日本人の反り腰に対する執着心!?

  「私、反り腰なんです」 「反り腰を直すには、どのエクササイズがいいですか?」 この手の質問にガッツリと答えるブログを書きました。   時間がなくて記事を全部読めないという人のために、先にまとめを書きます。 反り腰というのは俗語であり、診断ではない 反り腰だから太る、腰が痛くなる、ダメ、脚が太い、などというエビデンスもない。だって1番で書いた通り、「反り腰」という定義がないのだから。 世の中にある情報(特に、体型&ダイエット系)に踊らされるな。 でございます。   では私と同じく、こういうエリアのヲタクは、一緒に細かく見ていきましょう。 反り腰とは? 反り腰には定義がないって知っていますか?   信じられなかったら、ネットで調べてもらっていいですよ。 「骨盤が前側に倒れ、坐骨が後ろに出っ張っている事を指す」 と書いてある場合もあれば 「仰向けで寝て、腰と床との隙間が手のひら一枚分以上だったら反り腰」 なーんて書いているサイトもあります。   ちなみに、上記2つでは「反り腰」かどうか確認できません。 理由は簡単です。   1)腰椎とはまっすぐなものではない。 解剖学的に、腰椎には前弯がある=腰は反っているのが正しい場所。   2)腰椎のカーブには個人差がある。 身長や指の長さ、頬骨の高さなど骨の高さ、長さ、カーブに個人差があるように 背骨のカーブには個人差があります。…

Continue Reading日本人の反り腰に対する執着心!?

レッスン中に足が攣る時の対処法

よく、レッスン中に足が攣るんですよね~ (90%以上の確率で、”はは”という声が入る)   ルルベやつま先を伸ばした時に、よく足が攣るから、といって それが普通ではありません。 そのまま踊り続けたら、危険な場合もあります。   「足が攣る」という問題について ダンサーが知っておきたいこと、対処法 先生が知っておかなければいけないこと をまとめました。   レッスン中に足が攣る 「レッスン中に足が攣ります」 という質問の後に どこをマッサージすればいいですか? どんなシューズがいいですか? なんて聞かれることがあります。 でもね、筋肉が攣るって 健康状態に問題があるかもしれないという事実を頭に入れてください。   そのため、レッスン中に足が攣りやすい人は、 健康の土台となる水分、栄養、休息が足りているか?を確認すること。   バレエの先生は、その生徒が回復(=同じ動きをしても攣らない、痛みがない)するまで、 その子のレッスンを中断させること。 本人は大丈夫です、って言っているのに どうしてレッスン中断するの!?と思った方へ。   筋肉が攣るという状態は、筋肉の収縮がコントロール出来ていない状態を指します。…

Continue Readingレッスン中に足が攣る時の対処法

グランパドシャを上達させる方法

180度に開脚した、高いジャンプのグランパドシャに憧れるダンサー達は多いし、 コンクールで踊るバリエーションの多くに含まれるパ。   だからでしょうか、 前後開脚は出来るのに、グランパドシャが出来ません という悩みを先生からも、生徒からも、何度も聞きます。   このブログではグランパドシャを上達させる方法についてお話しました。   *ここでは日本で良く言われる”グランパドシャ”をお話しています。 正式には グラン・ジュッテ・デブロッペ・アン・ナバン(大修館書店 クラシックバレエテクニックより) グラン・ジュッテ・アン・デブロッペ(東京堂出版 バレエ用語辞典より) となっています グランパドシャとは? グランパドシャ上達の前に、グランパドシャとは何か?を理解しましょう。   はじめに蹴り上げられる足が、グランバットマンではなく、 デブロッペをするグラン・ジュッテ。 空中で腕をチェケッティ派の第3アラベスクにし、着地の時、後ろに合った足が四番前にシャッセされる場合、 しばしばロシア派のグランパドシャと混同される バレエ用語辞典より   このパは難易度が高い振付です。 年齢が高くなってから練習すべき 基礎が出来た人たちが行うべき つまり、小学生クラスや大人バレエクラスでは指導すべきパではない、という事が分かります。     そんな事ないよ、コンクールとかで見るもん!…

Continue Readingグランパドシャを上達させる方法

つま先を伸ばしなさい!と言われたら

レッスン中に何度も言われる 「つま先伸ばして!!」という注意。   この注意を聞いたことがない人はいないだろうし、 先生の意図する意味が分からない人もいないと思うけど、 毎回レッスンで言われると気が滅入りますよね…   レッスン中に「つま先を伸ばしなさい!」と言われたときにどうしたらいいか?を考えてみましょう。 つま先を伸ばすとき、どこの筋肉が使われる? つま先を伸ばすとき、どこの筋肉を使うべきでしょうか? A:足の甲 B:足の裏   答えはB。 足の裏の筋肉(内在筋)を「縮めて使った」結果、足の甲が伸びます。 「伸ばす」という言葉はストレッチを連想させるけど、関節を動かすためには、筋肉が「収縮」しなければいけないですよね。 そして、つま先を伸ばす時は、足の裏を「縮め」ます。 →筋肉の収縮についての詳細はこちらの記事で勉強してね。     つま先を伸ばすとき、かかとはどこに行く? つま先を伸ばす、という動きは、足指だけでなく足首も動きます。 ということで、つま先を伸ばすとき、かかとはどの方向に動くでしょうか?   A:かかとは足首の方 B:かかとは脛の骨の方   答えはB。 レッスン中、かかとを“高く”持ち上げて、と言われたことがありますよね? つま先を伸ばすとき、足首は動いて大丈夫だし、かかとは「上の方」(骨盤の方)に動きます。…

Continue Readingつま先を伸ばしなさい!と言われたら

膝が伸びなくて悩んでいるダンサー達へ

ダンサーから「膝が伸びなくて悩んでいます」という声を多く聞きます。   その後の言葉は大概、 どんなストレッチが効果的ですか?   確かにストレッチが必要な時「も」ありますが、まずは 膝が「伸びない」のか? 膝が「緩んでしまう」のか? を理解しなければいけません。 まずは下の質問に答えてみましょう。 パラレル+両足で、ターンアウトせず立った時に“意識したら”膝を伸ばせますか? YES=踊っているときに膝が「緩む」人 NO=膝を「伸ばす」練習が必要な人   自分がどっちなのかが分かったところで、理論的に解決策を探していきましょう! 膝が緩む人 この人達に必要なのはストレッチではありません。 だって伸ばせるんだから。   軸足の強化して、片足で立つ力をアップすることで緩まない軸足作り 骨盤の安定を作ることで、骨盤ー床との距離を作ります(床と骨盤が近かったら、膝を曲げて「しか」立てないから)   *強化していないのに、ストレッチばかりしていたら、古いゴムみたいにユルユルになっちゃう。 つまりもっと膝が緩むチャンスを作っちゃうことになります。   意識したら伸びるけど、踊っていると膝が緩む 気をつけていれば出来るけど、レッスン中に緩んできてしまう人は、柔軟性ではなく運動神経の問題。   レッスン中に意識し続ける 無意識に出来るところまで反復練習…

Continue Reading膝が伸びなくて悩んでいるダンサー達へ

ダンサーが知っておきたい外反母趾について

  DLSの記事は、 バレエ学校であった生徒や保護者との会話 試験やオーディションに立ち会って見たもの、聞いたもの 実際に見てきた、聞いてきた質問&怪我 私がバレエ留学をしてきた体験 を元に作っています。    さて、今日の話はともちゃんの親指。 ともちゃんは今年入学した日本人生徒。 短い期間にとーっても上達したって先生方の間でも噂の努力家です。   学校で彼女とたまたますれ違い、世間話をしていた時に出てきた一言。 「プリエが使えないんです」   でも題名を見ても、プリエの事を書く予定はありません。 今日はその会話の続き、「最近、外反母趾も痛くなってきちゃって」にフォーカスして書いていきましょう。   この記事は2014年に書かれたものを、2022年により読みやすくまとめたものですが 2014年にこの記事を書いていた佐藤愛は、まさかプリエに関する本の著者になっているなんて思っていないでしょうね。 (だってプリエの話、飛ばしちゃってるし…笑)   外反母趾とは 「最近、外反母趾も痛くなってきちゃって。 でも出っ張りが酷くなってきたわけではないんです」   プリエの話の続きとして、ちらっと話に出てきた外反母趾。  このケガ?症状?体型?に悩んでいるダンサーは多くいると思います。   外反母趾には種類があり、原因も色々あります。…

Continue Readingダンサーが知っておきたい外反母趾について

2021 オニカツまとめ!

  オニカツを知らない人のために。 オニカツとは、鬼の佐藤愛と朝活しよう!という事で、毎月15日…あたりに行われているインスタライブの事です。 をオープニングに2021年にスタートした新企画「オニカツ」のゴールは 毎月テーマに沿ってバレエ解剖学とエクササイズ、レッスン上達法をお話する事で 教師のためのバレエ解剖学講座参加者たちなら、復習に。 ボディコンサークル参加者なら、予習に。 そして DLSセミナーに参加したことがない・参加出来ない人達には情報を伝えるために。 2月から11月の間、行っていました。   来年からはフォーマットを変えて、質問箱に届いた中からトピックを選ぶ形になるため、 2021年版が一気にチェックできるよう、まとめブログを作りました。   このページには、それぞれのテーマのオニカツビデオ+関連動画(バイトサイズ)やポッドキャストのリンクも付けてありますので、 興味があるところだけ、自分の一番頭に入りやすい形(文章・音声・動画)で勉強してくださいね。 *まだバイトサイズがアップされていない回もあります。今後のアップをお楽しみに♡ 目次 スクエア(体幹・上半身の強さ) 背中の柔軟性 背中とポーデブラの繋がり レッスン中の骨盤の安定 ストレッチとリリースの違い 内転筋 勉強・レッスン上達方法 ハムストリングス エクササイズとレッスンのバランス 2021年の総集編  スクエア(体幹・上半身の強さ)  …

Continue Reading2021 オニカツまとめ!

肩関節:ポーデブラの発祥地を理解しよう!

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   今日は肩関節の構造についてダンサーが知っておきたいことをお話していきます。 でもその前に… ポールドブラじゃないの?と言われそうだから免責を一言。   Port de Bras、フランス語で腕の運びという言葉ですが、これを英語読みすると「t」「s」は小さくって聞こえづらいのでポーtデブラzって感じになります。 なのでオーストラリアのバレエ学校で英語でクラス指導をしてきた関係上、私はポーデブラ、って日本語でも読んでいます。 ポールドブラ、で習っている人は脳内変換してください。   肩関節は肩なのか? 肩関節の構造とか難しい話になる前に、皆が同じ理解でいるかどうか?を確認させてください。 肩関節という解剖学用語って普通の人達がいう「肩」になるのか?と聞かれたらちょっと困っちゃう部分があります。   例えば肩こり、って言った時に自然に手を当てる部分は肩関節ではないんですよ。 肩で息をする、という言葉だと肩関節も上下するけれど、肩関節が乗っかっている肋骨自体が激しい呼吸で動いているのね。 だから動きは肺と肋骨で、肩「も動いちゃった」的な感じになる。 スーツなどの肩幅、と言った場合には一般的には、は左右の鎖骨と肩甲骨がぶつかる関節(肩鎖関節)の距離の事を言います。   今日お話していく部分は肩関節ですのでお間違えなく。 レッスン中に肩を下げて、とか肩を広げてとか言われたら、その都度言われている部分が違う可能性があるという事も頭に入れておいてください。   肩関節を作る骨たち 肩関節と呼ばれる部分は3つの骨で出来ています。 関節っていうのは2つの骨のぶつかるところ、というイメージが強いけれど、今回のように2つ以上の骨の時もあるんだね。   鎖骨(さこつ・clavicle) 胸骨のところにくっついているから、解剖図を見たときに鎖骨は肋骨の一人だと間違えられちゃうことがあるんだけど、こいつは肋骨ではございません。…

Continue Reading肩関節:ポーデブラの発祥地を理解しよう!

ダンサーの呼吸について考えてみよう

*このブログは2013年に書かれたものを2021年に大幅加筆修正しました。   今日はダンサーの呼吸についてお話していきましょう。   ダンサーだけでなく、人間が生きていく上でとても大事なだけど「深く吸ってー吐いてー」だけでは舞台で使えません。 深呼吸してリラックス…なんてしていたらアレグロ出来ませんしねぇ。 呼吸にはたくさんの筋肉が必要 呼吸筋(こきゅうきん)、って言葉を聞いたことがあります? 別に「呼吸筋」という名前の筋肉が存在するわけではなくて、呼吸をサポートしてくれる筋肉たちの総称です。全部知りたい人はネット検索してくださいませ。   オヤブンは皆が知ってる横隔膜(おうかくまく)。 肋骨の中にあるキノコね。   こいつはとっても大事なんですが…お話していきません。 なぜか?というとレッスン注意やダンサーからの悩み相談で 横隔膜が弱いからバランスとれないのよ このケガのリハビリには横隔膜を鍛えてくださいね 横隔膜のストレッチを教えてください って聞かれないからです。   バレエダンサーの情報としては、 横隔膜っていう大事な筋肉が体にはあって、呼吸筋のオヤブンだよん と分かっていればOK。   エクササイズを指導している人達にとっては、横隔膜をコアの一部として数える人もいます。 (=よっていろいろと注意をするが場所的にイメジェリー的な注意しか出来ないとは思う) 治療家は横隔膜リリースをします(=私もやります) ミュージックシアターと呼ばれる世界にいる人達、日本語ではミュージカルをやる人達や発声のトレーニングが必要な人はもちろん、横隔膜について治療、トレーニング、リリースとかも考えます。   水泳選手を私は診たことがないのだけど、もしかしたらそういう人達も横隔膜系をやるのかな?(知っている人がいたら教えて)…

Continue Readingダンサーの呼吸について考えてみよう

リリースとストレッチの違いとバレエダンサーが知っておきたいこと

DLS歴が短くても、私がストレッチ大好き人間ではないということは殆どの人が知っていると思います。(100%そうではなく、ボディコンサークルでも指導してますが、白黒つけた方が分かりやすいんだろうね、だったら「嫌い」のカテゴリで結構です)   レギュラーさんになったら、愛さんの前でストレッチとダイエットは口が裂けても言えないだろうし、 この前終わったばっかりの家族で学ぶダンサーのケガシリーズに参加してくださった保護者の皆さんにも、 良かれと思って子供に推奨していたことが、ケガのリスクを上げてしまうという事実をお話しました。   でもさ、ストレッチはダメでもリリースはいいの? (小声でぼそっと)リリースって何?と思わず呟いてしまった方々に朗報です。 今日は「ダンサーにとっての」ストレッチとリリースの違いをお話していきましょう。   *長いです! 読むのが苦手な方はオニカツで同じ内容を会話形式でご紹介していますので、そちらをどうぞ。 言葉の定義 「ストレッチ」も「リリース」も英単語なんですよね。 よって、ストレッチ=椅子に両足を載せたすプリッツでもなければ、リリース=ヤムナボール、というわけでもありません。 まずは、言葉の定義を辞書で調べてみましょう。 ストレッチ Stretch 引き伸ばす、引っ張る ピンと張る (道など)が続く お金や食料を長く持たせる リリース release 解放する 自由にする 緩める (新商品を)発売、公開する   オニカツライブでは以下のようにイラストを書いて説明しました。 どっちがストレッチで、どっちがリリースか分かる?…

Continue Readingリリースとストレッチの違いとバレエダンサーが知っておきたいこと