諦めないダンサーになるための「4つのステップ」についてお話しました。
「Grit(やり抜く力)」をテーマに、興味・練習・目的・希望という4つの要素が
いかにして継続の鍵となるのかを、バレエの世界に当てはめて解説。
どうやって諦めずに前進できるのか、バレエを続けたい全てのダンサーや指導者に向けた、実践的なアドバイス満載です。
Transcript
2025年3月に行われる予定の、来日セミナーの骨組みが決まってきて
飛行機もとったし、裏で準備も始まったDLSより、佐藤愛です。
本音を言うと、現在の私はオンラインでもオフラインでも
ほぼ同じく感じています。
オンラインに移行した2020年は現地セミナーが恋しかったけど、
今ではオンラインにも慣れているので、オンラインの良いところがたくさん見えます。
例えば南半球にいる私ですが、
4年間ボディコンサークルというオンラインのエクササイズを毎週日曜日にお届けしています。
オンラインがなかったら出来なかったです。
4年間やってきて、レギュラー参加してくださった人達の変化も見えるし
学校が休みの時だけ、ケガしてフルに踊れない時だけなど限定で戻ってきてくれる人達も、
不定期だけど、定期的に見ることが出来ています。
この言い方で通じる?
何らかの事情で参加者がレギュラーじゃなかったとしても、
クラスがコンスタントに行われているので、
戻って来られる場所になっているんですよね、ってこと。
とはいえ、オフラインだからこそ出来ることもたくさんあります。
例えば、グループワーク、ペアワーク。
同じような興味を持った人達との交流や、休憩中の会話。
そこから繋がった縁を見ることが出来るのは現地セミナーだからこそ出来る事。
今日のテーマは「そう簡単に諦めないダンサーになる4ステップ」という内容なのですが
来日セミナーの例が、どのように関係していくのか
最後まで聞いてみてくださいね。
先週のポッドキャストで諦める人の特徴をお話しました。
「自分で決めて、離れる」という自発的なgive upではなく、
「流れてしまって結果諦める」方のgive upだよ、という話をした後に
私が見てきた人たちの中で、諦める人に共通して見える点4つ
- 「出来ない」をすぐに言う
- いつも「OOのせい」
- ゴールが定まっていない
- 必死に頑張る、が努力だと思っている
をお話しました。
その続きとして、今日はそう簡単に諦めないダンサーになるには何をしたらいいのか?
を考えていきたいと思います。
諦めないダンサーというと、何が何でもプロになる方が偉い!みたいなイメージがあるかもしれませんが、
そういうイメージが強く残ってしまう人は、
「継続すること」と置き換えてください。
結局、諦めないって継続する、続けるという意味だものね。
そして、今日のお話する4つの点は「Grit」という本、
日本語名は「やりぬく力」を参照にしています。
この本や著者の心理学教授の話は、2024年残り2か月半を有意義に使おう!という
エピソード531からチラチラお話してきましたよね。
そう、実は隠れシリーズだったんです。
ゴールを達成したり、今年の抱負を叶えるためには
やり抜く力が必要です。
そしてやり抜くためには・・・そう、諦めない必要があります。
やり抜く力(Grit)に関する研究者のアンジェア教授によると
やり抜く力を内側から伸ばすことが出来るそうです。
その為の4つのステップはこちら
- 興味
- 練習
- 目的
- 希望
どうです?思っていた「諦めない力」のイメージと合ってますか?
粘り強さとか、根性とかではなくシンプルな、そして比較的ポジティブな4つから
やり抜く力を育てることが出来るそうです。
しかも数字の順番で。
逆に、諦める人は今あげた4つのポイントの後ろの要素から順番に強くなっていくそうです。
つまり希望が最初になくなるってこと。
詳しい説明は本を読めばいいだけだから、
今日はこの4つの項目をバレエに当てはめていきましょう。
諦めない子は「育てることが出来る」という観点から、
先生の視点で見ていきますが、保護者でもダンサー本人でも使える考え方です。
1 バレエに興味を持つ
バレエを習い続けるためには、興味というキッカケが必要です。
自分がやっていることが楽しい、と感じられる必要があるってことね。
だからこそ、受験期を超えて生徒達にバレエを続けてほしいと思うのなら
レッスンが楽しい、バレエに興味がある
という子達を育てられる環境を提供する必要があります。
「バレエは恵まれた体を持った人だけのもの」
というような言葉を使っていなかったとしても
- つま先
- 足の長さ
- 体の細さ
- 顔の小ささ
など、生まれ持ったもの、見た目を褒めていて、
- 休まずに参加
- ケガしているけど、出来るところまで頑張る
- 学校の試験中、クラス数を減らしてでも、レッスンに通う
などの行動への努力を認めてあげないスタジオでは、
バレエに興味を持ってもらう事は出来ないでしょう。
だって、自分とは関係ないって思われてしまうから。
2 練習を続ける
アンジェラ教授は
「自分の弱点をはっきりと認識し、
それを克服するための努力を日々繰り返し、
何年も続けなければいけない」
と言っています。
これを先生用に言い換えると
- 生徒の弱点をはっきりと認識し
- 克服するための方法を、日々繰り返し指導し
- 何年も続けて、育てなければいけない
となります。
バレエを始めて数年で、ターンアウトが出来ないから
「あの子は才能がない」と諦めるのでは指導者として足りませんね。
もちろん、子供は大人の背中を見て育つと言いますから、
先生が勉強や練習を継続していなかったら、
彼らが練習を続ける「大切さ」を理解するのは難しいでしょう。
もし、レッスンに来ない子達がいたり、途中でやめてしまう生徒が多い場合は、
1つ前のステップだった「興味」が出来ていないのかもしれない、とも考えられます。
「生徒に興味を持ってもらえるようなクラスを提供しているか?」
ここにYESと答えられなかったら、
再度レッスンゴールやスタジオ方針を見直す必要があるかもしれません。
3 どうしてやるか?の目的がある
諦めず、続けるためには目的、つまりゴールがある必要があるそうです。
- 何のために踊っているのか?
- どうして上手になりたいのか?
- なんでこのパをやっているのか?
が明確になっている必要があるってことだよね。
- 発表会でこの役を踊るため
というのも、もちろん大切ですが、これ「だけ」が目的だと
発表会の後に、生徒がごそっと辞めるという問題が生まれてしまうでしょう。
本によると「他の人々の為にも役立つと思えることが絶対に必要だ」と書いてあります。
ただ、この部分は仕事に対しての説明が多かったので、
スタジオに通っている全員に使えるかどうかは分かりません。
とはいえ、プロになりたい!という子達がレッスンを辞めない理由は
レッスンに通うゴールが明確だからでしょうね。
大人バレエも含め、健康や趣味として続けたい人達は
バレエ以外のゴールをクリアにする必要があります。
- 友達と会える場所だから
- ストレス発散になるから
- 憧れの役が踊りたいから
- トウシューズが履きたいから
などは素晴らしいゴールです。
この部分をしっかりと理解すると、
先生たちは目的であるバリエーションやトウシューズを
そんなに簡単に与えてしまわない方が良いんじゃないか?
という事も見えてきます。
もちろん、ケガのリスクや間違ったテクニックが身についてしまうことなど
今までDLSで口酸っぱくお話してきたことの重要性は変わりません。
- でも生徒にバレエを続けてほしいなら
- 子供に習い事を続けてほしいなら
そう簡単にぶら下がっているニンジンを渡さない方がいいのよ。
その方向に向かって努力していくのは大切で、
それが理解できるから2番のポイント「練習を続ける」という部分に繋がるはずですからね。
4 生徒の希望を潰さない
最後のポイントは希望です。
やり抜く力の最終ポイントが希望!?って思うかもしれないけれど
本によると「希望は困難に立ち向かうための粘り強さだ」と書いてあります。
辛抱強く、何年も、夢に向かって努力出来る生徒を育てたかったら
本人の希望を潰してはいけません。
- 何で出来ないの!
- だから上手にならないのよ!
など指導ではなく、罵倒の言葉をかけている場合、
生徒達が育っていかなくて当たり前ですね。
さっき4つのポイントはこれだよ、と発表した時に、
諦める時は、数字が逆に進んでいくよとお話したじゃない?
希望が無くなり、目的を失い、練習に来なくなって、興味を失う。
もし、諦める子がこの順番で動くならば、
指導者として、大人として
生徒の希望を保つ努力を徹底する必要があると思います。
ダンサーの子達が、このポッドキャストを聞いていたら
自分で自分の希望を失わない努力が必要だと思いますし、
希望が無くなってしまうような人を避ける努力も必要だと思います。
本の中では、良い先生、メンターに出会うことがどれほど大切かが書いてありますが、
逆もしかり。
自分自身の才能などと関係なく、
- 応援してくれる人
- しっかりと叱ってくれる人
- 相談に乗ってくれる人
の存在は諦めない人間を作るためには非常に大切だという事を覚えておきましょう。
ただし、「甘やかしてくれる」とは言っていない事をお忘れなく・・・
諦めずに、大きな目標を達成するには
何度もケガを繰り返し、いつも体型のことについて言われ続けた18歳の愛ちゃんは
レッスンに復帰できるという希望を失い、
どうしてバレエ留学しているのに、座っているんだろう・・・と目的を失い
練習にも集中できず、結果踊りを”諦めました”。
でも2020年にパンデミックでオーストラリアの国境が閉じた時、
オンラインでも出来るという希望と、
生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが当たり前になるために仕事をしているんだ!という目的、
そしてオンライン指導に慣れるために、毎週行ったインスタやFacebookライブでの練習。
もちろん、ダンサーがケガ無く上達するための研究自体に興味があったので、
パンデミックを乗り越えられたのだと思います。
同じように、DLS11周年のメルマガでも書いたけど
いくら情報を提供していても、保護者や教師など、
未成年を守るべき立場の人が、分かっているのに間違った事を続けている…
という事実で、今年の頭には希望を失いかけましたが、
目的を思い出し「10年で結果が出ると思うなよ!」と自分をプッシュしました。
Again!
諦めてはいけないとは言っていません。
危険なスタジオは辞めるべきだし
知識のない先生にお月謝を払う必要はないと思います。
だけど、自分のゴールに対して進むためには
冷静に現状態を分析し、対策を考えたらいいのではないでしょうか?
そうすれば、エピソード531でお話したように、
最悪ケースでも、前に進んでいるんだから。
そして、エピソード532でお話したように
諦めないで!と言うのは簡単だけど、
諦めてしまう理由や傾向を理解して、どうしたら諦めず前に進めるか?を考えてみましょう。
何よりも、
- ちょっと大変になるとすぐに諦めちゃう
- 計画立てても、最後まで出来ない
- 色々と言い訳を考えて、結果前に進めてない
という人達は、自分の「やり抜く力」を育てることが出来るという事を忘れずに。
ということで、今日のポッドキャストはここまで。
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もし、「Grit」を読んだことがある人は、お気に入りのフレーズを本から教えてくださいね。
ではまた来週のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!