レッスンを「休む」方法を今日は書いていきたいと思います。
習い事でも、義務教育でも休まなければいけない事はあります。あっていいんです。
でも、根性論大好き保護者(痛くないと努力じゃない!)や、ケガは勲章な先生(私は骨が折れても舞台に立ってたのよ!)、
そして時代アタックを食らわせてくる周りの人達(最近の子達はちょっと辛いとすぐに辞めちゃうんだから!)に囲まれていると
レッスンを休むべき時、休む方法が分からないままで大人になってしまうかもしれません。
そして、次のジェネレーションに伝えてしまうもんだから負の連鎖が終らないというね。
ちょっとでも心の中で「え、でも自分の好きなバレエなんだから休むべきじゃないよね?」
と思ってしまった人はメモをとる準備をして読み進めてくださいね。
体調管理は仕事のうち
まずは何よりも先に。
プロを目指していたら当たり前かもしれませんが、習い事でも体調管理は最終的に本人に任されます。
もちろん、周りでインフルエンザが流行っている(家族がかかったら、全員かかる!)という
環境的&社会的?な部分ももちろんありますが、
免疫力の土台となる睡眠時間の確保や必要な量をしっかり摂取する食事、
そしてダンサーの苦手な「しっかりと休息をとる」こと。
これらは、自分でコントロールできる部分ですし、バレエの先生のお仕事ではありません。
日本には、何が何でも頑張る!というのが美しいみたいな考えがあります。
- ケガをしていても舞台に立ちました
- 痛みを我慢して”努力”しました
- 1日休めば自分に分かり~的な毎日練習が大切です
など。
この記事は2017年に書いたもののアップデート版なのですが、当初から私はそれは良くないよ、と伝えています。
だって、お金を払って見ている人はあなたの100%を見に来るのだから。
ケガや病気は人間として当たり前に起こります。
If(もしかしたら)の話ではなくWhen(いつ)の話ですよね。
だからこそ、「自分に出来る体調管理を徹底」は非常に大切です。
とっても基本的な体調管理チェックリスト
- 必要な睡眠時間をとっていますか?(Sleep Foundationの記事を参考にしてね)
- 必要な食事をとっていますか?(DDDのフミさんの記事も参考にしてね)
- 体と向き合う時間、体をコンディショニングするエクササイズを取り入れていますか?(DLSのボディコンサークルを使ってね)
休んでもいい、と覚えておいて!
スポーツ選手がケガで大会を見送る、というニュースを目にしたことがあると思います。
今、この試合でいい結果が出せず、ケガのリスクが増えるだけならば、次の大会に向けて調整する。
2021年のオリンピックの例では、シモーネ・バイルズ選手が欠場したのもニュースになりましたよね。
- 彼女は自分の健康を最優先させた
- 彼女のチームメンバーには、オリンピックの舞台に立つチャンスを与えた
- 結果、国にメダルを持ち帰った
この流れはバレエ団にもよくあることです。
- ダンサーが自分の健康を優先させてキャストチェンジ
- アンダー、セカンドキャストの人が舞台に立つチャンスになる
- 結果、観客は舞台を楽しむことが出来た
こっちの方が
- ダンサーがケガをプッシュして舞台に立つ
- (大抵は若い)ダンサー達にチャンスが回ってこない)
- 結果、そのカンパニーが出来る一番いい舞台ではなかった
より全然いいはずです。
ですが、世論は
- メンタルを理由に休むなんて!と怒っている人
- ケガしても(病気でも)継続すべきだ!
と言っていましたよね(特に母国アメリカでは)
さっきリンクをつけた日本の記事でも
「アメリカは銀メダルに終わっていました。」と書いています。
- コロナで延期になり
- 隔離、無観客などいつもと違う環境で試合に出て
- そんな中でも、世界の舞台でメダルを獲得したこと
が「終ってしまいました」となるなんて…
体調が良くない場合、痛みがある場合は休んでいいんです。
「休む」は大切なオプションです。
そのような考え方に違和感がある人は、何度も自分に言うか、お経みたいに何度もノートに書いて新しい思考回路をインプットしてください。
出来る限り体をコンディショニングし、予防する
→
早く感知
→
部分的に休む OR 自分で出来るケアをする
→
本番(発表会、コンクールなど)に100%で挑めるように調整する
このサイクルが大切だという事をシッカリと頭に入れておいてください。
スタジオに貼ってくれても、自分のバレエノートに書いてくれても、保護者に配る資料に入れてくださっても大丈夫です。
使った様子をインスタで@dancerslifesupportをタグ付けして教えてくださいね!
(一般公開するのが嫌だったらバレエノートの様子をDMしてくれても嬉しいです♡)
具合が悪いならスタジオにくるな!
いくら気をつけていても、病気、食中毒、風邪…具合が悪くなることはあります。
私のやっちまった系な話を1つ。
実は生のフルーツが苦手なんですが、それをどうにかするため、そして食事をしない時間が伸びすぎないように仕事場や移動中の車で摂取できるように、
バレエ学校で働いていた時からグリーンスムージーを作っていたんですね。
去年のいつごろか、同じ時間帯に呼吸がしづらくなる、熱が出るという症状が出ていたんです。
しかも、彼と私2人そろって。
ロックダウン中、ほかの人に会う事も殆どないし、コロナテストはしてるし。
どうしてだろう…と思っていたらスムージーを作るブレンダーの掃除が出来ない部分にカビが生えていて!!
毎日同じ時間に、同じ症状が出るのは、
毎日同じ時間に、すこーしカビの入っているスムージーを飲んでいたからだと分かりました。
健康のためだったのに、マイルドな食中毒を毎日体験していた私…
具合が悪くなる事はあるんですよ、という話でした。
「レッスンを休みなさい」と言われた時にというブログでも書いたけれど、
病気や風邪だったらスタジオに来ないでください。
それは努力ではありません。
休みたくない自分(もしくは休むのが怖い自分)の意志「だけ」を考えた、自分勝手です。
スタジオに来ている皆、一生懸命レッスンしているの。
その子達に風邪をうつしたら、彼らが上達するチャンスを奪っているんですからね。
コンクールや舞台、バレエ学校試験などは特にですが、
ただでさえ、練習時間が伸びていたり、ストレスで生活習慣が乱れていたり、免疫力が落ちています。
先生としては、合同リハーサルで人が欠けているとイライラするだろうけど、
本番直前にもっと人がいなくなるより、当日病院に行かなければいけない子が出来るよりは
ぜーんぜんマシだと覚えておいてください。
感染しないから大丈夫、と思わないで
具合の悪い子が自分の目の前に座って咳き込んでいたり
何度もトイレに行ったり来たりしていたら、クラス全体の集中や雰囲気を壊します。
たとえ感染しない腹痛だから、と言っても周りに失礼です。
舞台を見に行った時、周りで咳き込んでいる人がするとイライラっとしません?
それと同じ。
- 他の人が100%でレッスンを受ける邪魔をするようであれば
- しっかりと休む方が、早く回復すると分かっているならば
レッスンを休むことが自分にとっても、クラスメイトにとっても1番の行動だと分かるはずです。
バレエ学校では過去に、具合が悪い子がバーレッスン中、カンブレから戻ってくるときに
貧血で倒れ、膝を脱臼した子がいました。
もし彼女が最初から、具合が悪いので見学する、というオプションを取っていたら、
膝蓋骨の脱臼
+
その時に骨が欠けてはさまる
+
手術とリハビリで長い間フルレッスンに戻れない
という生活にはならなかったはずです。
リハ中にバランスを崩した子が、隣で踊っている子にぶつかり、
ぶつかられた彼女が捻挫してしまったケースもありました。
もちろん、バランスを崩してしまうというのは本番でもあり得ます。
でも自分の体調が良くないと分かっていたら、避ける事が出来たかもしれないアクシデントです。
ケガだったらレッスンへ!
病気とは違って、ケガの場合はレッスンに参加できる事が殆どです。
たとえ足の骨が折れていても笑 それ以外の体95%は元気なんですから、いろいろとやることがあるでしょう。
だからこそ、バレエ教師のための月一勉強会では
- このケガだったらこのステップはダメ!
- このケガだったら、こうやってレッスンに参加出来る
- このケガだったら、シューズのここをチェックして
など具体的にケガしている子がレッスンに参加する方法をお話しています。
(もちろん、ケガが起こる原因を理解して予防する方法も勉強するよ!)
ただ、バレエ学校では先生が逐一教えてくれるわけではないため、プロを目指している子達は
自分のスタジオで小さなケガのうちにどうレッスン参加すればいいか?を学んでから
留学してくださいね。
昔、世界各国からプロのダンサー達を招待し、行ったバレエ学校のガラパフォーマンスがありました。
もちろん、プロでもケガします。
ケガしていたダンサーはリハにはしっかりと参加するけれど、痛みの出るステップはやらないとか、レッスンの量を調整するなどをしていました。
そして、本番は100%で踊っていました。
自分の体の声を聞く事ができ、最適なものを選ぶという判断が出来るようになればなるほど、
ケガを予防し、ダンサーとしてのチャンスを増やすことが出来ます。
ただ、
- スタジオまで満員電車に乗らなければいけない→押されてケガしている部分に負担がかかることがあるかも
- 長距離を歩かなければいけない→安静にさせたい箇所を使わなければいけないかも
であれば、スタジオに行かない方がいいかもしれません。
常にフォーカスは
- このケガを早く治すために、一番いい方法は何?
です。
長期に渡るケガの場合、レッスンの代わりに、オンラインエクササイズクラスを受ける方が
- ケガの原因になった体の使い方を修正し
- ケガしている場所に負担をかけなくても、そのほかの筋力を落とさないで
- 自分の体の声を聞く能力や、エクササイズへの理解を増やす
方がおススメです。
長期というのはレッスンに完全復帰までに1か月か、それ以上かかることね。
(何年も、ではないですよ…そう考えている方が時々いるので。)
ただし、スケジュールや金銭的な事も関係してきますし、スタジオの先生が許してくれないなんてシチュエーションもあるかもしれません。
学校の授業で軽く捻挫しちゃったとか、巻き爪が炎症を起こしてしっかりと立てない、なんて時は、
(巻き爪も、マメもケガだからね!)
レッスンを見ているだけでもたくさん勉強はできますから、私はスタジオに行くことをお勧めします。
レッスンの休み方
- 体調管理は自分でやる
- 休む事で早く回復する、というマインドセットを持つ
- 自分勝手な行動は取らない
- レッスンに部分的に参加する方法を学ぶ
という事が出来たら、最後はこちら。
- レッスンを休む連絡をする。
あーまた当たり前な事だと思いますよね。
でもねぇ、出来ないんですよね。
2021年1年続けてきたボディコンサークルでも
ケガしているなら、「申込の前に」教えてください
と書いてあるのに連絡してこない人が多くて非常に困りました。
直前にケガしてきた連絡はくれるけど、その後どうなったか?の連絡がなく次の週に来ている子もいました。
- 自分の具合がどんな感じなのか?
- ケガの回復はどこまでなのか?
このようなことをダンサーは先生(プロデューサー、ディレクターなど)に伝えなければいけません。
〇〇なので××します。
としっかりと伝えましょう。
- 過去のケガですが、膝を大きく曲げると痛みが出る場合があります。自分で調整出来ます。
- 先週のケガですが、完全に良くなりましたが、最後のエクササイズでルルベは辞めておきます。
- 生理痛があるため、動きを調整する場合があるかもしれません。
このように、一言だけで済むはずなんですよね。
別に、あなたのケガに対して15ページに渡るエッセイを書いてください、とお願いしていませんし、
私も読む時間がありません。
でも、事前に分かっていたら、
- このような動きがクラスの中に入るから気をつけて
- 椅子を準備しておいて
と私も一言で事前に連絡できる事があります。
そうすれば、エクササイズクラスの途中で止まらなくて済むので、他の人に迷惑もかかりません。
また、休んでいる様子が画面で見えたら、おなか痛いんだなと思ってクラスを進行するだけです。
- 忘れてた!という場合、「体調管理は仕事のうち」セクションに戻ってください。
- ケガについて言うのは気が引ける…という場合「休んでもいい」セクションに戻ってください。
- 教わってこなかった、という場合は社会に出ている人間として当たり前なので覚えてください。
終る前に、もう一つ当たり前すぎるけど、バレエ学校でよく見てきた事をお伝えしましょう。
レッスンを勝手に休むのは失礼です。
- 昨日も休んだから、先生は分かっているだろうし今日は連絡しない。
- 英語がよく分からないから、友達に伝えてもらう。
というのも失礼です。
考えてくださいね。
プロのダンサーが他のダンサーづてに「今日は踊らないや!」ってディレクターに言うわけないでしょ?
バレエの先生が、火曜日に具合が悪くて休校したとするでしょ?水曜日の子達にも伝えるよね?
そういうこと。
ケガや病気は人間として当たり前に起こります。
If(もしかしたら)の話ではなくWhen(いつ)の話ですよね。
と最初に書きました。
留学しているなら、具合が悪くなる前に英語でお休みの連絡をするテンプレートを作っておくといいかもしれませんよね?
日本で踊っている時から、コミュニケーションをとることを習慣化しておくのも、自立した留学生活のための練習になります。
バレエの先生は、スタジオ内で
- 生徒が連絡出来る方法があるか?
- どうやって連絡してほしいか、どのタイミングか?
- 休むことについてどのような方針があるか?
- 保護者に伝えているか?
などを確認してください。
英語のテンプレのように、一度準備したら毎回新しい生徒が入会してきたときに使いまわせます。
このような安全に踊れるスタジオ作りを相談したい人は先生用の個別セッションを使ってくださいね。
ケガを予防し、早く上達するために、スタジオで準備しておきたいことを話し合っていきましょう。
Happy Dancing!