関節に乗っからない!?骨から動く!?バレエ注意の考え方
言葉の難しさ。 これってどの世界でもいえることですが、 特にバレエのような動きを言葉で伝え、教えてきた芸術では大きな混乱を招きますね。 いまさら聞けない 「ひきあげってなんなのさ」 (体には200以上の骨と600個以上の筋肉があるけれど、いったい何のこと!?) だとか、 「筋肉を固めないで使う」 (筋肉を収縮すると固まるでしょう!?) だとか。 「脚の裏側からデベロッペ デヴァンしなさい」 (脚の裏側にある筋肉たちの主なお仕事は脚をエクステンションすること。つまり後ろに上げること・・・) 「腹筋を使って足をキープ」 (腹筋軍は股関節を超えないから、大腿骨に付着していない・・・) なんていうのもそうです。 なまじ解剖学を知ってしまうともっと混乱することが出てきます。 引き上げ。 筋肉を固めないで使う。 お腹を使って脚を上げる? これらについてはもう既に説明しました。 (引き上げについては筋肉の引き上げ、エネルギーの引き上げ、 骨の引き上げと関節の引き上げをお話しなければいけませんねー。) …
Let’s Talk Aboutおしり! 外旋六筋とターンアウト
このシリーズはダンサーに必要なおしりについて考えたシリーズの続きです。 まだそちらを読んでいない人はどうぞ。 復習がてらに読みたい人もどうぞ。 深く知りたい人は大腿骨の周りの筋肉シリーズからがいいかもしれません。 結局、おしりのきんにくって、おしりのエリアにボテッ!ってついているだけでなく、 骨盤はもちろん、大腿骨についている筋肉たちですから。 ターンアウト。 つまり大腿骨の外旋、という動き (外転じゃーないですよ!!覚えていますか??) を作る筋肉たちは 大殿筋(全部じゃないけれど)と外旋六筋だ、ってお話をしたところでちょん切れていましたね。 今日はその続き、というかおまけ。 外旋六筋(がいせんろくきん)とはいったい誰なのか?を見ていきます。 人によってはおしりのコアマッスル、なんて呼ぶ人もいるみたいですが。 6つの筋肉それぞれに名前がついているのですが、 ダンサーの場合それらを知っておく必要は全くありません。 ま、解剖学マニアの人はどうぞ。 ちなみに私は日本語でこの6つの筋肉を覚えていませんっ! だから聞かれても分かりません・・・聞かないでね笑 ダンサーにとって知っておきたいことは どこにあるのか? どうやって使うのか? どうやってストレッチするのか?…
ダンサーの膝の痛みの救世主 VMOちゃん 内側広筋について
VMO(ビエモ)って言葉を知っていますか? なんだか可愛いでしょう? ELMOみたいな感じ? これって実は筋肉の俗名、あだなです。 どの部分でしょうか? (音声で聞きたい人は一番下へ。ポッドキャスト・Youtubeで再生できます。) 題名みたらわかっちゃうからクイズではないですね。 これは内側広筋(ないそくこうきん)と呼ばれる、大腿四頭筋のひとつである筋肉のあだな。 覚えていますか? 大腿骨の周りにある筋肉グループのひとつである大腿四頭筋のひとつ。 内側広筋を英語で言うと、Vastus Medialis,またはVastus Medialis Obliqueと言います。 なので頭文字をとってVMO、ビエモちゃん! って訳です。 この筋肉、とっても、とっても大事な筋肉です。 が、大腿四頭筋の一部であるため嫌われ易い子でもあります。 今日はVMOちゃんと仲良くなること、そして彼らの仕事を知ることが目的です。 (筋肉を固めないで使う、っていうシリーズで説明した通り、大腿四頭筋をスイッチオフして踊れませんよ!) …
筋肉を固めないで使うってどういう事? 筋肉の収縮
*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。 筋肉を使う、これはダンサーにとって当たり前ですよね? 筋肉を使わないで踊れないでしょう? (とスタートしたは良いけれど、未だに筋肉を使わずに踊れると信じて、筋肉を緩めることに命をかけている時代遅れダンサーがいるのも事実だしなぁ…) でも、バレエ界の摩訶不思議な「事実」として伝えられている 筋肉を遠くに伸ばして! 踊っているとき、筋肉を固めないで!! いや、間違っていないんですけどね? でもこれらの言葉をしっかりと理解できないと、 正しく指導はできませんし、危険すぎます。 バランスのゴールは「止まる」事ではない よくよく考えてみると、バレエの振付、 アンシェヌマンの中で「止まる」事はないんですよね。 たとえ「バランス」をとっていても。 例えばピルエットの後、バランスをとって止まる、という美しい見せ方がありますね? これも、ルティレでがちっ!って止まってしまうのではなく、 止まっているのに伸び続けるエネルギー、みたいな。 スピードが落ちているけれど、止まっていないっていうの? 視覚的?感覚的??には動きの余韻が残っているような、そういうバランス。 でもバランスとは、停止という意味じゃないでしょ? 調和、つり合い、均等が取れた様子ってことじゃない? そういう意味で「筋肉を固めないで」と言われているのならば意味が分かりますよね。 …
正座はダンサーの膝を出っ張らせるのか?
*この記事は2014年8月に書かれたものを、2021年により分かりやすくなるように編集しました。 サイトのお問い合わせフォームより質問メールが来たのですが、いくら返信してもエラーになってしまうので、こちらに(勝手に)載せてしまいます。 もしこの記事を読んでいる、海外にバレエ留学したい(バレエ団オーディションをしたい)と思っている子たちがいたら、 もしくはそういう子たちを育てている先生がいたら覚えておいてください。 日本の携帯キャリアメールは海外ではアドレスが存在しない(エラーになる)事があります。 資料が添付されたり、URLがついている場合、受信設定を見直さないとメールが届かない事があります。 このエリアはこちらの記事に既にまとめてありますが、せっかく努力してオーディションしたり、バレエ留学の許可が出たのに メールが届かないという問題が起きたら悲しいじゃないですか。 貴方から返事が来なかったら「あ、この子は興味がないんだ」と思われてしまうし、書類提出の締め切り日を過ぎてしまったら終わりですよ。 気をつけてくださいね。 正座の話からずれた! まずは頂いた質問を読みましょう。 はじめまして。 いつも、小学4年生の娘のことで、勉強させていただいてます。娘はバレエを始めて三年になります。 トゥシューズ、体のゆがみのことなど気になっていたので、とてもためになるお話をいつも真剣に読ませていただいています。 バ レリーナにとって正座はよくないと聞きますが、どうして良くないのでしょうか?解剖的にはどうなのですか? また、あぐらは?我が家では座卓で食事をしてい ます。 補助椅子を使い、背筋をのばして座ったり、足をのばして座ったり、脚や膝に負担がかからないようにと気をつけていますが、やめたほうがいいのでしょうか? 娘はとてもやせているので膝や肘がとても目立ちます。 素人の質問ですみません。よろしくお願いします。 正座を解剖学的に見てみよう 正座とは解剖学的に何か?…
肋骨を閉める!ってどういうこと?
*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。 レッスン場でよく聞かれる注意。 「肋骨を閉めて!!」 でも肋骨って開かないでしょ? どうやって肋骨閉めるの? 肋骨、開いた覚えはないぞ? そう思ったあなた、今日の記事はあなたへ向けて書いております! 肋骨が開くことはあるのか? まずは肋骨のおさらいをささっと行いますが、詳しい事はこっちで書いているのでまだ読んでいない人&記憶が薄い人は戻って勉強してきてください。 (あと、肋骨を閉めれば痩せると思っている人も、そっちの記事で体の構造を理解してきてください…はぁ。) 肋骨はかごみたいな形をした骨です。 後ろ側は背骨、胸椎の部分に付着していて、前側は胸骨に付着しています。全部じゃないけどね。 胸骨と肋骨がぶつかる部分、つまり肋軟骨が脱臼しない限り、肋骨自体がガバ!と開くわけではございません。 ご安心くださいませ。 ただ肋骨の下の方(仮肋)は胸骨についていないし、呼吸ができるよう、横に開くように出来ているため、 肋骨の下側が前に押し出されたとき、 肋骨の開くように出来ている部分が前に出っ張るので 視覚的に肋骨が開いているように見える … 文章で書いて伝わった? つまり、肋骨を閉めろと注意された場合、肋骨のプレースメントが間違ってるってことなんだね。 肋骨が開いて見えてしまう原因と背骨のカーブ 背骨のカーブをお話したときに話しましたが、胸椎にもカーブがあります。 胸椎の後弯(背中の方に出っ張っている彎曲)が、肋骨の場所を作ってくれてる、という見方もできますよね。 と言うことは、肋骨を正しいプレースメントに置くためには、胸椎のカーブを正しい位置で保たなければいけません。 これが大前提。…
あなたの脚が上がらない理由は?柔軟性を深く見る
「1年生の柔軟性、特にデベロッペでもっと高く上げて、その高さでキープできるように!」 校長先生からの指令が来ました。 ダンサーのボディコンディショニングを仕事としてる私にとって、 こんなリクエストは日常ですが 皆さんだったらどんなクラスを行いますか? 柔軟性!!デベロッペで脚を上げるために床でいっぱいストレッチ キープ力!!脚と体幹を支えるための筋トレ, キープし続ける忍耐力。精神統一で集中力アップ! ,立っているのは軸足。よって片足で体重を支える訓練 うーん、うーん。 全部必要だよね? どれが一番大切だろう・・・? もしこのように考えられるようになっていたらDLSにはまって来た証拠です。 私の世界へようこそ! 何度も何度も書いているように、 柔軟性だけでは脚を高く上げられません。 , が。…
いまさら聞けないプリエと前脛骨筋
*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。 今日は題名通り、バレエを初めて1-2か月以上経っている人であれば(多分)今さら聞けないプリエについてお話していきましょう。 プリエを知らないバレエ教師はいませんね。 プリエの意味知らないバレエ教師がいたらどうしましょうか。 うーん、可哀そうだからそうっとしておいてあげてくださいませ(そして新しいスタジオを探したらいいかも…) バレエのステップ(パ)の意味を知ることは解剖学的にも、視覚的にも、感覚的にも素敵な事です。 なぜか? それはステップに求められる動きをイメージしやすくしてくれたり、 舞台上でどのように動くと、視覚的に「正しく」見えるか?を教えてくれたり、 解剖学的にどこを使う(もしくは使わない)とその形になりやすいのか?のヒントをくれたりするから。 ということで、プリエについて一緒に復習していきましょう。 プリエという言葉の意味と種類 プリエ(plié)の意味は「曲げる(to bend)」「折りたたむ」だそうです。 「押し込む」でも「下がる」でもなく「曲げる」。 体の中で曲がる部分は関節なので、どこが曲がり、どこが曲がらないか?を理解するのがカギらしい スピードについての記載はないので、早くてもゆっくりでもできるっぽい 大きさについての記載はグランプリエの場合があるので、サイズは大事になってくるらしい ほらね、言葉だけでかなりヒントが出てきますよね。 ちなみに私の中での理解では、オン フォンジュ(en fondu)=片足プリエなので、プリエと言った場合は 両足を使う 両足に均等に体重がかかる…