前回は
絶対に上達するトレーニング法を考える前に、ゴール設定、つまり目標を決めなきゃダメだよって話をしました。(まだ読んでいない人はこちらからどうぞ)
そしてその時の目標はSMARTゴールでなくっちゃダメですよ、って言ったね。
SMARTゴールをおさらいしてみると、
- Specific 具体的に
- Measurable 測定できる
- Achievable 達成可能
- Related 自分に関連している
- Time-Bound タイムリミットがある
っていうもので、バレエに当てはめてみると
脚を高くあげたい!
って思っているのはただの願望で、
4月の新学期が始まるまでに、センターのアダージォ、腸腰筋(お腹)を使って、ターンアウトを保ちつつ、軸脚の膝がゆるまないままで、120度にデヴァンを上げてもバランスが崩れないようになりたい!
っていうのがゴール設定になるってお話しました。
ゴールを決めたら次は対策を考える
今日はそれを細かく見ていきながら、どんなトレーニングが必要なのか?を考えてみましょう。
それぞれYES,NOで答えられるようにつくってみましたので下の質問を書きだしてYかNを書いてみて。
- バーレッスンではちゃんと出来てるのね?
- 上げている脚と軸足、ターンアウトできてます?
- レッグマウントで120度に脚上げられますか?
- 軸足の膝がゆるんでいるのはデヴァンだけ?
- 両脚でも、しっかりグラグラせず、バレエスタンスできてます?
- 腸腰筋を使う感覚って分かりますか?
番外編
- 14歳以下ですか?
- 私は指導者で、生徒にこの問題があります、っていう人?
- やってるの(指導しているの)はクラシックバレエですか?
書いてくれた?
じゃ、一つ一つ見ていくよ。
*読み進めていくと分かるように、DLSのセミナ―と照らし合わせてあります。
何故なら、この部分を説明したら「じゃ何をしたらいいの?」って質問が絶対来るから。
その部分はセミナーでお話していますのでそっちで聞いて下さい。
ただし、Tのタイムリミットがセミナー開始前の場合、それはスマートなゴールではありませんね。
その前にどうにかしなきゃいけないってことだからさ。
またバレエを始めて5年以下の方の場合、もしくは週に2回以下のレッスン回数の人はレッスンをしっかりとやった方がいいと思いますよ。
バーレッスンではちゃんと出来てるのね?
YES・・・だったらバーレッスンで嘘をついていないか、しっかりと確認してみましょう。
特に注目すべき点は
- しっかりと顔やポーデブラをつけても出来るか?
(センターでは体の方向が変わり、顔をつけ、両手!のポーデブラを使うため)
- バーにしがみついていないか?
そして貴方に必要なのは・・・針の穴に糸を通すような集中したレッスン。
エクササイズやストレッチではございません。ただ、ひたすら(集中した!)レッスンでございます。
セミナ―とかトレーナーとか言っていないで自分と鏡で向きあうこと。もしくはスタジオの先生に相談して個人レッスンをつけてもらった方がお勧めです。
Noの人は次に進もう。
レッグマウントで120度に脚上げられますか?
YES・・・だったら貴方に必要なのは柔軟性ではなく、その高さで脚をホールドする強さです。
つまり筋力です。
レッスンでも鍛えることはできますが、レッスンでデヴァンにあげている時間は短い(バーでもセンターでもフォンジュ、アダージォくらいしかないでしょ?)ので、
自主練で重点的に練習をしてあげる必要があるかもしれませんね。
- レッグマウントで手を軽く保つ
- レッグマウントから手を放しゆっくり下してくる
- レッグマウントから手を放し3秒ホールドしてゆっくり下してくる
・・・と徐々に力をつけてあげましょう。
NO・・・貴方に必要なのは柔軟性です。
ただね、バレエをしっかりとやっていたら柔軟性は嫌でも身についていきます。(この記事参照)
なのでレッスン内容、正しさを再確認してみましょう。
そしてどこが硬いのか?をしっかりと研究し、安全なストレッチをしてください。
上げている脚と軸足、ターンアウトできてます?&軸足の膝がゆるんでいるのはデヴァンだけ?
YES・・・だったら上の”NO”の部分を読んでください。
特に、タンジュ、ジュッテなどの脚が低いデヴァンで既にずるをしている可能性がありますから、正しくレッスンができているのかを見た上で、柔軟性をみてください。
NO・・・デヴァンの高さは関係なく、しっかりとターンアウトできているか、そして軸を強く保っていられるか?の方が問題になっているのが分かりました。
レッスン中に、デヴァンでなくてもその部分をしっかりと気を付けてみましょう。
ただし、ターンアウト、軸というのはかなり基本的な動きなので、もしかしたらエクササイズでその感覚を覚えて、強化した方がいいかもしれません。
両脚でも、しっかりグラグラせず、バレエスタンスできてます?
もしここがNOだったら、貴方に必要なのは立つという事。
だから床で柔軟してようが、床でエクササイズしてても意味がないんですよ。
もちろん、「立つ」ことを助けてくれるエクササイズもありますよ、だけどね、結局立つ練習は・・・立たないとできませんから。
バレエスタンスを理解したら、毎回レッスンで気をつけることができます。
アンシェヌマンを始める前、終わった時。これって立っている姿勢ですよね?まずはここから。
スタートとフィニッシュでしっかりと確認し続ける努力からはじめてください。
腸腰筋を使う感覚って分かりますか?
No・・・腸腰筋を使う感覚が分からなかったら、
- 振り付けの中で
- 音に合わせて
- 他に考えなければいけない事がいっぱいあって
できるわけありませんから。
その場合、貴方に必要なのは筋肉を感じるエクササイズです!
エクササイズを習った後、自分で継続していくだけの自信がなければ、パーソナルトレーナーにお願いするのもここらへんかもしれません。
腸腰筋すらどこにあるのかよくわかんないっす、という人は自分で勉強からはじめましょうか・・・
Yes・・・今まで書いてきたことで当てはまる場所を読んでください。
当てはまらないって?
だったらね、
- 自分を見つめる目がない(自分に正直でない)
か
- 本当に体の事を分かってない
か
- レッスンでいつも自分をプッシュし続けていないから筋肉が育たない。
のいづれかです。
筋肉は使わなければ強くなりません。使えば絶対に強くなります。
これは太陽が昇る、種から木が生える・・・というように自然の摂理ですから。
前後開脚をしても無駄な理由
こんな風にスマートにゴール設定をして、対策を考えてみたらどうして前後開脚ではこの問題が解消されないのかが分かってきますでしょ?
デヴァンの形と前後開脚が似ているから、という理由だけでこのようなストレッチをしていても意味がありません。
えーと思う人はそのストレッチ、本当に役に立っているの?という記事を読んで確認してください。
長い記事になってしまっているので、「絶対上達するトレーニング法」を考えるには、
1)どのように上達させたいか、できるようになりたいか?を具体的に考えます(前半戦)
SMARTゴールを使ってしっかりと具体的に考えていきましょう!
2)そしてそれに対して何をしたらいいかしら?っていう対策を考えていきます(中盤戦)
上であげたように、レッスン内でやるべきことかもしれないし、そのような部分を教えてくれる人や場所、セミナーのリサーチかもしれません。
全部知っている必要はないよ、だけどゴールを明確にしたら、どんなリサーチをしたらいいのかが分かるし、
ただ闇雲にバレエワークショップを受けるのでもなく、ぼやーとレッスンを受けるのでもなく、積極的な、自発的な受講者になれるでしょうね。
そして答えがでない部分があったら、セミナー後やレッスンの後に先生に質問にできるわけだから、時間もお金も有効に使えますよね。
絶対に上達しないやつとして、エクササイズでもストレッチでも、そしてレッスンでも!形だけやってても意味がない、人の真似をしても意味がないっていうのは前半戦でお話しました。
次回の後半戦(2パートシリーズって言ってたのに3パートになっちゃったよ、ごめんなさいね)では、
ゴール設定→対策→プラン作り!ということでようやく「トレーニング法」を考える事にいたしましょう!!
番外編
そうそう、番外編って言ってた人達の説明をちらっとしておかないとね。
- 14歳以下ですか?
YES-14歳以下であれば、このように対策を作るのは大変かもしれません。だけどね、考える練習、疑問をもつという事は何歳でも練習できます。
ただし、キッズ年齢の場合はどこか1ヶ所が問題!というよりは全体的な体力、精神力、そして集中力も大事な部分になりますので、できないステップの前に「基礎」がしっかりとできているか?を確認しましょうね。
もしかしたら、出来てるって自分で思っているところ、先生に言われない部分で問題がある可能性があります(私が見てきた子達ではこのケースがほとんどです。。。)
DLSだったらキッズセミナーでエクササイズのやり方もご紹介しますし、基礎に忠実なレッスンもできるので、どこで躓いているのか?をはっきりとさせることができますね。
- 私は指導者で、生徒にこの問題があります、っていう人?
YES-指導者の場合、脚を高くあげなさい!という注意や、腸腰筋を使いなさい!みたいな注意は意味がないと思って下さい。
生徒達にSMARTゴールの内容を「指導」するのがみなさんの役目です。
つまり、指導者は何ができなくてその動きができないのか?を見極める目がなければ指導できないし、正しいポジションが何なのか、をバレエテクニック的にも解剖学的にも知る必要があります。
その方向に関節が曲がらなければ、それを注意し続けても無駄です。
また生徒に質問されたらしっかりと答えるだけの知識も必要ですよね、それが指導者になるってことですから。
私は教師のレベルが上がることが、ケガをしないダンサーを増やす方法だと思っているのでそこには力をいれています。
- やってるの(指導しているの)はクラシックバレエですか?
NO-SMARTゴールの一つ、「自分に関連しているか?」は上達するためにはとても大事な項目です。
例えば、新体操で軸脚を180度開く必要がない(だって点数にならないし!!)んだったら、そこに時間をかけていたり、そこで悩んでいたり、はたまたそこでケガしたら本末転倒なわけですよ。
ただし、パンシェターンで脚が180度以上開かなければいけない、っていうのが大事ならばそこに時間をかけたいわけですし。
その為には、床でのオーバーストレッチでもなく、コント―ションでもなく、軸の股関節の屈曲が鍵になります。
そういう勉強をする方が、ただストレッチをやるよりも効果的ですよね?
また他のジャンルを踊っていても、種目でもバレエレッスンを取りいれると上達します(これはオリンピック選手レベルのトレーニングをみても証明されてるし。)
ただ、それを日本のちいさなチームやスタジオでやる場合、効率よくバレエレッスンを「必要なところだけ」取り入れるようにしないと時間がなくなっちゃいます。
このシリーズの最終回はこちら!
Happy Dancing!