頭のてっぺんから吊るされているように?引き上げのお話

Table of Contents

久しぶりに引き上げについて書いてみようと思います。

筋肉と引き上げ、表現力と引き上げなど、過去にたくさーん書いてあるので、まだ読んでいない人たちはどうぞそちらもお楽しみください。

 

→ひきあげて、ひきあげて、ひきあげて

→引き上げを深く見る

→引き上げと脊柱起立筋

→ひきあげは必要ないのか?

→芸術的なひきあげ!?

 

 

今日はよくレッスンで使われる(らしい)「頭のてっぺんから糸で吊るされているように」という注意について考えていきたいと思います。

 

吊るされるイメージでできる引き上げ

「頭のてっぺんから糸で吊るされているように」と言う言葉がバレエで言われる引き上げについて語っていることは、レッスンを2度以上受けたことがある人ならわかると思います。

 

このようなイメージはアレクサンダーテクニークだったり、フランクリンメソッドだったりでも使われていますね。

 

この言葉がイメージさせる引き上げは

  • 無駄な力を入れない
  • 頭蓋骨から背骨を持ち上げることで、スペースを作る
  • 背骨のカーブを無理なく伸ばす

と言う感じでしょうか?

 

つまりこんな生徒たちにぴったりの言葉です

  • 頑張り屋さん!なんでも120%筋肉を使わないと気が済まない人たち
  • 引き上げようとすると首や肋骨に力が入ってしまい、結果上半身がそっくり返ってしまう
  • 引き上げると呼吸ができない症候群、引き上げたら体を動かせない症候群

 

吊るされるイメージではうまくいかない場合

とは言っても、吊るされているイメージでずっと踊り続けることは不可能ですし、生徒の癖によっては怪我に繋がる可能性もなきにしもあらず。

 

例えば筋肉を引き上げて使う!と言う場合、よく見られるケースでは

  • お腹がペローン
  • 膝のお皿が持ち上がらず、膝関節に乗っかっちゃう(もしくは膝が緩んじゃう)

 

このような子達の「引き上げ」の場合、吊るされるイメージではうまくいきません。

だって、力の入れ方がわからない子達なんだもん。

 

また、筋力がなく、背骨に座り込んじゃう子(脊柱湾曲を伸ばせない子)であれば、

吊るされるイメージでプレパレーションはできるかもしれないけれど、踊りだしたらすぐにデロってなっちゃいます。

 

踊りの中でも使えない場合がありますねー

  • プチアレグロみたいに素早く動かなければいけない
  • ピルエットやターン、特に早かったり2回転以上の場合
  • アラベスクの後ろ足を素早く前のタンジュオンフォンジュ、みたいに上下の方向転換

こういった動きの場合、吊るされていると言うイメージでは難しいのが事実です。

 

 

言葉の持つイメージと解剖学

レッスン中の言葉で、イメージが連想させるものってとても大事なツールです。

だけどそのイメージがどの部分をどう動かしてもらいたいのか?を考える必要がありますね。

 

例えば頭から吊るされる、と言う事は解剖学的にみると

頭蓋骨から引っ張るから、その下についている背骨たちは自然と伸ばされる

しかも筋肉のどこを使って!と言ってわかんなくなっちゃう代わりに、頭と地面との距離が広くなるため、伸ばさなければいけない状況を言葉から感じることができます。

 

ただ、もともとふわふわーって踊ってしまう子やプリエが深く踐めない子。

もちろん、踊りの雰囲気にもよって変わってくるということが通じたかしら?

 

そういう子達であれば、そしてある程度の年齢であれば

骨盤底筋群が下から、腹横筋が周りを、そして脊柱起立筋が背骨一つ一つを支えてくれている。

その筒のような感覚を無くさないように回転する、と説明する方がいいかもしれないし、

(コアマッスルについての記事はこちら)

 

ちっちゃい子たちであれば膝のお皿、持ち上がるでしょ?だから軸足ではその子を上げておいてね、とペアになって練習する必要があるかもしれない。

 

レッスン指導に使える表現力 と言う記事でも書いたけれど、1つの言葉が生徒たち全員に、そしてレッスン全てに使えるわけではないんです。

そしてその言語を増やしてくれるのは、先生の表現力もそうだし、解剖学的理解やバレエステップの意味していること(アダージオをアダージオに踊る、みたいにね)かもしれませんね。

 

レッスン中に「頭のてっぺんから糸で吊るされているように」といわれたら

まとめとして、レッスン中にこの注意を言われた場合どうすればいいか?を考えてみましょう。

 

  • 変に力んでいないか、特に肩、肋骨、そして首回りの力みをチェックしよう!

 

  • 縮こまっていないか、つまり自分を一番高い位置でキープして立つというバレエスタンスが出来ているか見直してみよう!

 

  • 強い軸を感じているか?すべてを体のセンターに集めてくるイメージ(内転筋、骨盤底筋群、腹横筋・・・体を中心にもってくるイメージで働く筋肉たちは、バレエダンサーにとって大事な子達!)をもって。

 

様々な過去記事のリンクをつけてしまったけど、もう一つ一緒に読んでおきたいものは「首の力みがとれません」という記事かな。

 

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Happy Dancing!

 

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