日本の夏はバレエコンクールであふれているでしょうね。
コンクールでよく見る光景。
それは同じバリエーションが次から次へと流れてくる!!
1−2人はいいけれど、20人目のオーロラ姫とか、キューピッドとかね。
同じ踊りをする、というのはコンクールだけで見られる光景ではありません。
バレエ学校の現地オーディションは同じ振付け、つまりレッスンを大勢で踊ります。
ローザンヌ国際バレエコンクールは最近ライブでこのようなオーディション風景を見せてくれますよね。
それを見ても分かるようにすごい人数がレッスンを受講するわけです。
バレエ学校の試験もそう。
もちろん、振付けは前から練習していますが、同じ振付けを踊る、という部分は一緒ね。
表現力っていうのはただ笑顔で踊ればいいわけじゃないのよ。
よく表現しましょう=笑顔でおどりましょう、と思う人がいるんだけれど。
ローザンヌのレッスン風景をみてみて。
バーのプリエから素晴らしい笑顔で踊っている人たち?
真剣なまなざし、というのも表現力。
だって自分の強さ、集中力、意思力というのを表しているから。
もちろん、怒った顔して踊れってことじゃないですよ。
ただスタンプ押したような引きつり笑顔で踊る必要がないってこと。
オーディションの顔、っていうのはやっぱり存在するのですよね。
最近はYouTubeに色々な人のオーディションビデオが載っているから、それも観察してみてね。
同じ表現でも、舞台のサイズやオーディエンスのいる場所などを考えられるようになると上出来き。
大きい舞台では大きく踊らなければいけないけど、
スタジオパフォーマンスだったらどうだろう?
舞台メイクでオーディションに行かないように、
学校試験で濃いメイクをしないように。
TPOっていうのは表現力にも存在します。
(タイム、プレース、オケージョンね)
自分の踊りとは?
自分らしく踊る、というのはどのレベルのダンサーでも必要な事。
これが踊りの醍醐味じゃない?
ただ、テクニックをマスターするのがバレエの楽しさではないよね。
自分らしく踊るっていうのは楽だけれど、実際には何を指しているんだろう?
音の取り方=間の取り方。
腕と足の動かすスピード。
呼吸の間。
舞台スペースの使い方。
ひきつった笑顔でなくてもここら辺をしっかりと行うと自分らしく踊る、という事になります。
音の取り方というのは、モチロン好き勝手に音をとれ、という訳ではないですよ。
4拍子だったら、ただ1、2、3、4があるわけではないよね。
ピケアラベスク。1でぴたっと止まり、2、3ホールドして、4でおりてくる、という振付けでも
1の前のアンドで準備し、1で完全な形のアラベスクになるのか?
1で動いて2、3柔らかくホールドしつつ、上に伸びていくのか?
4でおりる時も4アンド、でおりてくるのか?4ぴったりでおりてくるのか?
そういう部分が間の取り方。
足と腕を動かすスピードだって色々アレンジが出来る部分。
素早く5番ポジションのススに集める、としても
腕が少し後からついてくると柔らかい印象になるし、足と一緒にポーズに到着すると強いイメージになる。
この部分の理論(そう、理論があるんだよ、感性だけじゃなくって!!)は
北海道セミナーのグループ2で少しお話ししました。
伸びていくようにみえる、というのは本当に練習して、伸びる事が出来ます。
呼吸の間
これもオーディションでよく使えるテクニック。
バーレッスンの一番最初にでてくるグランプリエでも、プリエに動き出す前に息をすうのか、
プリエに入った一番最初に息を吸うのか。
それによって見えるものは変わってきます。
ブラバーからデミセコンドに開いた手とともに呼吸をすうとかね。
呼吸をすると肺が膨らむので解剖学的に胸がリフトアップされて見えます。
それを使うっていう事。
舞台スペースの使い方というのも表現につながります。
大きく動けば動くほど、表現の幅が広がるのはもちろんだけれど、
どの角度に足を出して動き出すのかとか、
斜めにスタジオを使う場合も、どこに顔をつけるのか(エポールマン)が変わってくると印象も変わります。
スペースを使うスピードも表現に影響するよね。
斜めに素早く走って音をためるのか。
イーブンに動いて上品さを出すのか。
表現力は練習できます。
上で挙げた例を見てもらえば分かるけれど、これらって意識的に練習するエリアなんです。
そして体の柔軟性が上がれば、表現できる幅が広がるし、
正しいテクニックが身に付いていれば、そこからプラスαをつける事ができる。
体力があれば大きく動く事が可能だし、
筋力があれば、キープを長くしたり、ステップを大きくする事ができます。
体を作る事。
基本を練習する事。
これって表現力の積み木を作っている部分なんだよ。
結局、舞台で輝く体を作っているのだから。
次のレッスンで考えてみてね。
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