コロナ自粛中に行ったDLSオンラインセミナーでは、バレエ教師の皆さんから発表会が中止になった、という声をたくさん聴きました。
バレエの発表会を何のため、誰のために発表会をやっているのか?
について考えるポッドキャストですが、
今後会場が当選しなかったときなどにも使える考え&アイデアになっていると思います。
聞きたい人はこちらから
スクリプト
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラス
ポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
毎月最後のポッドキャストではリスナーさんからもらった質問にお答えしています。
今日は様々なオンラインセミナーや勉強会で、バレエの先生方から聞いた質問というか悩みである、コロナで発表会が中止、もしくは延期になりました、というもの。
今まで頑張ってきたのにかわいそう、という意見や、
これからどうしたらいいのか、というものまで。
今日はその部分をポッドキャストでお話していけたらと思っています。
最近は開催していないダンサーの卵セミナー※でも、
治療家トレーナーにバレエの世界を知ってもらうためのセミナーでも、
常に私は日本のバレエ発表会には「命がかかっている」と説明しています。
甲子園とかはわかるよ。
3年間しか出られる機会がなくて、一度負けたらそれ以上進めなくて、
しかもそのあとプロの野球選手にならなければこうやって野球に打ち込む機会がないかもしれない、って人達じゃない。
でもバレエの発表会は年齢に関係なく行われるし、
そこからプロ団体が引き抜きをするわけでもない。
しかも、勝ち負けがあるわけではないから、みんなが出られる。
だったらどうしてそんなに命をかけるのでしょうかね。
ここでいう命というのはdead or aliveのほうじゃないよ。
バレエ生命ってこと。
発表会で無理して長期にわたるけがをする。
留学を控えているのに地元の発表会でプッシュして、せっかく毎日踊る生活になった時に100%で踊れない。
憧れの留学をしたのにもかかわらず、地元の発表会のお手伝いがあるので、と一時帰国する。
これらは実際に私が見てきた生徒たちにいました。
作り話ではなく、一度きりでもなく、10年以上バレエ学校にいて結構見るケース。
確かに、この発表会の後、受験に集中するためにバレエをやめますという人だったら別かもしれないよ。
ただ、そういう人達からの悩みを聞くわけではないので、今日は割愛します。
私もそうだったけど、子供たちにとって発表会が楽しくないはずがないよね。
非日常なんだから、ディズニーランドと同じレベルで楽しよね。
衣装もあるし、お花ももらえるし、何よりも舞台に立っちゃえば先生に怒鳴られることもない!
だから発表会が出来なくて悲しくなる気持ちはわかる。
がしかし、発表会の意味は言葉通り、今まで練習してきたことを発表する場、だとしたらパンデミックで練習できなければ発表出来ないよね。
そして言葉通り今までの成果を出すところであれば、発表会だから上達するのではなく、発表会のために練習したから上達するってわけだよね。
言っていること、通じます?
ゴールとして、目標として発表会というのがあっただけで、いつもより練習に集中したとか、リハが増えたから必然的に踊る量が増えたとか、
今までのレッスンに入っていなかったレベルのテクニックが振付にあるだとかさ。
それが上達させるものってわけでしょ。
そうしたら、発表会が出来なくてかわいそう、だからスタジオ復帰したら急いで発表会をしよう!にはならないはずなんだよね。
たしかに、スタジオ経営者として発表会の会場の抽選に並んだり、衣装を手配したり、振付を考えたりって時間をかけてきているから、
それが出来ないは今までの働きはなんのため?って思ってしまう人がいて当たり前だと思う。
でも忘れてはいけないのは、バレエ教師はそれを選んだわけ。
その生活をね。
私がDLSをやっているのは私が選んだから。
これはマイチョイスなわけですよ。
誰かに脅されてやっているわけでも、スポンサーに頼まれてやっているわけでもない。
個人の自由の一番上。
確かにセミナー準備は大変だよ。
来日するとなったら1年前からスタジオ押さえるし、セミナーが売れるかどうかわからない中でフライトチケットとるのは怖いよ。
セミナーが始まればはじまったで、今までブログで必死に伝えてきたメッセージが届いていないと分かったり、
あれほどDLSから添付付きのメールが届くアドレスで申し込めっていってもそうしないから、予習資料が届いていないと文句をつけられることもあるよ。
だけどさ、それは誰のせいでもなく、私の責任なわけだ。
これを選んだのは私だから。
発表会の話に戻りましょう。
発表会ってどれだけ大変か、というのは先生なら知っている。
だったらね、それをやるって決めた時点で腹をくくらなければいけないのよ。
そしてそれは、生徒のためではない。
生徒のためにやっているんです!っていうかもしれないけど、結果としてお金もらっているんでしょ?
発表会は赤字なんです、っていっても発表会をやるから生徒が残ってくれるとか、レッスン量を増やしてくれるとかでやるんでしょ?
赤字でもいいんです、生徒が楽しんでくれたら、という言葉の裏には、生徒がいる、つまり収入源があるってことでしょ?
別に先生を責めているわけでもなく、コロナで発表会が延期になったことを悲しむなんてばかじゃないか、と言っているわけでもないよ。
そりゃー悲しいよ、それだけ時間をかけて、腹をくくって準備してきたんだもの。
でもね、恋愛と一緒で手に入らないってわかったら諦めないとストーカーになるよ?
過去から学ぶのは大事だけど、コロナが世界レベルで来ないようにするってのはあなたではできないんだからさ。
では、今、何ができるか?に方向転換しないと。
発表会、という形式に縋り付き、再開するのではなく、子供たちにとって今何が必要か?を考えないと。
もし、発表会をゴール、マイルストーンとして使うのであれば、1年後でも問題ないよね。
もし発表会の練習が無駄になってかわいそう、と思うのならばスタジオ内で発表させて、それをビデオ撮影し、スタジオのほかの子たちに送るというオンライン発表会をしてもいいんだよね。
もし発表会のゴールが作品を理解することであれば、それは発表せずとも今のレッスンでも7月は眠りの森の美女月間です、として
グランアレグロの代わりに、1幕のこのエリアを学ぼうとか、
好きな役を研究して発表しようとか、衣装を検索してみよう、どんなものがあるかな?とかやってもいいわけだよね。
そして、もし発表会が今までの練習を発表する場であったら、
基礎練習をどかして、ケガするリスクが高い時期にリハーサルを行う理由がどれだけあるか?も考える必要があるよね。
何のために発表会をやっているのか。
誰のために発表会をやっているのか。
そのWHYの部分、エッセンスを取り入れることはできるでしょう。
コンクールもそうなんだけど、ゴールとして使うのか、練習を増やすために使うのか、バリエーションを覚えるために使うのか。
コンクール形式で舞台になれることは不可能だし、舞台になれる必要はバレエ学校のオーディションなどでは必要ないのを考えるとそれはWHYにはならない。
自分に自信を持つためであれば、他人と競争させることでは自信にならない。
留学のきっかけのためであれば、そのようなコンクールを、留学できる年齢で選ぶ必要がある。
コロナの後のコンクール参加で悩んでいる人がいたら、スタジオで1か月に1曲新しいバリエーションを覚える新しいクラスを作ったらどうか?
そうしたら、その中で役作りも一緒に学んだらどうだろうか?
もちろん、それは基礎レッスンの回数をこなしていて、プリンシパルレベルのテクニックを練習するだけ体が出来ているという前提だけどね。
最終的に6か月で6曲学べて、そこから好きなバリエーションを選択し、自分で練習してスタジオ内のおさらい会で発表するとかさ。
先生たちの中にはコンクールレッスンや個人レッスンを収入にしている人もいるだろうから、そうだったらほかの形で収入を補う必要があるでしょ。
お金は大事。
スタジオにお金があればいい床に変えたり、外部講師を招待することが出来て生徒の安全や学びの場を提供できるもんね。
ということで、何が言いたかったかと言いますと。
確かにコロナバカヤローって言いたいのはわかる。
せっかく積み上げてきたもの、準備してきたものが自分の責任ではないところで失われてしまったら悲しいに決まってる。
でもね、そもそも、どうしてそれをやるんだろう。って考えてみよう。
周りに流されず、どうしてどれをしたいのか。
なんであなたはそれを選んだのか。
そして、次の一手を考えたらいいと思うのね。
走るのが遅くても、ほかの人達より3時間早くスタートしたらマラソンも上位に入れるでしょ。
早く方向転換をして、早く次の道に進むっていうスピードと、ストーカーにならないように過去を割り切るっていう潔さは必要じゃないかなって話でした。
ということでコロナ月間はここで終わり。いかがでしたでしょうか?
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ではまた来週も金曜日にお話しましょう。
Happy dancing、佐藤愛でした。
※DLSでは、プロを目指すキッズ・ティーンのダンサーたちを「ダンサーの卵」と呼んでいますが、ポッドキャスト音声内は「バレリーナの卵」のままとなっています。ご了承ください。
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