8月の来日に引き続き、9月の来日セミナ―が無事終了し、三寒四温改め三寒四暑なメルボルンに帰ってきました。
ということで来日後お決まりの、赤裸々日記としてセミナ―中に感じたことをシェアします。
今回の目玉はなんといっても表現力セミナー!
このセミナ―自体は毎年9月(=芸術の秋)にやっているんだけど、今回は東京と大阪の二都市開催をすることが出来ました。
キッズとティーンという2種類のグループがあり、それを2日間×2か所で行ったのね。
見学者も含めるとこのセミナ―だけで100人以上のダンサー、ダンサーをサポートする親や教師の見学者と時間を過ごすことができたのは、それ自体が宝物です☆
宝物なんて大げさな、って思うかもしれないけれど、
プロを目指すダンサーを応援する仕事をしているため、このセミナ―参加者、そして関係者はドストライクで私の一緒に仕事をしたい人達なんです。
だから嬉しかった。
だからこそ、たくさん問題点も見えました。
この赤裸々日記では表現力セミナーを振り返りながら、バレエをやるならば(どんなレベルでも!)皆に知っておいてほしい点をシェアします。
ルールを守ろう
持ち物、セミナーのルール。
これは表現力セミナーに申し込んでくれた人達全員に「同じ文章を」送っています。
そして、そのメールに空メールでもいいから返事をしてね、と言っている関係上、
みんなの元に届き、みんなが読み、みんなが返信してくれているのをデータとして持っています。
なのに、忘れ物がある。
なのに、ルール違反がある。
ルール!?
そう、DLSセミナ―、特に見学者OKにしているセミナーではルールを書いています。
ルールって言い方は変かもしれないけど、スポーツでもルールがあるでしょ?
参加者が安全に、そして不正がなくフェアプレーが出来るように。
ルールというのもはどんな世界にも存在します。
これをやったらOO点という点数に関するルールだったり、
ボールを手で触ったらダメだよ、この線を超えたらダメだよ、というものだったり。
ドーピングのようにみんなが健康に、そしてフェアにプレー出来るようなものだったり。
そして守らなかったら退場させられます。
メダル剥脱されます。
今回のメールでは「スタジオ外のバレエワークショップに挑む前に」という記事のリンクと、
表現力セミナー(持ち物が書いてある)リンクをつけてありました。
「ダンスクラス」の持ち物に、「体のラインが見える長袖」と書いてあったらフィットするトップスを選ぼうよ。
ダンサーがレッスン内でいう「体のラインが見える」というのと、日常生活での体のラインが見える、は少し違うというのを覚えておきましょうね。
だって、体育の授業でレオタード着ないでしょ?笑
ま、その点はこれから気をつけてね、といえばOKなんだけど、
「無地の長袖Tシャツ」と書いてあるのに無地じゃないTシャツを選んでいた人達(複数形)がいました。
ミッキーの顔は無地とは言わないのだよ…出来たら無地だったらリブ編みになっていない方が良い。
オーディションでは、ルールに沿った中でどれだけ自分を美しく見せられるか、自分の個性を出せるか?というところまで見られています。
レオタードのカットや色の時もあるし、今回みたいに(指示内で)好きなものを選んでいいよって場合もあります。
今回、どうして長袖Tシャツを指示したか、というと
コンテでフロアワークをやるため、肌の摩擦を減らし、
汗をかくシーズンだし、その後のクラスでクラシックに戻った時に滑ってケガしないため、という理由がありました。
ただ、「プロを目指す子達」の「表現力」セミナー。
自分らしさを表現する格好で来てくれるかな?という思いを込めて講師3人がピックアップした指定(ルール)だったんですよ。
指定があったら、「どうしてそうなのかな?」と相手の気持ちを読み取る。
- どういうダンサーが欲しいのかな。
- ここで求められていることは何だろう。
- どうしたら一番よく出来るかな?
頭を使ってレッスンするってこういうところでもあります。
荷物管理は、自己管理。
更衣室に棚があるのに、荷物を床にぶちまけているのはなぜ?
他の人が足の踏み場もないところでどうやって着替えるの?
今までバレエバックの管理は貴方のお母さんがやってくれていて、今回お母さんが更衣室に入れないから問題になったとしたら、自立の面で問題があり、
いつものスタジオでも床にぶちまけているならば、しつけ(家・スタジオ両方)の面で問題があるのでは?
案の上、忘れ物は多発でした。
そりゃそうだよね、床に色々落ちていたら分かんないもん。
バレエシューズ、バレエタイツ、履いてたパンツまで!
資料は最初のクラスで既に床に落ちていて、水井さんがひろう、という問題もおきました。
その資料、バレエ学校の留学情報だったらどうするの?
オーディションが毎日入っているスケジュールで初日にシューズ忘れたら、そのあとどうするの?
「オーディションの年齢までには直します」
ティーンはすでにオーディションの年齢です。
キッズでも、コンクールに参加する理由が奨学金や短期留学ならば、10歳でそれくらい管理できるようにならないと。
ってかね、オーディションウンヌンの前に。
小学生中学年で、自分の荷物管理が出来ないってどうか?!
サッカー選手がボール忘れてたらどう思う?
バイオリニストが弦を置いてきちゃったら?
ダンサーがシューズ忘れるってそのレベルだよ?
(タイツ、パンツは論外)
バレエダンサーだけでなく、スポーツで世界に行く人達は早くから大人と同様の責任が必要になります。
オリンピックの遠征でお母さんが荷物を持ってくれると思いますか?
短期留学の学生寮に、家族が片付けに入れると思います?
自分の荷物を忘れちゃうような人に、舞台のプロップを任せられないよ。
目指しているのが世界なら、世界に対応するテクニックだけでなく、
世界でサバイバル出来るだけの生活力、自立が必要なんです。
この部分、ダンサーの卵セミナ―でも親向けにお話していますけど、ダンサーも知っておいてほしいし、練習しておいてほしい。
だって、練習のし過ぎでケガしないエリアだから。
ちなみに、今回春まではキッズで受けていた子が、初めてティーンで参加することになりました。
つまりティーンの最年少ってことね。
あえて、地元の東京ではなく大阪を選び、お母さんと一緒に大阪入りしたそうですが、
自分でキャリーを引っ張って新幹線に乗り(そのせいで初日背中が痛かったらしい笑)
大阪にきてから、スタジオまでの交通は自分一人でやり、
いつもは見学に来てくれるお母さんはホテルで待っていて、その代わりに携帯を三脚で立ててレッスンを撮影。
レッスン内容だけでなく、移動体力や練習もしてくれました。
今回ではありませんが、北海道から何年も参加してくれていたキッズは(14歳以下)、
自分で飛行機を調べ、お母さんと一緒にクレジットカードで航空券を買う練習をし、
4日間のキッズセミナ―中、ホテルに戻っても一人で練習していた、とメールで教えてくれていました。
そして気づいた改善点をメールで後日送ってくれています。
「道中は車移動が多いので、歩く体力もつける必要がある」
この気付き、ジェットラグもあり、車がつかえない海外オーディションではとーっても大事になるのよ。
14歳で、そこまで出来るって事です。
失敗する自由を奪わないこと。
上で挙げた2人の例は、両方ともすごくサポートしてくれる親がついていました。
親のサポートって、なんでもやってあげる、ではないんですよね。
サポート。
支援したり、助けたりすること。
問い合わせなどに答えて手助けすること。
つまり、お母さんが「代わりにやってあげる」ではないんです。
バレエスタジオでは全国共通で暗黙のルールである、スタジオに入ったら親と喋らない。
というのも、入り口、そしてセミナー開始前の説明でお話させて頂いていますし、
更衣室にはダンサーしか入らない。
というのも同様、入り口か受付(会場によって違ったけど)と、セミナー開始前の説明でキッズにはお話させてもらいました。
ティーンは14歳以上なので、流石に更衣室に入って着替えを助ける必要はないでしょ、と思った私が甘かったよ。だって居たもん。
2日間あるセミナ―で、どうして2日目にも「更衣室に入らないで」といわなければいけないのでしょうか。
更衣室に入らない、には理由があります。
更衣室が狭いからです。
親がいたら邪魔なのよ。
貴方の子供はいいかもしれないけど(それもどうかと思うぞ?)、他の子は他人の前で着替えたくないのよ。
それ、公共の場でやったら痴漢だよ?
思春期の女の子達のロッカールームに入る、って事だからね??
子供に話しかけないで、と言ったら話しかけないでください。
ここにも理由があります。
自分の力で講師の話を聞き、分からないところがあったら「自分から」質問してほしいからです。
表現力の一つに、自分の思っている事を相手に伝える、というものが含まれます。
舞台であれば、「振付家の想いを、自分の体にのせて、観客に伝える」というのかもしれないし、
レッスンオーディションであれば、「プロになりたいんだ!という熱量を、レッスンの中で、ディレクターに伝える」かもしれません。
でも、言葉や行動で、相手に気持ちを伝えるというのは表現力で、それは練習しないと身につかないのよ。
お母さんがメモとっていてくれるから。
お母さんが聞いてくれるから。
これでは彼女のためにならないんですよ。
私は母親ではありませんから、「愛さんに親の気持ちなんてわからないわよ!」と言われちゃうかもしれません。
でもバレエ学校に10年以上務めていたということは、10年以上同じ年齢層の子供と親の関係性を見てきたということであり、
成功する子供(成功という意味はプロだけではない)と、親がどのようにコミュニケーションを取っているのかを研究してきました。
誰一人として、子供を失敗させよう、って気持ちではない。
それは分かります。
でも、っていうか、だからこそ?
先回りして失敗を防いでしまうんでしょうね。
でもね、バレエのケガもそうですが、小さいケガでリハビリの練習をしておくと、
大きなケガをする確率も落ちるし、ケガしても対応できる力が身につきます。
自立だってそう。
今のうちにやっておかないと、海外留学した先で鬱、パニック、周りと調和できない…などの問題と対面することになります。
その環境で一番辛いのは、子供本人なんです。
だから、DLSセミナ―みたいに日本語で、日本で、そして親が見学できる環境で、
彼らを手放して、後ろで腕を組み、母ちゃんはここで見守っているから、鬼の愛にやられてこい!って送りだしてください。
例え、悔し涙を流して帰ってきたとしても、それが成長に繋がるはずですから。
ダンサーの前に人間として…
今回、両会場でキッズグループ(10-14)とティーン(14以上)でおおきな差があったのは、テクニックではありませんでした。
クラスはほぼ、同じものをどっちでもやりました。
クラスの注意の理解力?
ごめん、それもあまり違くなかったよ笑
どちらのクラスでも、クドゥピエアラセコンドの説明したもん。
あと、バーから手を離す方法や、顔を横につけるっていうのも一緒。
じゃ、何が違かったのか?
並び方と挨拶。
並び方、というのはO人ずつ、と言われたときのスペーシング。
挨拶っていうのは…挨拶。
どちらにせよ、外部セミナーで週末返上で、元劇団四季や元ヨーロッパカンパニーメンバーの人達に言われることではないのではないか?と私は思ってしまう。
並び方は確かに、スタジオ内でしか出来ません。
だけど、いくら小さなスタジオでも2人ずつ、とか3人ずつ、5人ずつ2グループで、とかやるでしょ。
なんで出来ないんだろうね。
先生がひっぱって「あなたはここです」ってやってくれていたのかな?
挨拶っていうのはスタジオ以外の問題ですね。
スタジオに入ってきて、ドアのすぐ隣に受付テーブルがあったら、無言で立つか??????
(素通りする子もいたし、親の後ろでぼーっとしている子もいた。貴方が受けたいクラスなんだよね?)
「おはようございます」って言えと習ったことはないか?
何かしてもらったら「ありがとう」、出来たら「よろしくお願いします」、まで言えるといいよね…
って書いていて空しくなってきたよ。
これが日本語で、お母さんが引率してくれる場所で出来なかったら、
海外のピリピリしたおおきなオーディションで、英語(もしくは他の外国語で)、一人でできますか?
それでも貴方はバレエ留学したい、ってコンクールでスカラーシップを目指すのですか?
そのまえにやらなければいけない課題がたくさんあるでしょう?
今回の東京ティーンは、2日目の最後に私が6年間のDLS生活で初めて
「貴方たちを1年かけて育てたい」と言わせてくれました。
上手だから?
いやいや笑 上で書いたように、クドゥピエアラセコンドがどこ?のレベルです。
でも、何がよかったか?
全員ね、スタジオに入ってきて、私と目があったら挨拶できるの。
1日目に出来なかったところ、2日目には練習してきているのが分かるの。
初コンテだったり、初DLSだったけど、積極的に前にでたり、終わったら私から「帰れ」と言われるまで練習していたの。
ああ、そうそう。
忘れ物率、ゼロ。
Happy Dancing!