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先週末、メルボルン最大級のバレエコンクールファイナルが終わりました。
ballet teacher’s workshopと呼ばれるこのコンクールは、
小さい子から一番上のメープルプライズ、と呼ばれる子達までカバーする大きなコンクールです。
この一番上のレベルの子達ではじめてバリエーションを踊ることができます。
そう
15歳以上で。
そのほかのレベルでは先生が振り付けした創作クラシックを踊ります。
12歳以下のレベルではトウシューズは禁止されています。
コンクールに出ることはいいことです。
- 舞台度胸もつくし、コンクール自体ではなく、ゴールを持って練習すること。
- 同じ年齢層の子達に感化されること。
- 自主練に責任を持ち、レッスンで習ったことのないステップも勉強。
- 踊りの心や観客に伝える、と言うことも勉強しますね。
発表会を毎年行うことができないような小さなスタジオの場合、とってもいい舞台経験になります。
ただ、メルボルンで大きなコンクール、
といっても世界レベルで見ればあまり意味がないコンクールです。
意味があるのは世界的に本当に大きなものだけでしょう。
(ローザンヌ、ジャクソン、YAGPなどなど)
失礼ですが、将来留学しよう、と思っているみなさん。
日本の普通のコンクールで1位をとってもバレエ団オーディションで優遇される、
なんてこと殆どありませんよ。
当日の実力が全てです。
私は何度もバレエ学校の留学生オーディションを見てきていますが、そこでも必要とされていません。
海外バレエ団留学オーディションでもっと大事なのは・・・身長だったりします。
(幼いころの過度の運動は身長が伸びない理由だったりするそうですよ!成長ホルモンの関係上)
確かに、先ほど述べたような、
ヘッドハントされる確立の高い大きなコンクールはダンサーとしてステップアップする大きな手助けになってくれます。
が。
17歳で留学するときに、13歳のときの履歴を参考にするディレクターがいると思います?
大学受験で小学校6年生のテストの点数って聞かれますか?
また、小さい子がバリエーションを踊ることに私は違和感を感じます。
振付家は、当時のバレエ団プリンシパルに「見せ場」を作るためにバリエーションを振り付けしたのでしょう。
小さいころからコンクールにたくさん出場していて・・・と言う子は
大体脚、足の変形が見られます。
トウシューズの基礎、履き方さえしっかり教わっていないのに、バリエーションの練習をしているからです。
成長のスピードは子供個人によりますが、
12歳までは足の骨がしっかりと固まっていない、と言われています。
生徒はバレエの先生を信頼してレッスンに通っている。
情報もなく、「はい、これトウシューズ」ってわたされても困っちゃいますでしょ?
ここで、「でもご両親が・・・。経営上仕方がない」という教師・スタジオオーナーさんがいるでしょう。
私も少し前までは日本ではそうなのか。と思っていました。
ですが、特にこの前来日してスタジオ訪問したときに、
海外バレエ学校に生徒を送ったり、
コンクールでよい成績を取っている生徒を出しているスタジオ様が、
12歳まではポワント履かせません!サイトで公言、
そして実現していたのを目の当たりにし、甘えなのだ、と分かりました。
そこの12歳のポワントを履くちょっと前!という生徒さんとお会いする機会があったのですが、
彼女は迫るポワント最初の日のために、せっせと足の強化をしていました!!
これですよね。
教育って。
- 同じ振り付けを何度も、何度も練習するせいで、左右の脚の太さが違う。
- 側弯症ではないのに、筋肉の成長が不均等でがたがたの体に見える。
- テクニックは難なくこなせるのに、写真栄えしない・・・
これは、毎年日本から来る留学生に見えることです。
立て続けに出るコンクールのせいで、しっかりとボディコンディショニングが出来ない。
レッスンで基礎を勉強せずにバリエーションを踊る。
ケガの痛みに耐えながら地元のコンクールに出る・・・
踊る目的がコンクールで上位を取ることになってしまったら、何のためにレッスンしているのでしょう??
プロになるのが目的であったら、プロになる体作りに集中するべきであって、
毎年何本のコンクールに出るのか?
は関係ないはずです。
最初に書いたように、コンクールはとてもいい経験を作ってくれます。
そして将来の道を左右する大きなコンクールもあります。
将来バレエで食べていこう、と思っていない子にとって
貴重なバレエの思い出になることは間違いありません!!
出場するな!って言っているんではないんです。
ただね、
体ってひとつしかないんです。
そしてそのひとつしかない体が最終的にプロとアマを分けるんですよね?
何があなたのゴールですか?
今回の文章を音声で聞きたい人はこちらから
Youtubeにもありますよ!
Happy Dancing!