バレエ留学のために豪州に来てから今年で10年目。
私の学校だけでなく、他の学校に来る生徒も治療する傍ら、たくさんの留学生を見てきました。
日本だけでなく、他のアジア圏、ヨーロッパ、そして田舎からの「留学」など。
プロになる子も、途中で帰って行く子も、他の留学先に移った子も。
今日はそんな経験から「バレエ留学したい」という前、したいかなーとか考えているダンサーへの5つの質問。
バレエ教師の方も、バレエ両親も、もしお子さんが留学したいかな?なんて言い出したらこれらの質問をしてみてください。
答えは出なくても疑問に思う事が大切です。
1.毎日5時間以上踊り続けていけるか?
バレエ留学、というのは本当にバレエで留学します。そしてそれを目指してくるでしょう?
しっかりとリサーチをしないと時々「バレエ学校だと思っていたのに大学にちょっとあるバレエコースだった」なんてこともあります。
そんな悲しいケースはおいておいて。
大体、バレエ留学すると週に6日踊り続ける生活になります。
朝8時ごろからクラスが始まり、自分のクラスが全て終わってからコンクールの練習や特別クラスなど。
結局一日最低5時間踊るけれど、実際はもっと長いことが多いです。
今までそのような環境で踊ったことがありますか?
留学を考えている子は実際にこのような環境で踊ってみるといいと思います。
踊るのが好きで好きでたまらない!という子はこの環境で伸びます。
ですが、踊るのが好きだと「思う」という子はこの環境で落ちていきます。
体やテクニックの弱さも毎日踊ることで出てきます。
1週間だけでも、夏休みだけでもバレエだけ、の生活を試してみたことはありますか?
体はどうでしたか?
短期留学はいいんですか?海外のサマースクールは効果的ですか?
という声が聞こえてきそうなのでこれはまた今度取り上げます。
長くなってしまうので。
<参考ブログ>
2.英語での注意がわかるか?
バレエ留学をするのだから、バレエを上達するために行くのですよね?
上達するためには量を踊っていればいいわけではありません。
質も大事。
その時に大切なのが先生の言っている注意が分かる、ということ。
日本語での先生の注意を100%理解できていますか?
というのにハイ!と答えられる生徒さんはそんなにいないでしょう。
大体、とか感覚で、とかなら分かるけど。
今度はそれを英語で、またはその国の言葉で行わなければいけません。
注意をされる、それは生徒としての仕事ですし、それを直すことで上達するんですよね。
レッスン場では英会話だけでなくバレエ用語、というのが存在します。
ちなみに、私は元々英会話が得意で、英語での日常生活に困ったことはありませんでした。
だから踊っていても困ることはなかった、と思っていました。
が、今レッスンを見ていて、「あー先生の注意をしっかりと理解できていなかったのだ」と分かることが多々あります。
正直悲しいです。
「注意を聞かなかったら、どこでレッスンをしていても一緒」。
スタジオを変えようが、とってもいい先生に習おうが、バレエ団の研修生をやろうが。
何のための留学なのでしょう?
<参考ブログ>
3.どうして留学したいのか?
留学したい理由は何でしょう?
バレエを毎日踊りたいから、なんて言わないでね。
それは日本でも出来る事です。
どうして海外?どうしてその学校?どうして短期留学ではなく長期?
日本のスタジオの先生に言われたから?
誰々ちゃんが留学しているから?
留学しなくてもプロになる人はたくさんいます。
留学してもプロになれない人もたくさんいます。
<参考ブログ>
4.一人で生活できるのか?
1番で挙げたように、毎日生活が忙しくなります。その上、自分で洗濯、掃除、料理をしなければいけません。
ホームステイを選択する人もたくさんいますし、法律上ホームステイや寮で生活しなければいけない年齢もあります。
ですが、彼らはママではありません。毎日レオタードを洗ってくれたり、愚痴を聞いてくれたりしないでしょう。
ホームステイ家族はいい人だけれど、バレエダンサーの生活を知らなくって、普通の料理を作ってくれたり、(ダンサー用ではない、という事。量の多さにびっくり!)
週末に遊びに連れて行ってくれたりするかもしれません。
…本当は休みたいのに。
そういう時、どうするの?
自己管理、というのはバレエ学校だけでなく、日常生活にも関係することです。
今まで自分で全てを管理したことありますか?
分からなかったら、両親の助けを借りず、普通の生活を送ってみましょう。
ご飯を作るところから、学校に行くところから、バレエへ向かい、お家に帰ってきてから洗濯をして宿題をして明日へ備える。
<参考ブログ>
5.将来は何をしたいのか?
留学はゴールではありません。
留学がスタートです。
そこからどうしたいのか?
それが分からないと帰国する時どうするのでしょう?
留学と帰国、はペアで考えるべきです。
スタートとゴール。
だってビザには終わりがあるから。
バレエ団がついているバレエ学校で、オーディションがあるのか?
もしそうならば年間何人の生徒がバレエ団に入れるのか?
バレエ学校のみの場合、卒業生は何をしているのか?
最初に決めたゴールに沿って生活できることはほぼないですよね。
そして、途中で方向転換をすることは大事です。
だけど最初からゴールがなかったら何をしてるのかしら?
どうせ留学するのなら、この経験がステッピングストーンになる様に選びたいですよね。
まとめ:バレエ留学を目指す前に
留学は素敵な経験です。
私は留学したまま帰らなかった人間の一人(ごめんねパパママ)
海外で得る経験の大きさを知っているつもりです。
例えバレエの道を進まなくても、一生の中でバレエだけに打ち込むことが出来る経験はその後の人生を大きく変えます。
だけど、大きなリスクでもあります。
家族の方々にとって金銭的に大きな負担になると同時に、学歴など将来に影響してくることもあります。
今度は留学のメリットとデメリットをお話ししていきましょう。
もしよかったらその前に「バレエを続けるか否か」という記事も読んでおいてください。
同じような話をしています。
Happy Dancing!