DLSのフィードバックシートには「今悩んでいる事は?」というコラムがあります。
進路、テクニック、体型、表現力、バレエスタジオ運営、親子の関係・・・
まー様々な悩みが書いてあるのですが、今日は首のリキミがとれない!という声にお答えしてみましょう。
首のリキミとは何?
踊っている時に首がマッチョになる(笑・・・って書きたいが笑えない)見た目の問題から、
首が固くなり、エポールマンが付けられなくなる=ラインが崩れるという問題や、
スポットがつかない、首の膠着から重心が後ろに落ちてしまう=テクニックへの影響などすべてをここでは指していきます。
ホールドしている時、バランスをとろうとしている時、ジャンプの踏切りの時・・・
などその場所だけで起こるときもあれば、
バレエになったらいつでも首が力んでしまって・・・という方もいますね。
という事でいくつか原因があるので今日は4つの原因を見ていきましょう。
ちなみに1番が一番多くみられる原因で、番号が上がるにつれてあまり見られない(けどありえる)原因を並べてみました。
原因その1:コアの弱さ
首と全く関係のないように感じますが、大事なところ。
簡単にいうと、体がしっかりとサポートされていないため、首に影響が出てしまう、というケースです。
特に踊りこんできている子達にはよくある問題。
テクニックはある程度こなせるし、ポーデブラを柔らかくしなきゃいけない、とかステップをスムーズに踏まなければいけない、っていうのは分かっているし、練習をしてきている。
ただ、基礎となる体の芯の強さ(コアの事ね)が出来ていないから、どこかに力みがでてしまう・・・という場合。
あえてここでは体幹、腹筋、とかではなく、コア、とお話しているところにも注目してください。
このような子達はプランクは結構できるし、腹筋もできるように見えます。
もっともっと、深くて目に見えずらい、そしてコントロールしずらい部分の問題です。
しかもコアはぎゅっと力を入れていればいいような筋肉でもないので、力を入れ過ぎる=筋肉を使うことだ、と間違えて理解している頑張りやサンは要注意です。
コアの説明、そしてイメトレの方法は既に記事にしているのでコアマッスルについてのシリーズを読んで下さいね。
腹筋も弱いんであれば、下向き腹筋の様にぎゅっとしない動きの中で、首や肩に力が入っていないか?を確認することができますから、そちらも参考にしてください。
原因その1.5:ポーデブラが正しく出来ていない
1.5、と書いた理由は上の「コアが使えない」と繋がっているから。
上で、「テクニックはある程度こなせるし、ポーデブラを柔らかくしなきゃいけない、とかステップをスムーズに踏まなければいけない、っていうのは分かっているし、練習をしてきている。」
と書きましたが、そこまで練習を重ねていないダンサーの場合、ポーデブラにも影響が出てきます。
コアは目に見えない、体の深いところだから指導するのが難しいですが、ポーデブラも下手だったらたぶん当てはまるでしょう。
どーんなポーデブラをしようが、どんなメソッドで勉強してこようが。ポーデブラには3つのゴールデンルールがあります。
- 体のスタンスは腕の動きに影響されない
- 肘は絶対につっぱらない
- 肘は常に両肩の外側にあり、脇が潰れてしまう事はない
これが出来ていなかったら90%以上は首も力んでいるでしょう。って事はコアが弱いって証拠です。
原因その2:呼吸がうまくできない=胸椎エリアが固い
呼吸が正しくできなければ首に力みが生まれてしまいます。
呼吸する時に使いたい筋肉には主に働く奴らと、サポートする奴らがいます。
難しいから飛ばします。(ダンサーの呼吸について昔記事にしてあるので、そちらもどうぞ)
サポートする奴らは首回りについている事が多く、主に使いたい奴らが正しく働かなければサポートたちが頑張り過ぎちゃいます。
んでもって、首の力みが目立つようになってしまいます。
主に働く奴らがしっかりと働けない原因の一つ、特にクラシックバレエダンサーに多いものは胸椎が固いことです。
この前、その理由とか、どうやったらエクササイズができるか?って事は既に記事にしてあるので詳しい説明はそちらを読んで下さい。
胸椎、胸郭。
やっぱりダンサーに甘く見られているエリアですよ!
ちなみにこのような上半身の使い方、先生方もどうやって注意したらいいのか分かっていないのが事実。
呼吸とかポーデブラとかっていうのは教えられてきた人が少なく、感覚で出来てしまう人が舞台に残るようになります。
だから実際に指導となると困っちゃうのですねー。
この部分、教師のためのバレエ解剖学モジュール3でカバーしています。
この5月もまた戻ってくる講座ですが、前回の参加者の皆さんから
「見落としてた!」「意外に分かっていなかった!」「もっと勉強が必要だった・・・」
といい感想をもらっています。
ターンアウトや足を高く上げる、つま先を伸ばす・・・なんていう部分と比べてあまりお話されていない部分ですものねー
でもさ、プロのダンサーでターンアウトがそんなにできていない人は多いし、甲の高さも様々だけれど、
ポーデブラが汚いひとっていないって知ってます?
やっぱ甘いなー
原因その3:癖
これはダンサーの癖、というよりも指導されてきた内容からの癖、という事がおおいです。
小さい時に、難しすぎるステップをやってきている子達は、難易度の高いステップをこなすだけの体が出来ていない事が殆どです。
年齢的に、身体的に不可能なステップをやってきている場合(ポワントを履く年齢が低すぎるのもここに入ります!)
そうすると、原因その1であげた現象が起こります。
たとえ、体がその後強くなったとしても、首の注意をされることってほとんどレッスンではありませんから、癖として残ります。
そうすると直すのに時間がかかって大変です。
私個人としては、ターンアウトを教える方が、首のリキミを外すより簡単ですし、短期間でできます・・・
そういう子達がリハビリに来ると時間がかかって大変なのよー
先生方、後生ですからステップの難易度と体、考えてあげて下さいね!
原因その4:ネガティブな感情
これはびっくりされる人が多いかも。でも大事。
感情と姿勢、というのは強くつながっています。
首のリキミの感情、というと
恐怖、しりごしみ、緊張、不安(を押し殺そうとしている)、自信のなさ(を隠している)
なんていう感情になります。
最初の説明に、「ホールドしている時、バランスをとろうとしている時、ジャンプの踏切りの時・・・
などその場所だけで起こるときもあれば、バレエになったらいつでも首が力んでしまって・・・という方もいますね。」
と書きましたがこれと感情は強く結びついているの、分かります?
頑張らなきゃ! 失敗しないようにしなきゃ! 回転苦手だから緊張する・・・
なんていう感情がステップの直前に来ることもあれば、
バレエレッスン自体に緊張、不安なんていうものがあってレッスンすべてで首の力みが取れない人もいます。
ただ、注意を聞いているだけで首が力んでいる人もいます。
このような人達に首をリラックスさせて!といっても無意味です。
リラックスさせなきゃ!という強迫観念にやられてひどくなっちゃいますから。
その場合、どうしてその感情があるのか?という根底を考える必要がありますし、
その感情を変える練習も必要になってきます。
これも癖から来る場合があり、昔失敗した経験、先生に怒られた経験、もしくは苦手なステップへの意識なんて言うものがあったら、やっぱり直すのが難しいですね。
メンタル、こんなとこでも大事です。
いかがでしょうか?
ヒントになったら嬉しいです。
Happy Dancing!