多くの人達が悩む外反母趾。
特にトウシューズを選ぶときに困ったり、長くリハーサルが続くと痛くて大変、なんて人もいますよね。
遺伝要素が強い外反母趾ですが、解剖学的に考えて予防出来るエリアもあります。
DLSライブラリクラス「外反母趾」より、音声の一部をご紹介しました。
聞きたい人はこちらから
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
ダンサーズライフサポート、通称DLSは“生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、
元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、
大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。
先週、先々週に引き続き今日のポッドキャストでは、DLS教師のためのライブラリのチラ見せというかチラ聞き?というんでしょうかね?
音声をお届けしているので。
正しい表現は分かりませんが、ライブラリ内のクラスの一部の音声だけをお届けしています。
今週のピックアップは外反母趾について。
理由は明日から始まるダンサーの足セミナーを記念して、足に関連する事がいいなと思ったからです。
とはいえ、先週のポッドキャストでも、つま先を伸ばすためのエクササイズ、カフライズについてをお話していますよね。
何をかくそう、ダンサーの足セミナーは2012年から行ってきた全てのクラスの中で、私が一番好きなセミナーなんです。
そして、ダンサーの足についてお話するのが好きというね。
ま、ダンサーのケガを見てみると、フット周りのケガがやはり多いから、10年以上バレエ学校で治療家として見てきたケガの中でもダントツでしたし、バレエ学校で悩み、バレエを辞めるきっかけとなった私のケガもフット部分でした。
つまり一番私が体験、経験してきたエリアでもあるから愛着があるのかもしれません。
フットが好き、っていうとちょっと変な感じがしますけどね。
最近ポッドキャストでアップしている教師のためのライブラリですが、動画と資料でお届けしているクラスたちになります。
その音声をカットしてお届けしている関係上、エクササイズとか、画面を見てね、というような部分をポッドキャストで取り上げることが出来ません。
なので、説明が多く、難しい言葉がたくさん出てくるポッドキャストになってしまっています。
しかも元々は、1クラス2時間のクラスを、ライブラリ用に10分以下のビデオにカットしてお届けしているので、
一部を聞いただけでは、レッスンとの繋がりが見えづらいかもしれません。
でも、レッスンも同じじゃないですか?先生がアンシェヌマンを説明して、1回で理解し完璧に踊るためには、
ある程度のレッスン歴が必要ですよね?最初のうちは、先生の動きは見ているし、聞いているんだけど、頭に入ってこないとか、
説明を聞いている時は分かっているつもりなんだけど、実際に音楽と共にマーキングしてみたら大変!みたいな事ありますよね。
勉強も同じだし、バレエ解剖学も一緒です。
何度も繰り返す必要があるかもしれないし、勉強歴が増えれば自然と、頭に入ってきやすくもなります。
そしてハマっていくんですよね、マニアックな世界に。
既にライブラリ会員の皆さんは「うんうん、だから会員になってるんだよ」と言ってくれるかもしれないし、今回セミナーに参加される人は、どっぷり2日間計4時間かけて、ダンサーの足の話をしていきましょう。
前置きが長くなってしまいましたが、「外反母趾」クラスより、音声をどうぞ。
では、靭帯の話がちょっと出たので、復習をしてからこの先に進んでいきましょう。
靭帯というのは、皆さんがご存じのように骨と骨を結ぶ紐ですね。コラーゲンが豊富で、紐です。
伸び縮みするもの、筋肉みたいなものではありません。
関節を安定させること、関節を固定させること、「その場所にいてね」ってしてくれるものです。
これが、外反母趾にはすごく大事になってくるんですよ。
元の場所から関節がずれてっちゃう、進行してっちゃう、っていうものじゃないですか。
だから骨がその場所にいてくれて、ちゃんと戻っててね、ちゃんとこの場所にいてねってしてくれるためには、靭帯がとっても大事になってくるんです。
筋肉とは違い、エネルギー消費がないって書いてありますが、筋肉を体が筋肉を維持するためには、常にエネルギーを使ってるんですね。
このことを「基礎代謝」なんていう風に言う人もいるかもしれません。
筋肉だけの話ではないんですけど、生存していくために必要なエネルギーがあります。
靭帯たちももちろん、そこに存在するためには、ある程度のエネルギーが必要なんですが、靭帯を「使う」ということはなく、ただの紐なので、エネルギーを使うことはありません。存在するだけなので。
だから他の月一勉強会、膝が中に入っちゃう反張膝だったり、体の柔らかい子達っていうのはすごく疲れやすいんですね。
なぜかって言ったら、靭帯のサポートがない、もしくはすごく少ない、筋肉でサポートしなくちゃいけない、筋肉はエネルギーを使う。よって普通の動きをしていても、他の子と同じ動きをしていても疲れやすくなってしまうわけです。
外反母趾に関係してくる靭帯は、横アーチをサポートする靭帯になってきます。
横アーチというのがどこか?というのは、またカーソルを見てみてください。こちらです。親指の付け根のところから、小指の付け根、MP関節のこのセクションですね、関節を紐で結んでいるから。で、ここに横に走ってる子達、これを「横アーチをサポートする靭帯」っていって、中に入ってるやつと、深いやつと、2種類あると書いてありますが、まぁそこまで知っておく必要は全くありません。
横に走ってる靭帯があるんだな、と思っていただければ嬉しいです。でもう、この図を見ただけで、親指の子を真ん中、足のセンターの方に引っ張ってくれてる靭帯だっていうのが分かりますでしょ?小指も同じく見えますよね。なのでこの靭帯が外反母趾にはとっても大切になってくるわけです。
ここでダンサーだけに出てくる問題というのも、ちょっとお話しておきましょうか。
”甲を出す”って、足のストレッチぎゅうぎゅう押す系、先生が上から押すのもそうだし、自分が上から押すのもそう。ストレッチですよーなんて言いながら、長座でやるような動きが出てくると思います。
でも皆さん、自分の足の甲を見ていただいてもいいですし、自分の知識を振り返っていただいてもいいですが、足の甲に筋肉ありましたっけ?
指と指の間にはありますよね。
裏側もありますよね。足裏鍛えたり、とか言うじゃないですか。
でも、足の甲のところに筋肉ありましたっけ?
ムキッって大腿四頭筋みたいなやつ、いないですよね?なので何を伸ばしてるんだろう?って一度、そこで立ち止まらなければいけないわけです私たち指導者は。
筋肉を伸ばす、それはOK。筋肉をストレッチする、それもOK、筋肉があればね。
だから、本当に筋肉があるのかな?っていうのは、ちょっと考えてあげる必要が出てきますし、「つま先を伸ばしましょう」って言ってる時には何をしてるのかな?って考えてあげる必要も出てきます。
「何をやってるのかな」って考えて、インスタとかでも見るかもしれないつま先を伸ばすっていうのを、イメージしてみてください。
足、前に出しました。もしかしたら、かかとを持ち上げるために何か下に入れてるかもしれませんね。つま先を床の方に押してきましょう、みたいな動きをしますよね?
その動きを何度も繰り返したりだとか、幼い頃からやり続ける、長い間止まってる、ってすると、残念ながら靭帯が少しずつ少しずつ伸びていってしまいます。
「それっていいじゃない、つま先伸びるようになるんでしょ?」
いや、ね、あの靭帯が伸びちゃったら、先程見たMP関節を集めておいてくれる靭帯たちのサポートがなくなっちゃうっていうことなんですよね。しかもその足に一生体重を乗っけて生活していくんですよね、私達。
としたら、確かに靭帯を伸ばしました、その時には「可動域=大きさ」は増えてるかもしれないけれど、「可動=動くことができる」強さは作っていないんだろうね。っていうことは、しっかりと頭に入れてあげなきゃなりませんよね。だって「筋力」は鍛えていないんですから。
ダンサーの爪先は、伸びる・伸びないだけではなく、踊りに耐える・耐えられないっていうエリアで見なければいけません。
踊れないダンサーはダンサーじゃありません。
このグラフにあるのは、プロのバレエダンサーたちを10年間追った、どんなケガがあるのかな?というリサーチによると、一番ダントツで数が多いケガの種類が見えますか?
一番左に書いてあるやつ。そこにはフット・アンクルって書いてあるわけです。足先のケガ。
ということはですよ、ラッキーなことにカンパニーに入ることができて、ラッキーなことにカンパニーで10年間踊っている人たちでさえ、これだけ足先のケガが多いということを考えたら、皆さんが見ているかもしれない大人の方々だったり、皆さんが見てるかもしれない、まだ子供で身体ができていない子たちの足だったらどうなるんだろう?ということは、1度考えておいてくださいね。
日本らしい、ダンサーらしいところをもう少し見ていきましょうか。「足指を広げる」って日本人はすごい好きなんですよね。
私は残念ながら、他のアジア圏の国に住んだことがないので、他のアジアの国か東洋医学とかがメインストリームで使われてるような国でも同じことをしてるのかちょっと分からないんですが、オーストラリア、ヨーロッパ系、アメリカ系で比べてみると、「足の指を広げましょう」「わーい!」って喜ぶ日本人っていうイメージがすごく強いんですよね。
広ければ広いほどいいとか、指がパーできたら素晴らしい、みたいな。何か飲み会のゲームみたいなところにも使われたりとかしてますが。
MP関節を0度、つまり先程見た中足骨と上に付いてるちっちゃい奴らを0度にしてまっすぐにすることが大切ですか、Yes・No?というクエスチョンであれば、Yesです。骨のアラインメントは大切なので。
足の指が内転している場合、親指の爪の方が内側に入ってきちゃってる場合、その子達を外転方向、つまりまっすぐの方に広げてあげることは大切か?もちろんYesです。
先程と同じように、アライメントの面で見たら。
でも足指が広げられたら広げられただけいいのか?って聞かれたら、もしくはどこまで広げるのがいいのか?と聞かれたら、0度に戻すことがゴールであり、プラスに行くことがゴールではありませんよね?
足指を広げたら、むくみが解消されるとか、痩せるだとか、健康になるとか様々な謳い文句がありますが、もし慢性的なむくみが継続して起こってるとしたら、内臓の問題とか先に見なきゃいけないわけで、「足の指広げようぜ」っていう話どころの話じゃなくなるんですよ。
確かに、足の指を広げることが外反母趾の人達にとっては「元の姿勢に戻す」という意味では大切になってくるところもありますし、だからこそこの後出てきますが、トゥセパレーターなどを使うっていうデバイスもありますが、
どこまでやるのか?何のためにやるのか?最終的なエンドゴールはどこなのか?っていうのが分かってないと、扁平足になります。残念ですね。
いかがでしたか?
この音声には愛語録にもある「一度立ち止まって考えてみて下さい」という言葉が何度も出てきましたね。
もちろん、私は情報提供側ですが、最終的にはダンサー、もしくは先生が情報を受け取った後の行動をします。
私が「やめなさいよ!」と南半球から叫んでも、SNSでブロックしちゃえば聞こえません。
なんだけど、知らなくてやっていた事。努力だと思って続けていた事が、次世代のダンサーの夢を壊してしまう事になるのはとても悲しいと思うんです。
だからこそ、先生たちは特に、一度立ち止まって考えてみてください。
立ち止まった後に、方向転換をするかしないか、は皆さん次第ですが、長い人生、10分くらい考えてみてもムダになりませんよね。
そして、立ち止まった後に答えが出なくても大丈夫だという事も覚えておいてください。
その場合、もっと勉強して、判断材料を増やしていけばいいだけですから。
ほら、赤と青のリボンしかなかったら組み合わせは1つだけだけど、七色のリボンがあったら何通りも組み合わせができる、みたいな感じ。
知識が増えれば増えるほど、指導や踊り方、自分のケアなどの組み合わせがたくさん出来るという事なんですよね。
そして生徒達1人1人に合わせて、組み合わせを選んであげるだけの余裕も生まれます。
このポッドキャストが出ている時には、既に2023年のセミナー申込は終わっちゃっています。
ですが、DLSと一緒に勉強したい人はボディコンサークルやエクスプレス、そして最近のポッドキャストテーマにもなっているDLS教師のためのライブラリをご利用くださいね。
一緒に選択肢を増やしていきましょう。
ということで、今日も最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。
また来週のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!
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