*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。
今日は「片足プリエを強化するにはどうしたらいいですか?」という質問にお答えしていきましょう。
”強化”がテーマなのでエクササイズというかレッスンで出来ることをメインに説明していきますね。
プリエの大切さはバレエをやっている人ならば知ってると思うのね(特に指導者)。
とても大事だから1冊の本にしてあります(「プリエ使えてますか?」)。
プリエももちろん大事だけれど、片足プリエだって大事です。
ここは私の勝手なこだわりなんだけど、
- プリエ=両足で行う動き
- オン・フォンジュ=片足プリエ
- バットマン・フォンジュ=バーのアンシェヌマンの1つ、軸足プリエ、動足クドゥピエから足を前、横、後ろの方向に出すこと
だと私は指導されてきたのでここから先は片足プリエの事をオン・フォンジュと呼んでいきますね。
そんな事気にしなくてもいいじゃんって思うけど、留学時代にレッスンで使われている言葉と、日本のスタジオで使われていた言葉が違くて困るという体験をしているので。
- ザンレール
- セゴン
とかは日本特有の言い方(和製英語?でも英語じゃないよねこれ)で、海外では使われません。
(イタツキとかも日本だけだけど、これはステップの名前ではないので割愛)
シソンヌっていうのがシソンヌ・フェルメ「だけ」だと思っていると
センターでシソンヌ・シンプルと言われた時にあー、バッチュを入れないからシンプルなのねなんて思っちゃって恥をかきます。
(ラッキーな事にこの間違いは私ではなかったけど、バレエ学校のスタッフの一人にどうして日本人はシソンヌ・シンプルが出来ないの?と聞かれて、あの子たち知らないんじゃないのってハッとした)
特に私が動画で見たことがある海外のバレエ学校&カンパニーでは、特にセンターで先生が動きを見せる事はほぼなく、
先生が口頭で振付を説明し、方向やポーデブラのタイミングだけをマーキングでちらっと見せた後に音楽が始まるケースが殆どなので、
留学を考えていたら正しい(もしくは一般的に使われる)バレエステップの名前を知っておくのは大切だと思います。
どうして片足プリエを強化する必要があるのか?
白状しますね。
私が踊っていた時(ちびっこで、ではなくプロを目指して留学していた時も含む!)、立ち方大事とか「正しい」ターンアウト大事、プリエは使えないと意味がない…なんて言われていたら、
つまり今の私が皆さんに向けて伝えているメッセージを伝えていたら笑
聞かなかったと思います…ごめんなさい。
そんなこと言っても踊れますから!みたいな。
そんな生意気な事を言っている人は、わざわざネット検索していないだろうけれど、
- オン・フォンジュは振付の中で使われているなら、アンシェヌマンをこなしている時点で練習になってるんじゃないの?
- フォンジュやプリエの「強化」「エクササイズ」すると、脚が太くなる懸念があるんじゃ?
- 全ての「基礎」が大事だけど、全部やってる時間はないよ
と思う人はこの記事を読んでいる人の中には絶対にいると思うの。
振付内のプリエ(両足)が比較的重心移動系、難易度の低いジャンプに使われるのに対し、オン・フォンジュは
- 片足ジャンプの踏切
- ジャンプの片足着地
- 連続バロネやグラン・フェッテの軸足
など物理的な力がかかるステップで使われます。
- 軸足で使われる
- 片足に全体重+衝撃吸収や方向転換などのforceも含まれる事
というところから、正しく出来ていなかったらケガのリスクが高いという事が伝わるかしら?
- オン・フォンジュの下がっていく動きで衝撃吸収をし
- 上がっていく動きで全体重を押し上げなければいけない
だからこそ「強化」が大事になってくるわけさ。
よって
- オン・フォンジュは振付の中で使われているからこそ、バーのシンプルなアンシェヌマンをこなしている時点で徹底的に正しく行う必要がある
- フォンジュやプリエの「強化」「エクササイズ」する事で、不要なケガを減らし、必要な筋肉をバランスよく、正しく使える練習をする。
- 全ての「基礎」が大事だからこそ、難しいテクニックにいく「前」に順序立ててレッスンで取り入れていくべき(+時間配分を考えて不要なストレッチとかはやらない)
両足プリエが出来ているという前提
人間がレッスンをしている場合、立っているだろうから、おしりや背中が体を支えていないだろうと思われる。
ジョークじゃなくて、コンテのフロアワークのようにってこと。
立っているという事は脚が2本しかないので
- 2本の脚でプリエをしている(ふつうのプリエ)
- 1本の脚でプリエをしている(オン・フォンジュ)
- 脚は一応地面についているが、殆どの体重がバーに支えられている(バーモンキー)
という選択肢があると思うのですがいかがでしょう?
バーモンキーになりがちな子たちの年齢は幼稚園から小学校低学年ですから、その子たちが難しいテクニックを練習しているとは思えませんし、
オン・フォンジュが必要な振付もほぼないでしょう。
もしかしたら、マズルカのウォーキングステップのように途中でオン・フォンジュを通過する事はあるかもしれないけど、
ウォーキングステップ程度の体重移動と片足に乗っている時間であれば、ケガをする可能性は素晴らしく小さいので今回は飛ばしていきます。
オン・フォンジュ「強化」に入る前に
- バーモンキー卒業
- ある程度正しく立てている
- ある程度正しくターンアウトが出来ていて、しかもホールドできる
- 正しくプリエができる
というステップ攻略が必要です。
バーモンキー脱出方法は残念ながら私の得意分野ではありませんので、本にはしてありませんが、
立ち方、ターンアウト、プリエはそれぞれ1冊ずつにまとめてエクササイズも入っているので
そちらが出来てからこの先に進んでください。
プリエ本のエクササイズの中には片足プリエ強化もありますから、この記事の最後で
どの悩みには、どのエクササイズをしたらいいのか?を見ていきます。
「ある程度できてから」で大丈夫だから、3年滝の下で修行を積まなくても、日々のレッスンとお家での自主練で身につくと思いますよ。
レッスンに取り入れられるオンフォンジュ強化
正しく出来ている両足プリエから、片足に移動させる練習をしましょう。
- 正しい1番ポジションでプリエ
- 重心を軸足の方に移動させながら動脚をクドゥピエに持ち上げます
- 重心移動と共に動脚を1番ポジションに戻してきます
*写真の子はクドゥピエ・デヴァンになっていますが、最初はクドゥピエ・アラセコンドから行った方が難易度が低くなります。
理由は動脚、特に大腿骨の移動を考えなくて済むので。
気を付けるところ
重心移動をして「から」クドゥピエ、ではなく、重心移動「と」動脚の動きをコーディネートしてください。
- 重心は真ん中→軸足
- 動脚は地面→クドゥピエ
- 骨盤から上+軸足→変更がない
という3つの動きをいっぺんに行うって結構難しいので、最初は両手バーでやってみて下さいね。
*両手バーで行う場合、バーを持つ手がスライドしますよ。
じゃないと上半身のスクエア(両骨盤のASISと肩関節を結んだ四角形)が崩れちゃうもんね。
ありがちな間違い
- 重心移動させすぎ(軸足の骨盤が持ち上がる、体のセンターが軸のつま先の上まできてしまう)
- 動脚の方の骨盤が持ち上がってしまう
- 行きはよいよい、帰りに重心が戻ってこない
- 片足になった途端、足首のぴき発動
*足首のピキってなに?と思った人はこちらの記事で筋肉の場所と理由を勉強してね。
これが出来ない人は?
レッスンであれば、
- 1番プリエ
- 動脚をデミポワント(かかとをもちあげるだけ)
- 1番プリエに戻る
- 両足伸ばす
という動きからはじめるのはいいかもしれませんね。
ゴールは完全に片足に乗る事なので、
- デミポワントの甲だしのように、体重が両足に乗るのではない
- 重心移動はやっぱり起こる
というのはお忘れなく。
つま先を正しく伸ばす、がイマイチ出来ない人だったらここから始めた方が分かりやすいかもしれませんね。
応用方法その1:クロスポジション
3番ポジション、もしくは5番ポジションでも同じ動き(クドゥピエまで上げる事&デミポワントまで)が練習出来ます。
5番ポジションだと重心移動はありません。
3番ポジションの場合はどこまでクロスされているかによって多少の重心移動がある人もいるかもしれませんが、かかとがアーチの前、という3番の場合は重心移動はないです。
ただ、これらのポジションは
- キープすること自体が難しい(スタートの難易度が上がる)
- クドゥピエの後に再度ポジションに戻ってくるときに骨盤が振られやすい
ので気を付けてくださいね。
応用方法その2:クドゥピエの位置
エクササイズ説明写真の下にも書きましたが、まずはクドゥピエ・アラセコンドでやってみてください。
1番ポジションからクドゥピエ・アラセコンドだったら大腿骨の移動がなく、膝関節の屈曲が増えるだけだからシンプルになります。
ただ、応用版としてクドゥピエ・デヴァンとクドゥピエ・デリエールを練習することが出来ます。
クロスポジションでやる場合は、
- 前の足を動脚とするならクドゥピエ・デヴァン
- 後ろの足を動脚とするならばクドゥピエ・デリエール
にデフォルトで行くと思いますが、あえてアラセコンドにするのもアリですよ。
アラセコンドにクドゥピエすると、大腿骨が少し外転するので骨盤やプリエの深さを変えない、というのが難しくなりますね。
応用方法その3:ポーデブラも一緒に
片手バー行う場合は、腕を2番ポジションでホールドしておくのがシンプルバージョン。
でも、足と共に腕を動かすというのもアリですね。
もちろん、両手バーでは「ずっと」バーを持っていなければいけない、という決まりはないので、
- 両手バーから動脚の方の腕を1番や5番(2番はちょっと違和感ありません…?)
- 敢えて軸足の方の腕を動かす
とした場合、上半身のスクエアは保つけれど、腕は動かす&目線は掌を追う、というエキストラな動きにチャレンジ出来ちゃいます。
応用方法その4:テンポ変更
子供達に基礎レッスンをさせると飽きちゃうんです、という悩みは毎回セミナーをするたびに誰かから聞くんだけど、
(時々、大人バレエの方も飽きるという意見もありますが、DLSの大人バレエトレーニーはそんな事ないよね!?)
同じコンセプトだったらほかの動きを導入しても良いはずですね。
手っ取り早いのが音楽(=雰囲気&スピードの変更)
レッスンでよく使われる4拍子の場合は
- 1-2 プリエ
- 3-4 クドゥピエ
- 5-6 プリエ
- 7-8 リターン
でやってもいいし、1-4プリエ、5-8クドゥピエみたいに1/2でとってもっとゆっくりでも骨盤確認時間が生まれるかもしれません。
シャープな足さばきや、スピードにチャレンジしたかったら
- 1 プリエ(2 ホールド)
- 3 クドゥピエ(4 ホールド)
- 5 プリエ(6 ホールド)
- 7 リターン(8 ホールド)
という形でもいいかもしれませんよね。
1 プリエ(2、3,4 ホールド)というように、
ホールドを3カウントにしたら、ちょっと意地悪な、だけどかなり強化を感じるエクササイズになります。
3拍子だったら
- 1-3 プリエ
- 4-6 クドゥピエ
- 1-3 プリエ
- 4-6 リターン
もありだし、
- 1-2 プリエ
- 3 クドゥピエ
- 4-5 プリエ
- 6 リターン
というように動きに緩急を入れてもいいですね。
逆に1カウントのみをプリエに使い、丁寧にクドゥピエ、っていうのも効果があると思います。
難易度アップは?
- センターで行う
- ほかの動きと混ぜて行う
- ポワントシューズ・デミポワントシューズを履いたままで行う(バランスをとる事、つま先を伸ばすことが難しくなる)
- ロールティレ(ふくらはぎくらいの高さ)で行う
一緒にやりたいエクササイズは?
怒涛のエクササイズアタック笑
先生に言われた注意を修正したかったら自主練が必要ですよね?
これらのエクササイズは本に書いてあるので、エクササイズプランに入れてみてね。
- 骨盤をホールドしておけない → 坐骨ファインダープリエ(プリエ本P91)
- 片足で深いフォンジュをホールド出来ない → 空気椅子難易度アップ(プリエ本P96)
- 片足になった途端、膝が内側に落ちる → ターンアウト本のエクササイズ達
- 軸の膝を伸ばすと過伸展してしまう → エクササイズバンドプリエ(プリエ本P112)
- 上半身が軸足の動きに影響されてしまう → 時計フォンジュ(プリエ本P118)
- どうしても足首の前のピキが消えない → 足首ロックアンドロール(プリエ本P108)
- ポーデブラをつけたり、センターになったらバランスがとれない → 目つぶりバランス(プリエ本P131)、片足ボールパス(プリエ本P136)
本を買うのが嫌だよ、という人は上でご紹介したレッスン方法をエクササイズとしてお家で行う事が出来ますよ。
レッスンCDがないよという人は、YouTubeにレッスン音楽が検索できますし、
リズムさえ合っていればポップミュージックでも、メトロノーム(本物でもアプリでも)使えます。
一人でエクササイズが続けられない、
踊っている時の「スクエア」を感じることができない人は、
DLSのボディコンサークルで一緒に練習してみましょう。
たくさん、やれることは見つかると思うので、言い訳にしないでねー!
まとめ:オンフォンジュは強化して!
- シンプルな動きですが、皆が憧れの振付の中に絶対に含まれています
- ケガを予防するためにもとっても大事です
- 自主練で出来ることを沢山書いたので、あとは練習あるのみ!
ちょっと長くなってしまったし、動きを文章で説明しているのでわかりづらいところもあると思いますが、
是非音読しながら、自分で動いてみてください。
読むというインプットと行動というアウトプットが一緒に出来るはずです。
Happy Dancing!