2019年の表現力セミナーで一番目についたのは、グランプリエで腰を丸める子達でした。
腰を丸めている、という自覚がないみたいで、
自分の手で腰椎4,5番目あたりを触ってごらん、といって初めて分かるくらいでした。
どうしてそうなっちゃうんだろう?と考えてみたんだけど予想としてこの4つを考えてみたのね。
- 膝を外に開こうとしてタックに入っている(ターンアウトの理解不足)
- グランプリエでは重力が面倒を見てくれるのでちょっと脱力している
- グランプリエで大きく上半身を使うべきだと思っていて上半身のスタンスが崩れる
- グランプリエの動く場所である股関節の理解が少なく、腰椎を丸める事で解消している
本人の理解なのか、先生の指導不足なのかちょっとわかりませんけど…
でも、グランプリエ(受動的な股関節、ひざ関節、足部の屈曲)を正しくできると、
高く脚を上げる(能動的に股関節を屈曲する)だとか
ジャンプの着地(受動的だが下半身に衝撃を吸収する強さが必要)だとかが出来るようになるわけで。
すんげー大事です。
グランプリエは難しい
この記事でも書いたけど、グランプリエって難しいんですよ。
だけど初心者(子供、大人に関係なくバレエレッスンを受け始めて日が浅い人ってことね)や
週に一度の子達のクラスでもすでに指導されていたりもする。
プリエすらこの前学んだばっかりなのに、いきなり難易度が高いグランプリエに行く?みたいな。
階段2段飛ばしじゃなく、5,6段飛ばしくらいの勢いじゃない?
シラバスの順番的な事もそうだし、関節可動域の大きさからいってもそうだけど。
グランプリエで腰が丸まってしまう子達は、たぶんプリエでも少し丸まっているんだと思う。
ただ、腰椎の「まっすぐ」って前湾している事。
だから少し丸くなっても「見た目真っすぐ」になるだけで、「丸くなっている」様には見えないから甘く見られちゃうのかもしれません。
グランプリエの時は“ドラマチック“なポーデブラをすることが多いので、「表現力豊か」に踊っているつもりになってしまうのかもしれないね。
“ドラマチック“ってどういうことかというと
- (無駄に)大きな呼吸をしながら(無駄に)大きなカンブレから始まり、
- 目線が手先を追うという正しいポーデブラではなく、ほぼカンブレデヴァン(の間違ったバージョン)を使いながら、一番深いグランプリエに降下していって、
- その上体を持ち上げる反動を使ってグランプリエから戻ってくる、という…
文章にして伝わる?
私をセミナ―やライブで見た事がある人がいたら両方の手の人差し指と中指を一緒に曲げて「“」マークを作って私が喋っている様子を思い浮かべてね。
ドラマチックに動く=表現力がある、ではないですよ。
グランプリエで腰は丸めない
グランプリエで直してほしい事、それは腰を丸める事。
出来れば“ドラマチック”なグランプリエも辞めてほしい。
特にバレエを「習っている」人であり、バレエを「仕事に」していない人ならば。
もちろん、プリエ本に書いたように、プリエの時には上体のスタンスは変わりません。
だから腰は丸くならない。
これがバレエで求められるプリエだから。
もう一つの理由は安全面から。
プリエの質が重要になってくる、ジャンプの着地で、腰を丸めていたら腰椎をケガする原因になります。
グランプリエでも同じ。
そしてグランプリエの方が、
- 足首、膝、股関節を大きく動かす
- 重心移動が大きい
という事を考えて、(この部分は昔の記事にもう少し詳しく書いてあります)腰を丸めることで起こ危険性も増えます。
動きが大きい=関節にかかる負担が大きいという事だから。
グランプリエの練習:二人組グランプリエ
体の後ろ側って見づらいですよね。
だからこそ、お友達のサポートが必要です。
1人が両手バーで1番に立ち、もう一人が腰椎監視係。
100均でタスキを買ってきて、作ってもいいよ、腰椎監視強化月間とか書いてさ。
グランプリエだけ、ゆっくりと4回。
その間、監視係が腰椎を見ています。
腰椎が真っすぐになっては…いけません。
腰椎にはカーブがあるからです。
どれくらいのカーブが正解?というのは個人差があるのでプリエの前に真っすぐ立っている時と比べ、変化がないか?を見てください。
*どうしてカーブに個人差があるかって?
骨格だからだよ。
身長が違う、鼻の高さや頬骨の高さが違うように、骨の並びには個人差があるから。
腰椎は5つあるので、今見ているのは腰椎4,5番あたり。
だいたい腰骨と同じ高さなので、見ている方も分かりやすいかと思います。
ゆっくりのグランプリエで下半身の筋肉を鍛える事が出来るほか、
関節の可動域を自分の力で大きく動かしていることにもなるので、よいウォームアップ代わりにもなりますよ!
グランプリエの練習:デミ・グランプリエを使う
デミ・グランプリエなんて聞いたことありません、って思わないでください。
私もございません。
デミなのか、グランなのかハッキリしろよ、って感じですが、
グランプリエの半分(デミ)だと思って下さい。
つまり、グランプリエで一番下まで「あえて」いかず、止めるという動きの事。
- 小さな1番ポジション
- 低いルルベ
- 半回転
とかと同じように、難しい動きを全部練習する前に、ブレイクダウンしていく方法ね。
デミプリエとグランプリエの間を作るって事。
これは脱力系腰椎丸まるダンサーにはとてもいいと思いますし、
二人組でやるなんて、子供っぽいから嫌だという大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)や、
自主練でどうにかしたい努力家のダンサー達に向いています。
デミ・グランプリエの時は、かかとは少し持ち上がりますがほんの少しです。
そして上昇する時に最初に動くのは、かかとを地面につけようとする動き。
- ジャンプの時にかかとが浮いてしまうダンサー
- “アキレス腱が短い”と思っているダンサー
にも効果的です。
アキレス腱が短いからかかとが浮くのではない、という説明ブログはこちら。
ちなみにこのようなプリエに関する問題にはプリエ本の方でお答えしていますので、買っただけで読んでいない…という人は引っ張り出してきてくださいね。
グランプリエの練習:股関節を自由に使う
- 無意識に股関節を固める癖がある、
- ターンアウトしようと頑張るとすべての筋肉を固めてしまう、
という人はターンアウト本のヒップフリーデヴァンとアラセコンドをお勧めします。
グランプリエでは股関節を「動かす」のではなくターンアウトされた股関節が「動いてしまう」というパッシブな動きになります。
膝も、足首もそう。
自分で頑張って100%曲げるぜ!ではなく、
床と骨盤との距離が縮んだから、アコーディオンのように折りたたまれるという感覚。
あーーーーーー
なんでプリエ本を書いているときにアコーディオンという言葉が思いつかなかったんだろう!
とてもいい表現だって自分で思っちゃったよ…(自画自賛の極み)
股関節をギューっとしなくても、パッシブに動くことができるんだよという感覚と
股関節はギューッとしていなけれど、コア、骨盤周りや内転筋など必要な筋肉は働かせておくんだよ
という筋肉の使い分けを学ぶにはピッタリです。
グランプリエをするためには、ヒップフリー系のエクササイズで坐骨とかかとがくっついちゃうんじゃない?というくらいまで可動域を大きくする必要があります。
が!
その時に腰が丸まってはいけないというのを忘れずに
- ペットボトルを仙骨に置く
- マッサージボールを腰椎に置く
のどちらかをやって、落とさないようにヒップフリーをしてください。
仙骨の上にボールは乗らないし、ペットボトルは腰椎に乗りません。
ボールの湾曲と腰椎の湾曲、仙骨というある程度平べったい骨の上にある程度平べったいボトルを乗せる、という事ですからね。
側弯の子は仙骨の回旋がある場合もあるので、仙骨にペットボトルが乗りづらい子もいます。
その場合はボール腰椎でもOK。
水筒をガツガツ落として床が気になる先生も、ボールをお使いくださいませ。
- その他、グランプリエを正しく練習したい人は
- スタンス本でグランプリエの可動域に負けない上半身のスタンスを
- ターンアウト本でターンアウトされた脚でプリエが出来る練習
- プリエ本でプリエに必要な脚の筋肉を鍛えてください。
追伸。
この記事の後に行ったインスタライブです。
グランプリエについてQ&Aしていますのでどうぞ♡
Happy Dancing!