ターンアウト=パワー!?
どういう意味だ、って思いますでしょ?
話は14年前にさかのぼります・・・
バレエ学校時代、ターンアウトについてすごく色々といわれました。
日本にいた時はターンアウトしなさいね、と抽象的に言われてたんですが、
校長から、ステップとステップの合間だとか、ジャンプの踏切りだとかで開いていないと、
もっと具体的、そして派手じゃない部分(笑)で言われました。
まー何度も言われるわけだから、そのうち耳ちくわになるんですよ。
え?耳ちくわって何か分からないって??
ちゃんとした症状ですよ。
先生から言われた事が「あーまただ」となって右耳から左耳に抜けていくこと。
及び
脳みそを通過せず、穴から穴へ流れていく様子
を指すれっきとした言葉でございまして、佐藤愛辞書に載っています。
その他の言葉としては
- 足のそーめん
- 足指にゃんにゃん
- 足首のぴき
- 膝ウサギ
- ロボットダンサー
など色々とございます。
そのうち本にまとめて出版しましょう(←嘘ですよ!)
話がずれました。
同じことを言われても、直す方法がイマイチ分からない。
これはダンサーだったらきっと分かる感情です。
おしりを使って、といわれてもなんだかなーだし、
股関節からターンアウトして、と言われても、やっているつもりだし。
ふくらはぎを前にまわして、なんて言われた日には、自分のふくらはぎとにらめっこですよ。
おい、俺のふくらはぎよ、お前、まわるのか???
眺めているうちに、ふくらはぎの太さだけに目が行くようになってきて、
あーやっぱり私はダンサーになれないんだ。
涙でぼやけた視界の先には、ダイエット特集の載っているバレエ雑誌・・・
言われたことが直せない自分にイライラする
というだけでなく、
そんなの分かってるよ!という逆切れに繋がることもあります。
どちらにしても、私はダメな子なんだ、という感情に繋がることには間違いなし。
ターンアウトが出来るってどういうこと?
そもそも、踊っている時にターンアウトがどれだけ出来ているか?なんて測れないんです。
でも、プロを見ていると、体の方向を工夫して、軸脚が開いているように見えたり、
早い動きの中でも神経が「抜けている」時間がないよう細心の注意を払っています。
でもね、演技をしている時に
「ターンアウト、ターンアウト・・・」と呪縛のように唱えていたら、
役になりきれませんから、毎日の練習で体に叩き込んできたマッスルメモリーなのでしょう。
だからね、ターンアウトは180度開きます!ではないんです。
- 回転中のルティレで開かれた太ももが見える
- 5番ポジションからジェスチャーレッグを出した瞬間に、軸のかかとが逃げちゃわない
- 片足プリエの時にひざが前に落ちない
そういう部分がターンアウトが「できている」になると私は思う。
このまえバレエ学校の中間試験の試験官をやってきましたが、
先生達がターンアウトがホールド出来ていない、という言葉を使っていたところからも、
ターンアウトを踊りのなかで使うという部分がおおきなカギであることは確かです。
そして、それは気が抜けていない、隅々まで意識している証拠。
ただね、彼女は意識していないけど笑
意識してきた毎日の積み重ねが見えるわけですよ。
そしてそれがパワーなの。
ターンアウトというパワー
日々の積み重ね=パワー
- ここまでやっていますということ。
- 気にかけて、大事に育ててきたターンアウト。
- そのためのエクササイズを続けてきたとい自信。
これがパワーになるのです。
180度の一番ポジションがパワーになるんじゃない。
そこにもってくる過程の努力がパワーになるんです。
もちろん、ケガをしづらくなるとか、脚の形が変わるとか。
正しいターンアウトをしてきた事で生まれるメリットはたくさんあります。
そしてそれもダンサーのパワーになる。
- ケガして休まなければいけないと、皆凹むでしょ?
- 脚の形が変わった自分が分かれば、勇気になるでしょ?
これがパワー。
パワーは身に付けられる!
パワーは勝手に天から降りてきません。
どんなスーパーヒーロー系の映画、ドラマ、マンガを見てもみんな努力して手に入れてくるはず。
もしくは、自分が持っているパワーをコントロールする術を学ぶはず。
ターンアウトできてますか?本はそのパワーを皆におすそ分けするために書きました。
知識としてターンアウトを知ることで、「私はターンアウト出来ない骨格なんだ」と悲しくなる事がなくなります。
だって、そうじゃないよ、って書いてあるもん。
どこを、どうやって努力していいのか説明してあります。
プリエ、タンジュ、そして脚を高く上げたとき、デヴァン、アラセコンド、デリエールで必要なターンアウトをお話しています。
だから、ただ、床でターンアウトすればOKじゃないの?という人達をパンチできます。
ベーシックス、つまり軸足の4つのターンアウトエクササイズにプラスして、
自分の苦手なエリア、例えば
- デヴァンでのターンアウトがキープ出来ない(私はこれだった!!)
- アラセコンドでお尻が上がっちゃってターンインに見える、
- デリエールの後ろかかとが天井をむいてる
などを解決するためのエクササイズがいっぱいと、
そーはいっても股関節が硬くて困ってるンですという人達のために
リリースとストレッチを7つ紹介しています。
ええ、セミナーでお会いする皆さんは知っているように、私はあまりストレッチを指導しないので、
7つもいれてきた事自体にびっくりするかも!
でもね、開脚とかスプリッツは入ってないよ。
意味ないもん。
19歳の愛ちゃんは、ターンアウト=開脚だと思ってました。
開脚は問題なくできるのに、ターンアウトを注意されるという事実を結び付ける術を知りませんでした。
(気づけよ・・・って感じですよね?→そのストレッチ役にたってます?)
ターンアウトが出来ない、とロシアの先生に言われて、あ、私はダメなんだと思っていました。
だって、この人達は練習しなくても出来るみたいだし。
(いや、練習してるんだって!!→ロシア人だからターンアウトができるのか?)
なによりも、同じことを言われ続け、先生にため息をつかれる辛さも分かります。
でもね、材料を持っていかなかった自分の責任でもあるんですよ。
股関節の柔軟性を調べたら世界レベルトップ10%に入るらしいことも、
ターンアウトがしやすい股関節の形だったということも、
踊りを辞めてから知りました。
なんで出来なかったの?
それはパワーが足りなかったから。
正しい知識のパワー。
正しい練習のパワー。
そして何よりも、継続し、努力するパワー。
最後に残るのは誰?
10年以上プロになる子達を見ています。
フラットターンアウトを持っている子達だけが残るのではないです。
つま先がすごく伸びる子、体操をやっていて跳躍力が半端ない子が残るのでもない。
最後に残る子は、先生の言うことを聞き、努力のできる子でした。
あ、いい先生だった、というのに限るけど笑
ターンアウトが出来ていないままで踊り、ケガをした張本人として、
そしてそのせいで踊りを辞めた人間として、
毎日ケガをしているダンサーと向きあっている治療家として。
このトピックはとっても大事な、皆に知ってもらいたいこと。
未だに、DLSに「治療家からバレエに向かない体だといわれました」と言われてくる相談メールをもらうと、
腕まくって、殴りこみに行くぞ、と憤る自分がいます。
よかったね、私が日本に居なくて。
いたら、絶対殴りこみにいってるよ。
そしてその様子を隠し撮りしてYouTubeにあげてるよ?笑
ま、いい大人になった私はそんな事できませんが(?)、
ターンアウトできてますか?が努力をする方向性を示して、
あなたのお尻を叩く、バーチャル愛さんになりますように。
Happy Dancing!