ダンサーのためのランニング

Table of Contents

私の働いているバレエ学校は4ターム制なので、一年に4回ホリディがあります。サマーホリディが一番長く6-8週間ほど。

それ以外は3週間休み、という事に政府が決めています。

 

そうはいっても最初の1週間はお休みになりますが、

2週目からホリディクラスといわれる1日に1つのクラスが始まり、3週目はリハーサルが始まっている時期もあります。

 

今回のホリディは3週目にガラパフォーマンスがあるので、選抜されたダンサー達は5日休みがあり、その後クラス、リハーサルが続くようになります。

毎日5-6時間踊る、っていうのから毎日2時間くらいのクラスにかわる、となるとかなり楽なんですけどね。

 

さて、今日はランニングについて書きます。

なぜかって言うと、ホリディ中に体力を落とさないために何をしたらいいですか?と質問されることが多くあるので。

 

体力づくりはもちろん、怪我によってはリハビリにもいいかもしれません。

グランアレグロやオンポワントよりも足に合ったランニングシューズ(プロにフィッティングしてもらえたら一番良い!ファッションではない!!)で走る方が負担が少ないケガであれば。

心肺機能のためのエクササイズ

私がダンサーにお勧めしているカーディオ(cardiovascularの略、つまり有酸素運動)は基本的に3つ。

  • ランニング(running)
  • スイミング (swimming)
  • バイキング(Biking)

そこに縄跳び(jumping rope)なども入れることがあります。

ランニングが一番楽

お金もかからないし、シューズ以外道具がいらないランニングは、手軽にスタート出来やすいですよね。

 

スイミングは関節系のケガをしていたり、リハビリ中だったら素晴らしくお勧めなんだけれど近くに施設がなければ大変なのと、

冬はその後冷えるとか、生理中はいやだ、とか色々な問題が出てきます。

 

バイクというのは動かないジムにあるようなバイク(ステーショナリーバイク)を漕ぐこと。

でも普通の自転車でもいいかもしれませんね。

海外、特に大きな街ならレンタル自転車もあるし、自転車用の道が整備されているので結構安全です。

 

しっかりと座席の高さを合わせればダンサーにとって大切な内側広筋を鍛える事も出来ます

姿勢を正しくキープするのは大変な子もいるのと、機材がなければ出来ません

 

縄跳びはすごくお勧めなのですが、今回のガラパフォーマンスでは膝下に負担のかかる踊りが多い振り付けなのと、

年末公演(つまりガラが終わった直後から始まるリハ)のスワンレイクはひざ下ケガの確率が非常に大きいので今回、生徒達にはお勧めしていません。

*ちなみに、こうやって学校のスケジュールやレパートリーとエクササイズを合わせることができると、一番効率よくトレーニングする事ができます。

ダンサーを診るトレーナーは相対的な運動量と体への負担も計算してあげて下さい。

 

という消去法で、ランニングが一番楽ではあります。

ただ走ればいいってわけじゃない

もちろんマラソンに出ろ、ってわけではありませんから、ダンサーのためのランニングってちょっと違います。

 

まずどうしてランニングをしているのか?を考えましょう

  1. 早く走る、長距離を走るためではない
  2. バレエに使える体力を作りたい
  3. ここでケガしたら意味がない

 

1番目は当たり前でしょ?

だけどね忘れがちなんですよ。

なのでダンサーが走る場合、私は距離を目安にするのではなく、時間を目安にするようにお話します。

 

確かに早く走った方がパワーを作るのには向いていますよ。

だけどさ、

  • 舞台というゴールがあって
  • レッスンというトレーニングがあって
  • その上にサプリメントとして走る

というチョイスをしているのですから、走るだけで舞台のありとあらゆる問題を解決しよう!って言っているンじゃないですからね。

 

いくらゆっくりとしたペースだとしても、毎日スタジオにこもっているダンサーが、自然の中でエクササイズすることはいい事です。

気分転換にもなるし、ビタミンD摂取で骨にもいいし。

鏡がないところでエクササイズするチャンスというのは精神衛生上素晴らしいですからね。

→鏡を見て踊る問題

バレエに使える体力を作りたい

だらだら走ってても、同じペースでコンスタントに走っていてもダンサーのトレーニングにはなりません。

 

1作品を考えてみてください。

同じテンポで踊り続けてたら見ている方もつまらないですよね?

いっぱいジャンプがある見せ場、他の人が踊っているのを見ている時間、走るパ、回るパ・・・

そのような体を作るためにはインターバルトレーニングといわれるものをお勧めします。

 

ちなみに今回のホリディで生徒に説明したのは

  • 5分歩く
  • 2分走る
  • 5分歩く
  • 3分走る
  • 5分歩く
  • 4分走る
  • 5分歩く
  • 4分走る

そして

  • クールダウンで2分

これが30分の計算になります。

(小さい子達には最後のセットをなくして、クールダウンを5分に変更)

 

うちの学校で毎日踊っている子達に提出しているものですから、走ったことのないダンサーは

歩く5分、走る2分を2-3セット繰り返すところから始めてみましょう

ここでケガしたら意味がない

これ、重要です。

ゴールは舞台のためなんだから絶対にやってはいけない事があります。

ゴールデンルール その1 舞台の3週間前からは走らない

いくら走る事が習慣になっている人でも、舞台の3週間前はやらない方が無難です。

なぜか?

それはリハの量が増えてくることと、今までの疲労が蓄積している可能性があるから。

そして3週間前に起きたケガのほとんどは、舞台までに100%回復しません。

ゴールデンルール その2 走るのが下手な子は走らない!

走るのにもテクニックがあります。

早さじゃなくてね。

つま先がターンアウトしちゃって走る、とか膝が中に落ちてしまう、とか、骨盤をコントロールできない、などという問題があったら、それを先に対処しましょう。

つまりトレーニングが必要だってことです。

 

まぁプロを目指している子達がこれくらいの体のコントロールができていなかったら悲しいのですが。。。

ゴールデンルール その3 今ケガしていたらそっちが先

体力をつけるエクササイズはたくさんあります。

例えそれが、床の上でもたくさんあるんです。

走る必要はありません。

まずはケガをしっかりと直しましょう。そっちのほうが舞台で踊れる体作りには大事ですから。

 

いかがでしたか?

これから日本は暑くなりますから、夏休み中にランニングを取り入れたいと考えている人は、早朝を選ぶようにして、水分補給をお忘れなく。

ウォームアップが大事とか、シューズのサイズが大事とか、ストレッチはエクササイズの後とか、いつも言っている事は今回書きませんでしたが、大事である事には変わりませんからね。

 

強すぎる体はないし、舞台で体力が余ったからケガをするダンサーもいません

走ると変な筋肉つきませんか?と聞かれることがありますが、へんな筋肉って何よ?

ちゃんと走れば問題ない。変な筋肉(ってのが存在するのであれば)走り方が下手なんです。

それはどんなエクササイズでも、バレエレッスンでも一緒でしょ?

 

賢く安全にエクササイズをとりこんで、体作りをしてくださいね。

 

Happy Dancing!

Share This Post

Facebook
Twitter
LinkedIn