二重関節という言葉はバレエを含め、体の柔軟性が必要なスポーツを行う人たちなら知っているでしょう。
今日はその言葉について、お話ししようと思います。
まず最初に。
二重関節、という言葉は解剖学用語でも、医学用語でもないそうです。
私は解剖学を英語で勉強したので二重関節とはdouble jointed となりますが、これも医学用語ではありません。
つまり解剖学的に、医学的に見た時に二重関節の人間とは存在しません。
ですから、「彼女は二重関節だから脚があがるんだ。わたしは無理」というのはお門違いもいいところです。
そんな事を言っている暇があるのなら、ストレッチに励みましょう。
ではいったい全体、二重関節ってなんなのさ?
という事ですよね。
二重関節というのは関節過度可動性という症状の事です。
そう、症状なの。
もともと生まれ持って体の柔らかい人っていうのは存在します。
また、年齢によって体の可動域=柔軟性も変わります。
赤ちゃんの体が柔らかくってお年寄りの体が固い、というのは簡単に理解できるでしょう?
妊娠中の女性もホルモンの関係上体が柔らかくなりますしね。
では「体の柔らかい人」と「関節過度可動性」の人の違いは何でしょう?
関節過度可動性は、遺伝であることが多いです。
なぜならこの可動域を決めるもの、それは靭帯だったり、骨の形だったりするからです。
そしてこのような骨の形って遺伝だから。
よって可動性も遺伝の面が多く見られます。
そしてテストというか、私たち治療家が使うチェックリストも存在します。
そう、自分でもチェックできるのですよ。
知りたかったら連絡ください。
記事にします。
関節過度可動性の人はケガをしやすいとも言われています。
これももう既に強度VS柔軟性でお話ししましたね。
彼らの場合、
生まれつき関節が浅かったりするので、可動域が非常に大きくもなるのですが、
その分脱臼もしますし、関節を守る軟骨も早くからすり減ってしまいます。
関節過度可動性の人たちは疲れやすいそうです。
関節が過度、つまり大きく動くため、
それを支える筋肉が普通の人よりも大きく働かなくてはいけないのです。
そしてその筋肉が疲れてギブアップしてしまった時、彼らは大きなケガをします。
また、関節炎になりやすいのもこの人たち。
そして成長痛がひどくなるケースもあると言われています。
時には慢性の痛みを一生持っている人もいます。
さてと。
これだけ挙げたところでまだ「二重関節」になりたいなんて言っているダンサーいますか?
体の柔らかい人は、柔らかい人なりの苦労や痛みがあるのです。
春に来日した時に、新体操のコーチグループのセミナーを行いました。
その時にも、「二重関節」の人たちにお会いしました。
そして悲しい現実や、新体操選手に求められるものの大変さを聞いてきました。
バレエはまだいい方です。
私は仕事上、関節過度可動性のダンサーをたくさん治療します。
残念ながら、彼らがバレエを辞めなければいけない理由も関節が「動きすぎてしまう」せいだったりします。
小さい子供を教える機会のあるバレエの先生は柔軟運動をさせるときに十分に気を付けてください。
どうやって気を付けたらいいかって?
最低限、関節の動く方向と、関節の動く幅を知っておくと危険が少ないです。
つまり、どっちに曲がるのが普通で、どれだけ動くのか分かるから。
あまりにも変な方向を向いていた時に気が付きます笑
そして最近はたくさんの素敵な方々がセミナーを行っているようです。
私も教師の為のバレエ解剖学講座や、ダンサーのためのボディコンディショニングセミナーを毎年行っています。
(バレエの危険性を書いた記事はこちら。ちょっと辛口で意見も分かれるでしょうが、
研究結果や最新医学をみてDLSのとっているスタンスです)
体が固いからどうしても柔らかくしたい!という人は地道にストレッチしましょう。
そして、どうして体が固いのかを考える事も必要。
上がらない脚の原因は体の弱さにあることも!
固い物を柔らかくするのは可能ですが、関節過度可動性を逆にすることはとても困難です。
体が柔らかいダンサーは大けがをする前にしっかりと強化しておくこと。
見せびらかすために柔軟ばかりしていると、関節炎で悲しい老後を送ることになりますからね。
これが、自分の体を知り、賢くレッスンをする、努力をする、という事だと私は思います。
Happy Dancing!