「背中から腕を使う」ってどういうこと?

背中から腕を使いなさい!っていう注意を聞いたことがありませんか?   英語ではあまり言われない(と私は感じていますが、国によって違うかな?)言い回しですが 日本では聞いたことがあるし、DLSフォロアーさんからの質問でも 「背中から腕を使うにはどうしたらいいですか?」 というのはよくあります。 (どのエクササイズがいいですか?とか背中から腕を使えない子が多いのですが…など質問内容は少し違ったりするけど)   今日は背中から腕を使うってどういうことなのか?をお話していきましょう。 背中ってどこ? 「背中から」腕を使うっていう場合、腕は誰でも分かると思うんです。 でも背中ってどの部分を指すんでしょうか? 簡単に使っている言葉だと思うんだけど、解剖学的にどこからどこまでが背中?と聞かれたら答えられそう?   人間の背中=胸椎1-12+腰椎1-5+そこにある筋肉たち と言われることが殆どですよね。   同じ背骨だからと言っても、頸椎は首の後ろ側ってなるだろうから「背中がかゆい」言わず「首がかゆい」になるじゃない? また、背骨の終わりである仙骨+尾骨エリアも、お尻セクションになっちゃいます。 骨盤やおしりは背中の「下」にあるでしょう?   そうすると、結論的に肩肩、腰腰のスクエアのセクションになると思いません? →スクエアを保つってどういうこと?   でも、レッスン中に「背中から腕を使いなさい」と言われた場合 よっぽどでない限り、腰を使って腕を使いなさいという注意に脳内変換されることはないよね。 そう、”背中”には大きく分けて3つのセクションがあるんです。   日本語で当てはまるよい言葉が見つからなかったんだけど、英語では以下の言い方をします。 upper…

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バレエで必要な「しなやかな」背中を手に入れるには?

背中の動きを「しなやか」と形容するスポーツ、芸術って多くはないと思うんですが、 バレエダンサーは背中がしなやかであることがスキルの一つとなっていますよね。   でも、しなやかな背中って何か?とバレエの先生に聞いたらどう答えるでしょうね? 柔らかい事? たくさん反れる事?   しなやかな背中を手に入れるために、どんな努力をしていますか?とダンサー達に聞いたらストレッチ、というのかしら?   でもさ、背中を柔らかくするためのストレッチ=反る動きだと思われがちだけど、 反る動き=背中は縮まり、おなかが伸びる だからね? だよね??   腹筋を伸ばすと、しなやかな背中になる、ってどうして思っちゃうの??? という謎はまた次回解いてみる事にして、 今日はバレエで必要な背中について考えていきましょう。   今回、解剖学用語がたくさん出てくるし、長いので文章を読むのが苦手な人はこちらのビデオからどうぞ。 「しなやか」という言葉の意味は? ネット辞書によると、   しな‐やか [形動][文][ナリ] 1 弾力があってよくしなうさま。 2 動きやようすがなめらかで柔らかなさま。 3 姿態などがなよなよして上品なさま。たおやかなさま。…

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背骨の癖を理解してレッスンに生かそう!

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   背骨のカーブをこちらの記事で勉強しましたよね。 この記事では、頸椎、胸椎、腰椎のそれぞれのカーブにある癖をお話していきます。 背骨の癖というか性格を理解することで、レッスンの注意やテクニックを考えるきっかけ、もしくは安全にエクササイズやストレッチをする知識にしてくださいね。   *骨の形や動きを模型と共に説明しているバレエ解剖学YouTubeビデオはこちら 頸椎:首の部分 頚椎(けいつい、Cervical Vertebra) は全部で7つあります(C1-C7) この部分が脊柱の中で一番よく動く部分。   棘突起(きょくとっき、クリオネのしっぽだったね)もほかの部分に比べて小さく、内臓や肋骨の重さがかかっていないため首の筋肉が固くなっていない限り、色々な方向に首を動かすことが出来ます。 頸椎の1番と2番はほかの子と違う 7つのうち、一番上と2番目の頚椎は形や大きさが他の5つと全く違うところに注目。 第一頚椎は環椎(かんつい、atlas、C1)とよばれ、横長ドーナツ?みたいな変な形をしています。 頭蓋骨がこの上に乗っかるようになっているの。   その下にあるのが第二頚椎、軸椎(じくつい、axis、C2)と呼ばれる骨。 これもまた変な形をしていて、とんがりがついています。このとんがりの部分に第一頚椎の穴が輪投げのように合わさっているのね。 だから、第一頸椎とその上に乗っている頭蓋骨が左右にエポールマンやスポットをつける時に、胴体がねじれたり、肩の高さが変わらないで済むんだね。 →ピルエットのスポットがつけられない人向け記事 →踊っている時に、首がリキんでしまう人向けの記事 →首が短いからバレエに向いていない? 頸椎の棘突起と伸展 特にC4の棘突起が短く、C5も短め。 だからこの部分が背骨の伸展をしやすいのね。 伸展しやすい=後ろに反りやすい。 なので気を付けていないとカンブレデリエールやアラベスクの時に首の後ろが縮んだり、顎が上がってしまうんです。…

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背骨の構造とカーブについてダンサーが知っておきたい事

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   バランスをとったり、ターンをしたりする際にとっても大事な事、それは「軸をとる」こと。 軸をとるってバレエだけの特有な言い回しなのか私にはわかりませんが、軸になるところは名前の通り軸足と、背骨、つまり胴体のセンター(中心)になるところです。   レッスン中に聞く「引き上げなさい」という注意もあいまいな言葉ではありますが、大体は背骨を引き延ばす、という事を指していると思われます。 (思われます、って書いた理由は先生によって意図する事が違うから。)   バレエダンサーならだれでも知っているワガノワバメソッドで有名なアグリッピナ・ワガノワは バランスの源は、背骨にあります といったそうです。   でも、背骨っていったいなんでしょう? みんな、解剖学を勉強していなくたって背骨がどこにあるのか知っていると思います。 背中を丸めたら出っ張るし、指でもごつごつした部分をかんじることができるでしょう? コンテのフロアワークをしていたら床にぶつかるからよく分かる、 っていう人もいるかもしれないね。 (そうそう、コンテのテクニックが強ければ床に体がゴツ!とぶつかる事はないんですって。ま、それはまたほかの機会にお話しましょう。)   でも、脊柱はいくつの骨からできているでしょうか?と聞かれると分からないし、首はなんとなくわかるけど、どこからが腰?と思ったりすることはありませんか?   バランスの源である背骨を頭の中で漠然と…何となく…ではなく精密に頭の中で思い描くことが出来たら、 バランス系のテクニックを含むダンスステップのすべて、軸や強い体幹が必要なテクニック全てを向上することが出来るはずだよね。 背骨の個体の形を研究 背骨っていうのはたくさんの骨が集まって出来ています。 個体、つまり背骨という骨のカタマリを作っている積み木はこんな形をしています。 背骨の場所によってサイズがちょっと違うんだけど、だいたい 椎体(ついたい・body)というボディになる部分 横突起(おうとっき・transverse process)というクリオネの手が2つ…

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平らになってしまった背骨のカーブは取り戻せるのか?

  セミナーのフィードバックシートに書いてあった事。 背骨のカーブの大切さはわかりましたが、平らになってしまった背骨カーブは元にもどるのでしょうか? 答えは…その人によります。 では今日のブログはここまで!とは出来ませんから、まずは背骨のカーブについてお話していきましょう。   背骨はまっすぐであり、まっすぐでない なんだそれ?って感じだよね。 背骨は後ろから見たらまっすぐになりたいけど、横から見たらまっすぐではありません。 だって背骨にはカーブがあるからです。   背骨にはセクションごとにファンシーな名前があって 首の部分、頭蓋骨の下から7つの背骨を頚椎 肋骨がついている胸の部分12個を胸椎 そして腰の部分の5つの骨を腰椎 と言います。   ファンシーな名前だけでなく、このセクションごとに形もサイズも少しずつ違うし、動き方やカーブの方向も違います。 この部分はインスタライブで行っていた4パートに分かれてお届けしたバレエ解剖学入門編でお話しました。 何がなんだかパルプンテな人は、ここにリンクをつけておきますので、私がオレオを叩いているシーンと共にお楽しみください。     背骨カーブには個人差がある バレエを長年やっている人、特に背中をピーンとさせるのが正しいと習ってきた人達の中には、 背骨のカーブが全くなく、背中がまったいらになってしまっている人達がいます。 これをストレートネックだとか、ストレートバックだとか言いますが、それは今日は放っておきます。   でも、もともとの背骨カーブというのは個人差があるのね。 鼻の高さや身長、5本のゆびのうち、どれが一番長いか?なども含めて人には骨格の違いがあります。 たとえ妹や弟でも、同じ親から生まれても違います。…

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胸椎の回旋:アラベスクを無理なく上げるヒント

アラベスクを上げたい!という声はいつもどこでも(バレエ学校だろうが、日本でセミナー中だろうが、セミナーやイベントの質問だろうが)聞きます。 今年のバレエ学校は白鳥の全幕をやるので、ターゲットになるのはもちろん高く安定したアラベスク。 だから新学期早々、生徒達の背中づくり、アラベスクのための柔軟性作りに励んでいます。   アラベスクを上げるっていうのはただストレッチしてればいいわけでもなく、 背筋の筋トレをしていればいいと思っている子達が多いので(先生方もか。) 今日は速攻で脚が上がるヒントをご紹介しちゃいます。 (ええ、今、私速攻って言った。うん・・・)   一つのポジションでも原因は色々 アラベスクだけでなく、バレエのステップがうまくいかない原因は1つではありません。 体によって違うし、ジャンプなのか、ホールドなのか、つなぎの動きなのか?なんかによっても変わってきます。 アラベスクだったら特に1番アラベスクと4番アラベスク、パンシェでは動きも変わってくるから、足が上がらない原因も変わってきて当然!   アラベスクがうまくいかない主な原因をいくつか例に出してみましょうか。 動脚の股関節が硬い 動脚の骨盤の回旋に欠ける(もしくは過剰回旋) 動脚の臀筋が弱い(もしくは外旋と伸展の筋力配分が悪い) 動脚のハムストリングが弱い 軸足の股関節が硬い 軸足の骨盤の安定がない 軸足の強さ、及び安定に欠ける 腰椎の柔軟性に欠ける 背筋(腰椎部)の筋力に欠ける 胸椎の柔軟性に欠ける 胸椎の回旋に欠ける 肩関節の柔軟性に欠ける 胸椎、および肩関節を支える筋肉群が弱い 頸椎、及び頭部を支える筋肉群が弱い  …

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背骨を引き上げる練習は無駄なのか?

  芸術的な引き上げ!?という記事はとても人気でした。 たぶん、今まで解剖学的に背骨を伸ばす、ということが分かっている人でも、 じゃぁ踊りにつなげるにはどうしたらいいんだろうか?って考えていたんだと思います。   背骨を伸ばすんです、っていう説明を聞いたとき、あー!そっかー!!って思っても、 実際に生徒に引き上げて!というときのニュアンスに合わなかったり、 自分で言われたときにうーん、背骨、伸びてたと思ったんだけど... なんて思ったり。   で。 ここで次に出てくる質問は 芸術的な引き上げっていうのはよく分かった! だったら、   「背骨を(上方「だけ」に)引き上げる練習は無駄なのか?」 という素朴な疑問。   今日はそれにタックルします! 続きものなので、芸術的な引き上げ!?を読んでいない人はそちらから始めてね。   背骨を引き上げるメリットを再確認 インサイドバレエテクニック、という何度もお話している素晴らしい参考書から一部分を引用しますね。   「脊柱を伸ばすことには、いくつかの大切な利点があります。脊柱は、湾曲が少ないほど丈夫で、 湾曲が大きい方が傷つきやすくなります」 →安全に踊るためには必要なテクニックであることが分かりますね。   これは、ジャンプの着地で腰を痛めるダンサーを横から見ると腰の部分にすごい湾曲ができていることがあるのと一緒。 ジャンプの時は腹筋の支えがないだけではなく、軸足のプリエで衝撃吸収ができていないのも原因となりますが、…

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芸術的な引き上げ!?

今までDLSでは様々な角度からバレエレッスンで言われる注意ナンバー1の引き上げを見てきました。   引き上げて、引き上げて、引き上げて!という記事では 3つの引き上げをご紹介しました。 筋肉が働いていない 筋肉を短く縮めて使っている 背骨の上に「座って」しまっている   そして、背骨のカーブを勉強していたところだったので、 3つ目の背骨の上に座ってしまっている、 または乗っかっている、なんて言われ方をする体の使い方をお話ししました。   次に引き上げと脊柱起立筋、という記事では、 その背骨カーブを引き上げるもの、つまり動きを生むから筋肉、を見ていきました。 だって骨だけでは動けないでしょう?   筋肉の名前はそのまま、脊柱起立筋。 脊柱=背骨を起立=まっすぐにする、筋肉の説明をしましたね。 そしてこの筋肉は実は背骨を下に引っ張ることで、 背骨を引きのばしている筋肉でした。   ダンサーの腹筋事情シリーズで、ドローインと引き上げ、というものも考えてみました。 腹筋を使って内臓を中に収め、それをさらに伸ばしたら引き上げになるよ、 という、背骨や解剖学ではなく、エクササイズの視点から引き上げの練習をしたんです。   バレエではおなかが出っ張ってたら下っ腹を引き上げなさい、なんて注意をされるからね。 ここらへんで引き上げ=骨、ではない事に気づきます。   ここらへんで便利になってくるのが、バレエ注意の考え方の記事。 ここではフィーリングコレクション、とアクチュアルコレクション、といった2種類のバレエ注意を説明しました。…

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引き上げて踊る。を深く見る

今日は引き上げについて語ります。 マニアックだけれどついてきてください笑   引き上げて!引き上げて!引き上げて! (ピンクの文字をクリックするとリンク先に飛びます) というなんてまーstraight forwardな題名の記事は2013年に書きました。 ここでは、背骨カーブの点から引き上げを見ましたね。 復習すると、 背骨カーブはクッションのためにあるけれど、 それを引き伸ばす事によって重心が高くなり、 素早い動きが可能だと。   んでもって、脊柱起立筋をご紹介したときに これらの筋肉は背骨を引き下げる動きをするの! なーんて言って皆さんを混乱させました。 そうする事によって引き上げを助けてくれるの。 詳しくは原文を読んでね。   んでもってドローインと引き上げ、という記事では ダンサーが必要な腹筋の力と引き上げの関係性を見ました。 センターを引き上げる、という言葉を筋肉の名前と一緒に見ましたね。       背骨のカーブは人間に必要です。 上手い事デザインされていてね、 それがあるからジャンプの衝撃を吸収してくれたりするのですよ。 それをあえて伸ばす。  …

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引き上げと脊柱起立筋

  今週の初めに広背筋についてお話しました。 覚えていますか?   今日はそのお友達、脊柱起立筋についてお話したいと思います。   脊柱起立筋、って聞いたことありますか? 「背筋」は?   解剖学を英語、日本語両方で教えていると、その国によって面白い言い回しがあることに気がつきます。   例えば、英語の場合、coreだとかabdsだとか皆言うけれど、本当にその意味が分かっている人が少ない。 core=コアマッスルのことですが、ジムとかスポーツ界で「これさえ鍛えれば大丈夫!」的な扱いをされています。 んでもって、core=腹筋上等!みたいなエクササイズがされています。     日本語でおもしろいものは、「そっきん」と言うヤツです。 腹筋、背筋、そっきんを鍛える! っていうやつ。 そっきん!? 側近。 即金!?   側筋、っていうやつらしいですが、そんなもの解剖学の参考書には存在しません。 私の日本のバレエの先生も言っていたなー 「愛、そっきん鍛えなきゃダメよ!」   どこだか良く分からないけれど、大先生に質問できませんからね。 (先生に問答しちゃった若気の至りを披露してくれた、素敵なFBフォロアーさんがいましたが) そっかーなんて思っていたのを覚えています。…

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