このまえ来た質問。
アラベスクでお尻の筋肉だけ感じてしまい、お尻が大きくなってしまうんじゃないか?って心配です。
アラベスクでお尻の筋肉を使ってもいいですか?
答えは「はい」です。
以上!ではまた来週のブログでお会いしましょう♡
では意味がないですよね。
片方のおしりのほっぺには大臀筋、中臀筋、小臀筋+外旋六筋がいるから、混乱してしまう事もあるかもしれないし、
お尻を使う=お尻が大きくなる、でっちりになる、って思っている人もいるので一緒に考えてみましょう。
大臀筋とデリエール
大臀筋はデリエールに脚を動かす時に絶対に使います。
とっても大事です。
でもこの部分は「ターンアウトできてますか?」にすごい文字数と筋肉図付きで説明していますので、
そっちを読んでいない人はまずは本に戻ってください。
いーや、本なんて買いたくないよ。
無料の情報がほしいからブログに来たんだよ、という方は続けて読んでいただいても構いません。
でも分かりづらいよ、という文句は受け付けません。
よって、質問の後半「アラベスクでお尻の筋肉を使ってもいいですか?」は
- 大臀筋が股関節伸展をする筋肉である
- 大臀筋下部は股関節外旋をサポートする
という事でバレエダンサーがデリエールにターンアウトされた脚を動かしたかったら使わないことは不可能です。
お尻の筋肉だけ「感じて」しまう
筋肉は使うと感じます。
自分の体ですから感じてほしいです…
もちろん、プロレベルのダンサーやアスリートになれば「お、この筋肉感じるな」と舞台中・試合中に考える事はありません。
それが勝手に出来ていて、その感覚が「当たり前」となり、神経回路も出来ている。
しかもやっている事(踊っている事、表現すること、その試合)に集中しているはずだから考えない。
そのレベルの人がDLSを読んでいるとは思えないし、そのレベルを目指している子達、
そして大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)を含めてお話しましょう。
今ブログを読む手を止めて、右の肩甲骨を感じてください。
…今やるって言ったら今やるんです!
動かす、触る、ではなく感じる。
- どこにあるか。
- どんな形か。
- 肩甲骨の上の部分と下の部分だったらどっちの方が感じやすいですか?
- 骨、そして骨の周辺は暖かいですか?それとも冷たいですか?
- 色で表すとしたらどんな感じ?
- 骨だから白?でも白でも色々とあるでしょう?アイボリー、クリーム、パキっとした真っ白?青空に浮かぶ青っぽい雲のようないろ?
今、左のつま先の事や右の股関節のことは考えていなかったですよね。
お尻は使っていいんです。
- 特に日常生活でスクワットとかランジとかやっていない
- 階段を2段飛ばしするのに慣れていない
のであったら大臀筋を縮めて、体の中で一番長い骨である大腿骨を持ち上げるなんてする筋力は出来ていないですから、
バレエレッスンで感じて当たり前なのよ。
ただ、さっき肩甲骨でやってみたみたいに、
そこ「だけ」考えていると他を感じなくなってしまう。
レッスン中にお尻大きくなる恐怖症で、お尻ばっかり考えていたらそりゃー感じちゃうって。
特にアラベスクがへたくそで、バーに頼り切っている、半分ヒラメみたいなアラベスクをしていたら
軸足ではなく腕とバーで支えていることになるし、
体幹、特に背中の筋肉がしっかりと働かなくてもいい形に「自分で」しちゃっているので、
お尻だけに負荷がかかるのもよくわかるよね。
(んでもって、その場合は大臀筋でなく中臀筋に力が入りやすい、がそれは長くなるので割愛)
お尻「から」使うはダメ
ただし!
大臀筋がどれだけ大事だとしても、筋肉を使う事と、そのセクションが動く、は一緒ではありません。
デリエールタンジュにする際、動かしている脚のお尻が後ろに動いたり、
お尻が上がったりしてはいけないって事。
それは筋肉が働いているのではなく、お尻が乗っかっている場所、つまり骨盤が動いてしまっているという証拠です。
デヴァン、アラセコンドでも一緒ですが、デリエールでも。
タンジュの際に、最初に動くのは足、フットです。
(ここでも使う筋肉の話ではなく、視覚的に動きが見える場所)
骨盤ではありません。
確かにタンジュデリエールが「完成」する時には骨盤も動いています。
でもね、それは骨盤「からスタート」ではないって事。
骨盤なの?おしりなの?
先生がお尻を動かさないで、お尻を使わないで、と言った場合、
もしかしたらそれは骨盤を指しているのかもしれません。
特に小さい子のクラスでは。
ただ、私は骨盤って言葉は小さい子でも理解できると思うし、早くから指導すべきだと思う。
背骨もそうだけど。
つま先、肩、お腹、って言葉を使ってバレエを指導するならば、
骨盤って言ってもいいんじゃないか?と思う。
そこで、仙骨が、坐骨が、恥骨結合が、って説明しないよ。
わかんなくなっちゃうもんね。
背骨っていうけど、小さな子のクラスでは頸椎とは言わない、みたいな感じ。
でも体を動かす指導をする際、体の部位が分からなければ先生の注意は通じません。
おチビだと分からないかもって?
そりゃそーですよ、指導しなければ何がプリエだか分からないように、骨盤だってわかりません。
だけど子供たちは英語でもフランス語でも、勉強できちゃうんだよね。
だから小さいころにやっておけっていうんだよね?
だったら解剖学用語もちっちゃいころにやっても問題ないんじゃない?
下手にスプリッツやポワントを指導するよりも、
- 日本語の理解につながる(…でしょ?)
- 体の部位の正式名称が分かる(+解剖学に興味をもつきっかけになるかもしれないよね♡)
- バレエを辞めても使える言葉である(そりゃそーだ、骨盤は一生自分についてくるもん)
- ケガのリスクはゼロ(そりゃそーだ、言葉だもん)
な骨盤という言葉ををどうぞ。
まとめ:お尻は使ってよろしい!
が、骨盤を動かすとは別の意味だと理解すること。
そして、おしり「だけ」にフォーカスし過ぎない事。
おしりが大きくなっちゃうんじゃないの?という悩みは無視します。
なぜかって?
誰も踊っているときに腹筋ばかり感じてしまうので、お腹が大きくなっちゃうんじゃないか?って質問しないからです。
お尻差別反対!
P.s.
バレエに使える解剖学を、バレエ学校で10年以上解剖学指導をし、本も3冊書いている私と勉強したいバレエの先生は教師のためのバレエ解剖学講座をどうぞ。
副作用は、鬼の愛にズバズバ言われガラスの心の持ち主だったら傷つくかもしれない、という事。
ただし、先生の心(自尊心)が傷つく方が、子供の将来が傷つくよりマシだと私は考えております。
Happy Dancing!