アームスは指先から動かしますか??それとも背中からですか?
という質問を受けました。
良く聞く言葉は「背中から腕を動かして」だと思うけれど、
私はよく子供達に「指先から遠くへ」って指示します。
なのでどっちだろう?って話だよね。
これがダンサーからの質問だったら、先生に聞いてください、と答えます。
確かにFBライブやインスタライブで皆さんから質問を受けていますけど、
先生からの注意は、その先生に聞くのが一番早いです。
だって情報を発している源だよ?
chinese whisper、伝言ゲームだったらスタートの人だよ?
その人に聞くのが確実でしょ?
でも、この質問はバレエの先生からいただいたので、それは無理だよね…
ということで、今日のブログで詳しく見ていきたいと思います。
解剖学的事実
まずは解剖学から見ていこう。
指先から肩関節までは繋がっていますよね?
だから指先から動かしていけば、結局上腕骨まで届くので、腕を動かすときの言葉になりますね。
また、ポーデブラ、腕の運び、という言葉だとしたら、腕を動かすというのは肩関節を動かすこと。
肩関節というのは、上腕骨+鎖骨+肩甲骨、で出来ている関節。
よって肩関節を動かすという事は肩甲骨も動くことを指すので、肩甲骨周りの背中の筋肉も動く。
ということは…
そう、指先からだろうが、背中からだろうがどっちでもいいんです。
が!
どの振付をやっているか?によって変わってきます。
1番から2番へ腕を動かす場合
バレエ初心者でも行う1番(アンナバー)から2番(アラセコンド)へ腕を開くという動き。
バーのプレパレーションでも何度も出てくる動きですけど、
この場合は1番の肘が外に開く、という動きから始まります。
よって…指先でもなければ背中でも「ない」です。
あらら。
ただし、同じ腕の動きでもバリエーションやキャラクター(役)によっては、
お客さんの方へアピールしたいこともありますよね。
その場合は指先が先に開きます。
プレパレーション&アロンジェ
ブラバーから呼吸と共に腕を開き、腕が1番に上がるって動きがありますよね。
カウントで言うと
ブラバーで待っていて、呼吸と共に腕を開く(5)、ブラバー(6)、1番ポジション(7)、2番へ開く(8)
そこからグランバットマンとかね。
あとアチチュードバランスをした後にアラベスクに伸ばしながらアロンジェする腕。
これらは指先から先に動きます。
5番で作った肘から下(アロンジェだったら上かな?指の方)が動くイメージなので背中には影響しないはずです。
「~から」とはどういう意味か?
指先「から」、背中「から」。
そもそも、「から」という言葉の意味はなんなんでしょう?
辞書で見てみるとたっくさーん意味があったのですが、ポーデブラのケースに当てはまる言葉だけでいうと3つくらい。
1)動作・作用に関し、到達点や帰結状態との関係で出発点を示すのに使う
私は非常にリアリストなので笑
ポーデブラ、という動作に関し、出発点として手先を考えて手先から、という事もあるし、
2番に開くときのように、出発点、一番最初に動くところは肘から、という事もあります。
個人的趣味として背中「から」とはあまり言いません。
「趣味の問題」というところは大事なポイントだから、頭に入れておいてね。
2)動きの発する空間的、時間的または抽象的な位置を示す
肩甲骨から腕を動かすように、と説明する先生はきっとこの意味で使っているんじゃないか、と思います。
背中って広い言葉だから、たぶん肩甲骨周りを指しているんだと思うけど、
(先ほど説明したように、肩関節を構成する骨を考えたら)
背中を空間に広く保つ事、肩甲骨から指先までのスペースを意識する事
なんじゃないかしら?
このような言葉は、
- 肩甲骨が出っ張っちゃう
- 腕を動かすと引き上げがなくなっちゃい、背中がお留守になってしまう
- ポーデブラがヒラヒラしちゃって、重みがない
なんて子達には効果的だと思います。
3)そもそもという気持で(まず)着目するものを持ち出すのに使う
「~から」という言葉の意味の一つに、「着目するもの」を説明するとき、というのもあるそうです。
ということはね、背中からだろうが、指先からだろうがどっちでもいいのよ。
(という最初に戻る)
ただ、ここでいう背中「から」というのは背中「が」ではない事に注目してください。
肩を丸めたり、背中を丸めて1番を作り、肋骨を広げ、上半身を反らして2番に腕を広げる、
ってことではございません。
- 大きく踊ろうとしている人
- プロで踊ってきた「経験」はあるが、指導法は学んでいない
という人達に良く見える腕の(間違った)使い方です。
アカデミックでない腕の使い方、なんて言われ方もしますが、
役&振付があった時に初めて、ポーデブラをバレエの年代やキャラクターに合わせて使い分けるべきであって、
普通のレッスンからヒラヒラ、パタパタ、ドラマチックに腕を使っていたら
中濃ソースに塩をかけて、しょうゆをさすって感じ。
どういうことか分かる?
美味しくないし、体に悪い。
表現力というものをはき違えている人達に良く起こるのと、
コンクールばっかりで(=役を踊ることがバレエだと思っている)練習してきた人達に多いんだけど、
その腕の動かし方はクラシックの「基礎」ではないので、スクールオーディションなどでは嫌われますよ。
プロダンサーが特別レッスンをしてくれる時がありますが、そういう場合指導法や指導カリキュラム(シラバス)を勉強していないことがあります。
悪い先生なわけではないけど、その人の踊りやすさ、その人が舞台で美しく見える角度と、
子供達が必要な基礎は違うので気を付けましょう。
注意の意味が分からない
バレエ教師は、というか指導者は、自分が分からない注意や、具体的に「OOしてほしい」というゴールがない言葉は言わないこと。
- 引き上げてほしいならどこまで?
- お腹を入れてほしいならどこまで?
- 背中から腕を動かしてほしい理由は?
言葉が間違っているわけではありません。
ペンダントを光らせてねーで通じるんだったらそれは立派な注意です。
ただね、自分に分からなかったら相手には通じませんよ、って話。
(私はペンダントを光らせるってよく分からない。ので言わない笑)
この記事を読んで、体のつくりが理解できていないかも、と不安になってしまった先生は、
先生の発している言葉の意味が分からなかったら、生徒は上達しませんからね。
Happy Dancing!