その情報、本当ですか?
SNSを通じて多様な情報を簡単に入手することができるようになった一方、
誰もが簡単に情報を発信できる環境になりました。
私たちの健康や安全を知らない人がシェアした
証拠が不明な情報に左右されてはなりません。
今回のポッドキャストでは、ある学術論文に基づいて
SNSとダンサーの生活について考えてみました。
聞きたい人はこちらから(読みたい人はスクロールしてね)
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、
元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、
大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。
今日のポッドキャストでは、6月1日にお送りしたメルマガでもご紹介したSNSとボディイメージについての研究内容を見ながら、
ダンサー達はもちろん、私たち大人は何をしていけばいいか?を考えてみようと思います。
既にメルマガで読んだよ!と言う人も、どうぞ最後まで聞いてくださいね。
メルマガでご紹介した論文を元に、このポッドキャストでは具体的に今すぐできる自分を守る行動をお話していきます。
DLSにメルマガなんてあったの?と言う人、あったんですよ。
毎月1日と15日に、こうやって英語の研究のご紹介だったり、
最近の裏話、新プロジェクトの進行などをご紹介しています。もちろん無料だからご心配なく。
登録方法はDLSサイトにある登録ボタンを使ってもらうか、インスタのDM、
もしくはhello@dancerslifesupport.comにメールでお名前、メールアドレスと共に
「メルマガ登録希望」と教えてくださいね。
日本の携帯アドレス、例えばドコモとかezwebなどのメールアドレスですと、
海外にいる私からのメールが届かないことがあります。
gmailやhotmailなどを使ってくださいね。
ただ、どのアドレスを使っていても、受信箱がいっぱいだったり、
迷惑メールフォルダをチェックしていないと見つからないかもしれませんのでお気をつけて。
さて、さっそく本題の研究内容に行きましょうか。
インスタで私がフォローしているニューヨークのお医者さん兼内分泌学者のグレゴリー・ドデル先生という人がいます。
フォローしている理由は、今回の研究内容みたいに、ただの流行りとかバズっているトピックではなく、
医療関係者が、しっかりと論文や研究に基づいた情報を無料でネットにシェアしてくれているからなんですね。
そして今回ご紹介する論文は、国際的に評価される専門家による査読を受けた科学雑誌、
Eating Behaviorsのボリューム49、2023年4月に掲載された研究。
英語名でしたが、日本語に訳すると
「ソーシャルメディアの利用が身体イメージと摂食障害の行動に与える影響:露出時間よりもコンテンツが重要」
というタイトルを持つ論文です。
ドデル先生のインスタアカウントも含め、論文のリンクもこのポッドキャストのスクリプトにつけておきますね。
www.dancerslifesupport.com/episode464を見に来てください。
エピソード番号をDLSブログでチェックすれば出てきますから。
では、彼がインスタに挙げていた投稿の日本語訳をご紹介しますね。
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大学生を対象に行われた研究にて、性別とBMIを制御した上で、SNSで消費されるコンテンツの種類が、ボディイメージの悪化や摂食障害的な行動と関連していることが示されました。
ただし、SNSの利用時間や利用するプラットフォームの多様性とは関連していません。
具体的には、減量に関するコンテンツへの露出が、自分の体に対する評価の低下(ボディイメージ)、外見の否定的な評価への恐怖の増加、そして過食の頻度の増加と関連していました。
初期の仮説とは異なり、ボディポジティブ/ニュートラリティに関連するコンテンツへの露出には保護効果が見られませんでした。
私たちが持つ身体に関する物語(および子供たちの物語)は、引き続き議論され、研究がなされる必要があります。
これはソーシャルメディアを超えたものです。私たちの社会の健康がかかっています。
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ちょっと難しい言葉が多かったですかね。
一度聞いただけでは分かりづらいかもしれません。
ただ、「減量、ダイエットに関するコンテンツをソーシャルメディアで見る」ことが、
自分の体を嫌いになったり、体重が増えることへの恐怖心を作ったり、
ドカ食いなど過食の頻度を上げてしまうということが分かったそうです。
しかも、その逆になるようなボディポジティブな内容の投稿や、ニュートラル、つまり中立の立場となるようなダイエットでもないし、
ボディポジティブでもないような投稿をたくさん見ていても、
減量、ダイエット系のコンテンツから悪影響は受けてしまうという事でした。
3つダイエットを見て、5つボディポジティブやニュートラルを見ても、緩和されないってことね。
メルマガでは、ここにガッカリしたという私の感想をお話しました。
だって、DLSでは巷に多く流れている間違った情報に負けないように、このポッドキャストもそうだし、
先月の似て非なるものシリーズ、ライブラリなどをお送りしているじゃない?
だけど、数百億ドル以上の価値があるなんて言われるダイエット業界が、
有名になりたい、ユーチューバーやインフルエンサーになりたい人達と手を組んで、あの手、この手で
消費者の目に留まるように投稿を作っているのを考えると、
太刀打ちできないんじゃないかと感じてしまったんです。
ただでさえ、クラシックバレエダンサーは摂食障害のリスクが高い人口と言われるのに。
子供達のソーシャルメディアの時間を減らせばいいんじゃない?と思った人もいるかもしれませんね。
ただ、残念ながらソーシャルメディアを見ている時間とは関係ないという事も分かったそうです。
論文のアブストラクトの最後に、書いてあった文章の日本語訳もお送りします。
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研究結果から、ソーシャルメディアの利用による悪影響に対処するための取り組みは、
ソーシャルメディアの利用時間ではなく、コンテンツ自体に重点を置くべきだということが示されました。
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メルマガでは、ケガ予防やリハビリの最初のステップは、「ケガを知る事」だから、
私たちができる事の最初の一歩は「知識のインプット」ではないか?とお話したの。
このように、一般アクセスも出来る研究で出されているリスクを理解する他に
- ボディポジティブ(ニュートラル)って何?
- ボディイメージって具体的に何を指すの?
- 摂食障害の怖さと、ダンサーとの深い繋がりは?
- ダイエット”業界”の悪質さと、身を守る方法
- 栄養不足がどのようにダンサーのケガの繋がっていくか?
このような知識を身につける事。
そうすればケガを予防する行動だったり、リハビリで行う行動、
そして長く踊っていける努力の行動など、自分が出来る事が分かります。
では、ここでちょっと考えてみよう。
今出来る人は、ポッドキャストを聞きながらでもいいし、運転中、お仕事中の人は次に携帯に触る時でも大丈夫。
1分だけ、自分がよく使うソーシャルメディアを開いて、どんな内容が流れてくるか見てみましょう。
私もこのポッドキャストの準備をしながら一緒にやってみますね。
私が一番使用するソーシャルメディアはインスタです。
なので今、実際にインスタを開いています。
そして、虫眼鏡マークの「おすすめ」コンテンツが見えるところ、というんでしょうかね、
私がフォローしている人達の近況が見えるところではなくて、インスタが私におススメしてくる内容を見てみます。
では1分スクロールしてみます。
スタバのアレンジ方法なんていう、オーストラリアじゃ出来ないような情報と、
メイクやコスメのアカウント、ビジネスとお勧めの本を紹介しているようなアカウントが出てきました。
1分の実験ではダイエットはもちろん、食事についてはスタバの新しい抹茶どーのこーの以外ゼロ。
では、スタバをクリックして、その後に出てくる関連投稿を見てみましょう。
これも1分やってみます。
スタバ関連から、日本のコンビニスイーツなどが出てきたほか、
さっきのページとあまり変わらない内容が出てきました。
1つだけ気になるとしたら、体型カバーの服装アレンジ方法みたいなリールが流れてきたくらい。
皆さんのアカウントはいかがでしたか?
バックグラウンドとして、私のアカウントでは「減量」などのキーワードは見せないように、という設定をしてあります。
しかも嫌いな情報が流れてきたら、アカウントをブロックするとか、このようなコンテンツは見せないで、という通報をしています。
例えば「自分磨き」とか「好きな人のために」「夏を楽しむために」など一見ポジティブなメッセージと混ぜて、
読み進めていくと摂食障害を招く行動を推奨していたりするアカウントは、手動で着々と消していきます。
投稿だけでなく、そのような投稿をしたアカウント自体をブロックしちゃいます。
インスタはキーワードでブロックできたり、通報ボタンに摂食障害というカテゴリがあるってご存じでしたか?
こういう行動は、問題解決にはなっていません。
だって投稿を見ることには変わりないから。
ただ、自分を守る行動として知っておくと便利だとは思います。
未成年の保護者なら、こういう方法を指導しておくこと。
スタジオのお知らせメールや保護者会があるなら、トピックに挙げる事、などもいいアイデアだと思います。
ただし、これはインスタで1分だから出来た事。
アルゴリズム的に、時間が経つにつれて、
つまりスクロールを続けるにつれて、出してくるおススメが変わってきます。
例えば、最後の方に出てきた体型をカバーする服装アレンジをクリックしたら、
それに関連する投稿が出てきます。
この投稿をクリックすることで、次にファッションに行くこともあれば、
体型カバーに進むこともあれば、ダイエットにも向かう事の出来る分岐点になっているということね。
例えば
- テレビのCMは?
- テレビの特集は?
- 新聞に挟まっているチラシは?
- 通学通勤で使う電車の中吊り広告は?
- お家に置いてある「お父さん用の」ダイエットドリンク
- カロリーゼロなんて書いてあるドレッシングは?
まずは出来るところから少しずつ行っていく必要がありますが、やはり本人が出来る行動には限界があるのも事実。
だから、ドデル先生も投稿の中で
「これはソーシャルメディアを超えたものです。私たちの社会の健康がかかっています。」
と言っているのかもしれません。
ということで、皆で一緒に考えてみたポッドキャストはここまで。
是非、このポッドキャストで学んだ方法で、SNSを「楽しい場所」にする努力をしてみてくださいね。
最後に先週のポッドキャストでもお知らせした、7月16日、日本時間19時30分から21時、
オンラインで行われる「Taste」の「ボディイメージについて話そう」の申込、終わっていますか?
学割も使って、自分と家族を守る知識を勉強してくださいね。
リンクはブログについていますが、インスタで@taste.food.and.lifeをチェックするのもお忘れなく。
では、また来週のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!
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