DLSポッドキャスト epi498 ローザンヌ国際バレエコンクールでも足を見る

今回は、公式競技手順を通じて、ローザンヌ国際バレエコンクールの裏側に迫りました。

大きな国際コンクールで求められるダンサーの資質を考察します。

ビデオ審査からポワントまで、基礎の重要性や準備の必要性について探求し、バレエ界への理解を深めます。

将来を守り、安全に進むために、バレエに真摯に取り組むすべての人に役立つ内容です。

Transcript

みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?

 

ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、

元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、

大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。

今日のポッドキャストでは、ローザンヌ国際バレエコンクールでも足を見るよ、という話をお届けしたいと思います。

まー皆さんがこのポッドキャストを聞いてくださっている時には、

今年のローザンヌも終わっている事でしょう。

ですが、私はまだ1月、来日前にポッドキャストを事前収録しております。

なので結果などは分かりませんから、その話ではございません。

そうではなくて、ローザンヌ国際バレエコンクールの審査情報を分析してみようという話です。

 

 

コンクールに出る人だけでなく、誰でも公式サイトから審査情報を手に入れることが出来るってご存じでしたか?

しかも国際バレエコンクールという名前の通り、日本語も含めて様々な言語に翻訳されている情報を見つけることが出来ます。

今日は誰でもアクセスできる「2024年版 競技手順」を読んでいきましょう。

 

まずはご存じのように予選となるビデオ審査ですよね。

実はその前に健康診断があり、ドクターからのレターが必要なんですが、

健康じゃなければ踊れないという、当たり前の事実と、

踊れない人は必要ない、というバレエ団やスクールの考えは分かると思うので飛ばしますね。

 

ビデオ審査のスタートは、素足で行うウォームアップだという事はご存じでしょうか?

手順には

バーを背にした形で立ち、1番からのウォームアップからスタートする。
足首から下の部分の構造が良く見えるよう、素足で行う。

と書いてあります。

ちなみにビデオ審査のバーは15分で、という指定があります。

時間の制限がある中で、あえて素足でつま先の動きから見る。

ここがビデオ審査の第一印象となるわけです。

 

やっぱり甲が出る方がいいんじゃない?と思った方、考え直してみよう。

バレエのプロが、シューズを脱がないと、ダンサーの足の甲が見えないと思います?

足の甲を見ることがゴールだったら、シューズを脱がなくても見えるはずですよね?

つまり、ここでは足の使い方を見ているのではないか?と考えられます。

そしてそれが重要だから、短い時間の中、特別に説明までついて指示があるのでしょう。

 

その後のバーレッスンの内容は

  1. プリエ
  2. タンデュ
  3. アダージオ(バットマン・ラン (Battements Lents)、デヴロッペのいずれか、または両方を含む)
  4. グラン・バットマン

と続きます。

 

私はここでも基礎へのこだわりがあるのではないか?と思うのです。

4つあるアンシェヌマンのうち、足をあげるのが50%、あげないのが50%だということですよね?

どれだけ高く脚があがるか「だけ」を見ているのではないという事が分かりますよね。

 

ちなみに

センターは

  1. ピルエット・ アンデオールとアンデダンのコンビネーション(ソフトバレエシューズ着用)
  2. アダージオ(ソフトバレエシューズ着用)
  3. アレグロのコンビネーション (プチ、ミディアム)
  4. 右回りと左回りのトゥール・アン・レール(男子のみ)

ポワントは

  1. ウォーミングアップのエシャッペ 、ルティレ
  2. アンデオールとアンデダンのダブル・ピルエット

 

そしてグランアレグロは32~64小節、と長さの指定もあり

  1. 女子はトウシューズを着用し、アンシェヌマンにスタジオを斜めに進行するターンを含める
  2. 男子はアンシェヌマンに、カブリオール、アントルシャ・シス、ダブル・トゥール・アン・レールを含める

となっていました。

 

撮影は一気に行う事(編集不可)となっているのを見ると、これらを一気に行うだけの

  1. 体力
  2. 筋力
  3. 集中力

も必要だと分かります。

 

 

つま先の使い方、バーレッスン、つまり立ち方とターンアウト。

タンジュ、プリエ…

そして休憩なしにすべてのアンシェヌマンを続ける中で、

疲れてしまって、動きが雑になったり、鈍くならないだけの体力筋力、そして集中力

もちろん、足の高さや回転、ジャンプなどテクニックも見られているでしょう。

 

でも、それ「だけ」が見たいなら、日本の地方コンクールのように、

ただバリエーションだけ見せてくれればいい、となっちゃいますよね。

何百人というダンサーがビデオを送ってくるのですから、

そっちの方が早いでしょう。

 

でも手順で読める部分には、基礎の大切さが見える気がします。

もちろん、この後にクラシックとコンテのバリエーションも録画して送ることになっていますけどね。

 

でも数分のバリエーションを何度も何度も練習するだけでは、

このようなレッスンから行われる予選や、レッスンが見られるオーディションでは上手くいかないでしょう。

何が言いたいか、というと。

基礎を徹底しようよ、ということ。

どこまで足が上がるか、どれだけ甲が出るか?ではなく、

使える足、コントロールされたアンエールを練習しようよ、ということ。

 

特にプロを目指す子達を育てているなら、

彼らの安全と将来の夢を守るためにも、指導者の質が大切になるでしょう。

小さなコンクールでは関係しないかもしれないけど、

毎週どこかで行われているようなコンクールから、海外のバレエ学校への入学許可はでないぜ?

先生だけでなく、ダンサーも保護者も、自分たちを守るために勉強しましょう。

 

こうやって公式が出している情報や、誰でも見られる書類というのがたくさん存在します。

例えばYAGP、今はYGPですが、ここも11歳以下のトウシューズは不要だと明言しています。

明言だけでなく、記事になって、ネットでも検索出来るようになっています。

DLSでも、それが出たらすぐにブログにしましたよね。

 

英語が出来なくても、これらの情報を探すことが出来るんですから、

自分の体を守るために、そして自分の夢を守るためにもう少し勉強しましょうよ。

 

ローザンヌでも選べる学校の中で、特に英国系は、学生ビザを取得するために英語のレベルが必要だとか、

ローザンヌ手順からも、ネットワーキングや面接があることが書いてあるから、

自分の言葉で意見出来るだけの会話力も必要だとか。

もちろん、通訳もつくようですが、通訳はあくまでも貴方が言った事を訳してくれるだけです。

 

 

こうやって本気でバレエ留学を考えているなら、準備しないといけないものがたくさん見つかるはずです。

そしてその中には、開脚がフラットに出来るとか、椅子の上で前後開脚が出来るとかはありません。

エビぞりで、シューズの臭いがかげるかどうか、のビデオ審査もありません。

何に対して努力しているのか分かった上で、

努力の方向性を明確にしないと、悲しいのはダンサーだと思います。

 

夢が叶わなかっただけでなく、一生顔色を窺わないといけない痛みとか、骨の変形とかに繋がるんですから。

ということで、今日はローザンヌ競技手順を使いながら、

プロを育成したいディレクターたちが何を見ているのか?を考えてみました。

正しい足の使い方を含め、ポワントレッスンやコーチングが5日間続くようなコンクールに出てもついていけるような、

強い足を作るエクササイズ、

ケガの原因にならないようなポワント選びの方法などが学べる、

ダンサーの足セミナーは3月23,24日の週末に行われます。

 

春休みに入ってはいるはずですが、まだ寒い札幌です。

そうは言っても、スイスのローザンヌのようには寒くないはずですし、なにより日本語が通じます。

定員に達したため、若干増席してありますので、北海道ダンサー達はもちろん、

国内留学とまでは言えませんが、自分で体調管理をしたり、

忘れ物なくホテルで生活したりを日本語で練習しておきたい、中学生以上のダンサーはこの機会をお見逃しなく。

 

もちろん、法的に未成年1人でホテル宿泊は大変だと思いますが、

保護者がいても、口出ししない、荷物持たない、サポートしないというような形で練習が出来るはず。

ローザンヌの舞台裏には引率できる人の人数が限られています。

ただのレッスンより、移動で気が張る感じや、

いつもと違うベッドでの体調管理など勉強出来ることがたくさんあると思いますよ。

 

先生が引率するなら、同じ会場で早い時間に行われる、教師の為のバレエ解剖学講座をどうぞ。

一緒に勉強してあげてください。

 

詳細、お申込みはDLSサイトへ。

申込は3月16日にクローズしてしまいますので、お早めに。

今日も最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。

来週のポッドキャストはエピソード499、記念すべき500回の前にポッドキャストを500週続けてきて学んだことや裏話をシェアしますね。

 

Happy Dancing!

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