DLSポッドキャスト epi514 北に向かう話とバレエ人生を豊かにする3点

夫婦間の戦いから「妥協」の大切さについて考えてみました。

先生vs生徒、主宰者vs助教、先生vs保護者など対立が生まれやすいバレエ界だからこそ

「お互いの意見の真ん中を探すこと」はとても重要です。

そして、「今の環境で最大限の努力をすること」、「休暇を大切にすること」は

人生を豊かにする上でも非常に大切だと感じています。

Transcript

あと1週間で北に向かう佐藤愛です。お元気ですか?

 

北に向かうって愛さんどうした!?と思いますよね。

ながーい戦いの上、北に向かうことになっているのですが、バレエとは全く関係ないので短くお話しますね。

 

旦那、通称神は寒さに弱いです。

私は暑さに弱いです。

よって、戦いが起こるんですね。

 

メルボルンの寒さは、カナダでマイナス何十度の生活をしていた人たちに言わせても、かなり過酷だそうです。

そう、メルボルンは寒いのよ。

気温はマイナスにならないんだけど、風が異常に冷たいし、乾燥地帯特有の痛い寒さがあります。

 

そして、私たちが住んでいるエリアは平らで、大きな木や建物がないため、

風が強いエリアなんですね。

そのため、この家に引っ越してきてから約10年、冬になると戦いが起こるのです。

 

「どうしてこんなに寒いところに住んでいるだ!活動的になれないじゃないか!」

と神らしくない発言をする神と、

「ほかの国に比べて、この寒さは酷くない!地球温暖化を考えたらメルボルンに住んでいるほうが安全だ!」

と反発する私。

 

昔マルチーズとプードルの混ざったちび犬、ウファがいた時は

「ほら、ウファも寒がっているじゃないか!」

という子供を使った戦いになりますが、

その後のジャーマンシェパード、ハスキーとオーストラリアンケルピーの混ざった大型犬、カヤックは

「まったく寒さを感じていないで、外にいるじゃないか!カヤックが暖かい地方に行ったら溶けちゃうぞ」

と反論できます。

 

ちなみに、時々ライブにも登場する、オーストラリアンケルピー、ポテトは

オーストラリアのドライな夏に負けないように作られている犬なので、寒さに弱いです。

 

このような戦いを、冬が来るたびに行った結果、

私たちの間で妥協案が出来ました。

それが冬場に北に向かうこと。

 

南半球は北のほうが暖かいんですね。

なので、冬場に北に向かうということは、暖かい地方に行くということ。

そこでAirbnbを借りて、寒さが一番厳しい時期を避ければいいという妥協案です。

 

でもね、私がバレエ学校の先生だったときは、ホリデークラスがあったので無理だったし、

DLSを裏でサポートしてくれている神は、中学校の先生でもあるので、冬場は2週間休みがあるだけ。

しかも結構なサイズの犬が2匹。

 

結果10日間だけのために、東京から広島くらいの距離を片道2日かけて運転するという

人によっては「何しているんだか」というwinter getawayを行っています。

突っ込みどころはたくさんあることでしょう。

 

でもね、

  1. お互いの意見の中で真ん中を探すこと
  2. 今の環境で最大限の努力をすること
  3. 休暇を大切にすること

の3点って、バレエの世界でも大切なのではないか?と思います。

 

<お互いの意見の中で、真ん中を探すこと>

日本人は意見交換が苦手だと言われたり、

海外の人は自分の意見を主張すると思われがちです。

 

私も留学したばっかりの時はそう思っていたのですが、

こちらの生活が長くなり、多くのバレエ学校の生徒たちや保護者、先生たちと仕事をしてきた中で、

これは日本人の持つ、ステレオタイプなのではないか?と思うようになりました。

 

多分、理由の一つは日本が思う海外とは、アメリカ的な部分があり、

アメリカのテレビ番組などでは、この部分が強く出されているからかな? と思いますが、

アメリカというとかなーり大きな土地を指しますし、

様々なバックグラウンドの人たちが住んでいるわけですから

1つの国の中にも、カルチャーの違いはあるでしょう。

 

ほら、日本だってありますよね。

東京の人はツンケンしてて、大阪の人は飴ちゃんを常備していて、

京都の人ははんなりと毒を吐く、みたいな感じって言うの?

本当かどうか分からないけど、そういうイメージが独り歩きしている感じはありません?

 

自分の意見を正当化させるために、常に戦う必要はないと思いますが、

社会で生活していくためには、自分の好きなことと、相手の好きなことが異なっていたり

お互いの意見の真ん中を探さなければいけないことがあると思います。

 

バレエスタジオなら、生徒と先生の意見かもしれないし、

主宰者と働いている先生たちの意見や、保護者と先生の意見かもしれません。

 

たとえば、先生側としては学生がレッスンに通える時間が限られているから

レッスンとレッスンの間に隙間を作ることが出来ない。

生徒は、安全のために早めにスタジオに来てウォームアップをしたい。

どっちの意見も大切ですよね。

 

ウォームアップやクールダウンが出来るように、レッスンの前後に30分ずつ時間をとったら、

最後のクラスが終わるのが深夜になってしまうかもしれませんし、

そうはいっても、ウォームアップやクールダウン、出来たらバレエノートを書く時間も欲しい。

 

この場合の真ん中、妥協案は何でしょうか?

 

例えば、レッスン内にウォームアップとクールダウンの時間を取り入れること

15分ずつ、計30分をこれらに使ってしまうと、レッスンでカバーできる内容が減ってしまう!

と思うかもしれませんが、ケガで思うように踊れない時間を減らすことが出来るだろうし、

使いたい筋肉のスイッチを入れてからのレッスンのほうが、クオリティは上がるでしょうね。

 

その代わり、このようなレッスンの中でポワントレッスンをクラスの最後に取り入れるのは無理でしょう。

ただでさえ、時間がないんだから。

 

生徒側の妥協は、ポワントレッスンは別に参加することかもしれません。

 

次は保護者と先生の意見を見てみましょうか。

発表会は参加させたいが、金銭的に難しい。という問題がある保護者と

ただでさえ、発表会は赤字でやっているんだから、これ以上無理、という先生がいたとしましょう。

 

妥協案は?

 

もしかしたら、発表会は毎年ではなく、2年に1度にすることかもしれませんし、

毎年やるけど、発表会の衣装や舞台装置をシンプルにすることかもしれません。

 

前からDLSを通じて言っているけど、日本のバレエ界は「命を懸けた発表会」が好きですよね。

衣装も、照明や装置もすっごく豪華で、バレエ人生がかかっているの?と思うくらい先生たちがキリキリし

深夜まで練習や、すごく高いパドドゥ代を払わなければいけないとかさ。

 

ワガノワでも、ロイヤルでもどこでもいいけれど、

憧れのバレエ学校の発表会、見たことあります?

 

もちろん、卒業公演は派手なところが多いけれど、それ以外の発表会は、

制服となっているレオタードに、同じ色のボンチュチュとか、

使いまわしがきく、白のチュチュに、ちょっとした髪飾りとかですよ。

 

照明はシンプルで、舞台装置はほぼなくて、

毎年2年生はこれ、と決まっている演目がある場合もあります。

そうすると、バレエ学校が衣装を持っているので、

衣装費がかからなくて済むんですね。

 

もちろん、舞台経験をさせてあげたいという気持ちは分かるのですが

時々、先生がやりたいことの総決算が発表会になっている様子を見て、

本当に生徒のことを考えているのか疑問が残ることがあります。

 

 

DLS公認スタンスインストラクターコースの申し込みでよく聞いた言葉が

「発表会や舞台があり、忙しいので」

というもの。

 

もし、本業がバレエの先生の人が忙しいなら、

本業が学生で、習い事の1つとしてバレエを習っている子たちはもっと忙しいからね。

 

勉強も、友達関係も、体の成長も、心の成長も必要な子たちは、

バレエだけ1本でやっていくことは出来ないんですから。

 

<今の環境で最大限の努力をすること>

1つ目のポイント、お互いの意見の真ん中を探すことと被る部分もありますが、

2つ目のポイントは、「今の環境で最大限の努力をすること」です。

 

私も含めてですが、理想の環境はあるものの、

今はそこに達することが出来ないという人は多くいるでしょう。

 

前にインスタライブをしているときに来ていたコメントでもありましたが、

子供のためにエクササイズクラスに参加させてあげたいけど、金銭的に無理

という保護者の方もいるでしょうし、

生徒のために、ウォームアップが出来る第二スタジオを作りたいけど、レンタル費が払えない

という先生もいるでしょう。

インストラクターコースでも、コースに参加したいけど、自身の健康状態が良くないという人もいました。

 

環境を嘆いたり、誰かのせいにするのは簡単ですが、

今の環境で最大限の努力をすることは、今日から直ぐにできます。

 

子供をエクササイズクラスに参加させてあげたいけど、金銭的に無理というご家庭なら

先生に相談して、1つだけエクササイズを教えてもらい、お家で練習することが出来るかもしれません。

 

家族で一緒に、お家で縄跳びとか、お休みの日はサイクリングに行くとか、

何らかの形で運動を習慣化してみる

バレエに特化した筋肉を鍛えるところはできないかもしれませんが、

基礎体力、筋力が無駄になることはありません。

 

その際、「やりなさいよ」ではなくて「一緒にやろう」と考えてくださいね。

だって、エクササイズクラスに参加できていたら、先生がいて、友達が一緒にやっている環境なんですから、

家族そろっての努力が必要でしょう。

 

勉強したいけど、自分の健康状態が良くないとか、クラスがある曜日に仕事があるという人なら、

ボディコンサークルでエクササイズを継続することで、

いつかコースを受講することが出来るようになったら、

エクササイズクラスの経験を増やしつつ、自分のケアもできますし、

プロップの使い方やキューイングなどが、理解できているレベルにしておくことは出来るでしょう。

 

ほら、バレエレッスンを体験したことがない人は、バレエの先生になれないように、

エクササイズの経験が少ない人は、エクササイズ指導者になるのは難しいでしょうね。

 

それも無理なら、教師のためのライブラリで自分の決めた時間に、

自分で決めた内容を勉強し続けることが出来るでしょう。

 

 

2つ目のポイントは、「環境に甘んじて」とは言っていません。

今の環境で、最大限の努力をするとお話しました。

 

だから「努力」の部分は絶対に必要です。

努力と無茶は違うということは、もう知ってますよね?

 

復習しておきたい人は、ポッドキャストエピソード459にて「努力と無理は違う」という話を、

エピソード462にて「”力を抜く”と”手を抜く”は違う」という話をしていますので

参考にしてくださいね。

 

<休暇を大切にすること>

3つ目のポイント、休暇を大切にすることはすでにポッドキャストにしてありますよね。

エピソード467「ダンサーに休む”努力”が必要な理由」を聞いてください。

 

実はそのエピソード、去年の北に向かったときの話なんですよね。

かなりの距離を、家族そろって大移動する理由の1つは、私なりの休む努力でもあります。

 

いつもと違う環境に行くことで、

いつもの習慣を崩すことが出来るから。

 

ただ、この話をすると今日のエピソードがとっても長くなってしまうので、

今日はここまでにしましょう。

 

 

まとめ。

 

2024年の私が考える、バレエだけではなく、人生を豊かにしてくれる3つのポイント

  1. お互いの意見の中で真ん中を探すこと
  2. 今の環境で最大限の努力をすること
  3. 休暇を大切にすること

 

一緒に復習したいエピソードは459, 462, 467

DLSサイトからリンクをチェックしてください。

メモしたい人も、ポッドキャストの文章版がアップされています。

ということで今日のエピソードはここまで。

また来週金曜日にお話しましょう。

 

Happy Dancing!

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