子供であればある程度の年齢になってから、
大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)だったら最初のレッスンからいきなり!
リンバリングというものが出てくるかもしれません。
ストレッチのことみたいだけど、いったい何?
そしてレッスン中に、前にストレッチしたらいけないんじゃなかった!?
どうしたらいいのか分からないのはダンサーだけでなく、先生もそうだったりします。
今日はそのバーとセンターレッスンの間に出てくる謎の動き、リンバリングについて考えてみましょう。
リンバリングとは何?
まずはDLSらしくここ。
一体全体何を指してるの?ということで、言葉を見ていこうね。
リンバリング=limbering
limberという形容詞、動詞のing形となります。
limberという言葉の意味は(筋肉が)しなやかな、柔軟な、という意味です。
つまり、flexibility、柔軟性のお友達言葉になります。
ただ、バレエレッスンでのリンバリング、というのは、
バーレッスンが終わり(だいたいは、グランバットマンで終了)、センターレッスン(だいたいはアダージオから始まる)の間に休憩時間のように入れられています。
- バーに脚を乗せてプリエやポーデブラを行うもの
- 自分で脚を持ってプリエやデベロッペをするもの
- 自由時間!?ということで好きなストレッチをする
という大雑把にわけてこんなことが行われます。
動く前にストレッチしちゃっていいの?
DLSでは何度もストレッチについて書いてきているので、読みたい人は右上の検索バーに「ストレッチ」と入れて検索して下さい。
ごっそり出てきます笑
今日の話はストレッチについてある程度知っている、と仮定して書いています。
分からなかったら、自分で勉強しに戻って下さい。
無料で置いてありますから、もってけドロボーです。
動く前のストレッチはダメなんじゃないの!?
そう、動く前の静的ストレッチは危険です。
上で挙げた3つのうち、2つは完全な静的ストレッチではないですし、
音楽に合わせて行うため、長時間筋肉を緩め、副交感神経優位になるものでもありません。
だから正しく行っていれば大丈夫。
一番最適か?と聞かれたら、もしくはケガをしている子だったら?と聞かれたら
私個人としてはうーん、と思います。
- 使いたくないところを伸ばし
- 使いたいところを鍛える
- 使い過ぎたところをリリースする
というエクササイズゴールデンルールで考えると、振付の中で行われるリンバリングでそこまでいけるのか?とは思いますが、
振り付けならば、ダンサーは嫌でもやらなければいけない、というのも事実ですから。
(気をつけなければいけないところは下に記述しておきます。)
バレエ学校やカンパニーでのリンバリング
バレエ学校では、リンバリングまでが試験内容に入っている事があります。
でも、それを見ている試験官はあまりいません。
生徒達は動いているけど、私たちはその時間でメモをまとめていたりします。
理由は簡単です。
試験官はあなたの柔軟性が見たいのではないから。
貴方の「踊り」が見たいからなんです。
そして踊りの中で使える柔軟性で初めて、見るに値するのよ。
試験官だけじゃなく、ダンサーの体をチェックする仕事の人であれば、
リンバリングでの動きの質や可動域と、実際に自分でやっている動きの質や可動域を確認し、
何が足りないのか?を見ていることもあります。
カンパニーであれば、ダンサーが好きなことをやっていますね。
world ballet dayとかでも見られる風景です。
でも、その風景に騙されないこと。
彼らは
- ダンサーの仕事をしている(つまり、皆が叶えたい夢を叶えている)
- 朝のレッスンはウォームアップ、本気じゃない
- レッスン前にジムでトレーニングなどをしている人達もいる(施設が整っている)
- 自分のスケジュール、ケガ、癖をコントロールできている
人達なわけであって、何も知らない初心者でもなければ、
バレエダンサーを目指している学生でもありません。
そういう人でも、ロイヤルやオーストラリアバレエなどは、25カフライズをやれといわれているわけです。
オーデイションではリンバリングが内容に含まれるところと、
ないところとあるみたいです。
でも、オーデイションで行われている場合、フリーに柔軟しなさいね、みたいな感じが殆ど。
リンバリングのゴールは何?
ではリンバリングのゴールは何なんでしょうか?
ある程度のレベルになれば、この時間に体の声を聞いているのでしょう。
バーレッスンで汗だくになったのならば、使った筋肉の緊張をほぐしてあげているのでしょう。
45分間集中したので、呼吸を深くしてリラックスさせ、集中力を呼び戻してみるのもいいですね。
だとしたら!
- 体の声を聞けない人、正しいテクニックの形が分からない人はやるべきでない
- 使っていない(感じない)筋肉はストレッチする必要はない
もっと言っちゃうと、どうせ見られないんだから
- 美しくなくて(=高く脚をあげなくて)よい
という事が分かります。
リンバリングでも、ストレッチでも、そこで出来た動きがセンターでできるわけではありません。
- グランバットマンで早く、高く脚を上げたかったら、スピード、筋力が必要です。
- アダージオで高い足をキープし続けたかったら、ホールド力、持久力が必要です。
- スプリッツジュッテをしたい場合、ジャンプ力、空中で止まるバロンがなければいけません。
だからゴールは何なのか?をしっかりと理解する必要がありますよね。
つまり先生たちがレッスンでリンバリングをさせるのであれば
- どのレベルの子達がいるのか?
- どの筋肉をよく使うクラス構成をしたのか?
- センターレッスンの最初に行う動きはなにか?
というところを考えて、その上で
- リンバリングの正しい方法を指導する
という事が必要になります。
勝手にいきなりできません!!!!
やっといてね、なんて言うンじゃないよ?
リンバリングで気をつけたいこと
ダンサーの場合、やりたくないけどやらなければいけないという事があるかもしれません。
(先生がストレッチを強制しますという記事参照)
ここではリンバリングで気を付けたいポイントを書いておくので、
知識を武器にして、自分の体を守りましょう。
振り付けが決まっている場合
上げている脚に目がいきがちですが、自分でホールドしなくてよいので、
軸脚の力、ターンアウトがお留守になりやすいです。
ということは、軸脚の足、膝、股関節をひねっていることに!
また脚を持って行う場合は特に、腰、骨盤に気を付けて。
重いもの(脚)を持つときに、背中を丸めていると腰椎のケガに繋がります。
正しいテクニックはリンバリングでも必要だと覚えておきましょう。
フリーにできる場合
バーレッスンで疲れた部分をリリースしてあげるのはよい手です。
例えば、バーをつかってふくらはぎをマッサージ、
マッサージボールの上に立つ、など。
座りこむと体が冷えるし、主要な筋肉のスイッチオフになってしまうので、
立ってできる事を探すとGood.
バレエの立ち方ブックに載っている前ももストレッチ(前ももの緊張をとり、後ろ側を感じやすくする)
バーに脚を乗せて行う中臀筋のストレッチ(中臀筋の過剰緊張は骨盤を傾けてしまう他、内転筋を感じづらくする)
などもいいかもしれません。
肩をさげて!首を力ませないで!なんて言われている人だったら、
このエリアをストレッチしてスイッチオフするのは大事ですね。
春のボディコンディショニングセミナ―でやったようなセラバンドをバーにかけて行うエクササイズや
えんぴつピックアップのようにジャンプで使う大きな筋肉たちを確認するもの、
王道のプランクやカフライズなどをやってもいいでしょうね。
まとめ レッスン中のリンバリング
リンバリングとは柔軟運動のことで、バレエレッスンに取り入れられることがあるけれど、
どこまで脚があがるか?がゴールなのではなく、
センターレッスンの前に体を整えたり、ちょっと休憩や、メンタルの準備をする時間。
体を対話する時間であるということ。
なので
- リンバリングでケガをする
- リンバリングが原因でケガをする
のだけは避けたい!!
知識は体を守ってくれますが、知ってるとやってるは違うよ!
次のレッスンで早速取りいれて、体の声を聴く練習をしましょう。
Happy Dancing!