レッスンの時「マーキング」とか「マークしてみましょう」とか言われたことありますよね?
マーキング、ネコとかが縄張りのためにつけるやつじゃなく、
しるしを付けるって方の意味合いで、音楽と共に振り付けをやってみる事で頭の中に「マーキング」しておく、という意味合いです。
バーでは行われることがほとんどないと思いますが、
センターなど難しい振り付け、早い振り付け、もしくは音の取り方が難しい時に行われますよね?
リハーサルなどでは、体力温存のためにすべては踊らないけれど、場所取り(=つまりはしるしをつけているんですよね、頭の中で)などを行う時に使われますね。
これね、ただの準備運動だと思って甘くみちゃいけないと私は思います。
プロのマーキングと生徒のマーキング
ウォームアップやバーレッスンと同じで、プロダンサーがマーキングを行う場合は全く話が違いますから、そこは最初に頭に入れておきましょう。
プロの場合、毎日のレッスンはその後行われるリハーサルやマチネのためのウォームアップです。
生徒の場合、レッスンが上達のための場所、つまり仕事場であり、先生が発表会の役割を決めるオーディションの場でもあります。
ですからプロはダラダラのウォームアップギアを着ていてもいいし、自分が好きなようにポーデブラをつけてもいい。
お化粧や髪の毛とかに気を使わなくてもいいかもしれません。
ジャンプをやらない人を見たり、レッスンの途中でいなくなるダンサーを目にしたこともあると思います。
(ケガしているダンサーは自分が出来るところまでやったら、ジムに移動するという事が多々あります)
バレエ雑誌の有名なバレエ学校生徒達をみて分かるように、
生徒たちはレッスンでダンサー(オーディション)にふさわしい身づくろい、自分の見せ方も練習できる場所なはず。
そして上達するために先生に直してもらいたいのだから、自分のラインが見えない服装は圧倒的に不利です。
ウォームアップはその人の体力、筋力などから計算するので、上手な人、体力のある人のウォームアップは激しいものになります。
普段動かない大人バレエトレーニーさんにとっては、
バーレッスンの一番最初のウォームアップタンジュが大変だけど、毎日踊っている人にとってはその名の通り「ウォームアップタンジュ」です。
ちっちゃい子のグランアレグロは左右にトンベ パドブレ パドシャかもしれないけど、
プロの場合、マネージ(円形に動く)、ダイアゴナルターン(斜めに向かって回転)も取りいれた、長いアンシェヌマンになりますよね。
バレエレッスンやウォームアップの基準は、そのクラスに参加するダンサーに合わせてあると覚えておいてくださいね。
(=自分のレベルじゃない人をマネするんじゃないよ!)
生徒がマーキングをするメリット
何度も生徒、って言葉を使っているけれど、これレッスンに来ている生徒ってことね。
年齢やレベルは関係ないけど、プロダンサーではないという意味でとってください。
生徒の場合、マーキングが何のために行われるか?を考えてみましょうか。
- レッスン内でより多く踊るチャンス
- 自分の苦手な部分の練習
- 先生に見てもらうチャンスが増える
というようなメリットがあるのがマーキングなんです。
例えば体力づくりが課題の子であれば、マーキングにしっかりと動いておくのは大事です。
だって他の子よりも多く動けるですもの、しかもスペースはあるし、音楽はあるし踊る床もある。
絶好の練習場所じゃないですか!
同じ理由で苦手なテクニックをしっかりとマーキングしておくことで、イメージトレーニングになったり、マッスルメモリーを作ることになりますから、
苦手克服にも大事な時間になるはずです。
そして最後のポイント、「先生に見てもらうチャンス」っていうのはオーディションや講習会などではとても大事な事!
- マーキング中に何か間違った事をやっていたら、違う音で踊っていたら教えてもらえるかもしれません。
- なにかキラリと光ることができたら、お?あの子チェックしておこうかな、と思ってもらえるかもしれません。
踊る回数が増えるということは、見てもらえるチャンスが増えるという事なんですから。
私が主催している講習会ではマーキングの様子をみて、この子はどういう性格だ、とかどういうダンサーだ、とかを考えています。
冬期バレエ講習会のように毎日続くレッスンの場合は、毎日のマーキングで彼らの集中力や体力を見ています。
例えば、最初の日は気張っていたのに、2、3日目になるとマーキングでダラけている子。
本人はダラけているなんて思っていないかもしれませんが、
- スペースを使っていない、
- ただ立っている、腕だけでやっている
- 昨日言われた注意を考えている素振りがない
などが見えたらダラけているように見えちゃいますよ。
しかも隣で、その正反対の事をしている子がいる訳ですから、比較材料も考えてみようね。
マーキングで音を正しくとりなさい!
マーキングがどれだけ大事か、が分かったところで皆に伝えたいことを書いておきましょう。
DLSのセミナ―では音の取り方を細かく言います。
どんな怪我をしていても、体が硬くても、振り付けに慣れていなくても音をとることは出来るでしょ?
多くのダンサーはマーキングの時に振り付けしか考えていないんですよ。
だけどさ、振り付けには音楽も含まれているのよ。
なんとなく遅れていたら、アクセントがしっかりととれていなかったら振り付けが正しくできているとは言えないよね?
そして、マーキングで音をとっていなければ、本番にとれるわけありません。
特に首の方向、腕の通り道までマーキングすること!
上と同じ理由にもなるので、まとめようか、と思ったのだけどこの部分が出来ていない子達がすっごく多いから別に分けました。
首の方向、腕の通り道、練習していますか?
たぶん、そんなところまで気をつけていないでしょうね。
今回の冬期バレエ講習会で皆に言った言葉です。
例えコールドでも、20人に対し何千人というお客さんの比率でしょ?
そうしたら後ろ姿、手の先、足先・・・すべてに気をつけていないと誰がどこを見ているか分からないんだから。
その続きとして、ソリストを目指していたら、プリンシパルを目指していたら。
その何千人という目はあなたを見ています。
一挙一動を、しかも結構シビアな目で。(自分がバレエを見に行く時を考えてみてよ、絶対色々見てるでしょ?)
首と腕のコーディネーションは表現力に直結します。
表現力を助けます、とかじゃなくて、直結します。
言葉がなく、遠くのお客さんには表情の微妙な違いが見えないんだからさ、
腕と顔の向きで何を考えているのかや、キャラクターの性格を表現しないといけないんでしょ!?
早く首をつけたら、しっかりと横にエポールマンをしたら強いイメージになるし、
今回練習したジゼルの2幕の様にいつも手をクロスさせていたり、目線が下だったら与える印象も変わります。
DLS表現力セミナ―でもらうフィードバックに絶対にかかれている悩みがあります。
「表現力をどうやって練習したらいいか分かりません」
「表現力も練習したいけれど、テクニックも練習させたい。時間が足りません」
- 毎回のレッスンで与えられた腕と顔の方向を守り、それでも崩れないテクニックを作る
- 音楽に合わせて踊れるテクニックを身につける
こうやって表現力とテクニックを一緒に練習するのがバレエレッスンではないでしょうか?
次回のレッスンでマーキングに気をつけてみよう!
次回のレッスンでマーキングを活用してあげて下さいね。
先生によっては、そこまで厳しく音の取り方や、顔の方向、腕のポジションを指摘してこない人もいます。
これには2種類あって
- そんなのもう、知っているでしょ?バレエのルールを守りなさいよ
という人(海外のワークショップには多い。)と
- そこまで考えていない先生
というのがいるのが事実です。
でもね、プロになり振付家やバレエミストレスと仕事をしていると、「どうやって表現したい?」とか「感じたままで踊って」といわれることもあります。
そういう場合(そして先生に聞くことが出来ない環境の場合)は自分で考えてみましょう。
クラシックバレエのテクニックにはある程度決まった法則があります。
この動きではこの目線、このパはこの音の取り方など。
(例 アロンジェの時は指先を見る、パドシャの後ろの足は素早く下ろす、など)
そのような部分も自分勝手にならないようにマーキングで練習してくださいね。
Happy Dancing!