DLSを知ってまだ日の浅い人のために…DLSには教師のためのバレエ解剖学講座、というセミナーがあって、モジュール1&2を受講する際、1年間のFBグループサポートがついてくるんです。
ライブで質問に答えたり、復習材料をアップしたりしています。
そのFBグループの中でこんな質問をいただきました。
大人バレエトレーニーさん※がアッサンブレをする時に、シソンヌフェルメみたいになってしまうんです。
体が慣れていないから?克服するカギになる筋肉があったら教えて下さい。
※DLSでは大人でバレエレッスンを受けている方々をトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます
今日はこの質問を全年齢に合わせて(つまり、大人バレエだけでなく!)考えてみたので、
同じような悩みのある指導者はもちろん、アレグロで困っているダンサー自身も読んでみてくださいね。
アッサンブレとは?
まずは言葉から見ていきましょう。
アッサンブレ=to Assemble、つまり集める、という意味の言葉です。
→アレグロ苦手克服大作戦シリーズで、アッサンブレを例にとっていますので、そちらもどーぞ。
普通に行われるアッサンブレは
5番ポジションプリエ
→プリエのまま(オンフォンジュのまま)アラセコンドに脚を出す
→片足で飛ぶ!
→空中で両脚を集める
→反対の脚が前の5番で終わる
まー文章にすると変ですが、伝わりますか?
他にも
アラセコンドではなく、脚をデヴァンもしくはデリエールに出してアッサンブレする場合もあります。
その時、最初の5番と最後の5番で脚は反対になりません。
移動するアッサンブレをアッサンブレ・ポーテ(ポルテ)なんて言います。
これは、ジゼルの2幕、ミルタのソロで斜めに彼女が突っ切ってくるときにやりますね。
すべてに関して言えることは
アッサンブレは
- 両脚が空中で集まる
- 片足で飛んで、両脚に戻ってくる 1→2のジャンプ
だということです。
シソンヌフェルメとは?
次。
シソンヌフェルメ(sissonne fermee)
シソンヌとはアッサンブレのようにカッコいい(?)意味のある言葉ではなくって、
フランスのシソンヌ伯爵が考えだしたステップらしいです。
ただ、伯爵には申し訳ないですが、シソンヌはなんだか星の数ほど色々な種類があるそうなので、今日はフェルメのやつだけ考えていきましょう。
フェルメ、とは閉じた、という意味。
だからアッサンブレの集めるに似ている、っていえばそーなんだけど…根本的な部分が違います。
5番ポジションプリエ
→横(前後でも可)に脚を開いて飛ぶ
→移動した方向に出ている脚で着地
→オンフォンジュのまま反対の脚を5番に戻す
ふー。
最初と最後の形は一緒ですが、
アッサンブレとの大きな違いは
- 空中で脚をはなす
- 両脚で飛んで、片足で着地する 2→1のジャンプ
なのでございます!
アッサンブレとシソンヌフェルメのまとめ
アッサンブレ
- 両脚が空中で集まる
- 片足で飛んで、両脚に戻ってくる 1→2のジャンプ
シソンヌフェルメ
- 空中で脚をはなす
- 両脚で飛んで、片足で着地する 2→1のジャンプ
だから!!
全然違うの!!!!!
この記事にも書いたけど、ジャンプを分析して、どうやって指導しているか?を考えていないと
このような問題にぶち当たってしまいます。
特に指導中、自分が踊ってみせる派の先生は、初心者からみたら、
なんだか5番から、なんだか空中でジャンプして、なんだか5番に戻ってくる
という動き自体は同じに見えるので、「なんとなく」で順番を覚えてしまいます。
新しいステップが出てきたら、それだけ何度も練習する!ということをせず、
いきなりグランアレグロのアンシェヌマンでやったら混乱しちゃうのは当たり前です。
(しまった、と思った方は、ジャンプ分析記事に戻ってね)
アッサンブレとフェルメ、どちらの難易度が高いか?
アッサンブレの方が難易度が低い、とバレエレッスンでは言われます。
シラバスなどで見ても、アッサンブレの方が先に出てきますね。
両手バーで練習できるステップでもあるので、センターにくる前に練習することもできます。
(すべきですよ!!)
フェルメは空中で両脚を開き、片足に戻ってくるという難しさがある。
また、重心が移動するので大変ってのもありますね。
ただ、フェルメの方がちょっと難しい、だけでグランパドシャとかと比べたら難しくはないですよ。
なのに、シソンヌフェルメを正しく出来ていない子は多いです。
なぜか?
ここからは私の勝手な推測ですが、コンクールなどで行われるバリエーションに出てこないからじゃないですか?
だから、コンクールレッスンを考えると練習してこないんじゃないでしょうか?
まー分かりませんけどね。
アッサンブレの練習ポイント
アッサンブレがフェルメにならないようにする練習ポイント、って書きたかったのですが、長くなったので笑
正しくオンフォンジュのタンジュが出来ること!
つまりはプリエとタンジュができてなきゃ無理だって事です。
en fondu=片足プリエだからね。
短い時間にしろ、片足プリエでホールドしている間に、動脚を滑らせ、タンジュするわけで。
そのホールドしている軸脚が安定していなかったり、プリエが浅くなってしまったらやっぱりダメなわけですよ。
また、タンジュした途端、骨盤がずれちゃったり、動かしている脚に重心がフラれちゃったらそれもダメ。
基礎に戻れ、コノヤローってやつです。
片足で地面をける強さと跳躍力
片足ジャンプのカテゴリにはいるアッサンブレですから、
片足で自分の体重をけるという強さがなければいけません。
アッサンブレをやる前に、片足ソテは練習してるはずでしょう?
そこで強さを作っていなくて、いきなりアッサンブレはできないでしょう。
片足ソテはダンサーの足セミナ―でポワントが履けるか?テストにも入っています。
バーの段階で片足プリエ、ルルベ、をしっかりと繰り返し、
バーに頼らずにできるか?骨盤の高さを変えずにできるか?などができていなければ、センターでやれって言っても無理ですね。
つまり、尻尾を垂らして基礎に戻ろう、って奴です。
両脚を空中で集め、5番に戻ってくるセンターの強さと感覚
アッサンブレをアッサンブレにするためには空中で両脚を集めなければいけません。
なので、ストニュール、その前に戻ると、タンジュやジュッテでしっかりと5番に戻し、ホールドする、という練習ができない子は、空中でできません。
内転筋のエクササイズを毎日100回やったとしても、ここの部分は強さだけでなく、
感覚、つまりジャンプしている時のコーディネーションや着地という動きにつなげるという運動能力が必要です。
エクササイズは大事ですが、レッスンがしっかりと出来ていなければやっぱり繋がらないのですよ。
そして、殆どのバレエのステップがプリエとタンジュのコンビネーションなんですもの、
基礎が大事なんですねー(3回目!)
アッサンブレがフェルメになっちゃう場合気をつけたいこと
- バレエ的にそのステップが何をやっているのかを理解しよう
- レッスンでやっている細やかな基礎をしっかりと習得しよう
Happy Dancing!