キトリの3幕やガムザッティの振り付けに登場する
グランパドシャ、大胆で目を惹く動きですよね。
「グランパドシャで脚を開く方法を知りたい」という声にお応えして、
今回のポッドキャストでは、
グランパドシャという動きの分析から自分で出来るジャンプトレーニング方法まで
カバーした内容をお届けします。
聞きたい人はこちらから(読みたい人はスクロールしてね)
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、
元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、
大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。
今日のポッドキャストでは、グランパドシャを上達させる方法についてお話していきたいと思います。
6月は似て非なるものシリーズ、先週のポッドキャストではSNSの危険性とダンサーやダンサーの周りにいる大人ができることを考えてきましたよね。
バレエに関係している事は話しているんだけど、ダンサーを取り巻く社会的要素についての話が多かったかなと思ったので、
今日はザ・バレエっぽいグランパドシャについてお話したらどうだろうと考えました。
もちろん、DLSポッドキャストのレギュラーリスナーさんや、DLSをフォローしてくれるコミュニティにとって、
私が骨、筋肉、バレエステップだけを話しているわけではないのは知ってくれていると思うんだけどね。
ご存じのように現在DLSの舞台裏では、10周年に向けてのイベント準備を頑張っています。
多くのゲストの皆さんの協力を経て、Happy Dancing、
つまりダンサーが痛みなく、夢を追いかけられるような世界のために。
生徒の安全と将来の健康を第一に考えたレッスンが当たり前になるように。
そんな思いを込めて、健康で踊り続けられるための知識を様々な方向からタックルするイベントを多く準備しているんですね。
あと少しで情報解禁になるから楽しみにしていてください。
ビデオ編集や、資料制作の準備の関係上、録画クラスはすでに撮影が終わっているんですが、まぁ楽しかった!
同じようにダンサーの健康を考えてくれる人、違うエリアから同じようにダンサーが長く踊り続けられるような世界を作ろうとしてくれている人たちとの話が楽しくないわけがないんですけどね。
昔ポッドキャストでもカバーした、仲間がいる大切さというか、同志、同じ志をもった人たちと一緒に時間を過ごす、会話をするだけで、どれだけ勉強になるのかということを再確認しました。
イベントの1つとして、ロシアの大学院卒業、ワガノワメソッドとなるクラシックバレエ教育免許を持っている先生と、
ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンス、通称RADの教師資格兼、ほかの先生たちが資格をとるサポートもするチューターをしている方
2名をゲストにお呼びしてシラバスの違いなどを聞くクラスがあるんです。
そこでアレグロの例として、グランパドシャの話が出たから、今日はそこからアイデアをとって、ポッドキャストのテーマにします。
グランパドシャがしたいから、床でオーバースプリッツを練習している、という声をよく聞きます。
グランパドシャで足を開くにはどうしたらいいですか?という質問もダンサーからだけでなく、先生たちからも聞きます。
ライブラリにもある「レッスンプラン」のクラスでもグランパドシャだけではなく、
全てのステップには、その前にやらなければいけないことがあり、
レッスンプランでそれらを取り入れていかなければ、生徒が出来るようにならない、という話をしています。
今回、違うシラバスを取り入れているお二人と話をしていて気づいたことは、
グランパドシャという難易度の高いステップは、年齢が高くなってから練習するステップであるということ。
グランパドシャは難易度の高い応用であるため、基礎が出来た人たちが行うべきであること。
そういうところをすっ飛ばして、床で形が似ているという理由だけでスプリッツの練習をして、
どうしてジャンプが出来ないんだろう、どうして空中で足が開かないんだろう、と悩んでいるとしたら、
練習内容が悪いという証拠なんですよね、ダンサーの才能がないのではなくて。
ちなみに、RADでは14-5歳、ワガノワ学校では13-16歳でグランパドシャが出てくるそうですよ。
としたら、小学生がコンクールでキトリの3幕やガムザッティをするはずがないという事が分かるはずです。
たとえ身体試験で選ばれてシステムの整った国立学校で職業としてのバレエのトレーニングを受けているワガノワ学校の子達でも、この年齢なんだから。
このビデオクラス、多くのバレエの先生だけでなく、ダンサーや保護者などバレエに関わる全員に見てほしいな!
すごく勉強になるから。
話が脱線しましたね。
グランパドシャの上達方法をお話するポッドキャストなのに、指導者の手腕についてどうのこうのお話しても仕方ない。
今の自分が出来ることにフォーカスを置いていきましょう。
まずはグランパドシャとは難しいステップであるという理解をしよう。
特にバレエを始めて日が浅い人や、年齢によっては出来なくて当たり前だということを忘れないようにしよう。
そうすれば、焦ってへんなネット検索をしたり、おうちで意味のないストレッチをしなくて済むから。
次。さっき、「グランパドシャは難易度の高い応用であるため、基礎が出来た人たちが行うべき」ってお話したじゃない?
では、ジャンプの基礎とは何でしょうか?
シャンジェマン、アッサンブレ、名前に入っているからパドシャ?と思った方、間違えてはないのですが、もっともっと、基本に戻ると、ジャンプの基礎は跳ぶことです。
両足で、ターンアウトなしで、思いっきり跳ぶこと。
思いっきり飛ぶだけでなく、連続して跳ぶことや、縄跳びでやるようなちっちゃいジャンプと、
天井に手が届くか?ってチャレンジするときみたいに大きく跳ぶなど。
こういうバレエダンサーの前に、人間の運動としてのジャンプが出来ている必要があります。
別に、高跳びの世界記録を取らなければいけないとか、縄跳びで二重飛びが30回連続で出来ないといけない、とは言っていませんよ。
でもアレグロが弱いかも、ジャンプが苦手、跳躍を上達させたいなと思ったら、一番最初に、スタジオでなくても、先生が協力的でなくても出来ることは、普通のジャンプです。
来日セミナーの様子をお話した2023年4月にお送りしたメルマガでも、ダンサーの足セミナーについての感想でお話したんですが、
つま先を伸ばしたいと思っているなら、つま先が伸びる時間空中にいないといけないんですよね。
だからまずは両足ジャンプを練習しましょう。
両足ジャンプ、とお話したら次に来るのは分かりますよね、片足ジャンプです。
グランパドシャは、「片足で踏み切り、反対の足で着地する」ジャンプです。
片足から、反対の足にジャンプするということは、片足で踏み切ることと、片足で着地することの両方ができていなければいけません。
さっき例に出したダンサーの足セミナーの参加者に、プレポワントテスト、つまりトウシューズが履けるだけの強さがあるか?を確認するテストをやってもらうのですが、
項目の1つに、16回の片足ソテがあります。
これが、出来ないんですよ。
1回目はいいんだけど、連続していくと片足で踏み切れないの。
同じ場所に着地することもできないし、16回続けるだけの体力や筋力がないことも多い。
もちろん、グランパドシャは同じ場所に着地するジャンプではありませんね。リープだから。
そして、先ほどお話したように、片足から反対の足へのジャンプですから、同じ足を酷使し続けることはありません。
でも、グランアレグロで出てくるジャンプなんですよね、これ。
だから、その前のプチアレグロ、ミディアムアレグロをやってきています。
もちろんグランパドシャを「1回だけ」行って終わり、というアンシェヌマンではないだろうから、
ほかのジャンプと組み合わさった振付をこなす必要があります。
としたら、バーレッスンを45分やったあと、センターワークをやって、そのあとに16回片足ソテをやったわけではないような状態で、
音楽に合わせて行う必要がなく、ただ自分のテンポでジャンプするだけが出来なかったら、グランパドシャに行きつくことはないでしょう。
両足で跳ぶこと。片足で跳ぶこと。
これらが出来て、ターンアウトを保ったままジャンプすること+空中でつま先を伸ばすこと、
というバレエのアレグロの基本的な部分が出来るようになったら、
ようやく重心指導だとか、助走ステップとの組み合わせだとか、足を大きく動かすだとかの動きの練習が出来るようになります。
今日は分かりやすいように、先ほど例に出した16回ジャンプを使って、練習プランを作ってみましょうか。
レッスンで使われる音楽は8カウントで1フレーズになっていることが多いので、2フレーズ行うと16になるもんね。
- 両足で16回飛べますか?
- 片足で16回飛べますか?
- 片足で踏切り、反対の足で降りるというジャンプを16回出来ますか?
- ターンアウト+つま先を伸ばして、それらのジャンプが16回出来ますか?
今の内容をチェックリストにして、自分に必要な練習を探してください。
これだったら、スタジオでなくても出来ますよね。
もちろん、今足首、膝、股関節、腰エリアのケガをしている人はダメですよ。
これらの関節はジャンプのパワーとなるだけでなく、着地の衝撃吸収をしてくれます。
車で言うと、アクセルが動いていても、ブレーキが効かない車は安全に運転出来ないよね?
だからケガを治すことを最優先して、リハビリを続けましょう。
放っておいても良くなりませんから、リハビリを続けましょう、と言いましたよ。
何もしないで、お休みしてたらOKではないからね。
自分のケガに対し、どんなことを気を付けたらいいのか?という知識が足りない人は、DLSのライブラリで当てはまるケガがあるか?をチェックしてください。
こういうケガをしているんだけど、どのクラスを勉強したらいいですか?という疑問はhello@dancerslifesupport.comにメールして教えてくださいね。
ライブラリは、先生たち用ではありますが、勉強熱心な大人バレエトレーニーや
ケガについて学びたいプロを目指している学生も、勉強ツールとして使ってもらえます。
オンラインでビデオが見られるので、現在留学中の人も大丈夫。
だって自主練するなら、自分が生徒でありつつ、先生になりますものね。
ただし、簡単な内容ではないですから、勉強する意欲がある人だけどうぞ。
16回出来なかったらどうするか?
痛みを押し殺して、必死で毎日16回やってもケガにつながるだけです。
例えば16回両足ジャンプすら大変だった、という人は、まずは8回+30秒休憩+8回と16回のジャンプを分けて行ってみましょう。
それを1-2週間続けたら、次は8回+15秒休憩+8回、それが出来たら再度16回ジャンプにリベンジです。
先生がこれをレッスンに使うなら、まずは両手バーで小さな1番ポジションでも、6番でもどっちでもいいから
8ジャンプ、少し足をぶらぶらさせるカウントを取って、また8ジャンプ、というようにレッスンに取り入れてください。
ジャンプが出来ない人につま先伸ばして、という注意は出来ません。
だって、つま先を伸ばすスペースを確保しないと、つま先は伸びないからです。
彼らに必要なレベルを理解し、それに対して注意をするようにしましょう。
例えばバーに頼りすぎているとか、着地が両足ではなく、強いほうの足に頼っているなどが見えたら教えてあげてくださいね。
ということで、誰でも出来るグランパドシャを上達する方法として、
自分で出来るジャンプトレーニング方法をお送りしましたがいかがでしたでしょうか?
このポッドキャストの感想や、このステップも取り上げてほしいというリクエストがありましたら、hello@dancerslifesupport.comにメールくださいね。
来週は、とうとう10周年記念のイベントスケジュールの全てをお送りします。お楽しみに!
Happy Dancing!
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