生徒だった時、私はコンテンポラリーダンスが嫌いでした。
嫌いっていうか、意味が分からないっていったほうがいいかも。
白状いたしましょう。
ケガして踊れない時、コンテクラスの見学は眠気との闘いだったよ…
留学前のコンテ、というイメージは2種類だけ。
- 一つはローザンヌで見ていた感じ、つまり作品。
- もう一つは地元スタジオの発表会で行う事があったネオクラシックっぽい、コンテっぽい動き+コンテっぽい衣装。
なので、バレエ学校でコンテの「クラス」があった時はなーんてつまらないんだろう!って思ったのね笑
センターでタンジュとかプリエとか床をゴロゴロとかって別にいらないじゃん。
だってそんな振り付け、NHKでやってたローザンヌには出てきてなかったよ?
みたいな、生意気生徒はワタクシでした…ごめんなさい。
まークラスを受け持っていた先生が、指導嫌いな人でさ!
クラス指導面倒だから、マッサージしよう!みたいな人だったというのもよくなかったとは思うンだけど、
今、バレエ学校でコンテを指導している先生のクラス構成や音楽ピックアップはとてもよくて、
こういうクラスだったら良かったのになー、私も踊りたいなぁと思います。
やっぱり指導者の熱、パワー、そしてレベルって生徒を引き上げる肝なんだね。
(と自分の言い訳にしてみる)
コンテはバレエダンサーに絶対!
ローザンヌやら、YAGPやらで分かるように、今はコンテが出来ないクラシックバレエダンサーはコンクールでも通りません。
コンテクラスがない、バレエ学校はありません。
カンパニーオーディションにも入ってくるという話はこのブログで先輩ダンサーから聞いたよね。
DLSでは何度も言っているし、冬期バレエ講習会などでもやっているから、
このブログを読んでいる人がいきなり
「なんですってー!コンテってそんなに大事なの!?」って驚くことはないと思う。
日本の観客はクラシックが好きなので、海外カンパニーはそっちをやることが多いみたいですが、
ヨーロッパなどではクラシックは見飽きたからコンテや新作の方がお客さんが入るなんてことも。
そのせいか分かりませんが、コンテの作品チョイスがないコンクールの写真やビデオを見ていると
フラットシューズでパラレルで踊ればコンテンポラリーでーす!みたいな作品、
もしくはこれはシルクドソレイユですか?的なサーカスアクロバットを入れてくる作品というようなコンテのレベルが見られます。
私もね、日本にいる時「それ」がコンテだと思っていたからよく分かるのよ。
だけど、バレエ学校カリキュラムや卒業公演、海外バレエ団の作品を見たとき、あー違うのね、スミマセンって思いました。
2017年にロイヤルやマリンスキー劇場、ABTなどから集まったダンサーが出るインターナショナルバレエガラの仕事をしました。
その時にね、ロイヤルのCalvin Richardsonというすごくいいダンサーなんだけど、
それ以上に素晴らしい振り付け家の人の作品を2つ見たのね。
ひとつは彼版の瀕死の白鳥。
もう一つはIntractableという彼の新作。
どっちもコンセプトも動きの多様性も素晴らしかったのだけど、その時あーコンテって凄いんだと改めて感じましたね(おそいって?)
クラシックとは違うけど、身体的限界を常に目指していて、そしてそれを打破するために練習するということ。
内面的表現があって初めて、お客さんに伝わるという事。
そして瀕死は彼1人で踊っていたけど、新作は4人のダンサーが踊っていたので
ダンサー同士のケミストリーとか、一緒に作品を作るという協力姿勢なんていうのは、
素晴らしいなぁと思いながらリハから見ていました。
ちょっと自慢するよ、その4人ってね…
Luca Acri
Mathew Ball
Benjamin Ella
Tomas Mock
なんだなー。ま、いいダンサーが揃っていたとも言えるし、
全員イケメンだとも言える(生徒談)
コンテにも「クラス」がある
でも、コンテンポラリーの踊り、作品に慣れるという事と、
コンテンポラリー「クラス」を受けるというのは似て非なるものだと感じます。
バレエでもそうだけど、作品のリハと、レッスンって違うよね。
だからきっと、バリエーションを踊る方が楽しいっていう子や、発表会の振り付けはやる気になるって子がいるンだと思うけど、
- 基礎的なバレエで必要な筋力
- ターンアウトやつま先を伸ばすなどという体の使い方
- 基礎的なポーデブラや正しい体の方向
- 振り付けのベースやつなぎのステップとなっているパを練習する
などはレッスンでやってこないといけません。
逆にそういった部分がレッスンで出来ていれば、
振り付けになった時に
- 順番を覚える
- 表現を考える
という部分に没頭できるよね。
順番覚えつつ、腕の正しいポジションを理解して、
つま先を伸ばさないといけない、ターンアウトした軸脚をキープなんて毎回叫ばれなくても
自然と出来るようになっているはず。
だから表現について、表情だけでなく音の取り方(ため方)、
役に合わせたポーデブラの場所なんていうものを学ぶことができるはず。
だからリハの時間が少なくて済むわけで、基礎レッスンを減らす必要がない。
そのくせして、作品は基礎が強く、表現豊かなとてもよいものになる。
コンテにもそういった基礎クラスがあるんです。
コンテ試験のカテゴリは、
- フロアワーク・フットワーク
- プリエ
- タンジュ
- ダイアゴナルステップ
- リープなど。
そして最後に作品っていうのが王道です。
ちなみにクラシックだと
- バー
- センター
- アレグロ
- ポワント
- ソロ・もしくは群舞のダンス(レパートリーと呼ばれる)
って感じね。
コンテだって、何度もやってみないと上達しない
2015年から行っているDLSの冬期バレエ講習会では最初からコンテを取り入れていました。
これは最初に話した通り、私が日本にいた時のコンテ理解の少なさ(というか無知さ!!)を
プロを目指して海外を狙っている子達には早い段階から打破してほしいという気持ちから。
ご存知のように冬期バレエは5日目に発表なので、時間の関係上
- ポワントクラス、ではなくポワントでバリエーションではないものを踊り、発表すること。
- コンテクラス、ではなくコンテ作品を作り、発表すること。
両方とも、「みんなで踊る」がキーワードで、コンクールばかりに慣れている子達に、
バレエ「団」、つまりグループで踊る事を理解してもらいたいという気持ちから。
過去の表現力セミナ―でもコンテを取りいれてはいたのだけど、やっぱり短期間なので
違うジャンルの踊りで「表現」する、をテーマにするために作品を踊っていたのだけど、
コンテ「クラス」の必要性を近年より感じていました。
なので今年の表現力クラスでは、ヨーロッパへの留学を経て、海外でプロダンサーとして活躍してきた
田中ノエルさんをゲスト講師にお招きし、
ヨーロッパでやっているような、コンテ「クラス」を指導してもらうことにしました。
もちろん、2日しかないし、バレエレッスンのようにコンテの基礎をやるから
作品振付よりもつまらないかもしれない。
だけど、コンテが必要、というコンセプトがだいぶ広がっているDLSフォロアーさんの中だったら、
「コンテ、楽しいでしょー嫌いにならないでねー」
といった講師側の気持から
「コンテ大事だって分かっているから、基礎をやろう!」
っていうDLSらしい目線でクラスをお送りすることができるんじゃないかな?と思ってワクワクしています。
本当はね、やりたいことを全てやるには、DLS夏合宿みたいに1か月間サマースクールという形で
- クラシック
- ポワントレッスン
- コンテクラス
- クラシックレパートリー
- バレエ解剖学
- 栄養学
- 表現力
- エクササイズクラス
- 英会話
っていうクラスが受講できるような講習会をやりたいよ、私も。
だけど時間ももちろんだけど、お金がねぇ…スポンサー募集中笑
Happy Dancing!