体力、スタミナ作りについては既にいくつものブログ記事にしてあります。
今日のトピックは「レッスンで出来る」スタミナアップです。
だって上に書いたエクササイズ達はレッスンの「外」で行う事。
セルフモチベート出来るダンサーだったらいいかもしれないけど、スタジオにいる全ての生徒さんがそういう子たちな訳ではありませんよね。
でも、発表会を安全に乗り切るために、徐々に体力をつけてほしいと思っている先生方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、やる気がある子たちの中でも、
- 学校+バレエ、夜遅くまでやっているので外でランニングなんて出来ない。
- ケガしていて縄跳びもランニングも出来ないけど、近所にスイミングの場所もない。
という子たちもいますよね。
術後だったら、傷がふさがるまでは泳ぎに行けないしさ。
レッスンで何に気をつけたらスタミナアップが出来るのか、一緒に考えてみましょう!
スタミナアップの前に
この記事ではどうやって運動量を増やすか?にフォーカスしています。
心肺機能向上の為には、徐々に(緩やかに)運動量を上げていく必要があるので。
ただし、
- ケガしていたらそっちを先にどうにかする
- 疲れているときは無理しない
- 体調が悪い時、集中力が落ちているときは、体の声をしっかりと聞く
という「健康」が大前提だと思ってくださいね。
体力というのは、動ける体があって初めて役に立ちます。
運動量を増やしたら、それと同時に
- 体のケア(クールダウン、セルフマッサージなど)
- 食事量
- 休息時間
も増やしてください。
そうじゃないと、文字通り身に付きません。
この辺りの話は、Safe Dance(ダンサー用)やSafe Dance Studio(先生用)でお話しています。
でもいっぱい動いて、食事量を減らしたら痩せて健康になる、だからケガも防げるんでしょ?
と思っている人が読んでいたとしたら…こちらの記事でダンサーの管理栄養士ふみさんが説明していますので読んできてくださいね。
ダンサー編:マーキングを賢く使う
マーキングについては既に記事にしてあって、そこでもスタミナについては少し触れました。
特にセンターでは振り渡しの後に音楽と共にマーキングの時間があると思います。
ここでしっかりと踊ること。
そうすれば、1回分余計に通すことが出来るんですよね。
ダンサー編:空いているグループに入る
これは先生に相談しなければいけないスタジオもあるかもしれないし、
あくまでもまだやっていない子が優先にはなります。
が、オーディションの時はそうではないし、バレエ学校でも必ずしもそうではない事があります。
そっちを考えているダンサーは覚えておきましょう。
例えば最後のグループが4人の代わりに3人だったら、入ることができるかも。
CDを使っているスタジオの場合、曲がまだ残っているので最後やりたい子たちがもう一度!という事もあるかもしれません。
(生ピアノだったら別だけどね)
こういう部分で少しずつ、通して踊れる回数を増やしてみましょう。
ダンサー編:バーに寄りかからない
マーキングやエクストラで動くというのは、スタジオによって難しい場合があります。
ケガの種類によっては全部は出来ないという問題もあるでしょう。
でもこの点は自分で出来る事。
バーに寄りかからない。
スタジオ内のマナーとしても勿論ですが、バーレッスン中に気をつける事が出来ていても、
センターレッスンになってくると出来ていない子がいます。
スタジオのサイズによってはダンサー達が踊る場所がないから、壁にぴったりくっついている、とう事もあるのかもしれません。
全幕ものは特にですが、小作品として一幕分古典バレエ作品を踊るとしたら、
舞台には立っている人達、座っている人達がいます。
この時に「素の自分」が出てきてしまうと非常に残念だし、雰囲気を壊しますよね。
バレエダンサーらしく立っている、というのは結構体力を使うものです。
特に慣れていないと。
つまり、これを逆手にとって自分のトレーニングの時間にしましょう。
確かに、正確には心肺機能向上ではないけれど、筋持久力アップという意味でのスタミナには繋がります。
バレエの立ち方の理論、レッスンでの使い方とエクササイズを説明した私の本はこちら
先生編:アンシェヌマンを繰り返す
徐々にスタミナアップをしていくことで、安全に発表会をこなしたいと思った場合、
いきなりグランアレグロを何度もリピートしたらケガしますよ。
なので、バーレッスンの最初の方(=比較的コントロールされた可動域の小さな動き)を繰り返してみましょう。
例えば
- 1番タンジュ右、1番タンジュ左
- 先生の注意
- 再度1番タンジュを左右でやってみる
これだったら簡単に取り入れられるでしょ?
もう少し上のレベルになったら
- 1番タンジュ
- 注意
- 同じ振付を5番タンジュで繰り返す(振り渡しの時間を短縮する事で休憩時間を短くする)
- 5番ジュッテ
- 注意
- 3つのアンシェヌマンを全て通して再度やってみる
とするのもいいかもしれません。
ただし繰り返す=時間はかかるという事実を忘れないようにして
最後にグランアレグロが出来る時間がなくなった!とならないようにタイムマネジメントをしてくださいね。
この方法は
振付にジャンプが多いので、レッスンではひざ下にかかる負担を減らしておきたいけど、体力は落としたくない。
という場合でも有効です。
先生編:アンシェヌマンの長さ
繰り返す、まで行かなかったとしても、アンシェヌマンの長さを伸ばすことは出来ます。
特にセンターやアレグロ。
レッスンで15分休憩なしに動いている時間はないですね。発表会で踊る曲が15分だったとしたら、
今まで練習したことのない振付を、慣れていない長さで踊る
という事。
よってワルツやプチアレグロなど、運動量が多くなり「はじめる」部分のアンシェヌマンを長く作ってください。
振付に入るステップ数を増やすだけでなく
- 左右を続ける事
- アンデオールでやったらアンデダンまで続ける事
も出来ますよね。
まとめ:レッスンで出来るスタミナアップ
バレエレッスンは素晴らしくバーサタイルなトレーニングですが、スタミナの面では他のスポーツに遅れをとります。
自分でレッスン「外」にスケジュールを立てて追加することはとても大事。
だけど、レッスンの中でできる事はいくつかあります。
- 先生が考えてくれていなくても、自分でできる事。
- 生徒が自主的にやってくれなくても、レッスン内容でできる事。
賢く取り入れて、舞台直前にケガ!とか大切なオーディション兼ワークショップや短期留学で力を出し切れなかった…を避けてくださいね。
特にバレエ留学を考えている子(とその応援をしている先生)。
バレエ学校では一日に何クラスもレッスンがあります。
もちろん、全てクラシックではありませんよ、だけど運動量は多くなります。
体力は短期間で向上しません。
ケガもいきなり治りません。
でもチャンスはいつ来るか分かりません。
- ケガは早くしっかりと、確実に治すこと。
- 体力は徐々につけていくこと。
こっちの方が、たくさん飛べる、回れる、足が上がるというダンサーより成功率が高くなります。
なぜかって?
オーディションの最初で落ちたら、ジャンプや回転、足を高く上げるって動きを見せるチャンスがないからね。
そして、体力がなければ可動域が広くても(=体が柔らかくても)アンシェヌマンの中で使うだけの力がありません。
賢く、夢に近づくように練習してくださいね。
Happy Dancing!