ダンサーをサポートしたい人への5つのアドバイス

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ダンサーをサポートしたい人への5つのアドバイス

 

ダンサーのサポートになるような活動をしていきたい人にアドバイスはありあすか?

という質問を2016年のオフ会で聞かれました。

 

時間も押していたのでその時は2つだけ答えましたが、今日は5つのアドバイスを書きますね。

すべてのアドバイスが当てはまるかは別として、考えるきっかけになったら嬉しいです。

 

アドバイス1 職業としてのダンサーを応援してください。

この点はオフ会でお話ししましたね。

ダンサーをサポートしたいなと考えている人はまず最初に、ダンサーを「サポート」して下さい

つまり職業として成り立つようにサポートするということです。

チケットを買って舞台を見る。

 

これを全くせずにダンサーをサポートしたいと考えている人が多いのにはびっくりです。

これはダンサーからお金を稼ぎたい、の間違いではないでしょうか?

(もちろん、そう思っている人は少ないでしょうが)

 

小さなバレエスタジオは無料で発表会をしていることもあります。

これって、スタジオ側にしてはすごく大きな出費になります。

そしてこれに向かってダンサーたちは一生懸命練習をしているのです。

彼らの最終ゴールである舞台を見ることで、治療やトレーニングでどこに向かえばいいのか分かるはずです。

 

もちろん、職業としてダンサーが成り立たない場合、治療やトレーニングに回すお金もありません

ボランティアでなく、職業としてダンサーをサポートしたいのならば、職業としてダンサーをサポートする、ということも行わなければいけないはずですよね?

 

p.s

この部分、ダンサー自身も無視しています。自分のなりたい職業を実際に舞台で見ることが出来るというのに、Youtubeでいいって感じ。

将来、自分が舞台に立って、がらがらの客席をみてから反省してほしいものです。

踊る人(供給)と見る人(需要)のバランスが整って初めて、仕事として成り立つのですよ。

ビジネス初級です。

 

アドバイス2 レッスンを見てください。

レッスン場でケガは起こります。

舞台で脚をひねるとか、脱臼するとかということは稀です。

よってレッスンを見ることで危険因子を発見することができます。

 

もちろん、彼らの言葉や生活を理解する必要があるわけですから、これをスキップしてはいけませんね。

仕事が欲しくて、コネクションを作る、という考えではなく、レッスンを受けている、という立場で参加してください。

そのようなコネクションを作れるようにDLSではオフ会のようなイベントを行っています。

同じようなことに興味がある人が集まるオフ会で、出会った先生にアポを取り、レッスンを見学する。

それだけでダンサーたちから信用されますよ。だって、歩み寄っている、ということは本当に分かるから。

 

クライアントの話を聞いています、という人も多いのですが、クライアントの声「だけ」聴いている、というのはちょっと危険です。

もし、そのダンサーが先生に言われていることを100%理解できていたら、注意されないし、ケガしないはずなんです。

それが出来ていないから、皆さんのもとに来るんでしょう?

 

私も、生徒の言っていることと、クラスでの先生の注意が一致しない事をよく見ています。

意図的に先生の悪口をいう人もいるし、本当に先生の注意が理解できていない場合もありますが、レッスンを見学すると見えてくることはたくさんあります。

お母さんの言葉、というのも危険です。

彼女たちはレッスンを受けていません。先生が言ったことを生徒がお母さんに話して、それが私たちのもとへくる。

伝言ゲームが難しいのは知っていますでしょう?

どの情報が正しいのか?を見分けるためにもバレエレッスンへの理解を増やすことが必要です。

 

アドバイス3 ダンサーは学生だと理解してください。

教師のためのバレエ解剖学講座や、治療家・トレーナーのためのセミナーを行うと絶対にくる質問が、

「平日は参加できませんので、休日のセミナーを検討して下さい。」

というもの。

 

ダンサーを目指そうが、目指さなかろうが、義務教育は義務教育です。

そして私はダンサーに勉強してほしいと思っている。だってどこでその知識が役に立つか分からないから。

勉強をしないでバレエに没頭したい人って多いんだけれど、学校での知識もバレエに素晴らしく役に立ちます。

様々なスポーツをこなす運動能力やチーム力は小さなバレエ団で必要です。

日本史、世界史は海外で生活するのに必要だし、英語はもちろん。あげればきりがないですね。

 

なので、ダンサーをサポートしたい、と思ったら彼らの勉強できる日、つまり休日や祝日は彼らに回したいと思っています。

彼らと仕事をしたいと考えると、このような時間帯を探さなければいけなくなります。

この根本的な「サポート」が出来なければ、職業として彼らをサポートするのは難しいと思いますよ?

 

夏休みなんてコンクールや発表会がいっぱい詰まっているんですもの。

お盆休み返上で働く治療家・トレーナーの元へダンサーが集まるのも理解できます。

 

アドバイス4 ダンサーに頼られるのがゴールではありません。

私個人の考えかもしれませんが、私の最終ゴールは仕事がなくなることです。

これもオフ会でお話ししました。

ダンサーが困っているから私のもとに治療やリハビリに来るんですよね。

だから最終ゴールはレッスンの内容がすごくよく、効率的にダンサーがトレーニングできるため、そしてケガをしない体作りができてるため、私の仕事がなくなることです。

 

ま、それは現実的ではないかもしれませんが、ダンサーがオーディションやツアー、そして海外留学でも自分を保てるような知識を与えるのが私の仕事だと思っています。

なので1年生は色々なエクササイズを教えること、2年生はそれらのエクササイズを自分で組み合わせるようになることを、バレエ学校のクラスのゴールにしています。

この調子が悪いな、と思ったら自分でリリースなり、トレーニングなりができるようになってほしいのです。

 

だって、ツアー中、スケジュールも過密の中でケガせず踊ってほしいんだもの。

また、この痛みは大丈夫、この痛みはまずいのでプロを探す、ということも考えてもらうように話しています。

医者との話の仕方や、意見のもらい方も話します。

結局、私たち治療家・トレーナーも、ダンサーの独り立ちをする手助けをしていると思うのです。

 

アドバイス5 まずは1つの分野を達成させましょう。

今でこそダンサーの治療も、トレーニングも、セミナー講師も英語、日本語で行っています。

が、最初はダンサーでした。15年くらいバレエの世界にどっぷりつかっていました。

 

そしてその後治療の道に行きました。これを5年くらい行い、治療にある程度自信ができた後、ピラティスを勉強し、バレエ団の研修について、ダンサー専用のリハビリを勉強しまいた。

それが終わった後でやっとセミナーを始めたんです。

 

だから、まずは1つ、自分で分野を絞って勉強してみてください。

確かにね、トレーニングも、レッスン指導も、治療もすべてダンサーに必要な事なんですが、一つずつレベルをクリアすることで自分の興味のある分野や、やりたくない仕事、そしてリミットなどが見えてくると思います。

 

もしかしたら、まず最初のステップは大人バレエを毎週受けてみて、ダンサーの気持ちを知ることかもしれません。

もしかしたら、舞台をたくさん見て、レッスンを見学することかもしれません。

そこで舞台を見るのがつまらなかったり、ダンサーへの気持ちが薄れたら、治療やトレーニングの勉強を始める前に分かったから素敵じゃないですか!

 

プロのダンサーになりたい!と思っている夢みるダンサーたちが、実際にタフなバレエ学校生活を送ってはじめて、「あ、これは私の道じゃないんだ」と気づくことが沢山あります。

それは悲しいことではなくって、自分を理解した、というおおきなステップです。

これって、自分の職業でも必要だと思います。

小学生の時に、職業体験とかしましたでしょう?そんな感じ。

 

ダンサーのサポートをする仕事って、治療家、トレーナーだけではないですよ。

バレエ教師のほとんどは個人営業主です。その人達に分かりやすくビジネス運営を指導するのもダンサーのサポート。

衣装づくりやコスチューム作り、舞台化粧のアドバイスだってサポート。

海外で一人暮らしできるだけの英語力を指導するのだって、

ダンサーがプロ生活をやめて次の道を探すのを手伝うのだって、

発表会の裏方や、資料作りの手伝いだってサポートなんです。

 

老人ホームでバレエを使ってエクササイズや、生きがいを持ってもらうのも、

障がい者にバレエを教えて表現の幅を広げるのも、サポートなんです。

 

だからどのエリアに進みたいか?じっくり考えてみてください。

 

最後に。

ダンサーと仕事をする、というのはグラマラスな仕事ではありません。

毎日のごとく、トウシューズ脱ぎたてのくさい脚と向き合い、10代特有のムードにつきあい、そんでもって、せっかくケガが治ってきたのにディレクターに言われた振付で酷くなる、なんてことがいっぱいです。

18あたりでプロになる子たちは世間知らずですし、バレエママほど怖い人種はいません。

ストレッチするなって何度言っても目撃するし、レッスンを休むな、って言っても休んじゃうし。

ぶつぶつ・・・

 

だけどやりがいがある仕事です。

プロになっていく子を見るのも、あこがれの学校に入学した子を見るのももちろんですが、

冬期バレエ講習会発表会でお母様から「2日目は泣いて帰ってきたんですけどね、スイッチが入ってもっと続けたい!って言いだしました」なんて言ってもらえるのはすごくうれしいです。

 

バレエをやめて、晴れ晴れしい顔で次のステップに進んでいく姿もうれしいです。

やれることをやった、自分で結論を出したっていう姿。

意識改革。これがこの仕事をやっていて私が一番好きなところです。

 

 

Happy Dancing!

ai

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