DLSポッドキャスト epi546 体力&筋力は上達のカギ

学生時代、ふくらはぎの太さを気にしてエクササイズを避けていました。

今はダンサーの足に筋力・体力が重要だと知っています。

エビデンスに基づくバレエトレーニングの大切さや、誤解が生むリスクを解消するためには「繰り返し」が必要です。

今のあなたや未来のダンサーたちのために、知識と行動を変える一歩を踏み出しませんか?

Transcript

ふくらはぎが太いのが悩みだった学生時代を持つ佐藤愛です。

中学校、高校共に白い靴下が校則だったので、ふくらはぎの太さが気になるとずっと思っていました。

 

ソックタッチって知ってる?

結局あれって、ノリですよね。

ノリを足に塗って、靴下を止めておくというものなんだけど、

それを使って靴下をふくらはぎの一番太いところを少し超えた部分にくるようにすごく引っ張っていました。

 

ポッドキャストのために記憶を呼び起こしながら

そんなことをするなら長い靴下を買えばいいのに、と自分に突っ込んでいますが、

学生時代って自分のお金があるわけじゃないから、

好きなものを、好きな時に、好きなだけ購入できるわけではないんですよね。

 

ふくらはぎが太くなることへの異常な恐怖

ふくらはぎの太さが気になっていたため、

もちろんふくらはぎのエクササイズは避けてました。

 

もし、中学生の愛ちゃんが、DLSのセミナーの「ダンサーの足」セミナーに来て

ポワントで踊るための強さを確認するプレポワントテストをやってみたとしたら、

きっと心の中で呟いている事でしょう。

25回もカフライズしたら、足が太くなる!

 

セミナーでもお話してますが、

25回、コントロールされた環境で、つまり振付で大きく動くのではなく、

毎回同じ場所、同じ動きが出来る環境で、

パラレル、つまり関節をひねるとか、ターンアウトをキープするとかそういった負荷がないところで

25回カフライズが出来なかったら

100回以上ルルベが出てくるのが普通の、バリエーションが、ポワントで踊れるはずはないんだけどね。

 

でも、理論より感情でしょう。

 

  • 太い=ダメ
  • 細い=良い

と思っていたもんだから、

 

  • エクササイズ=太くなる=ダメ
  • ストレッチ=筋肉を伸ばす=細くなる=良い

と思っていたのかもしれません。

 

ちなみに、エクササイズをして太くなり、ストレッチして細くなるというのは事実ではないです。

 

何十年も、様々な雑誌に書いてあるもんだから、事実だと思ってしまうけど

出典元、エビデンスを考えたことありますか?

 

普通に生活していたら、根拠があるんだろうか?と考えながら生活しているわけはないんだけど、

そうはいっても、バレエの先生たちは指導者なんだから、

子供たち、生徒たちに嘘は伝えたくないですよね。

 

言葉には気を付けなければいけません。

 

このエリアをお話すると長くなるし、今日のポッドキャストのトピックではないから、割愛しますが、

ウエストを「細くする」ために腹筋運動は当たり前だと思われていて、

内ももに「隙間を作る」ために内転筋エクササイズはするのに

どうしてふくらはぎだと太くなると思うのか?

 

確かに筋肉を収縮させると筋肉が短くなるので力こぶみたいに見えるけど

反対側の筋肉は伸ばされていないと、関節は動かない、という事実や、

筋肉量が多いと、その分体が消費するカロリーが増えるということなど、

論文を長く読まなくても分かることはたくさんありますよね。

 

ダンサーがエクササイズを嫌うのは世界共通らしい

と言っても、やっぱり中学生の愛ちゃんは言うことを聞かなかったと思います。

 

  • 太い=悪い

という考え自体、まったく根拠がないものなんですから。

 

感情論なんですもの、良い悪いって。

 

そして、これは、中学生の愛ちゃんだけでなく、世界的にも見られて「いた」ことらしいです。

先週のポッドキャストでもご紹介した、「The Dancer as a Performing Athlete」という論文でも

プロフェッショナルダンサーというキャリアのために必要な

心肺機能や筋力、筋力のバランスや、関節を守る、使える柔軟性が足りないという背景には、

一部のダンス界で共有されている、ダンスに直接関係しないトレーニング

ダンサーに必要な見た目、つまり細さを損なうという根拠のない見解が反映している。

と書いてあります。

 

2024年のインストラクター4期生募集の際にやっていた卒業生たちのインタビューの中でも

体育大学を卒業した人が

エクササイズをしたら筋肉がかたくなるから、体がかたくなると思っていた。

と言っていました。

 

同じく2024年セミナー会場で出会った、ダンスサイエンス系を勉強しているダンサーも

太くならないように筋トレに気を付ける

というような内容の投稿をしているのも見ました。

 

勉強している人たちが、これなんだから、

勉強をしていない、というのは失礼か。

でもスポーツサイエンスやエクササイズ理論についてを専門に勉強していない人たちが

  • エクササイズは足が太くなる
  • 筋トレは体がかたくなるから程々にしておくべき

と思っていても仕方がないのかもしれません。

 

2004年に出版された論文でも、2024年にあった人達との会話でも、

時代や生まれた国、育った環境が別でも、こういう感じだからこそ、

ダンサーの体力は、同じ年齢の、健康だけど、座って仕事をする人たちと同じくらいのレベルだって

数値が出てしまうのでしょう。

 

筋力&体力は上達のカギ

私がDLSをはじめて数年後、ある人のブログで「カフライズを広めた佐藤愛さん」という形で書いてもらったことがあります。

 

私自身は今でも広まっていないと思っているので、この表現は不思議でしたが、

確かに、今までふくらはぎが太くなるからアキレス腱ストレッチでしっかりと伸ばしましょう!

としていたダンサーたちに、オーストラリアバレエ団の医学チームはこうしてるよという情報を持ってきたら、

前例がなかったという意味で、愛さんが広めた、と思ってもらえたのかもしれません。

 

DLSのHappy Dancing!という言葉は、単純に直訳すると「楽しく踊ろう!」となってしまうのだけど、

裏には、

  • ケガして、痛みを抱えていたら楽しく踊れるはずがない=ケガ予防
  • 上達しなければ、楽しいと感じない=テクニック向上
  • 楽しければ続けられる=プロになる確率が上がり、スタジオに残る生徒も増える

という考えがあります。

 

そして、Happy Dancingを作るためには、気合とか作り笑いとかではなくて、

エビデンス、つまり科学的根拠が必要だと思うのね。

 

中学生の愛ちゃんは、ふくらはぎが太くなるのを極端に怖がっていました。

お風呂の中でマッサージはもちろん

100均やマツキヨ、ドンキで痩せるどうのこうの、というのを見ると

今すぐ買わなければいけないという衝動を止められませんでした。

 

結果は?

バレエ留学中に、中足骨のケガと脛骨の疲労骨折

 

両方とも、オーストラリアバレエ団でカフライズを取り入れたら、

カンパニー内でこれらのケガが大幅に減ったと言われた類のケガです。

 

バレエ団のメンターとこれらのケガの話をしていた時に、

私は、原因不明と言われた、と伝えたけど、メンターは分かってるケガだって言っていました。

 

出来ることはないと言われ続け、バレエを諦めたのにも関わらず、

同じ街の中で、同じ時代に、ケガの原因や予防&リハビリ方法を知っていた人が存在していた

というショックは今でも忘れられません。

 

電車で10分もかからない距離にあるバレエ団のコネクションがあれば、

同じ言葉を話す人が出している情報を読むことが出来たら…

たらればの世界ですが、私のバレエ生活は大きく変わっていたと思います。

 

足のケガだけでなく、

体力と筋力は、どんなレベルのダンサーにとっても上達のカギになる

これを今年も、声を大にして伝えていきたいです。

 

体力と筋力がありすぎて、困ることはないんですよ。

たとえバレエを辞めたとしても。

たとえ、定年後にバレエを始めたとしても。

 

洗脳を解く方法は「繰り返し」

こういった経験から、私はDLSを作り今年で12年目の活動を続けています。

 

中学生の愛ちゃんの行動は、18歳の愛ちゃんのケガに繋がったように、

ケガの原因は過去に行ってきた行動の積み重ねにあります。

 

だからこそ、中学生から参加できるセミナーがたくさんあるんです。

留学時代の私は、電車で10分で行ける場所に存在していた、ダンサーのケガや体の知識を見つけることが出来ませんでした。

 

知識のある人達は、当たり前だって思う事実、例えばカフライズとケガの繋がりを

私は知らなかったという悔しい気持ちがあります。

 

だからこそ、メルマガでもSNSでも、こうやってポッドキャストでも

もうすでにDLS歴が長い皆さんは耳タコであろう

  • 体の構造を理解するとケガを予防できるよ
  • エビデンスと共に、理論的に上達しようよ
  • ダンサーに特化したエクササイズは重要だよ

ということを毎日、毎週伝え続けています。

 

今日初めて情報を手にしたという人が 、毎日絶対に居るはずだから。

 

でもね、途中でお話したお二人のケースで分かるように、

情報を知っていても、自分の行動に結びつかないかもしれません。

頭では分かっているけど、まだ怖い…という気持ちが強い人も多いでしょう。

勉強したけど正しくやっているか、不安になってしまう先生たちも多くいるはず。

 

ふくらはぎの強さが必要だって言われたとしても、

足が太くなる恐怖の方が大きくて、エクササイズをやらなかったと思う中学生の愛ちゃんがいたように

結局は慣れていること、周りで行われていること、

電車、広告、宣伝で見る回数が多い方が、信憑性が高いと感じてしまう人たちがいると思うです。

 

それに打ち勝つにはどうすればいいか?

解決策は「繰り返し」にあると思うんです。

 

だって、中学生の愛ちゃんは

毎日ソックタッチで靴下の位置を決めながら、足が太い、足が太い…と自分に言い聞かせていたし、

思い返すと、母も足が太いことをコンプレックスに持っていたという言葉を何度も聞きながら育ちました。

 

テレビや雑誌では、細いことが褒められて、太っていると笑われるか、いじめられる。

お店に並ぶ商品は、これさえ買えば痩せられる!と歌っています。

 

こういった、バレエレッスン以外でも起こっている繰り返しが、

エクササイズへの恐怖を作ってしまったとしたら、

その逆に正しい知識を何度も繰り返し目にすること、勉強することで、

洗脳を減らせるのではないか?と思っています。

 

特に、摂食障害のリスクの1つに「バレエの先生」が挙げられてしまうという事実や、

一部のダンス界で共有されている、

「ダンスに直接関係しないトレーニングはダンサーに必要な見た目、つまり細さを損なう」

という根拠のない見解が論文に書かれるほどに溢れているのだから、

 

積極的に、行動を起こし、目にするものの内容を変えていかないと

私たちは、このまま洗脳されちゃうんだと思うんです。

 

その先に待っているのは、憧れのバレエ留学最初の数か月で踊れなくなる生活。

 

ふくらはぎが太いとダンサーになれないと思っていたけど、

私のバレエ人生を止めたのは、ふくらはぎの太さではなかったんですから。

 

ご存じのように年に1度だけ、私は来日セミナーを行っています。

そしてバレエ解剖学やエクササイズなど、科学的根拠のあるバレエ上達とケガ予防の知識をお届けしています。

 

現役の時に知りたかった…という声を参加者の多くから聞きますから

今現役の子たちは、今のうちに勉強しに来てください

 

出来るだけ多くの現役の子たちを救うために、

先生たちも一緒に勉強しましょう

 

少し勉強したけど、1回過去に受けたけど

結局行動に移せなかったんだよね…と思っている人がいたら、

繰り返しが大切だってことも忘れないで。

 

あなたが勉強が出来ないわけではないし、

解剖学が合わなかった、という意味でもありません。

繰り返しが足りないだけ

 

ほら、ピルエットが出来ないなら練習すべきでしょう?

1,2回の練習でピルエットが出来ないからってダンサーとしての才能がないわけではないでしょう?

1回やってみて出来ないから諦めてたら、上達しないって分かってるでしょう?

 

今だけしか受けられないDLS来日セミナーのスケジュールや

空き情報はwww.dancerslifesupport.comよりご確認ください。

来日セミナーは会場のサイズにより、定員が決められています。

お申込みはお早めに。

 

最後に、中学生の愛ちゃんのようなお子さんをお持ちの保護者の方が

このポッドキャストを聞いていたら、彼らを引っ張ってでもセミナーに参加させてください。

知らないことに興味は持てないので、解剖学やエクササイズに興味がないと言っていても気にしないでください。

 

日本で、興味がないセミナーに数時間参加した上で、好きじゃないなーと思った方が

何百万と払って留学した後に踊れなくなるよりマシですから。

 

今日も最後まで聞いてくださってありがとうございました。

また来週のポッドキャストで、エビデンスベースのバレエ上達についてお話しましょう。

 

Happy Dancing!

佐藤愛

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