振り付けを覚えるのは絶対である。という記事を書いてからはあまり(私の前では?)聞かれなくなった
「私、アンシェヌマンを覚えるのが苦手なんです」
という声。
でもやっぱり、レッスンお悩みランキングでは上位の方にある質問ですよね。
(勝手な感想より。数値的バックアップはゼロでございます笑)
振り付け覚えろよ!って言いながら、「HOW TO」の部分をお話していなかったら、根性論になってしまうので、今日はその部分をまとめておきます。
上手な子はアンシェヌマンを覚えるのが早い、と思われがちだけど、
アンシェヌマンを覚えるのが早い「から」上達が早まるンだよね。
どうして振り付けを覚えるのが絶対なの?
振り付け覚える=レッスンでしょ?
と勘違いしている方はこちらの記事を勉強してから戻ってきて下さい。
無料ですから…
ステップ(パ)は単語、アンシェヌマンは文章
あ、今このブログページ閉じようとしたでしょ?
あと少しだけ聞いて下さい笑
バレエのステップは単語って考えて下さい。
アンシェヌマンはsentence、もしくはstoryだと思って下さい。
卒業スピーチを暗記して、皆の前で読まなきゃいけない!!ってしようか。
そしたらさ、スピーチの内容が理解できている、繰り返し練習する、っていう前に、
スピーチが読めなきゃいけないよね?
読めない漢字が出てきたら調べないといけないし、発音が微妙だったら確認する必要があるかも。
それと同じで、アンシェヌマンを覚えるときに、ステップ(パ)が分かっていなかったら
やっぱり難しいのですよ。
- 6番の位置でプレパレーション
- 2番の方へトンベ
- パドブレ
- 4番ポジションプリエ(プレパレーション)
- ピルエット2回転
- 5番に降ろしてデトールネで8番の方向
っていう振り付けがあるとしよう。
振り付け覚えます!の前に、あのー…4番ポジション分かりません、だったら
振り付けを覚えられるわけがないですね。
なのでアンシェヌマンを覚えるコツNO1として、できる(分かる)ステップが増えれば増えるほど、
単語が増えるってことなので、文章(アンシェヌマン)も作りやすくなります。
トリビア!
アンシェヌマン(enchaînement)って鎖でつなぐっていう意味の言葉だから、パが繋がったものを指すんだよね。
バレエステップには「よくあるフレーズ」がある
とはいってもレッスン「前」に単語全部勉強しろよ、って言っている訳ではないです。
そんな事いったら、誰もレッスンに来れなくなっちゃうよ…
レッスンの中でアンシェヌマンを使って新しいステップを覚える、っていうのはよくある事。
ほら、単語練習帳にお経みたいに繰り返し書かなくても、
ハリーポッター英語版を読むことで「あーwitchって魔女で、wizardっておとこの子魔法使いなのねー」って分かってくるっていうの?
英語で慣用句があるように、バレエステップにはよくあるフレーズっていうのがあります。
トンベ・パドブレ
って1つの動きじゃなくて、トンベ(tombe)とパドブレ(pas de bourre)。
よく一緒に出てきます。
プリエ・プリエ・グランプリエ
と語呂のいいものもあれば、
アッサンブレ・アッサンブレ・グリッサード・アッサンブレ
ピケターン・ピケターン・シェネシェネシェネーーー!
と先生がよく言う呪文もあります。
(この場合、シェネ3回、ではなくシェネシェネシェネ、の音の中にできる限りシェネを詰め込む、という意味笑)
何がいいたいか、というとレッスン回数が増えれば増えるほど、このような組み合わせと出会う可能性が増えるので、
脳みそも、体も振り付けに慣れてくるって事です。
一緒に動け!
レッスン回数やバレエ歴がアンシェヌマンを覚えるコツになってくるのは、今までの説明で分かったと思いますが、
レッスン中、特に先生の振り渡しや、マーキングの時に突っ立っている人は今すぐ辞めましょう。
なぜか?という説明は2015年にマックス・プランク研究所が行った研究を読むと分かります。
物事を覚える時にはジェスチャーや動作をつけて覚えたほうが記憶に残ります。
例えば、「climb」という動詞を覚える時には実際に「登る」動作をしてみるというように、
体の動きと覚えたい物事を結びつけて覚えるようにすると記憶の定着が良いということがわかっています。
だそうです。
つまり、体の動きと覚えたい事(=アンシェヌマン)を結び付けるためにも、
マーキングはやっぱり必要で、覚えられなーい!という人ほどこの部分を徹底する必要があるって事だよね。
マーキングの仕方が下手なダンサーもよくいるので気を付けて。
脚だけマーキングしていても、全体的な練習(ポーデブラの使い方や体の方向)は出来ていません。
自分の苦手な部分が腕を覚える事だったら、手先でやるマーキング(わかる?ダンサーが手話みたいに手でタンジュとかするヤツ笑)では足りないよ。
マーキングをやってるつもり、にならないよう十分お気をつけて。
ビデオ鑑賞
レッスン回数が必要だって言われても、そんなにレッスンに行けないんだよ、という人から
今ケガしていて動けないんだよね、という子まで。
私も大好きyoutubeビデオは強い味方になってくれます。
(ただし!!年齢が低い子にはお勧めしません。理由は下にあります)
ワールドバレエディでもいいし、ワガノワレッスン風景でもいいけれど、
先生が言っている言葉と、動きの両方が一緒に見られるものだと、言葉と動きの様子のダブルパンチを研究できます。
予習・レッスン・復習
この組み合わせって、結局「繰り返し」なわけで、
脳みそに叩き込むためには繰り返して覚える必要もあるかも。
この記事でも書きましたけど、振付をビデオで覚えてねというコンクールやワークショップもあります。
(ビデオを見る「だけ」でコンクールに出せ!って言っているわけじゃないよ!)
時代の流れや、島国だからそうしないとリハーサルに間に合わないっていうのもありますからね。
振り付けを覚える=上達ではないです。
振り付けを覚える=必要最低限です。
振り付けを覚えた上で踊って、初めて先生が注意するに値すると私は思います。
うちのバレエ学校では発表会の振り付けやコンクールのバリエーションなどは覚えてきなさいと言われます。
そして最初のリハーサルでclean upと呼ばれる作業にうつり、覚えのよさで役が決まったりします。
もちろん!
the best caseではいつも振付家・演出家が近くにいて、その人から素晴らしいインスピレーションになるレッスンを受ける事。
でございますが、そんなお金や人脈があるスタジオは少ないと思いますので、ここでは割愛します。
バレエ団では、その振り付けを長年踊ってきたバレエミストレスや、製作者本人がスタジオで指導してくれる事もありますけどね。
外部ワークショップは大切
ビデオでの振り付けだけではないですが、
他の先生の好きなアンシェヌマン、とか得意なステップというのが存在するので、
ある程度の年齢にいったら、(14,5歳?)外部ワークショップを受講するっていうのはアンシェヌマンを覚えるカギになります。
やっぱりスタジオ内で幼い時から同じ先生に習うと、アンシェヌマンに偏りが出来てしまうのね。
バレエ学校もそうだし、大きなコンクールを視野にいれたら、
複数のクラスを受けたり、ワークショップ慣れ(周りの子達におされない、スタジオという慣れ親しんだ場所から出るなど)は大事になってきます。
でもそれは、シンプルなレッスンが悪い!って言っている訳でも
解剖学的レッスンがスローだ、と言っているわけでもありません。
レッスンのゴールをどこに定めていて、
「今」のこの子に必要なものは何か?を計算する必要がある、って事。
だけど、年齢の幼い子はその必要はありません。
だって、単語を覚える時期だから。
徹底的に正しいステップと、バレエ界で決まっているフレーズを覚え、
正しいアライメントや体の使い方(音の取り方、目の方向や、ポーデブラの動線も含む!!)を覚えたら、
その上でアンシェヌマンを覚えるのは簡単です!
それが出来ていなかったら…
- 振り付けを覚える
- 間違ったテクニックを直す
- 変な癖を外す
をいっぺんにやらなければいけなくなってしまう。
プロを目指す大事な時期、素敵な先生の前でいーーーっぱい吸収したい!のに、基礎に戻らなきゃいけなかったら、無駄ですよね。
アンシェヌマンを覚えるのが苦手という人へ
- 単語が分からないと文章は作れません。
- 慣れだって必要です。
- レッスン回数・集中を考えて
- 年齢によって、ゴールによってチャレンジするものが出てくるかも
そして最後に。
振り付けを覚えるのは絶対です。
上手になりたかったら、腕はここを通るのですよ、1番ポジションを通りなさい、という基本的な振り付け注意をもらうより、
こうやって踊るとあなたは綺麗に見えますよ、
ここをダイナミックに見せたいから、ここは少し小さめに、という建設的な注意をもらう方が
1レッスンで上達する量が増えると思いませんか?
- アンシェヌマンを覚える、というゴール達成のためには、解剖学をいくら勉強しても意味ないです
- いくら正しい筋肉を鍛えても、振付が覚えられなかったら踊れません。
解剖学を指導する立場から言うのは変だし、セミナー講師、っていう自分の首を絞めている気もしますがホンネです。
そのためにも、レッスンに通って頂戴ね!!
Happy Dancing!