「ついていけるか不安だな…」
何事も新しいことを始める時には不安と緊張があると思います。
私も何度もそういう経験をしました。
私が初めての研修やお仕事での経験から学んだことは、
初めての試練が成長と学びの機会になるということです。
「ついていけるか心配」の心理を打破するためには、
挑戦し、学び、自分の価値を見出すことが重要です。
Transcript
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、
元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、
大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。
今日のポッドキャストでは、ダンサーのついていけるか心配…という心理についてお話していきたいと思います。
現在来日セミナーの申込が行われていますが、毎年セミナー申込では
「OOクラスを受けたいけど、ついていけるか心配です」
という声をもらいますね、特に大人から。
大人というのは大人バレエ生徒さんだけでなく、教師や治療家なども含めます。
子供達からや、保護者からはあまりないんですね、面白い事に。
DLSのセミナーだけでなく、バレエレッスンや講習会も同じかと思うので、
今日は「ついていけるか心配」について考えてみようと思いました。
私がバレエ学校に留学した時、ついていけるか心配、と感じた記憶はありませんでした。
ただ楽しみだったし、勉強する場所だと思っていました。
勉強というのは机に座って、という意味ではなく学びの場という意味ね。
先週のポッドキャストでお話したように、座学の解剖学授業はつまらないと思っていた時もあったので。
でも、大人になってからは記憶に残っているんですよ。
例えば、初めてのバレエ団研修日はもちろん怖かったです。
ここに居ていいんだろうか、という気持ちからスタートしました。
だって周りは世界のトップ医療チームですよ?
トップのスー・メイズは、あのシルビィ・ギエムにカフライズを教え、
バレエ医学では大きな股関節についての研究ペーパーに名前が載る人。
それだけでなく、プロになれなかった私にとって、
プロダンサーしかいない場所であるカンパニーは、落ちこぼれだという気持ちを強くさせました。
メルボルンで有名なパフォーマー専門クリニックの初日も大変でした。
クリニックの初日は、本当にひどくて。
酷いというのは、悪い対応を受けたとかそういう意味ではなく、
すぐにプロとして仕事スタートで、
クリニックのルールとか紹介とか、道具がどこにあるとかそういう説明がなく。
全部自分で探して、自分でやれ!という感じだったんですね。
ずっとウィンドウズのパソコンで育ってきた私は、マックのスタートボタンの場所すら分からない状態でした。
5分くらい机の下を見たり、デスクトップの裏を見たりしてたんだけど、
結局受付の人に聞いて教えてもらいました。
この話を、後でクリニックのボスにしたら、
そうだったの!?って驚かれました。
試練を与えよう、と思っていたわけではなく単純に忘れていたそうです。
私が初日だったという事を。
そうそう、5年ほど通っているヨガスタジオに最初に行った時も、
初めて会ったとは思えないと言われました。
そんなによくある顔なのか、はたまた居心地良さそうにしているのか。
内面はそんなことなかったんですけどね。
パソコンのスイッチすら分からなくて、
この子は役に立たないとクビにならないかヒヤヒヤしたし、
大きな手術後、まっすぐに寝転がることも出来ない状態で
参加したヨガクラスは不安でいっぱいでした。
初日は分からなくて当たり前です。
自分で体験しないと、身につかないです。
そして、やってみても分からなかったら、周りに相談できる人がいる。
これが「ついていけるか心配」という心理を打破するために必要な考え方ではないかなと思うのです。
バレエ団の研修を例にとって。
研修したいからとコンタクトをとった私を、相手は素晴らしい新チームメンバーレベルだと思っているわけがないんですよね。
学びに行っているということは、カンパニーで学べることがある、
つまり自分の知識や経験では足りないから、その場所に身を置いているわけじゃないですか。
学ばせてほしいから、連絡くださいとメールした時に、
ついていけるか心配なんて言っていられないんですよね。
ついていけないから、そこにいるんだから。
クリニックではプロの治療家として仕事を始めましたけど、
そのクリニックで働いたことはないんですよ。
当たり前だけど。
そうしたら、パソコンのスイッチが分からなくても、タオルの場所が分からなくても
当たり前なんですよね。
そして、パソコンのスイッチが分からなくても、
私という人間の価値が下がることはありません。
これがマックのカスタマーサービスという職業初日だったら話は違いますけど。
出来ないから学ぶ。
ついていけない環境だから、勉強になる。
この発想があれば、「ついていけるか心配」と考える事が無意味だと分かります。
分かるけど、考え方の癖になっていたらチャンスを逃してしまうでしょうね。
オーディションで、
- ついていけるか心配…と立っている子と
- ついていけないかもしれないけど、やるだけやる!という子
どっちの方が、自信があるように見えるでしょうか?
どっちの方が、ディレクターがとりたい、と思ってくれるでしょうか?
バレエ学校、講習会、セミナー。
これらの場所は学びの場所です。
上手な人だけが来るわけではないし、
多くのスタジオで、有名なダンサーを輩出している先生だけが来る場所ではありません。
今いる患者さんの中で1人だけダンサーです、という人も
ダンサーしか治療しませんという治療家も、共通ゴールを持っています。
それはよりよくダンサーをサポートするという事。
先生もそうでしょう?
生徒数とは関係なく、今来てくれている子達、たとえそれが5人でも50人でも、
その子達にとって
唯一のバレエの場所であり、唯一の先生であることには変わりないんですよね。
これね、アシスタントをしてますという子達から質問を受ける時にも言うんだけど、
子供達にとって、アシスタントの先生でも、大先生でも同じく「先生」なんですよね。
尊敬のまなざしで見ている事には変わりないの。
たとえ保護者は経歴などを見ていたとしても、
子供達にとっては、過去の話は興味はないわけ。
だから、
- ついていけるか心配
- 私でも参加してもいいか心配
- 足を引っ張らないか心配
と思っている人達がいたら
- 学びたい気持ちがあるなら、参加する。
- 上手くやる事がゴールではなく、学ぶことがゴールであると思い出す。
そして
- 大切な生徒さん達の為に勉強しているんだという目的を忘れない。
とするといいんじゃないかな、と思います。
考え方の癖は、踊り方の癖と同じです。
神経回路は、使った部分がコネクションが出来、強くなり、早く、無意識に使えるようになります。
膝を押し込む癖や、ターンアウトの代わりに骨盤をタックインするなど。
そうやってきた時間が長ければ、
コネクションが強くなっていて、何度注意されても無意識に、疲れた時にやってしまいます。
考え方も同じく、神経回路です。
躊躇してしまう癖がついていたら、その部分のコネクションが強くなっていて、
自分の中で正当な理由を探す力も強くなっている事でしょう。
- 今は忙しいから
- 参加しなくても自分で勉強出来る部分があるから
- 読み終わっていない本があるから
など、出来ない理由を出すのは数秒で出来るのに、
出来る理由、参加する理由を考えるには時間がかかるという人は、
考え方の癖がついている証拠です。
本来なら、メリットもデメリットも同じようにプレゼン出来て、
そこから自分のゴールに合わせて一番良い行動を導きだせるはずなんだもの。
まだ2024年1月。
もし、考え方の癖でネガティブ、出来ない事、自分に足りない部分「だけ」に
フォーカスするコネクションが強くなっている人は、
今年1年かけて修正してみたらいかがでしょうか?
ネガティブを辞める、ではなく、ネガティブと同じだけ
ポジティブ、できる事、自分が足りている事を考える力を育てるってことです。
ポジティブに考えたら成長出来ない、と思っている人もいるかもしれませんが、
「もっと上手になりたい」と思うためには、
自分が出来ている場所が分かる必要があります。
全然出来ていないと思ったら、「才能ないから辞める」になってしまうのだから。
できる事、足りない事の両方が分かれば、
ここは出来ているけど、ここが足りないから勉強しよう!
ついていけないだろうけど、だからこそ学びの場所になるんだ!
と考えることが出来ますよね。
自信のないダンサーは、舞台映えしませんよ。
ということで今日のポッドキャストはここまで。
最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。
年に1度だけ行われあるDLS来日セミナーのスケジュール、お申込はwww.dancerslifesupport.comへ。
もしついていけるか心配…と思っていた人がいたら、今日のエピソードが勇気もしくは決断のヒントになりますように。
学ぶ気があるなら来てくださいませ。もちろん、そういう人達しかポッドキャストを聞いてくれていないと思いますけどね。
Happy Dancing!