最初は元バレエ学校生徒達に、日本語で情報を伝える事が目的だったDLSですが、
多くの日本バレエ界の現場の声を聞くことで
DLSだからできる事を模索しながら、8年間活動してきました。
2022年内に出る予定の2冊の本は、
- 幼いダンサー達にもバレエ解剖学やエクササイズの情報を届ける事
- 性別に関係なく、バレエ解剖学やエクササイズの勉強ができる道具作り
という2つのゴールを叶える小さなステップになってくれるかな、と願っています。
すぐに世界は変えられないかもしれないけど、
同じ土俵に上げる事は出来るかもしれない。
そんな思いを込めたポッドキャストです。
聞きたい人はこちらから
<スクリプト>
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラス
ポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
今日のポッドキャストはブログのピックアップではなく、
6月1日にお送りしたメルマガの中身より一部をポッドキャスト用に変更してご紹介しようと思います。
(無料購読になります☆)
同じ土俵とは?
5月15日のメルマガで、第4冊目、上半身本の表紙ポジション案を2つお送りしました。
そして皆さんに投票してね、とお願いしたら、多くの方々がメールを送ってくれました。
本当は、メルマガで投票した後に、インスタでも、と思っていたのですが
メルマガの時点で十分な結果が出たので、
SNSでは出来上がったバージョンだけアップする事にしました。
投票してくださった皆さんのメールで
- 男性が後ろにさがらないもの
- 男性がサポートしている感が弱い方が…
というご意見が多くてとても嬉しかったです。
だって、みんなが一緒にこの本の裏テーマである
性別に関係なく、バレエの参考書、エクササイズを学ぼう!
というコンセプトを真剣に考えてくれているという証拠だと思うから。
でも、同じ土俵に上がるということは、
”みんな一緒”とはちょっと違うんですよね。
なので、今日はこの部分をお話したいと思います。
公平と平等
メルマガではイラストを使って説明したのですが、
ポッドキャストでは画像が見られないから出来る限り言葉で説明しようと思います。
身長の違う3人が、フェンス越しに野球を応援していると思ってください。
- 身長が一番高い人は、肩から上がフェンスより高いため、何も問題なく野球の試合を見る事が出来ます。
- 身長が真ん中の人は、頭がフェンスと同じ高さになってしまうため、ジャンプしないと野球場を見る事が出来ません。
- 身長が一番低い人は、ジャンプしても野球場の中は見えません。
この3人をつかって、平等と、公平の違いを考えてみましょう。
平等、皆一緒ね、というバージョンは皆に同じサイズの踏み台を1つ渡すことです。
みんなが、同じものを受け取る。
- 身長の一番高い人は、元々問題がなかったため、よりフェンスより頭がでっぱりました。
- 身長が真ん中の人は、さっきフェンスと頭が同じ高さだったため、踏み台のおかげで野球を見る事が出来ます。
- 身長が一番低い人は、踏み台を使ってもフェンスより身長が低いままなので、やっぱり野球を見る事が出来ません。
公平、そして私が、同じ土俵にたつ、と表現する場合は、
必要な人に、必要な数の踏み台を渡すという事になります。
- 身長が一番高い人は踏み台がいらなかったですよね。
- 身長が真ん中の人は1つの踏み台で、野球を見る事が出来ました。
- 身長が一番低い人には、2つ踏み台を渡すことで、ようやく野球を楽しむことが出来ました。
性別に関係なく、バレエレッスンは
- ターンアウト
- つま先伸ばす
- プリエするときは両足に均等に体重を
とか決まりがあります。
でも、同じ舞台に立ったとしても、役によっては
- キャラクターシューズ
- バレエシューズ
- ポワントシューズ
や衣装が違うのは分かりますよね?
でも、
- どの役もストーリーを伝えるために大切なのは一緒
- どの役を踊る人も、皆リスペクトされるべき。
- どの役を踊っても、全力で舞台を作るべき。
だと思いませんか?
男性ダンサーを同じ土俵にあげるとは?
今回、上半身本を使って”同じ土俵”に挙げたかったのは、
- 男性ダンサーが本に載るという事
- 男性ダンサーが表紙になるということ
でもそれは、
- 男性も、女性も同じポジションをする事
ではありません。
男性のサポートがなければパドドゥは成立しません。
サポートするには後ろで支えなければいけないポジションも多く存在します。
時には、ジゼルの2幕のように男性がサポートすることで、空気感を演出する事もあります。
でも、それは、
- 男性がバレエをやってはいけない
- 男性がバレエをやっているからと特別視されるものでもない
ましてや
- 男性がバレエをやっているからといって、イジメの対象になるべきではない
- パドドゥのために過酷なダイエットを女性に強いる事でもない
と私は考えています。
足りないところを増やすこと
エクササイズの世界でもそうですが、
右10回、左10回
とエクササイズしたからといって、上達するわけではありません。
- 右が弱いから増やす
- 左はケガから復帰しているから、徐々に増やす
- このバリエーションでは左ルルベが多いから、増やす
など、最終的に先ほどお話した同じ土俵に上がるという表現のように、
踏み台の数を調整して結果がイーブンになることを目指します。
という目線から、
本来なら著者としての私がすべきことは、
- 男性イラストだけの本を作ること
- トゥール・アンエールでは、など男性のステップを例に出すこと
- 彼が、という言葉で説明すること
で、女性イラストが圧倒的に多いバレエの参考書の世界を「イーブン」にする事なのですが、
それ昔のメルマガで書いたように、出版社のOKが出ない難しいエリアです。
バレエ人口から見る、性別でのマーケットサイズの違いや、
それに打ち勝つことが出来ない、インフルエンサーとしての私の力不足が原因です。
もちろん、できたらその上に
ジェンダーレス、ボーダーレスなエレメントを取り入れる事ですよね。
体型や年齢の違うイラストというのもアリかもしれません。
でも、それは今の私では難しい。
だから、今回の本では
- ダメでも、お願いはしてみる
- 皆さんの声を届ける
という、橋渡しをすることに徹底しました。
安全に踊るための情報を同じ土俵に上げる
今回の本の裏テーマでは性別を取り上げましたが、
依然として、ダンサーの中で情報の差という土俵もあります。
DLSをフォローしてくれている人達にとっては、ある程度当たり前になっている
- 人間の体を動かすのだから、解剖学にそったレッスン
- ケガ予防や、現在のバレエ界に求められるテクニックの強さを作るために、レッスンで足りない部分をエクササイズ
- ストレッチの危険性と、柔軟性の本当の意味
を
- コンクールの結果
- 変なお弁当とか、エビデンスで間違っていると分かっているのにダイエットを推奨する
などの情報と一緒の土俵に上がらせる、という仕事も私のパッションの一つです。
だから2019年から1年、クララで連載を引き受けました。
当初は、クララではこんなことが書いてありましたよ、とか
愛さんが言っている事とクララが書いていることは全く違いますよ、などいろいろと意見をもらいました。
でも、ゴールはクララを変える事ではなくて、
同じ土俵に情報を載せる事。
もちろん、連載のお客さんからの反応が良ければ、
そのような情報への需要があると思ってくれるはずで、
それが立証されたのが、連載後お話があったトウシューズで踊るための特集でした。
クララで連載した時も壁がありました。
- この言葉は使わない
- 文字数の制限
- このような内容は書けない
など、長く伝統のある雑誌の中で決まっているルールに沿って
私もプレイしなければいけませんでした。
でもその制限の中でも、クララという同じ土俵に、情報をあげること。
たとえそれが、100%私が満足する形でなくても、
クララを手に取った人が、「こういう世界もあるんだ?」と思ってもらえる事。
若いダンサー達や、保護者がパラパラとページをめくる中で、毎月目につくことで、
考える種を仕込む事。
それを常に考えて仕事をしていました。
でもこれは、私一人ではできない事です。
皆の声で単行本になった
皆さんがこのポッドキャストを聞いてくれているように、セミナーに参加してくれたり、
応援Tシャツを買ってくれたり、
そしてクララ連載の声を送ってくれたおかげで、
連載内容をまとめた単行本を発売する事できるところまでやって来られました。
今のところ発売は8月1日、奇しくもDLSのお誕生日です。
ただ、このポッドキャストは来日前に事前収録しているため、
もしかしたら販売日に変更があるかもしれません。
私のように情報を出す側にとって、応援してくれる皆さんがいる事は、とっても心強いんです。
ダンサーがリングに上がる時、
私がコーナーで応援したいと思ってDLSを続けてきました。
皆さんから見ると、リングに上がっているのは私のように見えるかもしれませんが、
赤コーナーにはいつも皆さんがいてくれる、とでもいうのでしょうか?
これからも一緒に、”よりよいバレエ界”を作っていきましょう。
”よりよいバレエ界”というのは、具体的には
- 不必要なケガで夢を諦める子を減らす。
- 年齢や性別に関係なく、バレエという芸術を楽しむ
- バレエを通過した後の結果が、一生残る痛みにならないようにする
- 健康を損なわずに、バレエを続ける
これをDLSではHappy Dancingと呼んでいます。
ということで、今週のポッドキャストはここまで。
また来週のポッドキャストでお話ししましょう。
Happy Dancing
佐藤愛でした。
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