DLSブログには、そして私の元には時々すごく悲しいメールが来ます。
整体の先生に「バレエむきでない体だから諦めたら」と言われた子。
整体よ?
彼に何がわかるっていうんでしょうね、そして分かっていても、それをいう職業ではなく100%余計なお世話だって気づかないんでしょうね。
(日本が告訴の国だったら、その人大変よ???)
バレエ学校でのいじめ、摂食障害、バレエをやめなきゃいけなかったケガなど・・・・
今日の質問も悲しいメールの一つです。
ウォームアップをすることで、レッスンで体がしっかり動かせるということが冬期バレエ講習会で分かりました。
しかしお教室では、バーレッスンの前に、ストレッチをします。(先生のカウントで)
せっかくウォームアップをしても温まった状態でレッスンを始められません。
こういう場合は、どうしたらいいですか?
ちなみに今は、1番目のアンシェルマンの振り付けを先生が写している間にカフライズをしています。
なぜ「強制」なのか?
まず、エクササイズもそうですがストレッチは特に「全員が全員これ!」ってのはありません。
だよね?
軸のひざが伸びない、っていう記事でも説明したけど、何かができないという事の裏には100通りの解決法があるはずです。
だからみんなが皆、同じことをすべきか?といわれたら難しいところがあります。
確かに、私たちの生活は似ているので(椅子に座る、下を向いて勉強、スマホ、重い学校のバック)なので同じようなエリアが硬くなる事はあります。
ただね、生徒達が「強制」という意味の言葉を使う場合、彼らは
- そのストレッチの理由を説明されていない
- そのストレッチの効果が分からない
- そのストレッチが痛い、気持ち悪い、外れそう、なのにやらされている
という時。
冬期バレエ講習会で、胸椎の回旋(膝付き、胸に手を当てて、天井をみる!)っていうエクササイズしたの覚えてます?
あれは動きながら伸ばす、動的ストレッチ。
そしてその後、体が動きやすくなりましたでしょ?
そうやって説明し、他の動くエクササイズたちを混ぜ合わせたらたぶんこういう悩みは来ないと思うのね。
→このブログ記事でも同じエクササイズ(ちょっとちがう腕の使い方をセミナーではしましたが)があります
バレエ学校では「言われたらやらなければいけない」という事が存在する
海外のバレエ学校だからといってみんなが「医学的に最先端のトレーニング」をしているわけではありません。
だからね、留学しても何それ!?って事を言われることが多々あります。
- オーバースプリッツ!(そのポジションがバレエで必要なのはレッスンの一番最後、グランアレグロの0.3秒くらいよ?空中に浮いてる時間!)
- 大腿四頭筋をつかったら太くなる(・・・でも腹筋は使ってもウエスト太くならないよ?)
- カエルのポーズができないからターンアウトができない(!!私の新書にどーしてそれがターンアウトを測るにはならないかいーっぱい書いてありマス)
- 炭水化物は食べるな、糖質はとるな(炭水化物はエネルギー=体を動かすものだし、糖質は脳みそに必要だし、あなたの体は成長期だし!?)
- OOキロまで痩せなさい(いやーお客さんはKGまで見えないっしょ?)
だからと言って、先生に食ってかかっていたら学校にいるのが辛くなりますし、いい点数にもなりませんよ。
この前クリニックに来た子は「バレエ学校」の「ピラティスの先生」にエクササイズができない理由は彼女が側弯症があるからだ、と言われたといって心配になって私の元に。
全くもって側弯ではないし、そのエクササイズができない理由を骨格のせいにした、そして彼女の仕事分野でない(側弯という診断は治療家、医師がするもの)で口をだした。
冒頭の整体の先生と一緒で、私が殴りたい人達のひとりです。
*彼女、日本でピラティスを指導したりすることがあるみたい。
いかない方がいいよーいくらそれがディプロマです!とかバレエ学校で指導してます!でも。
大人の世界には理不尽だと思うことをやらなきゃいけない時ってあるのです。
でもね、
- 知識を武器にそれに(静かに)戦う
- そういう理不尽なことをしなくても結果を出す
- 将来、後輩や自分の生徒にはやらせない
という背中で語るぜ!という事をやっていけばいいのです。
私はバレエ学校にエクササイズクラスを作るまで7年ほどかかりました。
それまでは、地道に治療の度に生徒にエクササイズをやらせる。そして結果をだす。
それに学校側が気付き、もっと生徒を送ってくる。
大多数を変えたら、システムを変えざるを得ない!というか勝手に風習が変わっていきます。
みんな先輩を真似してストレッチはじめるんですもの。先輩がトレーニングしてたらそれを真似するようになるんだよ。
頭を使って対策を練ることは可能
そんなことを言っても「今」何をするのか?って話じゃないですか。
まず、ストレッチしたら絶対ケガをする!ではないから落ち着いて。
ただし、エクササイズをした後に踊りやすくなるのは
- 筋肉を正しくウォームアップし、動きやすくさせてあげているから
- 神経回路も使い方を覚え、アンシェヌマンで指令を出しやすくなるから
- メンタル的にも今日の注意を冷静に考え、より集中してレッスンに参加できるから
確かに体は冷えてしまうかもしれないけど(みんなは冬だもんね)、それに負けないくらいウォームアップをするというのは可能です。
つまり冬期バレエ講習会のようなエクササイズたち+心肺機能がアップして、汗をかくくらいのものをやりたい。
階段上がり下りとか、スタジオまで軽く走るとか、シャドー縄跳び(縄跳びがなくても飛んでるふりをする)とかでいつもより心肺機能をアップさせておく。
その後のストレッチ時間で心拍数と体温が落ちてくるのを計算にいれてって事ね。
しかも、それがあるって分かってるからスタジオにはギリギリに到着する!
スタジオ外でウォームアップ→スタジオで座ってる→ストレッチ・・・だったら絶対に体が冷えますもの。
そういう部分は先生に言われなくても、ブログに書いてあることだし自分で、無料でできることですよね?
体が冷えちゃう、って問題があったらストレッチがだめ!じゃなくって「どうしたら暖かいままでいられるか?」を考えるって事でしょ?
知識はあなたを「止める」のではなく「羽ばたかせる」もの
確かに、これは危険という動きがありますよね。
そして子供を指導している人であれば、そういうのは知っておかなければいけない。これは絶対。
だから先生方、ストレッチを入れるンだったら、レッスンの後。
レッスン前にやるンだったらその後にしっかりと体を動かしてあげるか、動的ストレッチを導入。
ストレッチはエクササイズですからね、シロウトが教えられるもんじゃありません。
そうは言っても、質問をくれたYちゃんのように、プロを目指す子だったら、先生に言われたことを「安全に解釈する」という力もつけておきたいんです。
さっき説明したように、「体をもっとアップさせておいて、体温が落ちる部分まで計算に入れる」というのもその一つ。
他にできるのは
- ストレッチをしている時にもこまめに動く
- ストレッチとストレッチの間に立ちあがったり、腕立てを入れたりする
- 終わったらバーを率先して運んだりして、おおきな筋肉グループを使う
- 最初のウォーミングタンジュやプリエで自分が最大限に動いているかを確認し、そこで体を温める
など、考えたらできることがいっぱいあるはずです。
ストレッチはエクササイズの一部
何度もブログで書いてるし、セミナーでもお話しているけど、
バレエの先生だからってストレッチを指導できるわけではないんです!
だって、ストレッチってエクササイズ理論を知らないといけないし、リハビリに使われるものだもの。
バレエの先生、って体が柔らかいからーとかさ、きれいな体型だからーとかいってダイエットの相談やストレッチクラスとかやっちゃいますけど、それって別に資格があるわけでないからね。
ダンサーな自分を守るために
結局、どんな環境にいっても自分を守るものっていうのは知識だと私は思うの。
カンパニーでも「そんなスケジュール体に良いわけない!」っていう事があったり、
ツアー中、そんな床じゃ踊れない、って事もあるかもしれない。
先生、振付家、そして衣装や舞台装置で変なのはたくさん出てくると思う。
私の友達は水の中でバレエをやる、っていう作品でヘルメットかぶって白鳥やったらしい。
そういう事もでてくるかも!?
だけど、それをこなすのがあなたの仕事だったら、それを「安全に」こなす知識が必要だよね。
もちろん、先生方には正しい知識を知っていてほしいから、DLSでは教師のためのバレエ解剖学というものを年に2回行っていて、できる限り、こういう悲しいメールを送ってくる子供を減らそうと頑張ってます。
でも、エクササイズやストレッチをダンサー自身が学ぶことが出来るセミナ―もたくさんやっているので、自分でも勉強を続けていこうね。
悲しいメールが少なくなる事を私は毎日祈りながら、DLSコンテンツを作っています。
Happy Dancing!