていない可能性があります。
また、
- 動きを制御するのか
- サポートするのか
- はたまた動きを作るのか
によってテープの強さ、種類、場所も変わってきます。
面倒だからか、外したらつけ方が分からないからか、テーピングをずっと貼ったままにする人も多いんだけど
これは衛生上よくありませんし、テーピングのサポートは徐々に弱くなります。
- どんなアクティビティをしているか?
- どこにテーピングをしているか?
- ダンサーの体質(汗をかきやすい、肌が弱いなど)
にもよって変わりますが、最長でも4日、と私は思っています。
ただし、粘着力の強いテープを使っている場合、毎日外す方が肌の負担になることもあるので、
2,3日は大丈夫かもしれません。
難しいよね、この判断。
テーピングにレシピはない
サプリメントも、ちゃんと食事をしている上にサポートとして摂取します。
エクササイズも、ちゃんとレッスンをしている上にエクストラで使います。
ストレッチも、どこが固いのか、そして理由を理解してから使います。
そして、同じダンサーが2人としていないのでこれらもレシピは出来ません。
ターンアウト出来てますか?本で、難易度レベルが3つあるのも、
左右対象ではなく、弱い方(苦手な方)を増やしてやってね、と書いてあるのも、その人の体、体調、シーズンによって変わるから。
みんなにフィットするレシピなんてないんです。
テーピングも一緒。
同じ足首の後ろ側の痛みでも、
- 三角骨が挟まっているのか
- 捻挫から来たのか
- 足指の屈筋群が使い過ぎなのか
- 固有筋が働かないのか
- 膝のコントロールの問題なのか
- 股関節の問題なのか
によって、どんな治療、テーピングをするか、そしてリハビリや処置が変わってきます。
だからね、ダンサーのみんなに覚えておいてもらいたいのは、
- 治療家の先生がやったからといって、同じ痛み(らしい)ものが再発したときに真似しない
- 診断もしてもらっていないのに、同じようなケガをした子から教えてもらって勝手にテーピングしない
猿まねはいつだってケガに繋がります。
そして何よりも、原因究明と再発防止。
これが大事だとお忘れなきよう!
Happy Dancing!