DLSポッドキャスト epi525 バレエ解剖学基礎:股関節の構造

DLS 11周年を記念して、初心に戻り、バレエ解剖学について深掘りしました。

今月はダンサーにとって大切な「股関節」にフォーカスし、その構造や動き、そして注意すべきポイントを解説。

股関節のケアを怠ると、ダンス人生にどんな影響があるのか?この記事で詳しく学んでください。

あなたのダンスライフを守るための必見エピソードです!

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

11周年を機に、DLSについて色々考えたんだよねというメルマガをお読みくださった皆さんはご存じのように

11年目のDLS「初心に戻る」を大切にしていきたいと思っています。

そのため、今月のポッドキャストでは、解剖学についてお送りします。

 

DLSといったら解剖学でしょ、と私は勝手に思っているのですが

皆さんはDLSについてどういうイメージがあります?

  1. バレエテクニック?
  2. 鬼の愛さん?
  3. それともオーストラリア?

「DLSと言ったらOO」という文章に入る答えを、インスタのDMメールで教えてくださいね。

楽しみにしています。

 

ポッドキャストで解剖学をお伝えするデメリットというかチャレンジは

図とか模型を使えないので説明が分かりづらいかもしれないというところなんですが、

そこはバレエで鍛えた想像力があることを期待していますよ。

 

とはいえ、昔のポッドキャストエピソードを全部制覇してますとか、

もう2週目で、愛さんのもモノマネもできます

という人もいらっしゃるようなので、皆ついてきてくれることでしょう!

 

先週のポッドキャストでもお話したように、

今月のテーマはダンサーの股関節。

この部分についてのバレエ解剖学をお話していきましょう。

股関節=骨盤+大腿骨

股関節がどこにあるか?からはスタートしなくていいですよね?

股関節とは、名前の通り関節ですから、2つ、もしくは2つ以上の骨がぶつかる場所を指します。

 

骨は動けません、筋肉が動かさない限り。

骨は曲がりません、骨折しない限り。

 

よって、ターンアウトとか高く足を上げるなんていう

股関節からの動きを上達させたかったら、

股関節を作る骨を、筋肉が動かす必要があります。

 

だからね、いくら床でストレッチしても

アダージオの足が低いままだし、

ジャンプしたつま先がかま足になり、ジャンプの着地の膝は内側に落ちてしまうのよ。

 

ま、今日はその話ではないから飛ばしていきましょう。

 

では、股関節を作る骨とは何でしょうか?

簡単な説明は骨盤と太ももの骨ですね。

もう少し詳しく説明すると、寛骨と呼ばれる骨盤の骨と、大腿骨です。

マニアレベルになると、寛骨臼と大腿骨骨頭となります。

 

寛骨臼のことを知らなくても踊れるか?

答えはYES。

 

骨盤を知らないで踊れるか?

答えはNO。

 

なので、「ダンサーのための」解剖学だったら

骨盤と太ももの骨という理解があれば十分です。

 

股関節の動き

股関節は、球関節という特別な形をしています。

どれだけ特別かというと、人間の体の中に球関節は4つしかないんですよ。

200以上の骨があるのに。

ね、特別でしょ?

 

股関節の右と左、そして肩関節の右と左が球関節となります。

球関節はボール部分とソケット部分がある関節で、

股関節の場合、大腿骨の頭、骨頭部分がボール、

そして骨盤のくぼみ、寛骨臼がソケットになります。

この形のおかげで、股関節は様々な方向に動くように出来ているんですね。

 

ではクイズです。

股関節は6つの方向に動きます。

名前、分かりますか?

 

  1. 屈曲
  2. 伸展
  3. 外転
  4. 内転
  5. 外旋
  6. 内旋

ですね。

 

屈曲、外転、伸展を通過する動きのことを

分回し運動なんて呼んだりしますが

さっき説明した6つが分かっていれば問題なし。

 

バレエの言葉で説明すると

屈曲=パラレルのデヴァン

伸展=パラレルのデリエール

外転=パラレルのアラセコンド

内転=パラレルの5番ポジションのようにクロスポジション

外旋=ターンアウト

内旋=ターンイン

分回し=ロンデジャンプ

ですね。

 

だから、タンジュデヴァンは

股関節の外旋+屈曲となります。

 

股関節は安定している…はず

たしかに、球関節である股関節は様々な動きが出来ます。

解剖学では、動ける範囲のことを可動域と呼ぶので

股関節は広い可動域を持っている関節だと説明出来ます。

 

だけど、体の中で一番動ける関節は肩関節

このポッドキャストを聞いている保護者の皆さんだったら

子供たちの肩は抜けやすい、って分かるでしょ?

 

股関節は動けはしますが、

上半身と下半身を繋げる大切な関節でもあるため

そう簡単に外れないように出来ています。

 

    1. 他の関節にもある関節包ももちろんありますし、
    2. 寛骨臼の形や深さ
    3. 股関節周りにある数多くの靭帯
    4. 股関節の中にも、骨頭とソケット部分を繋げる靭帯も入っていますし
    5. 股関節唇という、不思議な形の軟骨もあります。

でもね、股関節が不安定な人がいます。

さっきお話したように、

股関節というのは関節なので2つ以上の骨が関係しますが、

股関節が不安定な人は、寛骨臼のソケット、お椀部分が浅いんですね。

このような人たちを臼蓋形成不全(きゅうがい けいせいふぜん)なんて言います。

 

このような股関節の人は、股関節の可動域が広いため

バレエ向きの体なんて言われることがありますし、

新体操選手にも多く見られます。

 

新体操をするから、骨の形が変わるわけではないですが、

股関節が柔らかい人が褒められたり、選ばれたりしやすいためです。

 

生まれつきの骨の形ではなく、

人工的に無理やりストレッチなどで

股関節の可動域を広くしている人もダンサーに良く見られます。

でもね、これは危険なんです。

 

ダンサーの股関節の痛みの多くは股関節が不安定

広い可動域を安全に使うためには、筋肉の強さが必要ですが

筋肉は使わないと弱くなります。

 

筋肉を保つために、人間の体はエネルギーを使うので、

省エネ大好き、つまりエネルギーをセーブしてサバイバルに使いたい人間は

使わない筋肉をとっておきません。

 

靭帯や軟骨にはそのようなデメリットはありません。

なので、生まれつきでも、無理やりでも股関節の可動域を広げてしまった人は、

一生股関節周りの筋肉をトレーニングし続けなければいけないんです。

 

そのような強さを保たないと、関節が傷ついていきます。

軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして

人工股関節になってしまうこともあります。

さっき、股関節にはたくさんの靭帯や

股関節唇と呼ばれる軟骨があるとか説明しましたよね?

 

こういうことを考えずにストレッチすると

  1. 股関節の捻挫や靭帯損傷
  2. 不安定症やマイクロインステビリティ
  3. 股関節唇損傷
  4. 股関節亜脱臼症候群

なんてケガに繋がってしまいます。

 

私が知っている限り、人工股関節は10年くらいしか持たないので、

早くから人工関節になってしまったら、

何度も手術を繰り返す事になるでしょう。

 

踊っているときに痛みがあった股関節が

先生になり、自分のレッスンが減ったので痛みが続く先生も多くいますし、

無理やりストレッチで20代から人工関節になってしまった選手も知っています。

また、度重なる股関節の痛みでプロダンサー生活を終わらせた人たちもいます。

 

怖がらせているわけではないですよ!

 

今日のエピソードで皆さんにしってもらいたいことは

  1. 股関節とは、骨盤と大腿骨でできた関節
  2. 球関節という特殊な形から様々な方向に動き
  3. 安定させるために、関節の周りには様々な組織がある

そういう事を知らずに形だけ真似したストレッチを続けると

  1. バレエを辞めなければいけない
  2. 一生続くケガになる可能性がある

という事実を理解してくださいね。

 

 

次のポッドキャストでは、この続きで臼蓋形成不全をもう少し詳しく見ていきましょう。

エピソードを見逃さないためにも、携帯のポッドキャストアプリからDLSポッドキャストの登録、

Youtubeで見ている人は、チャンネル登録と通知ボタンをオンにしておいてくださいね。

今日のポッドキャストが役に立ったよ!という人は

iTunesでレビューを残してもらえると、情報を必要としているダンサーに届けることが出来ます。

ではまた、来週のポッドキャストでお話しましょう。

 

Happy Dancing!

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