バレエシラバスを勉強したら、ずっとそれの通りに指導しないといけないのか?という
バレエ教師からの素朴な質問に答えてみたポッドキャスト。
バレエシラバスには含まれていないステップ、アンシェヌマン(ステップの組み合わせ)があります。
シラバスはツールであり、どうやって使うか?はバレエ教師の腕の見せ所だよね。
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スクリプト
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラスポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
今月はシラバスについてをポッドキャストで取り上げてきました。
あまりトピックにもならず、DLSでもブログだけだと今回紹介した2つしかありませんし、
バレエ雑誌に載るようなものでもありませんから、どーいう感じなんだろうな、と不思議に思っている人も多いかなと思って取り上げていますが、いかがでしょうか?
毎月最後のポッドキャストは読者の皆さんからもらった質問に答えていますが、
ちょうど、昔ACBシラバスの説明会に参加された人が今、インドで指導しているということで、
彼女からの質問を取り上げようと思います。
何度かメールをやりとりしている人だったので、シラバスの部分だけを抜粋しますね。
先日、インドで唯一ACBシラバス(一度日本で説明会をしていただいたシラバス)で生徒を教えているスタジオがあり、その先生に依頼を受け指導に行ってきました。
これまで見た他のスタジオは、シラバスに則っていると言いながらも、実際の指導内容は、そうはなっていません。
それが理由かどうかはまだはっきりしませんが、先日行ったスタジオにのみ、可能性のある生徒さんが数人いました。これにはかなり衝撃を受けました。
これが、シラバスの所為なのか、それ以外の要因があるのか。私には今のところ不明です。
ただ、やはり、知らないことも多く、私の知っている範囲内で色々指導させていただきましたが、
先生も熱心に聞いてくれ、生徒さん達は更に熱心に聞いてくれて。
ちょっとしたことで、直ぐに改善されたり、今まで悩んでいたことが解決した時の子供たちの笑顔は、今も忘れられません。
シラバスで決められた内容だけだと、かなり沢山あるバレエのステップ全てをカバーしきれないですよね?
また、例えば試験が年に1回だとして、そのシラバスで決められた内容以外のことは全くレッスンで扱わないのか、それとも、それはあくまで試験の為のコンビネーションであって、それとはまた別の時間等に、テクニック的なことを指導する時間があるのでしょうか。
尤も、コンクール等を想定していないからかもしれませんが、その状態でコンクールに生徒を出す時、コンクールでなくても、
何か舞台をしようとしたとき(学期ごとに小さいパフォーマンス発表などがあるとして)、現段階のレベルでは出てきていない動きなど、沢山出てくると思います。
シラバスに添って指導するという根本的な意味や価値をどう理解し、どう活かせば良いかと、今回のスタジオ訪問以来、ずっと考えています。
実際には、どういう感じで進んでいるのでしょうか。
ということでした。
ちなみに昔はACBシラバスと呼ばれていたのですが、2019年から名前が変わりバレエコンサーバトワールの頭文字でBCシラバス、となりオーストラリアの部分が抜けました。
世界的に使われるようになったから、ということも理由の一つだそうです。
なのでこのポッドキャストでもBCシラバスと呼んでいきましょうね。
さて、ご存知のように私自身はスタジオを運営しているわけではなく、BCシラバスを使って生徒をゼロから育ててはいません。
ただ、DLSキッズを指導するときなど、BCシラバスのエッセンスだったり、シラバス創立者のクリスティンの意見やアドバイスをすごく大事にしています。
これは彼女が私にとって素晴らしい先生だから、というのもありますが、理論的だからというのもあるのね。
もちろん、RADだったりチェケッティだったりも理論的な部分があるとは思います。
ただ、私は知らないから、知らない事を知ったかぶりして喋ることはできないので先に分かりません、と皆さんにお伝えしておきましょう。
BCシラバスは比較的新しいシラバスで、作った張本人が生きているため歴史は深くありませんが、現在のバレエ界の様子に当てはまっていると感じます。
例えばこの10年の間に何度もアップデートがあり、回転数が増えたり適切年齢が落とされたりなどしています。
本人に理由を聞くこともできるので、私は納得して変更を見ているっていう感じです。
質問をくれた方が住んでいるインドにシラバスがいったのは1,2年前の話だったと思うので、まだ根付いてもいないし使っている学校も少ないと思います。
特にインドは昔イギリス領だったのでRADの方が強いんじゃないかしら。
だからこそ、日本もそうだけどインドやシンガポール、香港やフィリピンなど、BCシラバスを使っている人たちは頭の固まった先生たちではないように見られます。
歴史も浅いし、名前も有名じゃないし、だからこそ、本当に好きな人しか、もしくは信じている人しか使っていないというのかな。
例えば日本でBCシラバスを使っているほとんどのスタジオは、私のようにクリスティンの元生徒や卒業生、そしてその人たちの知り合いって感じです。
もちろん、DLSを見て知ったよ、という人もいるけど、それも私の知り合いってことになるでしょう?バレエ雑誌でカバーされたりしないですしね。
コンクールに生徒を出しても、OOスタジオ出身とはなるけど、そこでどんなシラバスをやっているかまで書いていないので、宣伝にもならないですしね。
さ、バックグラウンドは置いておいて。質問に戻りましょう。
シラバスで決められた内容だけだと、かなり沢山あるバレエのステップ全てをカバーしきれないですよね?
という部分、その通りです。
すべてのシラバスに共通して言えることですが、バレエ界に存在するすべてのステップがカバーされているわけではありません。
そして新しい動きやコンビネーションが主流になったり、流行ったりしてもそれは取り入れられません。
試験が年に1回だとして、そのシラバスで決められた内容以外のことは全くレッスンで扱わないのか、
それとも、それはあくまで試験の為のコンビネーションであって、それとはまた別の時間等に、テクニック的なことを指導する時間があるのでしょうか
という部分は、そのスタジオによります、と言っておきますね。
週に一度しか来ない生徒の場合、つまりプレプライマリと呼ばれる一番小さな子供たちは週に1度のレッスンがおすすめ、とされています。
それ以上やる必要ないよ、ってすでにシラバスで書いてあるのね。私、ここも好き。
だって実際に3,4,5歳の子達にとって週に2,3回のレッスンは多すぎるもの。
週1しかレッスンに来なくて、夏休みとかがあり、試験が一年に一度、だとすると毎週のレッスンでシラバスに含まれている動きを1つずつ練習することになります。
それしか時間がないだろうし、集中力も持たないだろうし、
子供たちにとってはカウントする、スキップしながらつま先のばす、とか難しいんですよね。次の週になると忘れちゃってるし。
ただ、週に4回来ている中学生だったら、試験内容は試験6か月前くらいから少しずつ導入して、それ以外のステップも一緒に勉強することが多いですね。
うちの学校ではありませんが、私のボディコンディショニングクラスに来てくれるほかのバレエ学校の子に話を聞くと、
そこはRADとチェケッティ両方やっているんだけど、試験用クラスというのでRADは毎日のレッスンとは別に、試験を受ける子達だけが集まってやっているようです。
なので、いろいろな方法があるだろうけど、試験内容だけではだめってこと。
クリスティンは、シラバスは出来たら元プロダンサーに指導してもらいたいと言っていました。
芸術性や経験値というのはシラバスでは教えられないから、と。
同じように解剖学やコンテ、バレエミストレスのように振り付けのエリアもシラバスでは教えられないと私は感じます。
なのでブログでも書いたようにバレエの先生にとって、シラバスとはツールの一つであって、それだけが答えではないと感じるのね。
DLSがやっている教師のためのバレエ解剖学でもお話していますが、解剖学だけ勉強してもいい先生にはならないよ、ってやつ。
結局人に指導する人達は、常に勉強を続けていかなければいけないんだろうなと感じます。
そして、いくらシラバス通りに、解剖学参考書通りに指導しても、目の前の体に合わせた指導になっていなければ効果はでないんじゃないかな、と感じます。
勉強といえば、私もね明日から2日間、メルボルンで行われるダンス医学のコンフェレンスに参加してきます。
2日間新しいことや、知らないことを頭に詰め込んで、これからも皆さんに最新の情報をシェアできるように勉強してまいりますね。
ということで、質問に対して明確な答えになっているかは別として、シラバスの裏話というか、ほかのスタジオやバレエ学校ではどうやって指導しているか、ののぞき見になっていたらうれしいです。
ではまた来週のポッドキャストでお会いしましょう。
Happy Dancing! 佐藤愛でした。
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