ダンサーにとても大切な「食事」を、治療家・指導者・解剖学講師の視点から考えました。
ケガの予防や修復、集中力には食事が欠かせません。
食事はエネルギー源であり、痩せる=パフォーマンス向上ではありません。
正しい食事があってこそ、レッスンに集中でき、軽やかに踊ることができます。
食事は悪ではなく、あなたの体は敵ではありません。
Transcript
きっと、メルボルンより北にいるはずの佐藤愛です。
レギュラーリスナーの方なら、
「この言い方だと、たぶん愛さんは事前にレコーディングしているんだろうな」
と思ってくれることでしょう。
その通り。
DLSチームの一人に、メルボルンの大学生がいて、
彼女がポッドキャストの編集や準備をお手伝いしてくれているんですね。
彼女が日本に一時帰国するので、何本か先にエピソードを録音しています。
2週間前のエピソードでは前まで冬に行われていた気温問題に終止符を打つために、
北に行くよという話をしたので、
何を話しているんだろう?と思った方は過去のエピソードを聞いてくださいね。
このようにポッドキャストでは、最近の私の裏話や
先週のエピソードの様にメルボルンやオーストラリアの話などもお届けしています。
聞き逃さないように、ご使用のポッドキャストアプリで、
DLSポッドキャストをご登録するのをお忘れなく。
もちろん、YouTubeでもお聞き頂けますが、
移動中に聞きたい方は巷にたくさんある、無料のポッドキャストアプリがおススメです。
さて、今日はダンサーの食事についてをお話していきます。
私は管理栄養士ではありませんから、食事の内容などのお話をしたいのではないですし、
その資格はありません。
知らない事は、指導出来ないので。
ただ、治療家としてお話出来る部分と、トレーナーとしてお話できること。
バレエ学校の解剖学講師、バレエダンサーサポート者としてお話出来ることがありますので、
自分のレーンの中で、お伝えしていければと思います。
ダンサーの食事については去年のDLS10周年の際に、
ダンサー専門の管理栄養士、染原ふみさんに授業をしてもらいましたよね。
そのクラスの録画を、今年のDLSお誕生日にお届けしようと計画中です。
教師のためのライブラリ1年会員の方は、無料でエクストラリソースに入れておく予定で、
それ以外の先生、ダンサー、保護者の方々も、このクラスだけ購入出来るように準備しています。
だって、食事はダンサーの周りにいる全ての人達に影響するもんね。
先生は、クラスで使う体型についての言葉やリハーサルに食事の時間を入れるなどのスケジュール
ダンサー自身は、自分のスケジュールに合わせて、食事と向き合う方法
保護者はたぶん、食事の準備をする方だと思うので、知っておきたい事だと思いますから。
いつから見られるの?とかどこから購入するの?という情報は
あと少しでお届けしますので、少々お待ちくださいませ。
もちろん、DLSメルマガの登録をお忘れなく。
今日は、
- 治療家・解剖学講師としてお話したいダンサーの食事
- トレーナー・バレエ教師としてお話したいダンサーの食事
の2種類に分けてお話していきますね。
治療家・解剖学講師としてお話したいダンサーの食事
ご存じの方も多いと思うけど、
私がバレエ学校を卒業した後に進んだ道は治療家でした。
なので、時系列的にこっちから先にお話しますね。
治療家、解剖学講師として、つまり体のことを一般の人より深く勉強した人として
お話したいダンサーの食事について。
それは、
- ケガ予防
- ケガから早く復帰
したかったら、食事をとらなければいけないという事実です。
野菜を食べましょう!とかバランスよく食べましょう!とか
そういうレベルではなくて、
カロリーを摂らなければいけません。
カロリー、熱量は少ない方が健康的でしょ?と思う人もいると思うんだけど、
これって、ダイエット業界の売り上げをアップする手段なんですよね。
ダイエット業界という、あえてダイエットに失敗する事で
一兆円を超える稼ぎを作るビジネスモデルを話し始めたら
このポッドキャストは終わってしまうので、今日は割愛します。
簡単に説明できるエリアで、
どんなレベルの知識量でも分かりやすい例を3つ挙げますね。
1)ケガを予防するためには
強い筋肉や骨、腱や靭帯などが必要です。
2)レッスン中の「しまった!」というケガを防ぐには
集中力が必要です。
3)ケガの修復とは
治療家の腕ではなくて、ケガした組織が回復する事を指します。
どう?3つの点は皆さん満足してくれる?
そりゃそうだよね、って思ってくれる?
じゃ、1番から見ていこう。
1)ケガを予防するためには
強い筋肉や骨、腱や靭帯などが必要です。
強い筋肉や骨、腱や靭帯はどこから作られると思います?
体の中だよね。
植物みたいに光合成でエネルギーを作れない人間は、
食事をすることで、エネルギーを摂取し、
そのエネルギーを使って、体の組織を健康に保ちます。
2)レッスン中の「しまった!」というケガを防ぐには
集中力が必要です。
ぼーっとして振付を間違えたとか、疲れて着地に失敗などを防ぐためには、
集中力が必要だというのは分かりますよね。
集中力とは何か?
簡単に考えると、脳みその働きです。
脳みそは1日に消費するエネルギーの20%を消費するそうです。
脳がつかうのはグルコースだというのは、学校で習ったかな?
グルコースって砂糖のことね。
つまり集中力を保ったままでレッスンを安全にこなしたかったら
砂糖を含め、食事が必要だってこと。
だいぶ、流れが見えてきたかしら?
では最後の点に行きましょう。
3)ケガの修復とは、治療家の腕ではなくて、
ケガした組織が回復する事を指します。
治療家の私が言うのも変ですが、
私たち治療家は、修復のサポートは出来るのですが、
実際にきれちゃった筋肉を繋げたり、
傷ついちゃった腱を直したりは出来ません。
手術で縫い付けることが出来たとしても、
縫い付けた部分が、くっつくのは、人間の体がやってくれます。
お医者さんではありません。
何かが壊れた時、修復するには材料が必要です。
そして、修復する材料は…そう、食事で摂取しなければいけない。
修復する際に使われるエネルギーも必要ですね。
ということは、最初にお話したように
- ケガを予防して、長く踊りたければ
- レッスン中の不必要なケガを防ぎたかったら
- 今あるケガを早く直し、舞台に復帰したければ
食事は絶対に必要だと分かりましたよね?
それなのに、食事を減らすことは褒められ、
食べるのを我慢するのは努力だと言われ、
皆の前でたくさん食べるのは恥ずかしい…
なんて感じている人が多く存在します。
食事をしなければ、人間は生きていけません。
トレーナー・バレエ教師としてお話したいダンサーの食事
私のレーンでお話出来る2つめの点は、トレーナー、バレエ教師。
つまり動きを指導する職業という目線で見ていきます。
- 日常生活以上の運動をしたければ、食事量も増やさなければいけない
- レッスンやエクササイズに集中するためには、食事をとらなければいけない
という点は先ほどの話で分かると思います。
運動指導をする人達の中には、残念ながら
- 痩せていたらケガしないと思っている人
- 運動は痩せるためにすると思っている人
がいます。
勉強不足もいいところですが、
さっきちょっとお話したダイエット業界パワーがあるので。
同じく、バレエの先生たちの中にも
- 痩せていたら足が上がるなど、テクニックが上達すると思っている人
- 痩せないと、舞台で軽やかに踊れないと思っている人
がいます。
痩せないと、衣装が可哀そう!
なんていうへんな人もいますよね。
衣装に感情はないだろうとか、
これって、自分の生徒の健康より、衣装の方を大事にしているってことで
指導者失格だろうという話は過去のブログで書きましたよね。
まだポッドキャストにしていないみたいなので、そのうちエピソードにしますね。
運動やダンスを指導しているのに
筋肉は脂肪の3倍重いという事実を知らず、
体重計の数字だけで良し悪しを決める先生もいるし
軽やかに踊るというのは、運動能力の話であって、
体重の話ではない事を分かっていない人もいます。
アリの方が人間より軽いですが、ダンスは上手ではありません。
赤ちゃんの方が、成人より軽いですが、早く走れるわけでもありません。
同じ体重の人でも、バレエをやったことがない人は、グランパドシャは出来ないでしょう。
ダンサーの優雅さ、軽やかさは
長年のトレーニングの賜物なんですよね。
それを、運動指導する先生自体が知らないから困ったものです。
ダンサーの食事に関する考え方にチャレンジ!
今日のポッドキャストでは何を話したかったか?
それは1つひとつの専門的知識ではなく、
みんなが納得するレベルで浅く考えても
ダンサーにとって食事はすごく大切だということ。
そして、食事はすごく大切なんだから
指導者はくれぐれも体重・体型について言葉にしない。
そうすれば、ダンサーが安心して食事をとれる世界がやってくるのではないでしょうか?
- 食事は、悪ではない。
- あなたの体は、敵ではない。
- 数字で、貴方の価値は変わらない。
こうやって考えられる人が増えたら、
ダンサーだけでなく、健康な人が増えるはずです。
そうは言っても
「愛さん、ドカ食いは健康じゃないでしょう?」
と思う人もいると思うので1つだけ。
ドカ食いが起こる原因は、食事を制限しているからなんですよ。
そしてこれって、過食性障害という摂食障害の1つです。
食事への考え方を変えるちょっとしたヒント
こうやって食事についての考え方を変えるのは難しい、
と感じる人もいると思います。
私もそうでした。
「そうは言っても」という言葉の後に、色々とイチャモンをつけていました。
勉強もせず、専門家の話を聞かず、自分の聞いてきた話だけを頼りに。
なので、今100%出来なくても
- 食事とダンサーのケガの繋がりの勉強を続ける
- 決めつけず、オープンマインドに「こういう世界もあるんだ」と知っていく
- お家の中にあるダイエット系の本、雑誌、ドレッシングなどを全て捨てる
から始めてみてください。
勇気が出たら、
- 体重計を捨てる、もしくは見えないところに隠す
も良いかもしれません。
最初の2点、勉強とオープンマインドは、自分の中から変更
次の2点、ダイエットに関係するものを捨てるのは、環境の変更
たとえ、今すぐ、自分の体を好きになれなくても
鏡を見たら不安になるとしても、
今お話したことは出来ると思うので。
保護者の方はそこに1つ追加。
子供達は、親の言う言葉、行動を真似します。
自分の体型についての言葉や、買い物内容に気をつけてみてください。
全部一気に変えなくてもOK。
もう読まない本や、古い雑誌からスタートしてみましょう。
「エピソード464 SNSからダンサーを守るために」もおススメです。
ということで今日のポッドキャストはここまで。
エピソードの感想は、インスタDMか、メールで教えてくださいね。
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一緒にダンサーの安全と将来の健康を第一に考えるバレエ界を作っていきましょう。
Happy Dancing!