無理なダイエットのため摂食障害になってしまったダンサー。
少しずつ食べられるようになったけれど、食事が楽しくもないし「食べなければいけない」という作業になってしまいました。
そんな質問を、ダンサーの摂食障害スペシャリスト、染原ふみさんにお聞きした、プリエ本先行予約イベントの音声抜粋をお届けします。
バレエに携わる人達は、摂食障害への理解を持ってほしいなと思います。
聞きたい人はこちらから
スクリプト
私は前にすごいダイエットをして1年前は夏にそれが原因で膝を疲労骨折してしまって。
でもふみさんのブログに出会って、教室の先生からも食べることの大切さを教えてもらって食べてはいるんですけど、
食べることが作業みたいになってしまって今全然楽しくないです。
これは自分でもあまり良くないことだなとわかってるけど相談するのもあまりできなくて。
他の子の食べるのが楽しくないっていうのは誰かに相談して解決することなのかな?というのが1つと、
これは今踊っているときに起こることなんですけど、体力が持たなくて長い時間踊っていると、
踊ってる途中でお腹が空いてしまうから軽食を挟むんですけど、その軽食を食べると貧血みたいになってしまって少しふらっとすることがあって。
これは踊る前にもっといっぱい食べて踊ってる途中に食べないようにするのがいいのか、それとも途中でも食べていいからその貧血にならないように食べた方がいいのか?質問です。
<ふみさん回答>
相談してくれてありがとうございます。
多分すごく悩んだし、周りは多分私みたいな悩み持ってないだろうな、みんな楽しか食べてるんだろうなっていうのが頭の中ですごくグルグルしていたと思うから、
今日はそれを表に出してくれてありがとうございました。
残念ながら腸は筋肉と同じで、というかほとんどが筋肉でできています。
ダイエットとかをすると長期間ウェイトトレーニングお休みするのと同じで、きちんと食べ物を消化する、気持ちよく消化するっていう力が弱くなります。
でもお休みした後にちょっとずつ、急に100キロ持ち上げようっていうのは逆に、筋肉が痛くなって怪我しちゃうけど、
少しずつ数キロずつ頑張ってみようっていうふうにコツコツしたら強くなるのと同じで、毎日コツコツ定期的に食べるようにすることで、この胃腸系の筋肉はきちんと働きが戻ってきます。
どれくらいの期間ダイエットしてたかによるけど、1年から3年くらいの間で元どおりになります。
腹筋とかしなくてもね。
ダイエットをした後の食事というのはほんとにそこから回復、リカバリーするまで専門的なふうに見ると5段階あって、最初の2段階は楽しくないです。
定期的に食べて十分な量をとるっていうその最初の2段階はどうしても作業みたいになってしまう。
やっぱり長い間休んでいて慣れていないものだから。
ただその後の3段階というのは定期的に食べる、で十分な量を食べる、お腹が空いたらやっぱり間食が必要だからそこで軽食をとっているというのは素晴らしいと思うし、それはやっぱりエネルギーが必要っていうこと。
その後には食べられるものの種類を増やしていったり、他の人と外で食べたり一緒に食べたり、食べ物を交えて交流する。
そういう段階が待っていてそこまで来たら楽しくなります。
食べることだけじゃなくて、ねえねえ○○ちゃんあれ食べに行こうよ、と言ってそこでするお喋りだとか。秘密話だとか。
そういう楽しい思い出も出てくるから、食べること自体が楽しくなっていく。
多分今はそこに入る直前の段階。
ここでじゃあずっと食べることがつまらないままなんだって思わないで。
ここまでやっと来れたから。
だって多分最初間食とるの怖かったでしょ?いいのかなって悩んだでしょ?
それを乗り越えられたから、じゃあ次は信頼できるお友達とかお母さんとかお父さんと新しいもの食べに行って自分の食べられる幅を増やしていってください。
間食に関してはどっちのオプションでもいいと私は思っています。自分に合う方で。
レッスン中にちょっと何か食べて貧血気味になるっていう子は少なくはない。
それは踊るためにすでにエネルギーをいっぱい使っているから、ここ(おなか)の筋肉を動かすエネルギーがどれだけそこにきてくれるかっていう問題で。
なのでレッスン中、特に1時間以上レッスンが長い場合は、最初に食べて貯めておくのも限度があるので、液体系のものにするのが1番。
だからお水を飲むよりも、ちょっとしたフルーツジュースにしておくとか、スムージーにしておくというのだけでも簡単な補給にもなるし。
もしくはレッスンが始まる前に食事量をもう少し増やしてみようかなというのもまずは試して。
さっきのノートと同じでどっちの方が自分にとって気持ちよかったかなっていうのを見つけていってください。
いかがでしたか?
インスタストーリーでふみさんがあなたはまだ太っているからこの役はあげません
っていうのを言い換えると
あなたはまだアジア人だからこの役はあげません、となるよ、と書いていました。
痩せているからこの役、というのも白人だからこの役、と言い換えたらどうでしょうか?って。
それは人種差別であり、してはいけない事です。
この子のように食べるのが楽しくなくなる、怖くなるというのが摂食障害です。
痩せる太るの病気ではなく、将来友達とご飯を食べたり家族とだんらんを過ごす事が怖くなってしまう心理的な病気です。
それのきっかけがバレエだった、としたらバレエ愛好家の私はとっても悲しい。
だからプリエ本先行予約イベントのような大赤字の無料イベントを行ったり、インスタライブやブログ、ポッドキャストで皆に情報を提供しています。
新型コロナでもコンクールに出ないと怒られるだとか、レッスンがないから痩せろだとか、
バレエ界では普通の学校の先生がやったら新聞沙汰になるような事が普通に行われています。
今回のトピックでもあった摂食障害も、無駄な練習から来るケガも、無理やりストレッチも早くなくなりますように。
そう思いながらDLSという活動を続けています。
そして、来週のポッドキャストはエピソード300ですよ。そちらでお待ちしております。
ハッピーダンシング、佐藤愛でした。
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