せっかくバレエ留学のチャンスをゲットしたのに、ケガで思うように踊れない。
しかも周りからは理解されない…悲しいけど、よくあるケースなんですよ。
バレエ留学したからケガする、わけではないけど、
練習量が多くなる生活が待っているのだからケガのリスクは高くなります。
それをしっかりと理解したうえで準備して留学したいよね、という事をお話したポッドキャストです。
聞きたい人はこちらから
<スクリプト>
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラスポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
毎月最後のポッドキャストは皆さんからの質問にお答えしております。
今日はね、DLSブログのコメントであって、正確には質問ではないんだけど、
ケガしたままで留学した話ということで、とても勉強になるトピックだったので取り上げさせてもらいました。
質問じゃなかったので一応匿名で、コメントをご紹介しますね。
こんにちは。ロシアのバレエ学校に留学中の18才です。
過去の投稿からのコメントです。
私は夏休み中に腰椎分離症と診断されました。
八月の終わり頃でロシアに行く直前だったので、悩んだ末3ヶ月はバレエをせずに学科のみにしてあとは見学という形で留学しました。
ですが、「3ヶ月もできないのに、何のためにロシアにきたのか?」と言われてしまい、涙が止まらなくなりました。
ですが私は将来のためにロシア語を学びたかったので踊れなくても留学をすることを選びました。
自分のやりたいことははっきりしているのですが、やっぱり辛いです。
どうですか?
留学する直前にケガが分かり、留学先では理解されない。
とても辛く悲しい話だけど、よくある話でもあります。
だから今回ポッドキャストでとり上げさせてもらったのね。
なぜよくある話か、というと、だいたい留学を目指している子はどこかしらに痛みがあるんです。
それは痛いから留学しよう、と思うへんなダンサーが多いということではなくって、
痛いのを押し殺しても練習し続けよう、バレエに賭けよう、って考えている子達が多いからという意味で。
そして、念願の留学が決定したら、がぜんやる気アップもするので、そこでケガをする、もしくは前々からあった痛みが酷くなるというケースがあったり、
留学前にチェックしておこう、という形で腰痛があるなぁくらいだったのが分離症と分かったりなど様々な原因があります。
が、しかし。
留学が決まった子が、今まで我慢できた痛みを向きあった時に、留学を諦めると思います?
それは絶対にないのよ。
だって急性のケガ、例えば交通事故で骨折したとか、リフトから落とされて脱臼したとかでなければ、
ダンサーのケガはほとんど慢性のケガ、つまりずっと常に痛い。踊りの量が増えると痛い、休むと、もしくはジャンプしないと大丈夫、というものだからです。
今まで我慢できたんだから、今回も大丈夫、って考えが大きいのね。
昔の記事でポッドキャストにしたこともある「ケガ予防をセクシーに*」という記事でもあるんだけど、
- まずは予防。
少しの痛みのうちに対処する。
これが出来たらどれだけのダンサーの将来が助かることか。
それを無視して発表会やコンクールに出る。
そしてリハが続いたから痛いんだ、と勘違いしてシップしてねる。
なんてことをしていると、大事なおおきなコンクールの決戦前や、留学先で痛みがでるんですよね。
別にコメントをくれた子がそうしていた、と言いたくてお話しているわけじゃないけど、
脊柱分離症って慢性のケガだし、留学生によくあるケガの発見パターンと当てはまるから、お話しているんだよ。
ま、今回の場合はケガだけでなく、せっかく覚悟して留学したのに、向こうの反応がよくなかったということ。
これも実はよくある話なんです。
留学先、バレエ学校で10年以上働いていた、そしてオーディションにも立ち会っていた身として、オーディションに体調万全で参加しない子達が多いのは知っています。
タイツから透けて見えるテーピングの場合もあるし、
フィットネスの講師として働いていましたので、ダンサーがレッスンの途中でみせるちょっとしたサインで、あ、足首痛いんだなって分かりますから。
実際にバレエ学校の生徒からの話で、ロイヤルバレエ学校にはれて留学できた子が疲労骨折を隠していた、
だけど留学後やっぱり向こうで体が持たずずっと休んでいる、という話も聞いています。
そりゃそうですよ、折れている骨が、練習量が増え、食事が代わり、毎日レベルの高い子達に交じって踊るときに、勝手に治るはずがないんですから。
バレエ学校からすると、これから本格的にトレーニングをしていくというのに、入学前からケガしているの?となる気持ちは分かります。
と同時に、自分が留学生だった、そしてケガをしていた留学生活を送った身からして、どうしても留学したかった、これが突破口になると思っていた、というのもよく分かります。
今、バレエ医療に関わる仕事をしている立場から、そのような情報が少なく、どうしていいのか分からない子達がたくさんいるという事実も知っています。
だから、誰が悪い、とかじゃなく、こういうシチュエーションがよくあるんだという悲しい現状として受けとめているって訳。
だからこのコメントを今月選んだのね。
バレエ学校というものは語学を学ぶ場所ではなく、プロを目指している人達がこの短い時間に自分の将来をかけて切磋琢磨する場所です。
それは事実。
だからこのコメントをくれた子が、冒頭でご紹介したような言葉を先生や他のお友達にかけられるのはある意味想定内です。
踊りたくても学校に入れなかった子もいるんですから、オーディションから落ちた子達にとっては踊れない癖に留学ポジションとるなんて、どうして?って思われるのは当然です。
でも、ケガで辛い思いをしつつ、動けない自分にイライラしながら、アウェイで戦っているコメントをくれた子がいるのも事実。
だからこそ、今回のプリエ本のイベントでは、ふみさんにリカバリーを助けてくれる食事についてお話してもらおうと決めました。
ケガとダイエットの関係もそうだけど、一刻も早く復帰して踊りたいと思っている子達、
もしくは、今日の疲れを残さずしっかりとリカバリーさせて、ケガを予防させたいと思っているダンサー達に、
必要な情報を無料で提供できるにはどうしたらいいか?とずっと考えてきました。
もしコメントをくれた18歳の彼女が1年前、そんな話を聞いていたら。
この子が私がお話する予定のケガした時に何をするか、どうやって自主練プランを立てるか?の話を聞いていたら。
孤独な留学生活が少し楽になっていたかもしれない、って思うからです。
冬の来日からダンサー達向けの新セミナ―、safe danceというのも、
同じ内容を大人バレエトレーニー※さん用にしてあるオンラインセミナ―を発表するのも、
こういうダンサーを減らしたい、みんながハッピーダンシングできるためにはまず、知識が必要だからと思っているからです。
私も、留学前に体力づくりや、クラス数が増えるというのを想定して準備していたら色々かわったのに、と思います。
留学中、ケガで休んでいる時に、今、ケガしているという事実と向きあって、それでもできることをコツコツと続けていたら、もしかしたらプロとして活躍していたかもしれないと思います。
知識があるだけで、行動も変わるし、悩んだときにどうしたらいいか?が分かる。
そのために本も第三弾まで作りました。
ブログよりも手にとりやすく、イラストもいれて、必要な部分だけ読めるように。
留学を目指している子達、プロを目指している子達が知るだけで、自分の将来の可能性を大きくすることが出来るから、クララで連載もしています。
子供用の雑誌に、あんなマニアックな事を書いていて読んでくれる人が少ないのは知っているけど、
お母さん方の知識になるかもしれないし、本人の頭の片隅に置かれるかもしれない。
スタジオの先生や大人バレエトレーニーさん達の役に立つかもしれない。
そんな想いで毎日何かを作っています。
イベントに無料で参加できる特典付きの先行予約は今月いっぱいで終了です。
まだの人は急いでアマゾンで手に入れて、book@balletstance.com にメールしてくださいね。
購入だけしかしていない人、登録が必要ですからお忘れなく。
イベント会場でお会いできることを楽しみにしています。
このコメントをくれた子には、同じくブログのコメント欄で、ロシア語を一生懸命勉強し、ケガから復帰するころには言葉の壁なんて全くない状態まで頑張って、とお話しました。
いまできる事を一生懸命にやる、しか私たちには出来る事はありませんからね。
ただ、このような子を一人でも減らせるように私も活動していきますので、
皆さんもプリエ本でもいいし、ブログでもこのポッドキャストでもいいので、悩んでいそうな子に紹介してあげて下さい。
それだけで助かる子だっているはずです。
ということで、今週のポッドキャストはここまで。
また来週金曜日のポッドキャストでお会いしましょう。
ハッピーダンシング佐藤愛でした。
※DLSでは、大人でバレエレッスンを受けている方々をトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいますが、ポッドキャスト音声内は「大人バレリーナ」のままとなっています。ご了承ください。
*ポッドキャスト、本文中の記事「ケガ予防をセクシーに」は現在削除されています。
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