昨年からオンラインで継続しているボディコンサークルでも
ブログ記事でも私はよく「体の声を聞く」という話をします。
でも「体の声を聞く」っていったい何を指しているのでしょうか?
- フィーリングワード?(何かの比喩?イメージだけ?)
- 本当に聞こえるの?
- 何の事を言っているの?(3年石の上に座って瞑想必要?)
- 才能が必要??
ダンサーに必要(だと愛さんが再三言っている)な体の声を聞くという意味を今日は考えていきたいと思います。
体の声とは?
「体は声を発するか?」と聞かれたら答えはYESです。
皆さんが喋る時に使う筋肉はのどの中にありますよね?
発音を左右する口の形や舌の場所なども筋肉だから、喋ることも筋肉を使う運動の一つになります。
だから歌手は歌を歌うためにトレーニングしますし、ウォームアップしますよね。
長くDLSをフォローしてくださっている人ならご存じのように、私はメルボルンにあるパフォーマー専用クリニックで働いていた為、
そこでオペラやミュージカルシアターの人達と仕事をする事もありました。
Vocal unloading というテクニックは、歌を使う時に使う筋肉の治療の一種。
Vocal hygineというのは声をいいコンディションで整えるために行う日々のケア。
大きな公演が続いた後は、voice rest、声を休めるという日を作るように説明されます。
でも「体の声を聞いて」というのはここじゃないんだよね。
体の声というのは様々な形で聞こえます。
- 痛み(これはすぐ想像がつくでしょ?)
- 感覚(ダンサーだったらバランス感覚や筋肉が伸ばされている感じ、ジャンプの手ごたえなど)
- 疲れ具合・疲れが抜けづらいなどのリカバリースピード
- 体調不良
- 集中力低下
ここらへんは、そーだよね、と思ってくれると思うんだけど、その他に
- お腹のすき具合やのどの渇き
- 心拍数の上がっている感じ(ドキドキする、すぐに息が上がるなど)
- なんでだか分からないけど、気づいたら体中に力が入っていた、筋肉の緊張がある
- 呼吸が浅い、早い、気づいたら息を留めていた
- 何かに敏感になる(音とか、誰かの意見とかネガティブな意味)
- イライラ、感傷的、いつもの自分じゃない感じ
- 疲れているのに眠れない
- 好きだったことに興味が持てない、人に会うのが面倒
- 怪我の治りが遅い
なども体の出しているサインです。
「いっくらストレッチしても体が柔らかくならない」と悩んでいる人がいた場合、
これも体の声の一部だと気づきましたか?
上のリストにあるように、筋緊張、おなかすいた、のどが渇いたが分からない、集中力低下というものが体の柔軟性に影響する場合があるからです。
体の声を聞くのは英語のリスニングと似ている
お腹がすいたかどうかは別として、集中力が落ちたとか、何かに敏感になっている自分に気づくとかって難しくない?
と思いますよね。
- お腹がすかないくらい熱中しているって、集中している証拠じゃない?
- アーティストな私はセンシティブだから雑音に敏感なだけ
- 舞台前だもの、眠れないで当たり前
- 疲れが抜けないのは年のせい
こういう声はセミナーもそうだし、ボディコンでも聞きます。
私も踊っている時、長くケガをしていたのにも関わらず体の声を聞くなんてやっていませんでした。
というかアクティブに無視していた、と言った方が正しいかも。
- 痛いのはダンサーとして体を使っている人間の普通
- お腹がすいていても無視するのが努力
- 疲れていてもプッシュすべき
- 毎日踊っているんだもの、朝起きるのが辛くても、レッスンに行くのが楽しくなくても当たり前
こうやって無視していたからケガをしたのか、
体の声の聞き方が分からないから、聞こえなかったのか…
私のケースでは両方でしたが、皆さんはどうでしょう?
長期のケガが治らず、レッスンに行くのが楽しくなくなり、バレエ留学が辛くなり、卒業はしたけどバレエを辞めた。
というのが私のバックグラウンドだけど、バレエはまだ好きなようです。
だって今この仕事をやっているから。
つまりバレエへの愛情がなくなって辞めたのではなく、体の声を聞くことが出来なかった代償が
長年の夢を諦める結果につながったという事ですよね。
→愛さんの留学記シリーズはこちらから
体の声なんて分からないけど、普通に生活出来てるよ?
ボディコンでお話しているんだけど、体の声は英語のリスニングのように、慣れないと聞こえないもの。
英会話のビデオとかで、
- 何かしゃべっているのは分かる(口は動いているし、音は聞こえる笑)
- 身振り手振りで何か伝えているのも見える
- 質問系だったのかどうかは、なんとなく想像がつく
としても何を言っているのか分からない時がありますよね。
それとか、
- 洋楽は歌詞が分からないから、勉強しているときに聞きやすい
とかありません?
これ、これ。
体の声も一種のランゲージだから、慣れないと聞こえないし、無視する事もできちゃいます。
間違った発音で覚えてしまう事もある。
- 例えば痛い=いいこと
- 空腹=努力してる
みたいに。
例えば、長期ダイエットをしているダンサーは空腹サインを無視する練習をしているため、
ぎりっぎりにならないと分からないかもしれません。
そのため、空腹に”なる前に”(本当はなってるんだよ、感じないだけで)体に必要なエネルギーがなくなってしまい、
- 集中力が落ち(脳みそはたくさんエネルギーを使う)
- 筋肉は弱くなり(体はエネルギーが足りないと、筋肉を壊してエネルギー源にする)
- ケガはしやすくなり(筋肉だけでなく、体の組織の修復が遅れる+集中力低下)
- 常にイライラする人になります(攻撃的な方が、狩りが成功するから、という体のサバイバル能力)
長年無理やりストレッチをしているダンサーは、関節の痛みをストレッチの努力と勘違いしている事がよくあります。
自分の力で自分の関節を捻挫させたり、亜脱臼させてりしていますから…
まわりの大人の責任もあると思います。
私もずっと腰が痛くて、バレエの先生におススメされた治療家さんに診てもらった時に
「脊柱分離症だね」と言われて漢方とマッサージで終りました。
あ、あと学校にコルセットをして通っていました。
中学生だったので、言われたことをただやっていましたが、これは
- 脊柱の疲労骨折である(漢方飲んで踊ろう!なんてやっている場合じゃない)
- 成長期スポーツ障害であり、後遺症が残る
というケガです。
→成長期に起こりやすい、成長期スポーツ障害を予防するレッスン指導についてを学ぶセミナー
- ストレッチは痛いもの
- 痛くないと努力じゃない
- 泣きながら練習して、夢をつかめた
的な事を聞いていると、体の声なんてシャットダウンされてしまいます。
たとえ周りにバレエを知っている治療家がいなくても、
体の声が聞こえていて、どう対応するかを知っていたら
- 避けられたケガ
- 救えたダンサー
- バレエの後に、好きなスポーツやアクティビティを楽しめる人
が増えるはずです。
でも上達するためには頑張らないといけないよね?
確かに。
私も、他の職業と比べ、狭き門であるプロダンサーを目指すならば頑張らないといけないと思います。
ありのままの自分では足りないとも思います。
ここで質問。
「OOを頑張っています」「OOを努力しています」
という場合、OOに当てはまる行動は次のどちらでしょうか?
- 自分の得意な事、好きな事、簡単にできる事
- 自分の苦手な事、弱点、難しいと感じる事
多くの人が後者だったと思うけれど、私は前者だよ、という方は是非インスタのDMで教えてくださいね。
すごくレアなケースなのでお話聞きたいです。
自分の苦手な事、弱点、難しいと感じる事を「頑張る」事が努力だと仮定した場合、
体の声を聞くことができない、苦手なダンサーが「頑張る」べき行動はどっちでしょう?
- いつもやっている、”自分をプッシュする”行動を続ける
- 海外バレエ学校やカンパニーでダンサーのケガ、リハビリを担当してきた専門家(私ね)の意見を聞いてみて、やったことがない”体の声を聞く”を練習してみる
いやー自分を痛めつけてきたつもりはないんだけどね、という方で
そうとは言っても、ケガ、痛み、イマイチ100%で踊れない、という状態にいた場合
「同じことをやっていたら、同じ結果しか出ない。」
というコンセプトを考えてみてください。
そして体の声を聞く練習をちょっとずつ取り入れてみてください。
今日は良く寝たかな?くらいのレベルからスタートでOKです。
長く踊りたいなら、早く体の声を聞く方法を学ぼう
ケガしているわけでもないし、プロを目指しているわけでもない。
そんな、大人バレエトレーニーや、バレエ教師の皆さんでも、
体の声を聞くべきか?
答えはYES。
理由は簡単で、体しか生活のツールがないから。
例えば車のタイヤ。
- 溝が浅くなっていたら、滑りやすくなるって分かるから、交換しますよね?
- 雪が降っていたら、チェーンつけたりしますよね?
- ちゃんとアライメントが整っているか、定期的に整備しますよね?
など、安全の為にやることがありますでしょ?
オイル交換ですよーというランプがついたり、
ガソリン半分以下になりましたよ、というラインが常に見えますよね?
これを人間の体でやってほしいわけよ。
どうせ買い替える車よりも、一生交換出来ない自分の体の方を大切にしてほしいんだけど、
ダンサーはそうはしないよね。
そしてバレエの先生も。
DDDのフミさんが良く使う
「東京から大阪にドライブするけど、ガソリンは入れないで根性で走ってください」
と同じように、
いくらいいレースカーだとしても、整備せず、ガソリン入れず放っておいても動かないわけ。
- 目で見える事(タイヤの溝のように)
- 環境によって変える事(雪の日のチェーン)
- 定期的にケアする事(整備)
- 栄養や水分を補給してから、動かすこと(ガソリンやオイルのように)
体の声はこういうのを教えてくれるためにあります。
そして体の声を聞き、行動を起こせるダンサーであればあるほど、
長く好きな事を続けていくことが出来る体を手に入れる事が出来ます。
どうやって聞いていくの?という事は
すっごく長くなってしまうのでそのうちオンライン学校か何かにしますが、
今すぐにできる事としてはこの記事に書いた、体の声リスト(記事の最初の方に書いた感覚、痛み、疲れやすさ、とか)をバレエノートに書いてみましょう。
どういう意味か分からなくても、まずは聞き取りの練習からしてみようってことね。
もちろん、ボディコンサークルやエクスプレスに参加してもらって
私と一緒に体の声を聞くだけでなく、その後どうするか?を学んでくれてもOKです。
バレエノートなんて書いてないよ、という人や
真剣に体の声を聞く練習をしたいと思っているけど、ボディコンサークルの時間に参加する事が出来ないという方のために、
3月1日に出されるメルマガに体の声チェックリストをつけておきます。
3月1日までに無料登録しておいてくださいね。
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*この記事を2022年3月1日以降に読んでいる方へ
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Happy Dancing!